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公述人(土橋一吉君) 本日
公共企業体労働関係法規に関しまして私を
公述人に御
指名下さいました
労働委員の皆様に深く感謝の意を表します。これから私は
政府原案によりまする
公共企業体労働関係法規の三十八ケ條の
條文の内容について詳しくお話を申上げたいと思いまするが、時間的な制約もあると存じまするので、大まかに大体私はこの
法案に根本的に反対しておる
立場を表明したいと思うのであります。御承知のように本
法案は七月二十二日
最高司令官の総理大臣に対する
書簡によ
つて策定されておる、こういう
政府の提案
理由によ
つてこの
法案が出たのでありますが、私の見るどころではこれは日本國の憲法に対するところの重大なる誤りを犯しておるという点を先ず第一点に指摘したいと思うのであります。これは
労働委員の皆さんには私が再度
公聽会でお話を申上げておりますので、詳しく申上げなくても御存じかと存じますが、憲法の前文を皆さんが繙いて御覧になると分りますように、我が國の政治、経済、行政の
運用につきましては、少くとも、專制或いは圧迫、或いは偏狭的な観念を以てしてはならないということが、まず明確に謳われまして、更に第三章に参りますと、
國民としての、又人民としての基本的な
権利の保障に関する
條文が第十
一條から明記されておるのであります。即ちこの憲法が保障する基本的な人権は、永久に侵すことのできない
権利として、
國民がこれを享受し得るとかように明記されておりまして、あらゆる
権利の保障をしておるのでありまするが、更に憲法二十七條におきましても、勤労者の
権利は明確にこれを保障し、二十
八條に至りましては、これはもう今日まで
労働委員の皆さんがよくお聞きの
通りに、
團結権、
團体交渉権、更に
團体行動に関する
権利は、勤労階級が明権に保障されておるのであります。更に憲法の内容の
最高法規の
規定が、確か九十七條から始ま
つておりまするが、この
規定を見ましても、少くとも基本的な人権につきましては、これを侵すことができないということを明確に
規定しておりますので、私は現日本國憲法を改正をする
國会を召集し、日本國憲法の基本的な人権に関する
條項を、基本的に改正しない限りにおいては、かような
法律案を上程するという
政府の考え方が根本的にまず
法律的に間違
つておるという点を第一に私は指摘したいと思うのであります。
第二の
理由として我が國のこの現在の政治、経済、
國会の
運営は、少くとも一九四五年七月二十六日のポツダム郊外において結ばれた、ポツダム宣言の第十條の
規定に、その根源的なものを持
つておるのであります。更に
労働関係につきましては、十一ケ國の極東
委員会がワシントンにおいて
決定いたしました十六原則が、やはり
関係方面におかれますところの対日
労働行政に関するところの基本的な態度であろうかと考えておるのであります。
從つてこういうような世界の少くとも平和
國家、文化
國家、更に敗戰國の日本が、日本の民主的な再教育、日本の民主的な再編成というような基本的な
立場からこの問題を考えて見ましても、遺憾ながらこの
法案はさような根本的な原則に違反をするものであるという点が第二点であります。
第三点は
労働法規に関する問題でありますが、少くとも事、
労働行政
法規に関する限りにおきましては、これは資本主義経済において誤
つておりまするところの公法、或いは私法、特に雇傭
関係におきましては、民法の
規定においても
規定をしております。或いは特に
組合関係においても民法は
規定をしておりまするが、これは個人的な雇傭
関係における
規定であります。ところがこの
規定は資本主義経済の下ではどうしても貧乏人、
労働をする者、働く者が不利な
立場に置かれますので、それではいけないというので働く者の
権利を認め、働く者の
生活を保障するため、更に最近におきましては、各位もすでに御研究済の
通り、少くとも日本の再建のためには働く勤労階級の
権利を十分保障すると共に、その
生活を十分確保しなければ日本の再建はできないということは、もはや日本の社会通念として至当な考え方であることは、各位の今日まで示されておる論文、或いは
公述等によ
つてもお分りと思うのであります。こういうような面から見ますると、少くとも
労働三法に関する対象であるところの
労働者は、事の如何を問わず、この
労働三法が
規定しておりまする基本的な態度を容認をしなければならないというのが原則でないかと思うのであります。それで独立採算制とか、或いは
企業の合理化とか、或いは從業員の
能率増進というような態度のみに
法案の中心的なものを持
つて参りますと、どうしでも資本主義的に人の首を切らなければならん。先程どなたか
公述人の方がおつしや
つたのですが、どうしても行政整理をしろ、首切らなければならんというような暴言を吐く諸君が出て來るのであります。そこで私は日本の
將來の産業の復興のために、日本の再建のためにはどうしても勤労階級の
生活を全面的に保障すると共に、
將來勤労によ
つて自分の
生活を営まんとする者のために、本質的に
國家の財政、或いは
國民経済、或いは物價と賃金の
関係というようなものを、総合調節するところの大國策を樹立しなければ解決しないという点が、まず私の考えておる第三点であります。何故かならば、仮にかような
公共企業團体におけるところの
労働法規を作りましても、
國家が財政面において、少くとも
國民生活と遊離したような財政を編成する場合には、その財政は、常に現在の公定價格を中心としておるのであります。ところが世上
一般國民生活をしておる限りにおいては、この
公共企業体といわれる中に入る勤労者でありましようとも、我々全官公廳の勤労者でありましても、
民間の勤労者でありましようとも、社会
生活を営む過程におきましては常に闇というものに附纏われておるわけであります。
從つて流通秩序の確立と食糧対策、或いは建築
なり被服というようなものに対する総合
調整をした、立派な國策を樹立し、而も金融
関係においては金融の國営、社会化というような面において、金融方面の調節を図るとか或いは財政面におきましては、少くとも
國民所得のうち租税を免れるというような者が絶対にないような、そういう仕組をやらないと、これが常に惡性インフレ、或いは投機、思惑の根源をなして來るのであります。
從つて先ず要は、
國家財政の基本的な確立と、常に
國民経済に即應した
國家財政を確立するという態度、
公共企業体の從業員であるから、これは闇
生活をしておらんというようなそういうものの見方でなくして、どこまでも
公共企業体であろうとも、工場の諸君であろうと、農民の諸君であろうと、
國民として社会
生活をしておる限りにおいては、公定
生活の面のみを取上げて行くというような態度を
國家が止めない限りにおいては、こんな
法案を作
つて、ここに書いてありますが、爭議行爲の禁止がまず第四章に
規定してあります、或いは
團体交渉権の
制限、
交渉委員の任命は第三章に
規定してありましても、特に私は
委員の皆さんにお聞きを願いたい点は、
公共企業体の
労働業を、何故この
法案が
職員というような名称で、極めて曖昧なる、而も爭議行爲
なり團体交渉なり、その他の行爲を
制限するような文字を使
つておるかという点は、明らかにこれは
政府がこの
法案を出すときに、これを
労働者と書けば、どうしても
團体交渉権を認めなければならんとか、或いは爭議行爲についても行わしめなければならんというような意図から、これを
職員というような極めて曖昧な、從來の封建的な観念でこの
規定の立案を進めておるという点が、私には先ず承服ができないのであります。
さて私は物價と賃金の
関係を皆さんにお願いをしたいが、私は今日丁度朝起きまして新聞を見ました。そうしたらその新聞に書いておるのは、古い新聞でありましたが、
労働者が賃金の値上をするから物價も上
つて來る。こういうようなことを東京の大新聞が書いておるのであります。皆様もすでに御承知のように、
労働者が賃金の値上をするというようなことは、少くとも物價が高くて、到底現在自分の私
生活が営めないから、團結を強化して、物價に即應して賃金値上をやるのであ
つて、決してこれが物價高促進の基本的な原則でなくして、物價を高めつつあるところの
國家のインフレ財政を先ず克服しなければならんと同時に、金融
関係におけるところの融資
関係を嚴重に取締らなければならん。特に金融について市中の銀行
なり、特殊銀行
なり或いは復金の融資というような放漫政策をと
つて、金融の放出状態が極めて不健全に行われ、而もそれが、傾斜的に而も、
政府或いは現在の支配階級が考えておりまするような、一方的な方向において資金の流通を行わしめておるというような、こういうような面を根本的に是正をしないことには、如何に
法律案をこういうようなものを作りましても、爭議とその不平
不満というものは到底止まないというのが私の主な
理由であるのであります。特に私は現
政府の態度は全く遺憾でありまして、現
政府が
労働階級に関しまして本質的な計画的なものを持ちまして、そうして日本の産業対策というものと相並行して両輪の轍のような態度をと
つておるならまだしものこと、私はそれでも
不満であ
つて、少くとも日本の勤労階級の
生活の保障が第一で、次にその上に立
つて産業対策を如何ようにするか、金融政策をどうするか、流通秩序の確立はどうするか、或いは輸送の
関係はどうするかというような点を論議して然るべきではないかと思うのですが、この
法案はそういう点については一指も触れておりません。すでに
委員の皆様も御承知のように、第
一條を見ますると、「この
法律は、
公共企業体の
職員の
労働條件に関する
苦情に関する
苦情、又は粉雪の友好的且つ平和的
調整を図るように」とある。ところがそこには又書いてあります。
「主張の不一致を友好的に
調整するために、最大限の努力を盡さなければならない。」というような
理由で、極めて
法案の内容が上滑りをしておるのであります。私が今申上げたような根本的な問題を是正して、それで且つ
労働者諸君の
生活を十分保障される、こういうような態度ならば、かような
法案がなくても私は
労働爭議は起らないと思うのであります。少くとも
労働爭議が起るということは、現在の資本主義的な
國家機構の中において、
労働階級がどうしても物價
関係、或いは賃金と物價の
関係において救われないというこの窮状を打開する根本的な道を考えないで、こういう
法案を幾ら作りましても、これでは勤労階級は所詮救われないのでありまして、同時に
労働不安がますます旺盛を極め、
労働の不安は直ちに全人民の不安であると同時に、政治の不安を呼べば答えるように起して來るのであります。
從つて我が國の
國家の靜穏と我が國の正しい再建を図るとするならば、常に
労働階級の不平と
不満、そういうものを除去する基本的な態度をとらなければならんと、私はこの第一線にも言えると思うのであります。
又考えられることは紛爭処理をするということはこの第
一條の基本的な態度でありますが、少くとも私はこれは丁度今年の五月七日に、
政府が四月以降の新
給與について
話合いをしようということで分れましたが、丁度
政府は五月七日に官公廳に申込みました。それは新
給與について
話合いをする前に紛爭処理機関というものを設けようじやないか、而も平和的に事態を解決しようじやないかということを申出まして、紛爭処理機関を、
政府が全官公廳の八
組合へ持込んで來たのであります。そのときの考え方がこの
公共企業体労働関係法規の全面的な内容と同じことを言
つておるのであります。これは明らかに
労働組合が正当に
團体交渉権を持ち、更に
罷業権を持
つておるという、その内容を眞つ向から
制限する考え方であるということは、この紛爭処理機関を
政府が持ち込んだときに明瞭な事実があるのであります。その内容をここに謳われておりますので、これは五月七日であります。そういう趣旨から見ても、こういう
法案を作ろうということは、すでに彼らは全官公廳が八月七日以來ストライキを行うであろうという予定を考え、更にもう三ケ月も前に彼らはこういうことを企んでおつたということが考えられるのであります。
從つて私はこういうようなものの考え方については、
労働者として黙視することはできないという点を指摘したいと思うのであります。
第二條を見ますると賢明な
委員の皆さんもお分りのように、煙草を作る会社、或いは煙草を作る
國家の
事業がどこに
公共性を持
つておるでありましようか。少くとも
公共企業体であるという以上においては、我々は煙草を作るがごときことは社会の
公共企業体とは思われないのであります。これは
國家が專賣の
利益を獲得することによ
つて国家財源を増徴させるという、そういう意味合において彼等は
公共企業体と言
つておるのでありましようけれども、私達は煙草を作つたり、酒を作るというようなことが
公共企業体の観念に入る、かような観念を持つこと自身が如何に私は頭が惡いと申しましようか、或いは観念の本末顛倒をしておると言いましようか、全く私は黙視できない。本質的にはこれは誤
つておるのであります。
從つて公共企業体であるというような
法律にい
つては、煙草專費について少くともこういう
規定の中に入れるということは誤
つておると思うのであります。
第四條でありまするが、この第四條を御覧に
なりまするとお分りのように、
職員の
團結権を保障しておるかのように書いてありまするが、第四條の内容を見ますと、保障もなにもない。
労働組合を作る者は作れ、作らない者は作らなくてもよろしい、こういうようなことを書いておるが、如何に日本の
労働運動を誤らしめておるか、如何に分裂主義者を作らしめておるかというようなことが明瞭でありまするので、これは
政府が我が國の
労働運動を眞に守り立て、勤労者の力によ
つて祖國の再建を考えようという意思が微塵も現れていないということが証明できるのであります。こういう
團結権の保障を破るような
規定を設けておることは、これは全日本の勤労階級に対する敵対行爲である、かように私は断ぜざるを得ないのであります。
從つて私は先程から申上げておりまるように、憲法の
規定及び
労働法規の三法の建前から見ましても、かような
規定をぬけぬけと書いているこの
政府の態度を、私は全勤労者の名を以て攻撃すべきである、かように考えておる次第であります。先程の
公述人の方からもお話があ
つたのでありますが、第三項の
規定も明らかにこれは
團結権の保障をしないということを意味した
規定であ
つて、それ以外の何者でもないということがこの三項でも言われると思うのであります。
第
五條に至りますると、ここに書いてありまするように、
労働組合活動を行う、或いは
組合員であるがために不利な取扱を受けない、こんなことは当然過ぎるほど当然なことであ
つて、少くとも勤労階級が
労働組合を作り、
團結権を拡充するために
團体交渉をするときにおいて不
利益を受けないのは当然のことである。これは
公共企業体でありましようが、
國家公務員でありましようが、或いは
民間の基幹産業でありましようが、当然の
規定である。こういう
規定を書くということは如何に反動性を待
つておるひということを私は如実に示すものと思うのであります。
次は第六條の
規定を見ましても、この中に書いておりまするが、「公正な外部の監査人による
組合資金の」云々という、
組合が自主的に、自分の会計の内容についてはいろいろ私共の
組合でも御配慮を願
つておるのであります。それにも拘わらす
公共企業体の
労働者の
組合であるから公正な外部のそういう監察を入れるということを書いておるが、如何に
労働組合に対する不当な干渉を断行しつつあるかという、これはいい手本であります。
尚
組合專從者の問題につきましても、
組合專從者に少くとも
労働組合が要求しておりまする最低限度の
生活の保障を冀うところの、現在で申しまするならば七千三百円、八月現在の手取りにおいての要求、こういうものが本当にその
公共企業体から支給をせられ、その上に尚且つあらゆる
給與面が行われるならば、それは私は
組合專從者は
組合費を以て賄うというようなものの考え方についても、成程了解のできるものもありまするが、我々は七千三百円を要求すれば、仮りに全官公廳に例を取
つて申上げるならば、
政府は五千三百円、人事
委員会は六千三百七円、こういうように極めて
段階を持
つてお
つて、我々の要求について應じないというような態度が、これがまま世間の
一般の
企業体及び将來の
公共事業の体恐らく理事者の諸君の考え方ではなかろうかと思うのであります。そういう中にこういう
規定を設けるということが、如何に彼らが本質的に
労働組合を彈圧しようかという考えを持
つておるいい例証だろうと思うのであります。
更にこの第
八條を見ますると、
團体交渉権の内容を
制限しております。
團体交渉というものは
労働條件に関する一切の問題について、或いは特に例えば
國鉄労働組合というような場合を考えてみますると、その
事業運営の並びに
運用、
管理に関する
事項につきましても、
組合の諸君の十分な御
意見を聞き、又その御
意見に
從つて行うについて努力を持たないような、そういう
企業体であるならば、これは私は聊か心得違いをしておると思うのであります。でありまするから、私はここにも書いてありますような態度でなくして、やはりどこまでも
團体交渉の
範囲というものは、特に
企業の
運営、
運用或いはそういうものに至
つても
労働組合側と親しく
話合をするという態度を明示すべきではなかろうかと思うのであります。なぜかならば、現在我が國の
経営権というもの或いは
企業権というものが、彼ら資本階級或いは
労働組合側に反対の
立場をと
つておる諸君のものの考え方、そういうものに基ずいての
経営権に果して我が國の再建がでるきかということは断言できません。これは私の極めて身近な経驗でありまするが、逓信省の場合も考えましても、逓信省の
経営に関すること、
管理に関する
事項について現在のあの腐敗堕落をし、而も極めて低級な頭を持
つておる官僚諸君のものの考え方では、少くとも逓信部内における郵便でありましようが、電氣通信業務でありましようとも、或いは電波統制に関する問題でありましても、恐らくこれは全市民、全
國民諸君の要望を担うような
運用はできないと思うのであります。況んや身近な足の問題でありますところの
國有鉄道の問題についても、特にさような問題が考えられるのであります。若しもそういう点を力説し、そういう点を彼らで主張するような態度を
國家が容認するならば、これは
企業権と
労働権が惡い意味において相抗爭を展開するだろうということを、私は予言せざるを得ないのであります。
從つて國家再建とか、こういうような問題について、この想定に私は本当に反対せざるを得ないと思うのであります。
條文をずつと繰りまして、私は爭議行爲の点に移ります。第四章でありますが、私の頂いたプリントには爭議行爲とただ書いてありまするが、
原案を見ますると爭議行爲の禁止ということを書いてありまするから一應私は宛書を省きます。少くとも爭議行爲を
國家が正当に行わしめるという態度をとらしめない限りにおいては、私は
労働問題の解決はできないと思うのであります。先程の
公述人は、非常に
労働爭議というものは行き過ぎで不都合なことをや
つておる、
從つてこういう禁止法が出ることも、むべなるかなというような
公述をなされました。その方は非常に考え違いをしておると思います。資本主義経済の國においては、
労働者勤労階級が極めて弱い
立場に立
つておることは、これは言を俟たないのであります。ところが、この弱い
立場に立
つておるところの
権利を消極的にも防衞しようというのが、現下の資本主義経済下におけるところの
一般の考え方であります。私達は更に百尺も千歩も進めまして、
労働者が強く祖國の再建を考えられるというような態度で
生活を保障される、その
権利が十分伸長されておるということが我が國の再建に最も必要な
段階でありますので、爭議行爲は大いにやらすべし、爭議行爲は、現に
給與なり待遇問題が十分是正できるならば爭議行爲をやれとい
つても
労働者は爭議行爲を行いません。
從つて今のような状態であるならば、爭議行爲を正しく的確に
國家がやはりこれを保護しながら行わしめるところに、日本の
企業家の誤れるものの考え方、資本主義的の誤れる方式を根本的に是正できると考えるのであります。從つで私は爭議行爲は必要に
感じ労働者諸君の
権利伸長ためにの、新しい正しい日本の民主革命を断行する意味におきましては、
政府当局におかれましても、
議員の皆さんにおかれましても、爭議行爲をただ抑えるというような、そういう誤つた考えではなくして、正当な爭議行爲は
國家、又
國民も公認をしてやらすという態度の中に、爭議行爲は本質的なものとして理解しながら
調整がとれる、かように考えておるのであります。
調停、
仲裁の問題でありますが、これは冒頭私が申上げましたように、
政府が申込んで参りました紛爭処理機関と殆んど同じであります。そういうものの考え方を以て作り上げられたものでありますので、私は余分のことを省きまして、この
規定については申上げません。
最後に行政権限のところに「本法に特別の定めのあるものを除きこの
法律の
運用及び施行の
責任は、
労働省が掌るものとする。と書いてありますが、これはどういう意味か、私はむしろ
政府の方がおられたならばお聽きしたい
條項であります。
以上あれこれと
公共企業体労働関係法案について申述べましたが、結論的に私はかような
規定を作ることは、
只今の
段階において明らかに
労働者の基本的
生活権の防衛、或いは少くとも民主
國家において守られておる
権利の保障、或いは働く者を中心として働く者が祖國の再建をするというような、基本的な
精神を本質的に誤
つて、この
法案が作られておるということを言わざるを得ないのであります。
從つて即時にこの
法案を
政府に返上し、こういう
法案を作つた
政府の
責任を
委員の皆さんが追求せられることをお願いしたいと思います。こういう
法案を作るということは現在の民主主義
國家において、少くとも反動的な、反
労働者的な、而も反人民的な意図を以てかような
法案を作
つておると、私はかように断じますので、このような
法案は
政府に返上し、荷本
法案と
密接な
関係のあります
公共企業体についても、七月二十二日の
最高司令官が仰せに
なつたその内容を更に、更に詳しく研究し、我が國の実情に即應するような態度を以て作らなければならんと思うのであります。例を申上げますならば、私が承知しておる
範囲における現在の
國有鉄道は、少くとも
運輸大臣の
責任において
鉄道行政が
運用せられ、而もあらゆる問題が
政府の
責任において行われております。この
國有鉄道については
公共企業体の本質的な行政を的確に行わないと、これは
マッカーサー元元帥の御要請下された
公共企業体の
性格に反する点が沢山あるやと聞いております、
從つて我々は
書簡の内容を十分見極めまして、この
書簡の内容をよく理解して
公共企業体の行政が的確に行われることを要請したいのであります。
從つて煙草專費或いは樟脳、これは多少異論がありましようが、煙草專費が
公共心業体であるという観念は、どこをどう間違つたか私は存じませんが、これは問題にならない、かように考える次第であります。
公共企業体の諸君は名前が
公共企業体の從業員であるから、それは
職員である、
從つて爭議行爲をしてはいけない。こういう形式的な誤れる
法案は作るべきでないということを繰返し申上げて本日の私の
公述を終ります。