○中山(次)
政府委員 引続きまして電氣
通信事業につきまして
近況を御報告申し
上げたいと存じます。便宜上
電信事業と
電話事業と、それから外國
通信関係事業というふうにわけまして申し
上げたいと思います。
最初に簡單でございますが、國際通信の現状を申
上げます。終戰後一時ほとんど杜絶しておりました外國通信も
関係方面の指示によりましておいおい回復して参りまして、現在では回線といたしましては、無線
電信回線が約十三回線、有線海底電線
関係が一回線というように復旧しておりますが、
電話についてはサンフランシスコとの間に三回線復旧しております。その取扱い数も、
電信の方につきましては毎月約六万通をはかしております。しかしこれは戰前の通数に比べますれば、約三分の一
程度にしか
なつておりません。しかし回線の数が戰前三十六回線もありましたときに比べますれば、各回線はできるだけ活用されているわけであります。ことに
電話の
方面になりますと、戰前よりも相当通話数は多く
なつておりまして、一日に約百通話平均ございます。忙しいときは二百通話も越えておりますが、しかしその
内容に至りますと、
電信の方は外國貿易が復旧して参りました
関係上、大体從來進駐軍
関係の電報が多か
つたのが、民間通信がおいおいふえて参りました。將來はほとんど民間通信によりまして、非常な増加を期待されておる
状況でございます。ただ
電話につきましては、まだなんといいましても
電話による民間
関係の連絡は外國とついておりませんので、進駐軍
関係によりましてこのように毎日相当多くの通話がございます。これは戰前の取扱数に比べますと、昭和十年ごろに比べますと十六倍の多数に上
つております。今後外國通信としては、電報におきましても
電話におきましても、相当有望視されておる現状でございます。ただここで一番私
どもが心に感じておりますのは、対外國為替レートがはつきりきま
つておりません
関係上、日本の民間需要者が十二分に活用できませんが、近くそれが解決いたしますれば、需要が相当激増するのではないかと思います。その一例といたしましては、インドとの民間通信が非常にふえておりまして、最近では一日にコロンボ線だけで千通以上も疏通しておる次第であります。これは
一つの特例でございまして、
関係方面にお願いしまして、コロンボ線を増加して十分に御利用に應じていたしたいと思
つておるわけでございます。それから先般
國会の方にお世話をかけました國際電氣通信もいよいよ一月一日から実施せられますので、その加入手続を
関係方面を通じまして申出でいたしましたので、
來年よりは、ただいままで正式にまだ加入なり参加できませんそういう國際
会議なり國際條約に加盟者といたしまして参列することができることになりますので、今後の外國通信のサービスにつきましても、國際的の
立場から十二分にそのサービスを改善し得る
状態になると思います。この点は厚く御礼を申
上げておきたいと存じます。
次に
通信関係でございまして、まず
電信でございますが、これは
結論的に申
上げますと、おかげ樣で非常に改善されて参りました。この分ならば戰前のサービスに復旧するのも近いのではないかと考えておる次第でございます。大体取扱数につきましてはただいま全國に毎月大体六百万通ほど取扱
つております。これは戰爭前に比べますれば、取扱数が一時よりは少いのでありますが、大体終戰後の二十一年、二十二
年度に比べますれば、大体
料金値上げにもかかわりませず相当の通数を確保いたしておりまして、今後サービスの改善によりまして相当増加するものと私
どもは期待しております。また
内容的に言
つて至急報と普通報につきましてサービスの改善せられました結果、至急報の利用率が漸時普通通信の方に移行しております。私
どもといたしましては、普通通信の
料金によりまして利用者のお期待に沿うようなサービスをして、特に忙しいものだけが、至急通信にするという方向に、サービスをして行きたいと考えております。
それから
收入状況につきましても先ほど総務
局長から御
説明のありましたように、大体
予定收入を上まわ
つて上げておる次第であります。その
内容の経過につきましても、最近十一月の初めに調査いたしましたところによりますと、八月に調査したものに比べまして、普通電報において前回に五時間二分平均かか
つておりましたものが十一月には四時間三十二分となりまして、約三十分間の短縮になりました、至急電報につきましては前回三時間三十九分平均であ
つたのが、今度三時間四十四分になりまして、二十五分の短縮をしております。これは第六回の調査でございましたが、昨年の五月に行なわれた第一回の調査に比べますと、通常電報において十一時間かか
つておりました。至急電報については七時間平均であ
つたのに比べますと、相当
内容が改善されまして、利用者の方の御期待に近づいているのではないかと思われるのであります。また電報の
内容の誤謬率につきましても、終戰後非常に見られまして、利用者なり國民の方々から御批判を受けまして、まことに恐縮に存じておりましたが、最近諸種の
事情によりまして、
從事員の人々の反省なりまた
努力なり、また機械の整備なりによりまして改善されて参りました。最近の調査によりましては、約百通について誤謬が起きましたのが三通余りでございます。それから一万字につきまして大体十三字
程度の誤謬ができております。これは戰爭前に比べますと相当な開きがございますので、この改善につきましては、
從事員の諸君と一緒にできるだけ戰前の
程度に復旧したいと
努力いたしておる次第でございます。これが改善の方策といたしましては、何といいましても機械が非常に損耗いたしておりまして、幾ら人為的に
努力いたしましても故障、誤謬が出る点につきましては、極力直しておりますし、また人員の欠員なり欠勤なりによる労務加重から電報の疏通が遅れるというような点につきましては、機械力、高度通信を相当高めまして、從來印刷
電信機などは全体の機数の四%
程度しかありませんものを、これを極力印刷
電信等にかえまして、これを約四割
程度は高度通信にいたしたいと思います。また中継局の直通回線をつくりまして、それによ
つて電報の遅延を防ぎたいと思います。また人員
関係につきましては、ほとんど整理いたをはかり、能率を高めまして、サービスの改善をはかりたいと思
つておる次第でございます。電氣
通信事業につきましては、從來その
赤字を
電話事業の
財政におぶさ
つておる
関係がありますので、なるべくただいま申し
上げましたような改善方策によりまして、できるだけ少くして行きたいと考えておるわけでございます。何分にも
電信、電報のサービスにつきましては農村におきますサービスを普及しなければならぬ
関係上、ある
程度そういう農村なり辺鄙なところにおきましては、ポストはありましてもサービスしなければならぬという点がありますので、そういう点につきましても現在全國の農村においてまだ
電信の普及されない所が一九%ばかり、
電話のないところが二〇%以上に
なつておる、以上のようなわけで
電信が電氣通信の先駆的の使命を持
つておりますので、その使命を考えまして、今後の
電信のサービスにつきまして、
赤字の方もにらみ合せて、できるだけ疏通対策によりまして改善をいたしたいと思うのであります。
それから
電話事業につきまして申しますならば、加入者数は戰前は百五万から百八万ございましたのが、戰爭中の打撃により、終戰直後は四十七万に激減いたしましたが、その後の復旧によりまして、十月の調査では八十三万
程度に復旧いたしております。できるだけ早く戰前の加入者を復旧すると同時に、新しく終戰後の経済復興に必要な、新増設につきましても、お期待に沿うようにいたしたいと考えておる次第でございます。また市内通話度数につきましても、加入者が激減いたしております
関係か、利用度も相当高ま
つておりまして、都会地におきましては話中が相当高率を示しておりますので、これも
電話の架設の普及と並行いたしまして、これをなるべく
負担を軽くいたしたい、話中を少くしたいというふうに
努力しておるわけでございます。
電話事業の
收入の大半を占めております市外通話の
状況につきましては、十月におきまして一箇月に約一千六百万回利用をいただいておるのでありまして、戰前の利用度数を比べますればまだその数に達しておりません。これは加入者の数が減
つております
関係からいいましてやむを得ないのでありますが、終戰後の二十一年、二十二年に比べますれば、相当な増加率を示しておりまして、先般の
料金値上げにもかかわりませず相当な利用増を見ておる次第であります。ただ私
どもといたしまして非常に遺憾に存じますのは、ただいまの市外回線の現状からいたしまして、利用者の方々に十二分のサービスができておりませんことで、その取扱いの経過時分も相当長い時間にわた
つて、利用者の方がせつかくお申込みに
なつてとうとう半日待たされて、またそのためにせつかく申込んで取消しをしていただかなければならぬことに
なつたという
関係が相当ございます。最近の調査によりますと、大体全國平均にして、おもな大都市を申し
上げますと、
東京と札幌の間は現在特急
電話の至急通話でお申込みいただきまして、二時間十三分でございます。ところが終戰直後の二十年の十二月ころに比較いたしますとそのころは三時間四十九分かか
つております。
東京、大阪を例にとりますと、終戰の時に二時間三十五分のものが、今二時間七分、
東京福岡が三時間二十九分のものが二時間二十一分、大阪を中心にいたしますと、大阪福岡間を二時間四十七分のものが一時間五十分、大阪、岡山間が二時間二十九分のものが一時間四十分というように短縮されておる現状であります。これは全國平均にいたしてみますと、終戰時には、二時間十六分平均でありましたが、現在では一時間四十三分に
なつております。取消率も終戰直後は二割九分、三割近くございましたのが、現在では二割五分に達しておらない
状況でございます。この
状況を正確に御
説明いたしますと、また多少
説明の仕方が変
つて來ると思いますが、電報の方は利用者の方が窓口に出していただいてはかすのですが、
電話の方は経過時分がかかりますとそれだけ取消率がふえまして、その申込の絶対数というのは終戰直後と現在とで相当変
つてきておりまして、終戰直後のときに、取扱数が少いために割合に今よりも早くはけた、ところが現在は非常にふえたために、
努力するにもかかわらずはけないという
関係もございますので、その
方面との比較を考慮いたしますれば、ある
程度改善されたというふうに思
つております。私
どもはこれも電報と同じようになるべく特急通話、至急通話を使はなくても、あまりお待ち願わないで利用ができるように改善して行きたいと思うのでありますが、やはり何分にも都市におきましては回線の少いところに需要が多いために、まだ至急通話以上のお申込みが半分以上を越えております。これを至急通話以上と普通通話との全國の平均をとりますと、普通通話は約六割三分、至急通話が三割七分という
状況になりますが、これはできるだけ施設回線を増加いたしまして、またその取扱能率を向上いたしまして、なるべく至急通話以上の取扱いの方を少くしたいというふうに
努力いたしておる次第でございます。それからそういうふうに
加入電話につきましてまだ復旧がいろいろな原因から遅れております
関係上、公衆
電話をなるべく沢山架設いたしまして、
一般の方の御利用を願うというのでただいま
努力してまいりました。今
年度においては全國に二千個の自動
電話を増設いたしまして、
加入電話の
不足の御不便を少くしたいと考えております。
それからこの前の
議会で御承認願いまして、今
年度実施いたします
電話公債
法案の問題でありますが、これは先ほど
大臣からも
ちよつと御
説明申
上げましたように、この三月末までの効力なのでございますので、
來年度におきましては、またこの
法案を改正いたしまして実施いたさなければならぬ
状況がまだ続いておりますので、これについては目下
研究中でございますが、私
どもといたしましては先ほど
大臣から
お話がありましたように、公債額につきまして相当実施後の実状から檢討いたしまして、これに
改訂を加えたいと思います。またせつかく
電話公債を
負担していただき、お申込みをいただきましても、行使上の
関係からまだ御希望に沿わない、またその他
一般の
財源のように
予算的に依存しておりますれば、施設なりまた局内施設につきまして十分に
予算が成立しない
関係上、
電話公債の
方面についても、活用を十二分にできない点につきましては、
大藏当局と交渉いたしまして、
電話公債法の
來年度における実行については合理的に改正して、また
議会の方の御
審議を願いたいというふうに今準備をいたしておる次第でございます。
その他電氣
通信事業の経営の根本になりますが
電信法の改正でございますが、これは先般
郵便法の改正がございまして、
電信法の改正は遅れて申訳ないと思いますが、改正案が確定的にまだできておりません、この
法案につきましても、目下新しい電氣通信上の経営に即應いたしまして、新しい憲法の方針に基きまして立案中でございます、最近の
議会の方に御
審議を願う段取りに
なつておりますので、その節はいろいろと御注意いただかなければならぬと思うのであります。その他先般御報告申
上げておきました警察
電話の通信省に移管に基く
地方財政の財産処分につきましては、やはり法律を要しますが、これは
大藏当局の方で、法律案を作製し、また通信省の方もいろいろの点について御質疑した上におきまして、また
議会の方に
提出して御
審議を願う段取りにいたしておる次第でございます。ごく簡單でございますが、電氣
通信事業の
近況につきまして御報告申し
上げた次第でございます。