○細川嘉六君 私は
日本共産党を
代表して本
決議案に
賛成いたします。
長年外國に残留する
人たちを持つ人人の
心情は全く並大抵のものではありません。併し折角の
決議も効果がなくてはなりません。(「その
通り」と呼ぶ者あり)本院はすでに数回の
決議をいたしました。併し何程の効果がありましたでしようか。明らかに
決議に効果あらしめるものはただ一つであります。言うまでもなく
ポツダム宣言と軍事占領が我が
國民に求めるものは、民主主義の
徹底であります。少くともこの
徹底のための眞劍な
努力を示すことであります。然るにここ一ケ年間の我が國内
情勢はどうであるか。反動はますます激しくな
つて來ておる。大衆收奪のインフレ財政はどんどん決定された。例えば軽犯罪法のごとき、人民の基本的権利を侵害する
法律がどんどん作られておる。今日文
國家公務員法、これが上程せられております。これは何であるか。二百七十万の公務員の基本的人権が、又その生活が危殆に瀕せられておるのであります。これでは
日本の民主主義はどうなるか。民主主義の根本は崩されておるではありませんか。私は、今日早く國へ帰して呉れと言うが、帰
つた者はどうな
つておるか、帰
つては食物が不足しておる、仕事がない。この
状態は一体何であるか。十一月一日から四日間のナホトカから舞鶴に着いた
帰還者、この間には恐しいリンチ
事件が起
つておるという報道があります。十三名の
人たちが尚行方不明にな
つておる。二三人の人が殺されておる。これは一体何であるか。この報道を我々は今追及しております。これには
連合國当局は実際どうや
つておつたか。これは私は今年の初めから問題にしておるのであります。ここには全國における民主主義の発展如何ということが物を
言つておるのであります。こういう
状態では民主主義に対する眞劍な
努力があると言えるか。徒らに早く国へ返して呉れという
要求、これも民主主義の裏付けなくしてはどれだけの効果があるか。殊に今回の場合は
冬季困難な
輸送であります。そうして生命の危険も伴
つている
輸送であります。これを
要求する場合、我々は並大抵の覚悟では本当の効果はあるとは言えないのであります。こういう國内の
状態を以てして、
連合國の本当の同情と理解を得ることができるのでありましようか。
ポツダム宣言は武裝解除後直ちに國に帰らせる。同時に帰
つた者には平和的な、産業的な活動に從事する機会を與える。こう書いてあります。この平和的、産業的活動に從事する機会をどれだけ與えられておるか。私は端的に申します。我が國では今日尚政治の責任に立つ指導者は、国
会議員もよく聞いて下さい。精神的には武裝解除していない。これは
世界が見ておる。我々も亦これを認めざるを得ない。(「ノーノー」「何を言う」「何を
言つてるか」「もうやめろ」「本論に入れ」と呼ぶ者あり、その他
発言する者多し)、このことを我々が眞に理解してこそ、今旦
極東裁判において幾多の
犠牲者を出しているこの
犠牲者も生きるでありましよう。前議会の
引揚委員長でたつた中平君は、
敗戰国は
世界の正義に
訴えることはできないか、こう申されました。この言葉は端的に政治の責任にある
人たちの肚の底を示しております。今日又一議員が、
世界の
人道に
訴えると言われた。こういう言葉がでるということは、誠に政治責任の地位に立つ
人たちの氣持をよく現わしておる。正義とは何か。
ポツダム宣言及び軍事占領の目的を達成することは、
世界から我々に
要求されておるところである。これを実現することが正義である。我々の正義である。国内において
引揚げて來た者が衣食に窮するというようなことは
人道問題である。これはどうな
つておるか。我々は本当にこの
決議案を生かすためには、こういう欠陷を拂拭して、民主主義の大道を全力を挙げて戰う、ここにこそこの
決議案が生きるのであります。幾多の雄弁もこの決心なくては何にもなりません。私はこの
意味において、我が党を
代表して本
決議案に
賛成する者であります。(
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