○
清澤委員 大体同じような
質問にな
つて参りましたが、農民の税金に対する御当局の考え方の基本についてお伺いしてみたいと思います。しばしば皆さんから言われている
通り、
農業所得税の中に労力が計算に入
つていないのでありまして、これが非常に問題になるのであります。工場等を
中心にして、ことに機械等を使
つて物の
生産をやります場合には、機械の能率等を
中心にして、労力と
生産とは大体正比例すると考えても大した間違いはないと思うのであります。ところが
農村における
生産の基本をなす工場である土地は、地味の上において、地勢において、水利の
関係が出て参りましたり、風の
関係が出て参りましたり、自然の上からも非常な不利な
地域を持ち、常に
災害を受ける
地域を持ち、あるいは地形によりましては非常な労力の便不便が生じている。また金をかけた耕地整理のできた場所、しかも國のたくさんの補助金等をもら
つて、非常に便利な耕地整理のできた場所、あるいはそういうことのできない非常な山間部の場所というふうに、ほとんどその土地自体の條件が非常にちぐはぐにな
つているのであります。これは田一枚々々について非常な條件の違
つたものであると同時に、これにかかる労力はすべて逆比例になるのであります。工場とは違うのであります。その上不便の場所、常に
災害を受ける場所、もしくは地形が惡い、地味が惡いという場所は、労力がかか
つてかつ所得がない、こういう非常なアンバランスを持
つているのであります。それを労力を勘定しないで、ただ
生産の上の率だけを
中心にして今の税金が考えられておるところに、
農村の納まらない感情が出て來る。これをどういうふうにお考えにな
つておるのか、まずこの点は御承認にな
つておるのかどうかということを私はお聞きしたい。それでこの問題はわずかの人間のそろばんの上の計算では、廣汎な自然が大体を支配する上からとうてい計算しきれないその不合理性でありますか、このバランスをとりますために、古來日本の國には、徳川時代以來今のちようど
供出に似ましたところの
一つの年貢の取立てがありましたので、その当時の緩和手段として持たれましたものが、われわれ信濃川の沿岸のごとき水害が始終多い所には、刈地
制度というものを使
つて、そうして十年ごとに地所をわけかえてこれの緩和をしてやる、あるいは隠田をつけてこれの緩和をはからしてやる。もしくはそういう所でないとしましても、大体古來においては刈地と申しまして、結局地積を
中心にするのではなく、ある四百歩の地積を與えて、これが一反歩だとして收穫を見てやる、あるいは五百坪の地積を與えて、これが一反歩の收穫であると見てやる、あるいは二百八十坪で一反歩と見てやるというふうな、
一つの極端な例でありますけれ
ども、そういうふうにして、昔はとにかく手元に残る飯米が
中心でありましたから、地所で加減をしてこれらのものを緩和する
制度というものが、幾多の檢地割出しの小作騒動を通じ、あるいはあの昔小作爭議とでも申しますか、百姓一揆を起しますれば、村の名主以下みんなの首が飛ぶ中を、殿樣に対して反乱を起して、その小作爭議を通じてこの刈地
制度の緩和の
対策等を、これくらいにめんどうして、その経驗を積んで考えた
一つの
方法があるのであります。しかるに今の税金の考え方というものは、近代式の考え方で、ただ收穫の上の表だけを見てがちやがちやとや
つてしまう。ここに重大な欠陷を持
つておると私は思う。そうしますと、結論としましては、今八木さんや加藤さんも言われる
通り、どうしても私は
農業の課税に対しては、
根本的に考え直さなければならぬ時期に達しておると思う。これをもし誤
つておりますれば、加藤さんが言われました
通り、共産党はさておいてアナーキストになりましよう。
政府というものは何でもない。これは農民が持ちましたところの本來の性格であるということを、ほんとうにお考えになるならば、もつと
眞劍でなければならない。そこでわれわれが申しますのは、ようやく事前責任
生産をや
つて、責任割当をや
つて、その農民の努力によ
つて残
つた跡片づけくらいのものは、農民の自由にして、そこで緩和をつける
方法をやらなければならぬ。そこで今日の
供出の
制度が今の日本に必要である限り、農民にしてやらなければならないというので、あの事前割当のいわゆる食糧緊急
措置令というものを、われわれは不承ながらも通して、そこに幾分の期待を持
つたにもかかわらず、今年のごときわずか作がいいからとい
つて、
供出が完納し、そこに超過
供出分がある。そこへまた総合課税になりまして一万円が加わりますれば、非常に税率が上
つてしま
つて、かえ
つて收入割れを來すということでありますれば、出す意思がだんだんなくな
つて來る。從
つて現在新潟縣などにおいては玄米一升六十円か七十円、おととい帰
つてみますれば、一俵千六百円でやみで町に賣りに來ておる。それで一万一千円になるこの米を出しはしない。こういう矛盾が現実できているにもかかわらず、今の御答弁を聞きますれば、今まで私
どもはその筋の何か考え方があるので、あなた方がその点をどういうふうな御努力でその筋と御交渉していただいておるのか、祕密会をも
つてしてもひとつお聞きして、そうしてあなた方の至らぬところがあるならば、われわれの知惠がまた有効であるかどうかは知らないが、それもひとつ御参考に供したいと考えておりましたところ、今加藤さんに対する御答弁を聞きますれば、それは法文がないからだと言う。これは本末轉倒したことであ
つて、今までのわれわれが了解したことは別の意味合いのことを申されておる。私
どもがもしかりにこの法案を全会一致で改正しますならば、また必ず大勢としては改正しますが、改正した場合それは通るか通らないか、これだけはつきりしていただけば、今期中にもわれわれ
農林委員は打
つて一丸とな
つて、この法律は改正いたします。だからこれはひとつはつきりした御返答をいただきたいと思う。ことにさきの第三國会の終末におきまして、
農業設税の報契金等の税金を免除してもらいたいという税法第三條第二項の修正を出しました際に、これは私は財務
委員の方ではありませんから、はつきりしたことは申し上げられませんが、確かに
大藏当局と財務
委員会におきましては了解が済んで、そうして五〇%の計算でも
つてはつきり計算がきま
つた、こういう話を聞いておるにもかかわらず、最近
地方税務署におきましては、そんなことは絶対ありません、そう一律のことはできませんということである。これではわれわれがあれほどはつきりとした口約を持
つて帰
つて、今度からこういうふうにな
つておる、こう申し上げておりますにかかわらず、それがさらに行われないということになりますならば、國民はだれを
信用するかということになる。この点ひとつはつきりした御返事を
お願いしたいと思うのであります。これが第二。
第三番目といたしましては、この超過
供出の問題で、聞きますれば甲地、乙地、丙地にわけて、これは新聞の報道でありますが、甲地は四千何百円、乙地は三千何百円、丙地は二千何百円とかして、これを特別に早場米を
供出するために経費がかか
つたものとして税の計算に入れる、こういう
お話でありますが、これは
生産費の上にプラスする今言
つた價格を認められるのかどうか。結局三千五百円の
生産費の控除額といたしますならば、それに早場米の特別経費として四千何百円がかか
つたからというので、約八千円近まのものが所要経費として認めていただけるのかどうか、この点をひとつお伺いしておきたいと思うのであります。以上三点について御答弁願いたい。