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木下源吾君 これらの意思を本
國会において表明することが、私は極めて大切だと考えきするので、遺憾ながら
反対を表明するのであります。本
法案の
骨子は、いうまでもなく
特別職の
徹底的縮小、次には
人事院の
徹底強化……。第三番目には
労働者の
基本的権利の掣肘というよりも、むしろ剥奪という方が妥当なくらいの
法案の
骨子でございます。
そこで私共はこの第一の
特別職の
縮小は、同時に
一般職の殖えることでありますが、さて殖えた
一般職が、
公務員が有しておる
職責、公衆に忠実に奉仕するというこの他面における
公務員の権威を保ち、
生活を保障するという面が、
裏付が十分でない限り、私はでき得る限りこれらの
公務員の持
つておる
基本的権利というものを
縮小することには
賛成できないのであります。
法案の中にありまする第
二條の
現行法におきまする
特別職を、できるだけそのままに残したいという私共の
主張でありましで、
從つて改正案に対しては
反対せざるを得ないのであります。
次には
人事院の
強化でありますが、この
人事院は成程
強化することにおいて、既往の我が國の官僚的の
弊風を打破することは、できるであろうとも考えまするが、逆に又
人事院そのものがこれに取
つて代るという結果を来すならば、これはその効果において、私は甚だ疑わしいものがあると考えます。従いましてこの
人事院の
権限強化に対しましては、民主的な
機関を設けまして、でき得る限りこれが専断横暴というような
弊風を矯正しなければならない。かかる見地からいたしまして、私、はこの
改正案に対しまして二十六條の末項に、これらの
人事諮問委員会というようなものを設けて、
只今申上げるような趣旨を徹底させたいとかように考えておる次第であります。
次に
労働者の
基本権利でありますが、これは今更申上げるまでもなく我が國の
民主化において、
労働組合の
結成が如何に我が國の
民主化を促進
強化させるために必要であるか、そうして
終戦以來今日まで
労働組合活動によ
つて如何に我が國の
民主化が進んで参
つたかということは、今更私がここで申上げるまでもないのであります。これは偏えに我が國の長い間の封建的な殻を破
つて、
労働者固有の
権利が與えられたことによ
つて今日の結果を見たのであります。即ち
労働組合法の制定によりまして、
團結権、
團体交渉権、
罷業権を
労働者が持ちまして、その
生活の
維持向上のために防衛の囲いを続けることに専念して参
つたのでありますが、たまたま今回
公務員たる
職責のために
基本的人権、
労働権が奪われなければならんことは、これはどう考えても妥当ではない。
基本的人権は飽くまでも擁護せられて、特に
公務員たる
職責遂行のために、いわゆる
大衆の
利益というものが蹂躙されるとか、或いは侵されるという場合にのみこれは掣肘さるべきものであるとかように考えます。本
法案においては基本的の
権利をなくすることが主眼でありまして、そのことは我が國の
民主化のために甚だ悲しまざるを得ない、かように考えます。この
法案の
目的とするところは、
能率的な、そうして
民主化というところにございますが、
只今私が申上げました諸点をお考え下されるならば
人事院の
強化において、
民主化におきましても、亦完全に
公務員の
生活も保障の
裏付けができ得ない薄弱な現状においては、
能率亦期待するように上がらないということは明瞭であろうと考えるのであります。(「その
通り」と呼ぶ者あり)かかる見解に基きまして、私は本
法案に
反対せざるを得ない。而も
時恰かも現
内閣が我が國の
代表的保守政党であります。この
機会においてかくのごとき
法案が
提出せられ、そうしてそのままで通過するということにおきまして、
公務員大衆というものに及ぼす
心理的影響というものを與えなければならない、かように私は考えるのであります。(「社会党が作
つたのじやないか」と呼ぶ者あり)
どうかかかる
意味で、私は併しながら、諸君が今置かれておる客観情勢において、速かに而もできるだけ原案を維持ぜられるという御努力に対しては最大の敬意を表するのもありますが、他面に尊て又我々國民の意思を
國会において反映されるということに対しても御了承願いまして、私の
反対に対して御
賛成あらんことをお願いする次第であります。