○國務
大臣(増田甲子七君) 門屋さんの御
質問にお答えいたします。先ず
予算の方面がどういうふうに進行しておるか、
差支のない
程度において
説明せよという御
質問でありますが、私共
公務員法が改正されますれば、これに伴
つて引続き
給與のことも心配する必要があるということは、御決議を待つまでもなく、かねてから痛感いたしております。そこでできるだけ
委員会の勧告に則りまして、
給與を組立てたい。こう思
つておる次第でありますが、一面門屋さん御承知の
通り、財源は非常に枯渇いたしておりまして、なかなか今の財政ではいろいろな飛躍的な方法でも講じない限りは、賄い得ない部分が多々あるのでありまして、まだ
給與かどういうふうに決まつたか、
予算がどういうふうに結論されたかというところに至
つておりません。毎日実は
審議しております。昨夕なども遅くまでやり、又今朝早くからや
つておる。こういう
状況でございますから、そういうような経過を申上げまして、御了承を得たいと思います。ただお説のごとく
給與が
公務員法の改正に伴わなければならん。この御趣旨は厚く奉戴して参りたい。こう思
つております。
それから一般労政についての御
質問でございますが、門屋さんが御研究されていらつしやいまして、すでに御
質問の中にそれぞれの解答が與えられておるというふうに、私は拜察いたした次第であります。深く御意見に敬意を表しておる次第であります。とかく民主自由党が労政について、労働行政について或いは反動的と思われるような虞れがあるという言葉でございますが、私はこれは門屋さんも御承認下さると思いますが、今の労働運動の戰後における一部過激な指導分子の持
つて行き方が、
一つそういうふうに意識的に持
つて行かれた
関係である。こう思
つております。それでともかくも誤解のある点は、御指摘の
通りでございましようから、誤解のないように努めて行きたいと思
つております。又私先だ
つて或る
委員会においても申上げましたが、生産方法に関しては、私共と社会党の諸君、況んや共産党の諸君と主義主張が違います。生産方式、産業の社会化ということは、これは生産力の発展の上に、生産力を発展させようと思
つて、産業の社会化ということを
考えることは、その動機は分りますけれども、産業の社会化によ
つては、生産力は到底発展しない。我々に必要なる生産財、消費材が十分に増産されない。我々の私
企業の原則、或いは公正なる自由競爭の原則、私有財産制度の原則というような原理原則に立たなかつたならば、生産力は発展しない。我我に必要なる生産財、消費財が十分に潤沢に壇産されない。そこで勤労大衆を含む全國民大衆が困
つてしまう。こういう見地に立ちますからして、生産方法については我々の主張する生産方法の方が、結局勤労大衆を含む國民大衆の生活を保護し、これを安定せしめることに役立つというふうに
考えておる次第でありまして、反動でないことは勿論、勤労大衆の利益に必ず合致する。こういうふうに
考えております。生産方法に関して極端な社会化を主張しない方も社会党の中にございますが、若し極端に社会化をいたしますと、
人間の本性に鑑みまして、社会党の諸君が分配の公正だとか、或いは勤労大衆の生活の安定向上ということを、眞劍に
考えるその動機には賛成いたしまするが、今までの実績に徴して見れば、諸外國なり或いは日本でも相当の産業の社会化もいたしておりますが、これでやればものが伸びて來ない。マルクスのいわゆる生産力の発展が期し難いという結果も見ておる次第であります。我々の主義主張が強ち、或いは強ちという言葉は使わないでもよろしいと思いますが、勤労大衆のためでないばかりでなく、ために
なつておるという確信に我々は立
つております。ところで生産方法については、そういう意見の相違がございます。併し労働政策については、私は根本的に意見の相違があるべき筈のでものではない。こう
考えております。社会党にいたしましても、國協党にいたしましても或いは民主党にいたしましても、私の属する民主自由党にいたしましても、事労働政策に関しましては主義主張が二、三あるべきではないと思
つております。労働者の独裁を主張する政党は違います。そうでない政党ならば労働政策は同じである。こう
考えております。即ち労働條件をできるだけ維持し、これを改善して、そうして労働者諸君に労働の生産性を発揮して頂く、一生懸命働いて頂くということが、労働政策であると思
つております。併しながら從來の労働運動を見ますと、
権利と義務との
関係に少し履き違いがあるのではないか。これは民主主義の履き違いということからも、原因が出発しておると思いますが、私は皆さん御承知の
通り、
権利というものは平面的なものではない、二次元の世界ではない。必ず立体的なものであり、三次元の世界である。
人間は三次元の世界に住んでおる次第でありますが、
権利には義務という裏付、立体的な
関係がなければ
権利思想というものは、それ自身存在しないものでございます。余り働きたくないけれども、
権利は相当主張する。こういうような労働運動が過去においてなかつたでもないと思
つております。又現在でも指導分子のうち、極く左傾した指導分子によ
つて、指導されておる労働運動といたしましては、
権利は主張するけれども、働く方はまあいい加減にして置く、成るべく働きたくないというような思潮があるかのごとく私は感じます。とにかく義務というものが、完全に
権利と同じ比率において裏付けされるというのが、我々の習つた
法律観念としての
権利思想でございます。いうような
権利思想が分らない間は、本当の民主主義が分つたというふうには、私にはまだ思えないのでありまして、そういう見地から労働運動についても私達は臨みたい。こう思
つておりまして、これは門屋
委員も御同感下さるであろうと思
つております。どうか労働運動全体を健全な方向に向けて行きたい。これは私共は御承知の
通り、労働
組合に基礎を持つた政党とは言われませんが、併しやはり労働
組合の後ろには國民、八千万の大衆がおるわけでありまして、その八千万大衆の我々は
代表者であるという意味において、労働運動をよく持
つて行かなければならん、こう思
つております。又労働
組合自身は政治的
中立性を強調さるべきでありまして、どの政党を支持してもよろしい、こういう見地に立
つておる次第でありますから、健全なる労働運動を維持する、こういう方向に向
つて行きたい、こう存じております。これは労政全体としての
考え方でございますが、現段階に起きておる労働爭議を防ぐために、一体如何なる
考えを
労働大臣は持
つておるかという御
質問にお答え申上げたいと思います。これについて立法的措置を講ずるのか、或いは立法的措置によらずして、
給與をよくするとか、
職業安定の方面において
考慮するとか、いわゆる行政的措置に重きを置くのか、立法的措置に重きを置くのかという御
質問でございますが、私は立法的措置というのは……勿論直さなくちやならんような労働法規もございます。併しながらこれよりもやはり
職業を安定させるか、或いは
給與についてできるだけこれを維持し、これを改善して経済的地位を保障する、そうして喜んで働くようにするかどうかということにつきましては、後者の方面において大いに努力をすべきものである。ウエートは後者にかか
つておるというふうに私は
考えております。その点は門屋
委員も御同感のようでありますが、これは行政整理なり、
企業合理化は、民主自由党の政策でもございますが、どこの党が内閣を担当しても、必然性を持
つてこういうような現象は必ず起るというようなお
考えも、私も御同感でございます。そこで失業者の待遇を如何に措置し、如何に善処するか、このことは豈にただにこの内閣のみならず、皆さまのような指導者中の指導者の共通の関心事であり、御心配に
なつておることと私は思う次第でございます。お説の
通り、職を失うことの不安、食物を失うことの不安、こういう不安から解放されるようにならなかつたならば、本当の労働の生産性を発揮することもなかなかできないであろうと私は思う次第でございます。御承知の
通り職業安定
関係は、
一つの局とその下に又
一つの課ができたに過ぎないということも御尤もでございますが、併し労働省が設置されまして、そういう專門の課ができたということは、やはり
一つの進歩である、こういうふうに
考えられる次第でございます。併しこれはどのくらいの
程度において失業者ができるか、これは種々の見解によ
つてそれぞれ違いますが、御承知の
通り現在の失業者は六十七万という数が去年の十月に出ておりますが、今年はもつと殖えたろうと思
つております。國勢調査をいたしておりませんから明瞭には分
つておりませんが、一部失業者といいますか、潜在失業者が四百万人ある。尤もこれはそれぞれ部分的の労働には從事しておるわけでございますが、この四百万の者が、段々流通秩序を確立するとか、闇取締をするとか、経済統制を外すとかいう
関係で、段々顕在の失業者、本当の失業者になりつつあります。從
つて顯在失業者が段々殖えつつありますから、行く行くは数百万というとことにもなりかねないと思う次第でございます。これに対する対策といたしましては、民主自由党はかねてから積極的の受入れ態勢ということを主張しております。私このことについては、特に力を入れる必要がある、こう思
つておる次第でございます。
お話申上げますと時間が掛かりますから、省略さして頂きますが、要するに産業方面で失業者の群を積極的に受入れするということが先ず第一に必要ではないかと思
つております。貿易の振興にいたしましても、或いは雜貨品の工業、或いは加工品の工業を大いに起し、これはクレジツトの導入ということが前提になりますが、それから産業道路を建設するとか、終戰処理費が段々減りますと、それによ
つてセメントそのその他重要資材が他に轉用できますから、それによ
つて電力の大開発をするとか、門屋
委員も御承知の
通り、終戰処理費は金額においては相当の額に
なつておりますが、事業量においては段々減る傾向に
なつておりまして、労働者、経営者諸君が増産して下さ
つておる重要資材も、段々一般産業復興に向け得るということに相成
つて來つつあります。その方面によ
つて、從來我々が提唱したような政策をどしどし実行に移したい。積極的受入れ態勢というものは、先ず第一に必要であるということに
なつております。
その次には、御説の
通り、労務と需要
関係の需給を調節する、そうして結び付けるという、いわゆる
職業安定の
仕事、失業対策の主なる
仕事であるところの
職業安定の政策を活溌にやらなくてはならんと思
つております。成る程、局ができておる、課ができておる、それでいいことには、門屋さんのおつしやる
通り相成らんわけでございまして、從來河合さんのときにできておりました失業対策本部というような構想も我々は持
つておる次第でございまして、指導層の経営者に集ま
つて頂き、それから官も集ま
つて頂き、民の指導者も集ま
つて頂き、それから労働者諸君の
代表者にも集ま
つて頂くというような意味の、
職業安定委員会が
中央にあるからいいじやないか、
地方にはそれぞれの
府縣にあるからいいじやないかというふうには
考えていないのでございます。この構想も持
つておりますが、その具体的なものは、今のところまだ申上げる域に達しておりません。
それからその次に第三の受入れ態勢としましては、失業保険なり失業手当なり、最後の受入れ態勢は生活保護法でございますが、我々はこういうような社会政策は勿論必要だと思いまするが、社会政策というものはやはり消極的の効果を果すに過ぎませんで、本人の賃金の六割を貰う、この六割を八割にするだとか、或いは保険料金をもう少し殖やすとかいうような問題がございますが、併し
幾らやつたところで、これは第二段の而も消極的な意味があるに過ぎないと思
つております。併し社会政策も勿論絶対に必要でございますから、この方面についても篤と研究いたして参りたいと思
つております。ただ、今のところ、失業保険は三十三億円金が集ま
つておりまするが、今まで給付した額は一億円ばかりに過ぎません。我々の予想では二十万人くらいは給付を要求するであろうと思
つておりましたが、まだ一万人くらいしか要求しておりませんので、相当金は余
つております。失業保険の運営は成功以上の成功を見ておるということを御報告申上げたいと存じておる次第でございます。大体以上で御了承願いたいと
考えます。