○高吉
説明員 ただいまお尋ねの件につきまして、二、三お答えを申し上げます。まず
数字的なことでありますが、セメントの
生産は、もうすでに御
承知かと思いますけれ
ども、終戰以來逐次増加しておりまして、二十年が八十七万四千トン、二十一年が百五万一千トン、二十二年が百四十五万トン、二十三年は第四・
四半期がまだ残
つておりますけれ
ども、大体百八十万トン
程度は行くだろうと確信しております。百八十万トンと申しますと、
計画が二百万トンでございますので、約九割ということで、今までの
状態から申しますと、まずまずいい方ではなかろうか、かように考えております。二十四年以降につきましては、いろいろな見方がございますので、われわれの口から申し上げるのもいかがかと思いますが、窯業課の希望といたしましては、せめて二十四年は、二百八十万トンくらいはつくらなければ、とてもや
つて行けないだろうという考えは持
つております。二十八年最終
年度には、五百二十万トンくらいまで持
つて行かなければなるまいという考えを持
つておるわけでありますが、もちろんこういう
数字はわれわれの希望でありまして、確定した
数字ではございません。
ついでに板ガラスの
実績を申し上げましよう。板ガラスが二十年が三十万三千箱、二十一年が七十九万五千箱、二十二年が百四十五万箱、二十三年が百七十五万箱、こういう
数字で逐次上
つて参つております。しかしまだまだ板ガラスの方は、
需要に対しまして供給が非常に少いのでありまして、おそらくはやみ價格で板ガラスが一番高いだろうなどと言われておるのでありまして、皆さんに御迷惑をかけることが多いかと存ずる次第であります。二十四年はせめて二百三十五万箱つくりたい、二十八年には四百三十万箱くらいに持
つて行きたい、こういう希望を持
つております。二十四
年度の二百三十五万箱という
数字が、かりに達成できたにいたしましても、
需要に対してはどのくらいが供給率になるかと申しますと、ざつとわれわれの方でにらんでおります
需要——この
需要も非常に不確定な
需要でありますが、まずまずかつこうがつくという
程度の最低の
需要を押えましても、約三百三十万箱くらいの
需要にな
つております。そのうちで
運輸部門に対しては十万箱
程度見込んでございます。それで三百三十万箱という
需要が出て
参つておりますが、それに対して二百三十万くらいはつくりたいというわけであります。そういうぐあいでありまして、板ガラス、セメント、いずれにいたしましても、急速に皆さんの御希望
通りに差上げられるような時代は、少し先になるのじやなかろうかという
見通しを持
つております。配分の点につきましては、
安本で
計画を立ててくださいますので、われわれの方から格別申し上げることはございません。
ただいまの
お話の質の問題でございますが、セメントの質は、前から日本のセメントは世界のナンバー・ワンと言われておりまして、太いにわれわれは誇りに思
つていたわけでありますけれ
ども、最近おつしやる
通り質が低下して参りました。質の低下して参りましたゆえんは、一に石炭のカロリーにかか
つております。世界にいば
つておりましたころのセメントに使われます石炭のカロリーは、大体七千カロリー以上のものが使われておりましたが、昨年
あたりの平均が五千そこそこにな
つております。五千二百カロリーぐらいだつたと記憶しております。本年は大分向上して参りまして、現在のところ五千六百カロリーぐらいまで入
つて参りました。その結果セメントの
品質も大分よくな
つて参つております。ただ一点問題になりますのは、御
承知のように進駐軍の指令がございまして、セメントは一型から四型までの分類にな
つておりまして、四型と申しますのは内地の
標準規格に該当するわけでありますが、これならば内地への
放出はよろしい。しかし一型から三型までは
品質のよい方でございまして、これができたら一々進駐軍の
放出許可を受けることにな
つております。そういう
関係で多少業者の方としても
配給計画と見合
つて、四型のものをつく
つておかなければ困る。三型以上のものができて、一々
放出許可を受けなければならない。
放出許可を受けられるかどうかわからないということで、かえ
つて御迷惑をかけるのでは困るから、やはり
放出許可の手続をふまなくても、
切符さえあれば差上げられる四型をつくろうという点がありますので、四型になりますと、特に
港湾関係の方では、幾らかお困りの部門が出て來るかと思うのであります。そういうふうな
事情で多少四型に中心を置いてつくるという傾向がありますが、これにつきましての補正の方法といたしまして、ぜひ三型以上のセメントが御入用な場合は、特別に八軍の方に
報告して許可を得まして、高級なセメントを差上げる方法もありますので、御
連絡をいただきたいと考えております。
それから板ガラスの厚板の方の問題であります。これはただいま
お話のありましたように、目下のところ製造の中止をいたしておりますが、厚板にいたしますと、みがきにいたさなければならぬのであります。五ミリぐらいになりまして窓にして使いますと、非常に不透明な変なものになりますので、とても使えないのでありまして、まずまず車輛の窓にお使いになるのは、三ミリ
程度のものかと思うのであります。五ミリ以上のものでありますれば、どうしてもみがきにいたさねばならぬのであります。そのみがきには電力が非常にいるものでございますから、最近の電力の
事情にかんがみて、今とてもみがきの製造をやらせるわけにはいかないという司令部の強い意向でありますので、もう少し電力
事情がよくなりませんと、みがきの製造がむずかしいのではないかと考えております。みがきの製造さえ許されれば、みがき装置は厖大な設備を残しておりますので、いつでもできると思います。この許可につきましては、われわれとしては第一・
四半期の豊水期には、何とか一時的でもいいから許可してもらいたいというぐあいに、運動したいと考えている次第であります。