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新谷寅三郎君 昨日
大臣のおられません間に一、二
質問したのですが、今日は
大臣お見えですから、大きな問題につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。
行政の能率を挙げますためには、申すまでもなく、成るべく
行政組織を簡素化いたしまして、この
組織の中にある人も、又それに関連する
國民の側からいたしましても、できるだけその
行政組織を利用し易くするというのが
原則であろうかと思うのであります。その点から見ますと、
只今御提案にな
つております
郵政省、
電氣通信省、
両省の
設置法案とも
特殊性があ
つて、それぞれの考慮をしておられると思うのでありますが、非常に
組織が複雜化しているという点を看取させられるのであります。これを第二
國会に、前
内閣から提案されました
逓信省設置法案と比較いたしますと、非常にその
機構が著しく
厖大なものにな
つておるのであります。例を挙げますと、局の数が非常に殖えておる。又
電氣通信省におきましても、次官の下に
総務長官制を布いておられる。その他各局に
部制を布いておられる。又
郵政省方面におきましても、
経理局、
人事局等に
次長制を布いておられる。こういう点が著しいものであると思うのであります。それぞれ必要があ
つて、どうしてもこの
組織でないと
仕事の
運用がうまく行かないということでありますれば、これは了承すべきであると思うのでありますが、例えば
営繕の
関係を見ましても、現在は
逓信省に
営繕部というものがあ
つて、これは
郵政方面も、
電氣通信の
方面も、併せて
営繕の
関係を
一つの部でや
つておられるのでありますが、この
両省の
設置法によりますと、
郵政省には新らしく
建築局というものをお置きになり、
電氣通信省におきましては
建築部というものを置いておられる。又
人事関係におきましては、これは今後
人業委員会等の活動と相俟
つて行動するものでありますから、相当忙しくなると思いますけれども、現在の
労務局で
両省の
人事の
仕事をや
つておられるのに、両方に
人事局を置いて、更に
郵政省におきましては
次長を置かなければならんというような案を出しておられます。又
経理局におきましても、現在
総務局におきまして
経理関係の
仕事一切、その他省全体の
総合調整事務をや
つておられます一局を変えまして、
郵政省にも、
電氣通信省にも、それぞれ
経理局を置かれて、而も
郵政省においては、それに
次長を置かなければならんというような
法律案を出しておられるのでありまして、私共常識として
考えまして、或る程これから段々
復興の方で忙しくなり、又
仕事も煩雜化して行くということも察せられるのでありますが、如何に贔屓目に見ましても、これは果して
行政簡素化という
趣旨に
十分則つて、どこまで
政府が誠意を持
つてや
つておりますか、その点を疑わざるを得ない。こういうふうな
考えを私は持つのでありますが、この点に関しまして
大臣のお
考えをお伺いしたいのであります。而もこれらの
機構が
厖大になりますにつきまして、昨日
御慶弁がありましたが、大して
予算も要らないのだという
お話でありましたが、これだけ殖えますと、既定の
予算の
範囲内では、これは賄われないことは明瞭であろうと思うのであります。どこかで
予算を削
つて來なければならんということになると思うのでありますが、それは現在取
つておられます
予算の
範囲内で以
つて確かに賄われるものでありますか、どうか。この
機構が遲れますために、特別の
予算を要求しなければならんという、そういう事態にならないで済むかどうかということにつきまして、
大臣の
責任ある御
答弁を伺いたいのであります。
それから次には、昨日もちよつと申上げたのでありますが、この
行政組織法の
原則から
考えまして、
総務長官制とか、
理事制とかいうようなものは、これは
特例でありますから、恐らく
行政組織法の二十
一條の
規定によりまして、特に設けたいという御
趣旨であろうと思うのでありますが、併し
本省内部部局における
部長制の問題は、これは二十
一條の
規定の精神を少し
考え違いをしておられるのじやないか、こういう氣がするのであります。
部長制を
本省内部部局において取りますことすら、これは
行政組織法から言いますと、
特例にな
つておるのであります。それを
電氣通信省方面におきましては
部制を取り、而もその部は幾つ置くか分らない、又どんな部を置いて、どんな
仕事をさせるか分らない、こういうような
内容でありまして、これは
行政組織法の建前から言いますと、当然如何なる部をどの局に置いて、どういう
仕事をさせるかということを明瞭にせられるのが
行政組織法の
原則から
言つて当然であろうと思うのであります。この点につきましても、
大臣の御
意見を伺いたいと思うのであります。
それから第三には、
千葉君からの御
質問もありまして、多少関連いたしますが、御説明によりますと、
郵政と
電氣通信それぞれに
特別会計を作るということでありましたが、これは両
事業の
特殊性から見まして、当然のことでありましよう。併し我々心配いたしますのは、
電氣通信はともかくといたしまして、
郵政方面の
特別会計が果して今後
独立採算制を堅持して健全に
運用できるかどうか、これは非常に疑問に思うところなのであります。これに対しまして、
大臣は
將來に対してどういう方針をお持ちでありましようか、この点もお伺いしたいのであります。尚会計
制度につきましては、今度出ました國有鉄道
法案によりますと、依然として
公共企業体ではありますけれども、官廳会計
制度を取
つておられるのであります。
日本銀行の、つまり
政府資金しか使えない、
一般の市中銀行の借入金もできない、又その会計の
運用の方法も、
一般の官廳会計の
制度によ
つて運用して行くというようなことにな
つておるのでありますが、これではこういう
企業体である鉄道にいたしましても、
通信にいたしましても、
事業体らしき活動が非常に阻害されるのじやないか。申すまでもありませんが、今日どの
事業を見ましても、又他の
一般官廳におきましても、
行政の能率を一番阻害しているのは、この会計
制度であろうと思うのであります。もとより官廳で使います費用は、
國民から取り立てた税金を元にいたしておりますので、その使用につきましては、嚴重に監査をする必要があり、注意をしなければならんことは勿論でありますけれども、こういう
事業体におきましては、
一般の監督官廳と違つた
仕事をしなければならんのであります。毎日毎日動いている活きた
仕事をして行くわけでありますから、
一般の官廳会計
制度では、どうしても
事業が活溌に動かないという点が多々あるのでありまして、これは今日まで殆んど通説に
なついてると思うのでありますが、その
特別会計制度を両
事業について今後お立てになる場合に、果して官廳会計
制度を今後は踏襲しないで、新らしい
事業体らしい会計
制度を樹立される御意向があるかどうか、非常にこれは重大な問題であろうと思うのでありますが、
大臣の方針を伺いたいのであります。
次には、
人事に関する問題であります。
千葉君からも多少この点にお触れになりましたが、重複する点を避けて申しまするが、こういう
事業体におきましては、たとえ
一般職でありましても、
事業を動かすに最も適当な人が適当な場所に選任せられなければならないのであります。從いまして
一般の監督官廳と
違つて、單なる形式的な試験とかいうような任用
制度ではいけないと思うのでありまして、やはり
事業体らしい特別の任用昇任
制度が考究せられ、又給與に関しましても特別の考慮が拂われて然るべきだろうと思うのであります。これは公務員法の施行と
関係があるのでありますが、こういうふうに
両省に分けて、
郵政は
郵政、
電氣通信は
電氣通信、それぞれ特殊の
事業体として、今後活溌な活動をしようという御意図から行きますと、当然
人事問題につきましても特別の考慮を拂われなければならんと
考えるのでありますが、この点につきまして
大臣はどういうふうなお
考えでおられますか、伺いたしたのであります。
それから
最後に、
特定局の問題につきまして、私は別な角度からお尋ねしたいのであります。それは
大臣が
お話になりましたように、現在
特定局の
制度は、惡い点もあつたでありましようが、その点は漸次に改善せられて、今日のところ、いわゆる
特定局制度というものは、
内容は
從來の
特定局制度とは非常に変つたものにな
つて來ておりまして、
從業員の職務のごときは非常に改善せられた事実は認められるのであります。仮りに現在の
特定局制度を存置して行くといたしますると、問題として残るのは、
特定局長の問題であろうかと思うのであります。
特定局長は、中には
從來殆んど局には
勤務しないで、非常に
從業員から指彈を受けたような例も多いのでありまするけれども、最近
逓信省の命令によ
つて、
勤務時間も
一般職員並とな
つて参りまして、相当熱心に
勤務をしておられるようであります。殊に貯金とか、保險とかの貯蓄増強の面におきましては、この
特定局長の存在は、逓信局としては非常に重要なものでありまして、殆んど
逓信省の貯蓄増強の大半の
仕事を、この
特定局長がや
つておると
言つても過言ではないと思うのであります。而も
特定局長は相当長い間同じ場所で
勤務をしておられます。ところがこれも
一般職になるということでありますが、
一般職になるといたしますれば、例の職階制の
関係からいたしまして、相当に給與の幅も制限せられるということになるのではないかと思うのであります。三十年、四十年も
勤務をして、相当にその局の成績を挙げて來たという人たちが、やはり職階制の
一般的な基準に縛られて、どうしても或る程度以上には昇進ができないというような事態では、非常に
特定局長の
事業に対する熱意を失わしめるということになりはせんかということを私は心配するのであります。こういう特殊の地位にあるものでありますから、給與なんかに関しましては、特にこれは別の基準を設けられて然るべきだろうと思うのであります。この点につきまして今後の
人事院等との折衝もありましようが、
大臣としては、その点につきまして
只今どういうふうな御見解でおられますか、伺いたいのであります。中には、そういう有能な
特定局長があれば、或いは
電氣通信或いは
郵政の監理局の課長や部長にしたらいいじやないかというような議論をする方もあるようでありますけれども、それは事実不可能なことを強いるものであります。田舎にお
つてこそ
特定局長は、その村において十分な働きはできますけれども、それを監理局なんかの部長や課長にいたしましても、これは非常に疑問であるのみならが、そういうことを強いるといたしますと、恐らくその
局長は
局長を辞任するだろうと思います。そういう形式論ではなくて、やはり事実に即したような措置をなされまして、そうして
特定局長の
事業に関する熱意をますます向上さして、
事業のために働かせるというのが筋合であろうと私は
考えるのでありますが、この点特に
大臣の御考慮を願い、そうして
大臣のこの点に関する御見解をお伺いしたいと思うのであります。なお一、二ございますけれども、大体以上につきまして
大臣から御
答弁をお願いしたいと思います。