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1948-11-18 第3回国会 参議院 文部委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年十一月十八日(木曜日)
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
委員長
の
報告
○
國立國語研究所設置法案
(内閣送 付)
—————————————
午後一時四十九分開会
田中耕太郎
1
○
委員長
(
田中耕太郎
君)
委員会
を開会いたします。昨十七日に
文化小委員会
が開かれまして、小
委員長
の
互選
がございました。小
委員長
が決まりますまで、
座長
をお勤めになりました
松野
君から、経過並びに結果の御
報告
を願います。
松野喜内
2
○
松野喜内
君 昨日は、午後一時より
文化小委員会
を開きました。不肖私、年長の故を以て、
座長
をいたしました。場各
委員
に、
委員長互選
の議を諮りました。懇談の形式を取りまして、お互いに、この
文部委員
、なかんずく
文化小委員会
なるものの使命を果たしたい、
一つ
前
國会
からの
文化委員長
であられた
山本委員
を小
委員長
に煩わしたいという全員のお氣持でありまして、たつてお願いしたのですが、過去第一回、第二回
國会
において
文化委員長
を勤めたが、いろいろ事情もあり、今度は休みまして貰いたいということで、切なる御要望もありましたので、お願いいたし兼ね、一同は
三島委員
を小
委員長
にということに議決いたしましたことを御
報告
申上げます。あとは
三島小委員長
が
委員長席
に就かれまして
議事
を進めましたが、
一つ三島小委員長
からお聴取りを願いたいと思います。
田中耕太郎
3
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 次に、今日の
議事日程
には載つてありませんのでありますが、
國立國語研究所設置法案
を本
委員会
に付託されましたので、これを
議題
にいたしまして御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ声者あり〕
田中耕太郎
4
○
委員長
(
田中耕太郎
君) それでは本
法案
につきまして、
政府当局
の
提案理由
の
説明
を求めます。
下條康麿
5
○
國務大臣
(
下條康麿
君)
只今議題
になりました
國立國語研究所設置法案
につきまして、
提案
の
趣旨
を御
説明
申し上げたいと思います。 今回
提案
いたしました
國立國語研究所
につきましては、かねていろいろの経緯があつたのであります。この
國語
、
國字
の改良の問題は、
教育
上のみならず、
國民生活全般
の
向上
に極めて大きな影響を與えるものでありまして、その
解決
は、
祖國再建
の
基本的條件
であると考えるのであります。併しながらその根本的な
解決
を図りますためには、
國語
及び
國民
の
言語生活
の
全般
に亘りまして、科学的に総合的な
調査研究
を行う大
規模
な
研究機関
を設けることが、絶対に必要であるのであります。言換えますと、
國語
、
國字
のような
國家
、
國民
に最も
関係
の深い重大な問題に対する根本的な
解決
を策することは、どうしても相当大
規模
な
研究機関
によつて作成せられ、科学的な
調査研究
の
基礎
の上に立たなければならんと思うのであります。
國家
的な
國語研究機関
の
設置
につきましては、実に
明治以來先覚者たち
によりまして提唱されて來た懸案でありまして、
終戰後
におきましても、すでに第一回
國会
におきましては、衆議院及び参議院が、
國語研究機関
の
設置
に関する
請願
を採択し、議決されておるのを初めといたしまして、
國語審議会
からの建議、又
米國教育使節團
の
勧冑等
もありまして、各
方面
からその
設置
が強く要望されておるのであります。
政府
におきましては、その
設置
につきましても、久しい
間いろいろ研究
を重ねたのでありますが、なかなか実現を見ることなくして今日に
至つたの
でありますが、
國会
におきまして
請願
が採択されております上に、世論の支持もありますので、準備を急ぎまして、ここに
提案
したような次第でございます。この
法案
を作りますにつきましては、
國立國語研究所創設委員会
を設けまして、その
委員会
には
学界
その他各
関係方面
の
権威者
に集まつて頂きまして、その御意見を十分に取り入れてこの案ができたような次第でございます。 さてこの
法案
の骨子を申上げますと、第一に、
國立國語研究所
は、
國語
及び
國民
の
言語生活
につきまして、科学的な
調査研究
を行う
機関
でありまして、その
調査研究
に当りましては、科学的な
方法
により
研究所
が自主的に行うように定められておるのであります。 第二には、この
研究所
の
事業
は、
國民
の
言語生活全般
について
廣範
な
調査研究
を行いまして、
國語政策
の
立案
、
國民
の
言語生活
の
向上
に
基礎的資料
を提供いたしたいというように考えておるのであります。 第三の点は「この
研究所
の
運営
につきましては、
評議員会
を設けまして、その
研究
が
教育界
、
学界
その他
社会
各
方面
から孤立することなく、
研究所
の健全なる
運営
を図るようにいたしたいというように考えておるのであります。この
研究所
が
設置
されまして、
調査研究
が進められまするならば、我が
國文化
の進展に資するところが甚だ大きいことと思うのであります。 何とぞこの
法案
の
必要性
を認められ、十分御
審議
の上、御賛成あらんことを切に希望いたす次第であります。
稻田清助
6
○
政府委員
(
稻田清助
君) 本
法案
の
内容
につきまして、概略御
説明
申上げたいと存じます。
法案
の第
一條
には、
研究所
の
目的
を掲げてあるのでありまして、この
研究所
が
國語
及び
國民
の
言語生活
に関する
科学的調査研究
を行い、これを
基礎
といたしまして、併せて
國語
の
合理化
の確実な
基礎
を築くためて立てられたものであることを明らかにいたしております。同條第二項といたしまして、この
研究所
が
自主的研究
を行うということを確保する
意味
におきまして、
文部大臣
は、人事及び予算に関しては監督いたしますが、
研究内容
につきましては、
研究所
の
自主性
を期待するという
趣旨
の
規定
であります。 それから第二條には、第
一條
に掲げました
目的
を達しまするために行います
事業
が挙がつております。
調査研究題目
といたしましては、
現代
の
言語生活
及び
言語文化
に関する
調査研究
、
國語
の
歴史的発達
に関する
調査研究
、
國語教育
の
目的
、
方法
及び結果に関する
調査研究
、それから今日以後
民主的社会
を
向上
発達させる
意味
において非常に
重要性
を持つておりまする、いわゆるマス・コミユニケーシヨンいう
意味
におきまする新聞、放送或いはその他
廣告掲示
といつたような場合の、多数を相手といたします
言語
に関する
調査研究
というようなものを行いまして、更に又この
調査研究
に基きまして、
國語政策
の
立案
上参考となる
資料
を作る或いは
國語研究資料
を集成、保存、公表する、更に又
現代語辞典
、
方言辞典
、
歴史的國語辞典
その他の
研究成果
を編集し、刊行するというような
事業
を
規定
いたしておるわけであります。 それから第三條に
規定
しておりまするところは、こうして
國語
に関しまする
國立
の
研究所
を立てますゆえんのものは、一面先に申しましたように、國の
政策
と関連を持たせるという点もございまするが、他面又
総合的性格
を発揮するというのが
一つ
の
性格
であるのでございまして、その
意味
におきまして、方々の大学であるとか、その
外官公私立
の学校、その他の
研究所
において種々行われておりまする
研究そのもの
を、この
研究所
の
目的
に合しまするものを
委託研究
として
研究所
において利用して、
総合的性格
を発揮するという
意味
の
規定
であるのであります。 更に第四條、第
五條
及び飛びまするが、一番最後の第十
一條
に
規定
しておりまするところは、この
研究所
を構成いたしまする
職員
に関する
規定
でございます。第四條といたしまして、
研究所
に
所長
を置きます。この
所長
は、一級の
文部教官
、或いは
文部事務官
として
文部大臣
が任命するのであります。更に第
五條
は
所長
の責任といたしまして、毎年少くも一回は
調査研究
の状況及びその
成果
に関する
報告
を公表しなければならないとしております。更に十
一條
には所員の
定員
が掲げられておるのでありますが、この
定員
を以て如何に
研究所
の部課を構成するか、その
職員
をどういうふうに配置するかは、その前の第十條に
規定
いたしておるわけであります。 更に第六條から第九條に至りますまでの
規定
は、
評議員会
の
規定
でありまして、先に
大臣
が
提案理由
の
説明
に申されましたように、特にこの
研究所
が独善と申しまするか、それ自体の
研究
に沒入してしまうことを避けまして、こうした
國立研究所
でありますので、これに
評議員
を
設置
いたしまして、その
評議員
の構成も各
方面
から
学識経驗者
を以てこれに当てまして、
研究所
が計画いたしまする毎年の
事業計画
、或いは
調査研究
の
委託
、その外重要な事項について、
所長
は、
評議員会
の
助言
を求める、
評議員会
は又
学界
或いは
社会
上の各種の
要求等
を考えまして適切な
助言
を
所長
に與える、こういうことによりまして、
研究所
が
一般学界
或いは
社会
から孤立することを避けるというような
意味
を以ちまして、
評議員会
に関する
規定
が設けられたわけであります。第七條によりまして
評議員会
は
定員
を二十名といたします。更にその任期は四年でありまして、二年ごとに半数を改選する、第八條において
評議員会
に
評議員
の
互選
による
会長
、副
会長
を置く、更に第九條におきましては、
評議員会
の
運営方法等
は、
評議員会
の
助言
によ
つて文部大臣
が定めるというような
趣旨
が
規定
されておるわけであります。
田中耕太郎
7
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 本日はこれで散会いたします。 午後二時七分散会
出席者
は左の通り。
委員長
田中耕太郎
君 理事 河崎 ナツ君
松野
喜内
君
高良
とみ君 岩間 正男君
委員
左藤
義詮君 大隈 信幸君 梅原
眞隆
君 河野 正夫君 堀越
儀郎
君
三島
通陽
君
山本
勇造君 中野 重治君 鈴木 憲一君 西田 天香君
國務大臣
文 部 大 臣
下條
康麿
君
政府委員
文部政務次官
栗山長次郎
君
文部政務次官
小野 光洋君
文部事務官
稻田 清助君 (
教科書局長
)