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原虎一君
逐條審議の間に一般的
質問をという田村
委員のお話でありますが、今日はもう十二日であります。御
承知のように……。それから明後日は日曜日であります。そういう点を
考えましても、これは、私は
條文の
審議に反対する者ではありませんが、先日來からの
政府並びに
総理の態度から見ましても、又昨日の初めてのこの
委員会においても、
政府を代表するところの
立場の
政府委員が
出席しないで、失礼でありますけれども、一人事
委員が出て來て
説明するというようなことで、実に、これは私共
議員の体面とか何とかということは毛頭
考える者ではありませんが、先程も申しますように、
本案が如何に國際的の関連の中に、大きく申しますれば、世界の各國の注目の的にな
つていると申しても敢て過言でない。
法案の
審議の
状態このままが
外國新聞に報道されたといたしますならば、
日本の國際的な
関係というものは決してよくなると私は
考えませんのであります。そういう点から
考えましても、
政府の
責任ある態度、又この
本案審議に対する眞摯な態度というものが、
議員のみに要求されるべき問題では私はないと思うのであります。田村
委員の折角のお言葉でありまするが、私は
公聽会を開くことによ
つて十六日までに
審議打切りが不可能になることは当然予想されます。然るが故に、
政府が十六日までに
審議を打
切つて貰いたいという
要望は、如何なる理由に基くかということを質したいのであります。十六日までに私は打切るということに反対なるが故に、
公聽会を開くことを主張している一人ではありません。それから又
法案によ
つては前
内閣、前々
内閣、或いはその以前の
内閣におきましても、一日二日で
法案を通したこともあります。併しながらそれは本意でないことは勿論であると同時に、先程來私が申上げまするように、本
法案は、例えば軽犯罪法であるとか、或いは生活協同組合法の通過とは違いまして、國際的な非常な関連を有するものであるということは、どなたも御
承知のことと思うのであります。そういう点から、
政府が何故に十六日までに打切らなければならないかということを、大きく申しますれば、吉田
内閣が十六日までに打切らなければならんかということを世界が納得するような
説明がなければならんということを私は申上げておるわけであります。
從つてこれから
條文の
審議を反対するものではありませんが、先程も申しますように、
政府の今までの態度が、何かそういう問題に、我々が眞劍に檢討したいというこの事柄に触れることを避けるがごとき態度、初めからこの
法案を議会に出すときに十日間で
審議して呉れというそれ自体が我々は納得できない。それを
國会は二十日間、本月いつぱいの
審議期間を決定いたしました。にも拘らず、昨日にな
つて、閣議も開かれないで、吉田
総理が一人で決定されて、十六日までに
審議を終えて呉れと言う。余程のこれは何かの理由があるに違いない。先程
門屋委員からは、
議院運営委員会において別に諸般の事情ということは言わない。それならばそのことを直接私は
総理から聽いて、全
委員が十分に
総理の意のあるところを関知して、
審議を進めたいのであります。そういう点から
考えますれば、十六日までに私は
審議を打切ることは反対であるから
公聽会を主張しておるものではなく、理解に苦しむから、
総理の
説明を十分聽いて、そうして議事の
運営を円滑にやりたいということを申し述べておることを御了解を願いたいと思います。
給與の問題を必ずしもこの
法案とくつ着けてやらなければならんということはありませんが、田村
委員の言われまするように、
給與の問題と
法案は形式的には別であります。同時に私は本
法案が、これは
淺井人事委員長にもお聽きしたいのでありまするが、現在出ておりまする
政令によ
つて、
法律の
國会通過が十日遅れることによ
つて、如何なる人事
委員は支障を來すのであるか。現実は今日二百数十万の官公吏は、罷業もできなければ團体交渉もすべて、爭議行爲の一切を禁止されております。それで休憩時間にでもした者も、上司の許可を得てでなければ、服務規律によ
つて処罰されております。こういう
状態において、何故に十日間くらい、或いは十五日間くらい
審議が延びることが、人事
委員において如何なる支障が起るのであるか。現在において
給與の問題と
法律とを切り離すと、労働者はこの
法律の
改正のために出ました
政令のために、
官公廳労働者は、今申上げましたような
基本的人権を停止されているような
状態であります。
從つて私は
法律の
審議の時間を延すということが
國家にと
つて、どれだけの支障があるかということを御伺いしたい。労働者の方は、
淺井委員長が六千三百円の
給與の妥当性を発表されても、
政府はそれから一千円以上を下るところの額の支給すら、即時にやるということができないような
状態である。これは何を
意味するか、
法律の成立は必要でありましよう。併し先程羽仁
委員からも言われましたように、法によ
つてのみ問題を処理しようとするところに、いわゆるいろいろな好ましからざる問題が起り易いのであります。問題は、法が通過すればそれでいいんだという態度が、我々は、
國家のために憂うるということを申上げておるのであります。技術的にこの法文は、私は司令部の
フーバー課長からも御
説明を承
つておりますし、又人事
委員からも承
つております。自分らのできるだけの範囲においては
研究もいたしております。
條文の問題ではないのであります。そういう点から
考えまして、私はむしろ
法案成立より
給與の問題の方を急ぐのであります。
法律の効果は、
政令により労働者は、抑えつけられておるんであります。
給與の問題について、私は後廻しでいいという御
意見は何としても納得できない。何も
法案を
審議するために、
給與の問題と
法案と関連があるからそれへ絡まして、困難なる
予算問題を無理やりにどうこうしようとする私は
意思ではなくして、現実は法を急がなくても、……急がなけりやならん理由がどこにあるか。十五日間、或いは十日間の
審議を延期することが、どれだけ
國家に支障を來たすかと思う。ここに私は解せない問題がある。そして労働者の
給與の問題はいつでも後でやればよい、いつ
予算を出されるか分らんような
状態で
審議しようということは、私はたびたび申しますけれども、そういう
審議の仕方はこれが、直ちに國内に期待しておるところの一千万人の官公吏諸君は勿論、國際的に及ぼす
影響を
考えますれば、そう
簡單に田村
委員が言うように、法と
予算は別だというふうには
考えられないということを申上げまして、
審議を妨げるものではないのであります。併しながら
政府委員が何故
おいでにならないか。昨日から今日にかけてなぜ
総理が出て
おいでにならんのかということを言うと同時に、先程申しますように、何か
審議の重要なるポイントに触れる
審議を避けんとするがごとき態度は、我々はこの法を
審議するために、法の
審議の権威のためにそういうことは望ましくないのである。これだけ申上げまして
委員長の然るべき
委員会の
進行を願いたいと思います。