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説明員(
大塚万丈君) 今の何で、
ちよつと私感じましたことを補足的に御
説明申上げます。
バンキング・
ボードの
委員に
産業界の
委員を五人でも三人でも十分入れまして、強いて
諮問委員会というものは必要ではないという御
質問、これは実は我々も考えたのでありますが、どうしてもこの
バンキング・
ボードの
委員会が多数になるということは、第一におきましては、一体それ程の人数の必至があるかないか、つまり仕事の量と質の点におきまして、日常の事務というものはそれ程沢山あるかないか。この点が第一の点……。そういう点から考えますと実はこれに詰め切
つて毎日々々やられなければならん、いわばビジネス・ワークというものの量というものは、それ程多いことはないのではないか。極く少数でや
つて行けないことはないのじやないかということが第一の
理由……。それから第二の
理由としましては、むしろこういうような
機関はできるだけ少数で、簡素な
機構で迅速に適確に判断をし、
結論を出し、これを施行する、こういう能率的な動き方が必要なのであ
つて、その場合には、多数で以て構成する
委員会、たださえ
委員会というものはややもすれば纏り難いもので、いわゆる時間的に能率的でないということが、これはよく言われることでございまするが、況んやこれが多数になりました場合には、果してターニングがうまく行くかどうかということは、これは実際問題として考えなければならん、そういう点から申しましても
委員ができるだけ少数の方がいいということになります。ところがその場合少数を、仮に前提としていいとした場合に、
産業界の
人間の入る余地というものは極く僅かでありまして、いわば一人か二人しか入れないということは事実であります。現に三人がいいか、五人がいいか、極く少数に考えてるわけであります。その三人から五人の間に
産業界の
人間が多数入
つて行くことは実際困難であります。そうして御
承知のように複雜な
産業界であります。ところがあらゆる種類のものを持
つている、規模から申しましても大小様々でございます。而も國内
関係だけでなく、國際
関係も
將來はいろいろ生じて参ります。かように複雜な
産業界を
代表する者が、一人、二人で果して全般的に眼を注ぎ、全般的な知識を持ち、そうしてそれを前提として十分なる
意見が述べられるかどうかということになれば、事実これは神業に等しいことでありまして、困難であります。そこでその補助
機関としまして、
産業界の今後の重大な
任務に鑑み、又適正な
運用を期する
意味から言いましても、その完全な、そういう
意見を発表する
機関として、そういう諮問
機関というようなものをお作りになれば、そこにできるだけ、許される限りの多数の
産業人を出して、そうして余すところなくその考えを申上げ、或いは発表する機会を得たい、これがその
考え方の
根本であります。それからもう
一つ、今
永野君も御
説明になりましたが、
産業資金の中で、特に
長期資金について、我々が重視をしている一般銀行に
長期金融をや
つて貰いたい、殊に債券を
発行して貰いたい、こういう要望をいたしましたことにつきまして、その必要はないではないか、大体大きな
会社は皆んな
自分の
資金そのものを増資の形で取ればいい、又それが足りなければ社債を
発行すればいい、正にその
通りであります。私はこれは否定いたしません。併しながら御
承知のように我が國の
産業の構成は大きなスクールの企業ばかりではございません。而も我が國の
産業の特徴といたしまして、中小企業が非常に廣汎な又重大な
責任を持
つております。事実大
会社が
代表されます場合でも、その下部
機構としましては中小企業が皆その手足とな
つて動いておるのが実情でございます。從いましてこの中小企業の
金融というものを軽く見るわけには行きません。ところが大企業が起債を
発行し得る場合におきましては、中小企業は自己の信用において債券を
発行し得るということは極く稀れであります。少くともそれだけの信用がない。そういう場合には何と申しましても信用のある
機関を通じて
長期金融を求める、これは当然なことであります。又事実それができませんければ中小企業の
金融というものは必ずしも円滑を期し難いと思うのであります。たまたま中小企業に関しまする特別な
金融機関を設けるといたしましても、これに中小企業の全般の
金融を賄い得る程の機能を発揮し得るかどうかということになりますと、我々は非常な疑問を持つのであります。これは極く普通の
金融機関では、その危險、その信用、あらゆる点を考慮して事
実行い得ない。特殊な者が主として
委員になるということは先ず常識であります。そうしますと、一般の
業務に從事する者で、又その信用
程度におきましても普通の者が一般の
金融機関に信用を求めるというのは、これは普通の途でありまするし、その場合に
長期金融を如何にして求めるか。これは最も簡單な而して最も実際に即した行き方は、銀行というような大きな信用を持つた
機関を仲介者として
長期金融を求めるというのが当然であるし、又一番効果の多い行き方である。必ずしも大企業のみを前提としてこれを考えていないということを申上げておきたいと思います。