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正木委員 昨日の
委員会においても、私は
政府当局からこの小
運送審議会の
設置の経過を承つたのでありますが、私は二つの面で非常に重要な事柄があると考えておるのであります。
一つの点は、今日
日本の
鉄道輸送の手となり足と
なつて、末端の小
運送を一手に引受けておるところの
日本通運というものが、現在の
客観的情勢のもとに、独禁法、
集排法とからんで、この
日通というものの
あり方が一体どうなるのであろうか。このことが現在いまだ当
委員会においては根本的に究明されておりません。もう一点は、これは行政的なことになるのでありまするが、この小
運送というものの
あり方をさかのぼつて考えてみたときに、
政府が小
運送行政にとり
來つた処置は、一体歴史的にどうであつたかということであります。申し上げるまでもなく、小
運送業法という
法律がございまして、私の記憶するところでは、
昭和十二年に発令に
なつたと記憶いたしております。この小
運送業法の法の
精神から申し上げますと、
主務大臣の認可をさえとれば、小
運送業というものは開始されるはずなんであります。ところが
政府は、
日本の
國有鉄道の
一貫性を期するために、この
法律があるにかかわらず、一方特殊な
性格を持つた
日本通運という
会社を組織いたしまして、しかもこの
日本通運の
会社に
独占権を與えまして、
國民の非常な
反対を押し切つて、他の小
運送業者に対しては、強制的に
買收または併合、
合併等の挙に出て参りましたことは、間違いのない事実であります。今日に
至つて、
國民の間から、この
日本通運の
営業政策に対して、極端なる
反対の声があが
つて來たからといつて、この
日本通運の内部に対して、いかなるところに
欠陷があるのか、
日本通運の
性格というものをいかにすべきかということを、根本的にいまだ掘り下げておらないのであります。これが私は非常に大きなことであると考えます。ただこのたび
政府がとりました
行政処置は、違法ではないと私も信じております。しかし違法ではないということは、私自身は信じておりますけれども、さてこのたびつくられた小
運送審議会の
精神というものはどこにあるかといえば、
日本通運というものの
独占権を排除して、そうして小
運送体制というものを民主化して、しかもサービスを改善するというところにねらいがあり、しかもこの
複数制を許可しようとするところの重大なる
権限を付與されているのが、この
委員会の
性格であります。そういたしますと、
行政処置としては違法でないかもしれませんけれども、前の議会において通過を見ておりまするところの
國家行政組織法の第八條におきましては、今後特に必要な場合において、
行政廳が
審議会または
委員会をつくるときには立法的な
手続を必要とする、こう明確に規定されております。なるほど
國家行政組織法は四月一日から施行されるのでありまするから、いまだその時期に
至つておりませんけれども、
法律案それ自体は
精神においてはすでに生きております。こういうことと、もう
一つは、当然さような
責任と
権限を持つ権威のあるものであるならば、
政府はこれを
政令をもつて公布して、公式なものにすべきではないかと私は考えておるのでありまするが、このたびとりました
行政処置としては、昨日の答弁によつて明確に
なつたのでありますが、これまた
政令ではない、こういうのであります。そういたしますと、
從つて当
委員会に対して
事務当局のとりました
処置は、
政令でもないのでありまするし、また
國家行政組織法の
精神をもくんだのでありませんから、当然この
委員会には
報告すべきところの義務もないかもしれません。またこの
委員会にはかるべきところの
責任もないかもしれません。これは当然
政府の
責任においてなしたのでありまするから、
委員会には
報告、連絡、はかるべき必要がないかもしれませんが、当
委員会としてはさようなわけには行かないと私は信ずる。なぜ行かないと信じておるかといえば、ただいま私が申し上げましたように、
日本通運というものの
あり方に対して、当然根本的に掘り下げて究明、解剖されなければなりませんのにかかわらず、その点はふさいでおる。なるほど
行政廳としては、
國民の
輿論が、現在の
日本通運の
独占事業を廃止して、
複数制にすべきものである、こう見ておりまするけれども、しからば当
委員会として、そのことが正式に取上げられ、
眞劍に究明されたかというと、残念ながらこの
委員会においては、そのことが究明されておりません。また当
委員会に対しては、ごく少数でありまするけれども、なるほど
複数を許可せよという
請願は出ておるかもしれません。しかしそれをもつてして、はたしてこれが
國民の
輿論であるかということの認定になりますと、これは相当
意見が出て來るものと考えております。それで特にこの際
委員会にお願いをいたしたいことは、
政府は
行政処置を
とつたのでありまして、このとりました
処置が妥当なりとして
とつたのでありますからして、今日に
なつてその
委員会を廃止するという御意思は、私はなかろうかと思います。当然
政府としては、その
委員会は
委員会として発足するものとの見通しを持つているのでありますが、当
委員会としては、この重大な問題を單なる一片の
報告を聞いた
程度で放任すべき筋合いのものではない、
從つて、
政府がしばしば立法府に提出すると約束しているところの
通運事業法がいまだ出て参りませんから、この小
運送業問題については、正式な
公聽会等を開くことはできないと思いますけれども、私は
委員長のおとりはからいにおいて、実質的に
公聽会と同様な價値を持つところの、小
運送問題に対する
意見を聞く会というものを、
委員長の名によつて開かれるように、切望いたすのであります。この機会に
委員長の御
意見を承れれば仕合せだと思います。