○
岡村文四郎君
指示に基くのであれば我々は決して何も申上げませんが、併しながら
趣意書に書いてありますような、
理由書にかいえありますようなお
考えで
去勢を
廃止いたしますと飛んでもない間違いが起こる事は事実であります。蓄主即ち百姓はそんな理解をも
つておりません。好んで
去勢をいたしておりません。併しながら法によ
つて去勢をし、それによ
つて馬匹の
改良発達を図か
つてきたのでありますが、これを法を解きますと、法の第五條にありますような償金を與るという事柄も
一つも
考えなくなりますと、
去勢は全部
完全無欠なものでないのでありまして、場合によりましては、その
用途に絶えざるものもできます。又
品種等も十分とも言えませんので、そういう危険を冒してまでやることは決して
考えないのでありまして、又
考えんことが無理か
らん話でありまして、要約によりますと、
去勢するほうがずつと高く馬が賣れます。三十四年に法をつく
つた時分の
考え方を丸で変えたように
お話をされておりまするが、これは何らかの
措置を講じなければこのままで置いておくことはいかんと思います。今
当局の
お話のように、
改良に対する成案もできておるようでありますが、私に言わせますると先ず
日本の
農耕馬、
重要輓馬を除いた他は
徴発純馬でことが足りると
考えております。そこで話がこれは違いますが、先般
競馬法を通しまする
時分に、我々は実は泣きの涙で通しております。ああいう馬鹿なことを
政府が法によ
つてやらねばならんという國の状態は、我々は嘆かわしいのであります。ああいう大賭博まで國が法によ
つてやらなければならんということまで涙を飲んで通しておりますが、あの
競馬法を通して
競馬を盛んにすることによ
つて、社会の
弊害は実に大きなものであります。中には
藝者もできますし、又一家の円満な
家族制度も壊れますし、あらゆる部面に殆ど……そのやる人だけは益はあるが、全般から見ると
弊害こそ多かれ決して益のないことを、敢て
馬匹の
改良を
名乗つて競馬をやるということにな
つておりますから、それから
考えて見ると、これも甚だ感心せぬことでありまして、我々は産地に帰
つて心ある、
將來の馬の事を
考えております人から
質問を受けた
時分には、
賛成をして
馬匹の
去勢法を廃したということができんのであります。若しこれが
日本の蓄主が双手を挙げて
賛成しまするようなものであれば多少仕方がない、当然こうあるべきだという
方法であるならばこれは
賛成をすべきでありますが、今の現在で
日本の
去勢法を
廃止することは私は
不賛成であります。
不賛成ばかりでなくて、
將來ああ、しま
つたな、彼らが出て
廃止してこうな
つたのじやないかと言われることは現実でありまして、一々挙げては申上げませんが、そのために
馬匹去勢法を
廃止することに対しましては本
委員は
不賛成をするものであります。