○
政府委員(
荻田保君) 簡單に初め
地方財政の
現況につきまして御報告申上げます。
御承知のように、先般本
國会におきまして御可決を願いました
地方財政法、
地方秘法及び分
與税法が
施行になりまして、それによりまして
地方は現在の
財政を運営しているわけでございます。その
改正案の
趣旨といたしまするところは、
地方財政の
自主性を強化するということ、もう
一つには、
現下の
情勢に應じて
財政の健全を図り得るだけの
財源を與えるという、この二点であ
つたのであります。ところがこれを
施行いたしました結果、必ずしも初めの狙い
通り行きませず、殊に
地方におきまして
相当の
不満があるように聞いておるのであります。このような
不満の起りますることは、然らば我々の計画しておりまする
案そのものに欠陥があるのか、或いはそうでなくて、案も、
地方に着たいした
通りにや
つて貰えない、と申しまするのは、例えば
歳出の以上のものを出すとか、或いは
歳入の面につきまして、我々の期待しているだけの
歳入を
地方がよう挙げることができないという点にあるのか、このどちらにあるのか、
案そのものにあるのか、運用が、
地方團体側の運用が悪いのかという点、この点を突きつめなければならんのでありまして、この点につきましては、先程
委員長の申されましたように、我々
相当大掛かり調査を行な
つておりまして、各
府縣、市、町、村まで部厚な調査報告書を配りまして、それの記入を求めておるのでありますが、未だ最後的に全部集計できておりませんから総合的な結果を申上げることができないのは非常に遺憾なのでございます。現在私が聞きました範囲内において申上げますると、第一に、
政府の考えました
案そのものについての欠陥と申しまするか、につきましては、第一に、御承知のように今時
地方の
財政を二千億と見込み、それに必要な
財源を與えるということにしてお
つたのであります。ところがその二千億という数字が必ずしも十分な数字でなかつたということが
一つと、それに対して與えました
財源が十分じやなかつた、と申しまするのに、もう当初すでに計画いたします際に、
相当地方において整理節約をして貰いたいという額を
相当予め見込んでおるのであります。ところがそのような期待しただけの整理節約が
現下の
情勢上しにくい、ぎりぎり一ぱいのことをや
つてもとても我々の予想しただけの整理節約額を生み出すことはできなかつたというところに、
相当この
施行された結果がよく行かなかつたという原因が
一つあるだろうと思います。
それから又、
歳入の面におきましても、事業税の見積が、
政府で考えました見積が、國税の、昨年度の、殊に第一種事業と申しますか、所得税中の第一種事業、これを基礎にしておるのでありますが、これがその後
地方におきまして
相当更正決定がありまして減
つておるという結果、実際本年度
地方が賦課し得る額は、我々が期待したものよりも少いのじやないか、こういうことが考えられるのであります。こういう点が、
一つには、この税制
改正の結果がうまく行
つてないということになるのじやないかと思うのであります。
地方團体の側におきまする
財政経理を見ますと、
一つは
歳入の面におきまして、待遇、
職員の給與費というものが、我々の期待した以上のものを出しておるのじやないかという点が
一つあるのであります。これは
一般的に、
地方の
職員が國の
職員に比べて
一般的に給與の水準がいいのだというようなことは申されないと思いますが、まだそこまで申すだけの資料は持
つておりませんが、中に、
地方團体多くあります中に、確かに國の考えておりまする水準以上の待遇を
貰つておる、その結果が、我々の予定した
財源だけでは足りなくて、そこに
財政がうまく行かんという
理由が
一つあるのじやないかと思います。それから
歳入の面におきまして、税の徴收が思う
通り行
つてないところがあると思います。殊に事業税及び遊興飲食税につきましてその点があるように見受けられるのであります。
只今申しましたように、事業税につきましては、國の決定そのものに
相当見込み違いがあ
つて、後から減額にすでにな
つておりますから、まだはつきりしたことをは言えませんが、
相当程度下廻るところがあるように見受けられるのであります。それから遊興飲食税につきましては、これを
相当額を徴收するように見込んでおるのでありますが、政令の
関係がありまするので、なかなか
地方の執行力が十分に行
つてない憾みがあるようであります。そういう両面のところからいたしまして、非常に現在の
地方財政がやりにくいということが言われておるのであります。その結果はどこに現われたかと申しますると、先ず大体我々としましては、本年度
地方債を二百四十余億を以て十分といいますか、先ずや
つて行けると考えておりましたが、とてもそれではや
つて行けません。と申しますのは、
相当額を
起債でやらなければならない仕事を、或る
程度のものを、
相当額を
一般財源によ
つて賄う。それからその
一般財源といいますのも、本当に
財源を與えたのではなくして、先程申したように、整理節約を総体的に期待するというようなことを計算に入れております
関係上、そのようなことができない、その結果は
起債が二百四十億では足りないということになりまして、先般も三十六億枠を拡張いたしまして、二百八十余億というものを本年度
起債の枠にしたい、こう考えるように
なつたわけであります。又もう
一つの面におきましては、問題といたしまして、大体我々としましては、
法律に示されておりまする標準率を以て大
部分の
地方團体が
財政経理ができるという予想の下に、標準率を決めておるのでありまするが、とてもそれでは賄い切れませんので、大体標準率に超過課税を行
なつた、地租、家屋税、事業税附加税及び
住民税、この四税につきまして
相当標準率超過課税を行な
つておるのでありまして、例えば道
府縣につきましても、もう半数以上のものが大体二割乃至五割の標準率超過課税を行な
つておる。未だ標準率超過課税を行な
つておりません
團体も恐らく年度内には大
部分は標準率超過課税をしなければや
つて行けないことになる。いうような点から見ましても
相当地方は苦しいということが考えられるのであります。從いましてこういう点を
実地調査いたしました結果に基きまして是正すべき点があるのでしたら、直ちに是正の手続をとらなければならんじやないかという氣がいたしておるのであります。
一般的に申しまして、
地方財政の
状況はそういうことにな
つております。
只今委員長の申されました入場税の問題につきまして、いろいろ問題があるということでありまするが、これは
一つにはこの新らしくできました自治体警察の
費用は入場税と
配付税とによ
つて賄うのだというようなことが、この先入主として
地方團体にあるわけであります。
從つて自治体警察を置きました
市町村で、入場税の額が自治体警察の
費用に達しな心というところは、
相当これに対しましてそれだけで以て非難をしておるのであります。それからもう
一つ別の意味におきましては、特殊の
市町村におきまして非常に入場税が沢山入る。例えば具体的に申しますると兵庫縣の宝塚にあります村の名はちよつと忘れましたが……それから鳴尾村でございますか、そういう所におきまして
相当高い多額の入場税が入る。
從つて外の税を殆んど取らなくてもよいという極端な例もある。これに対しまして、そうでない
市町村側から
相当の非常が起
つておるわけであります。又第三番目には、入場税ののごときはもうすべて
府縣に
府縣税を設けて
市町村に全部渡した方がいいというこういう議論も聞きますし、逆に又これは
府縣側からでありますが、むしろ
府縣で以て取
つて必要ならば
府縣から各
府縣内の
市町村に対して
配付税の形で出した方がいいじやないかといういろいろの議論があるのでありますが、新らしい税でありました
関係上、いろいろ議論があるのは当然だと思いますが、そのうちでこの自治体警察に要する
費用を入場税で賄うということ、これは我々といたしましても何もそれらに自治体警察の
費用は入場税だけで以て賄うということは考えていないのでありまして、他の
一般財源を全部合せ考えて貰わなければならんと考えております。
それから第二の或る特殊の
市町村に非常に多額に入場税が入るという問題でありまするが、これは確かに
制度の欠陥であろうと思いますので、次の機会におきまして、これに対しまして或る
程度匡正を加えるような途を
法律の上において開きたいと考えております。
それから先程もう
一つお話のありました
配付税の結果でございまするが、御承知の
通り配付税は道
府縣では一種から五種に分れております。
市町村におきましても大体それに類似しております。そのうち一種から四種のものは機械的に分ける分でございまして、これは道
府縣分も
市町村分も全部済みまして、各
地方に通達されておるのでありまして、それでこの点に対しまして
相当議論があるのでありまするが、この
配付税の御非難に対する議論は、これは何分一万有余の
團体に分かれるのでありますから、必ずしもそれが全部自分の満足するだけの金を得られるものでもない。而も先程申しましたように、全体的に
地方財源が窮屈なるのでありますか、なかなか自分の期待しているだけの金は貰えないというところから、
相当非難の声があるのは我々知
つておるのであります。ただこの
配付税の第五種申しますか、特別の
事情によ
つて多少斟酌的に裁量の加える
余地のある分け方ができるものを約一割取
つております。それは道
府縣市町村おのおの二十億円ぐらいであります。これの分與が済んでいないのでありまして、
配付税は御承知のように、その全体を分ける場合に自由裁量的に分けることは弊害がありまするので、或る
程度結果はともかくとして機械的な分け方による。そうしてそれが、その結果がどうしても工合が悪い所は残りました特別の
配付税によりまして、これを匡正するというふうに考えておりますので、全体を通じて考えて頂きませんと、
配付税の結果がいいか悪いかということは判断できないのでありますが、今丁度その途中にありまして、あとの出直しをする分が未だ分與されておりません結果、
地方團体から
相当いろいろ
意見のありますことは承知しておるのでありまして、我々といたしましてはこういう
意見は十分聞きまして、本当に
理由のあるものに対しましては、特別に
配付税を今後
配付いたしたい、こう考えるのであります。
それから次にこの新給與を決めますことによります
地方の
財源をどうして調達するかという問題でありますが、これは御承知の
通り何分にも
政府といたしまして、新給與を未だどこに決めるかということもはつきりしておりませんので、具体的に
地方の
財源をどうするということは未だ具体案は持
つておらんのでありますが、とにかく五千二百円、例えば五千三百円ベースにしろ、或いは六千三百冊べースにしろ、百億以上、或いは二百億
程度のものが本年度において要することになるのでありまするから、これの
財源をどう
地方で賄うかという問題が直ちに起るわけでございます。で今申しましたように現在までの
財政、與えられた
財源では現在までの
歳出を賄うには十分でないのでありますから、これ以上給與ベースが上ります場合には、これは必ず何らかの措置を講じなければ
地方團体のや
つて行けるわけはないのでありまして、この点は結論的には給與べースが上
つて必要な
財源は何らかの措置を講ずるというふうに
政府としては考えておるのであります。ただその給與べースを上げます場合に要る金という問題にな
つて來ますると、これは
相当考えなければならんでありまして、これは先程もちよつと触れましたのですが、
地方の給與に
相当凸凹がありますので、この
相当高いところはその高いままで給與水準を変えるというふうにはならない。この際或る
程度の
財源的に給與の統制を行わなければならないと考えておるのであります。まあそれはいずれにいたしましてもこの新らしい
財源をどうして、どういう方向で求めるかという問題でありまするが、先ず
一つこれは当然考えられますことは、給與水準の
引上げによりまする所得税の増收、それに伴いまする
配付税の
増額ということは、これは当然期待できるわけであります。それ以外のものは新しく何らかの
財源の付與を考えなければならない。これを國庫から全額支給して貰う、補助金の形、或いは
配付税の
増額の形においてやりて貰うといたしますれば、これは又
地方財政としては、
地方側としては、別に苦労はないわけであります。併しながらそれには國庫の
歳入をどうして調達するかという問題がありましよう。若し
地方で、現在ある
地方で増税しなければならん、
財源を見付けなければならん、つまり増税なり新税なりを起さなければならんということになりますと、これはもう少し全般の税制
改正がもう國民の負担の……
地方税を通じての負担の
相当、何と申しますか限界が來ておるような次第でありますので、なかなかこれもむずかしいのでありまして、考えられますのは、例えば不動産課税をもつと上げるとか、この点につきましては
相当有力な
意見があるわけであります。それから酒の消費税をもう少し上げるとか、或いは煙草の消費税を新らしく作るということにいたしましても、すでに酒、煙草の値段については限界に來ているようでありますので、これもなかなかむずかしいと思います。又よく考えられまする
住民税の標準額を上げるといたしましても、
只今申しましたように現在九百円、都道
府縣分、市
市町村分合せて九百円になりますが、
只今申しましたように二割
程度は平均して標準より超過課税をや
つておりますので、更にこれ以上
住民税を上げるということには
相当問題があるだろうと考えられまするので、そういうことをいろいろ考えまして全く研究中という
程度を出でないのであります。大体最近の
地方財政に関しまする
現状を申上げて置きます。