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委員外議員(堀眞琴君) 大変貴重な時間を割くことに相成りまして申訳ありません。実は私前の
請願の二百六十六号岩間君の代りに出て参
つたのでありますが、すでに決定済と相成
つておりまするので、同じ問題に関連する
陳情第二十九号について、私の意見を申上げたいと思うのであります。
只今羽仁委員からも
お話がありましたように、世界の今日の趨勢から申しまして、
政府職員は成る程一面において
公務員ではある、併し勤労者であるということにおいては、一般企業におけるところの労務者と変りがないのでありましで、現にフランスにおきましては、千九百年の初めに、行政サンジカリズムの運動に関連しまして、下級
官吏は一般企業における
労働者と同じ身分を持つものである、從
つて彼らはその身分において團結権、
團体交渉権並びに争議権を持つことは正しいことである、ということを主張しまして、フランスにおいては可なり早くから一般
公務員に関する
團体交渉権、團結権が認められ、更に前の大戰後におきましては争議権も認められておるのでありまして、その外各國の
公務員に関する法相を見ましても、團結権、
團体交渉権は認められており、争議権についてはこれを認める國もあり、認めざる國もあり、とにかく
團体交渉権、團結権を
労働者の基本的な権利として認めておるということについては、世界各國とも共通なことにな
つておるのであります。アメリカにおきましては、例の一九三六年のワグナー法によりまして、團結、
團体交渉権を認められたのでありますが、昨年六月のタフト・ハートレー法によりましてそれが制限を受けるということに
なつたのでありまするが、これに対しましてはアメリカ内ににおいても輿論の上に非常な反対な空気が強いのでありまして、最近のアメリカにおける選挙の結果は、いわばこのタフト・ハートレー法に対する勤労者側からの反対がああいうような予想外の勝利を民主党に與えたものである、こう申すことができると思うのであります。それはともかくとしまして、とにかく
官公庁
職員の勤労者としての立場にこれ等の人々の労働上の諸権利を尊重するということは、今日の世界法制上の
一つの共通な傾向である、こう申すことができるのでありまして、この点から、若し
國家公務員法が、
罷業権は勿論のこと、
團体交渉権についてこれを制限するということになりますと、世界法制の趨勢に反対するものになるということが言えるのであります。それから又基本的な労働権の制限ということは、憲法上から申しましても、これをとるべきではないという二合に
考えるのでありまして、この
陳情が皆様の愼重な御
審議によりまして御採択になりますことは私希望いたしまして、
ちよつと私の意見を述べさせて頂いた次第であります。
〔「採択」と呼ぶ者あり〕