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政府委員(
愛知揆一君) 先ず
最初にこの席を拜借いたしましてお詑びを申上げたいのでございますが、去る十月二十六日の
休会中の当
特別委員会にお招きを受けたのでありまして、かねて御承諾もいたしましたし、又御
報告を申上げたいと
思つておつたことがあ
つたのでありますが、当日全く予測せざる事態が起りまして、且夜に入りまして、
連絡もとれなくなりまして、そのために折角お待ち下さいましたのに、遂に
出席ができません。誠に御迷惑をおかけいたしました。衷心から御詑びを申上げる次第であります。申すまでもなく決してそのことは私共が本問題に対する然意に欠けるところがあつた、或いは又その他の
事情によ
つて出席を避けたのでは毛頭ございませんのでありまして、その点は
一つ御
了承を願いたいと存じます。
只今委員長から
お話のございました点につきまして、大体いろいろの
機会を通じまして御
報告を申上げておりますので、重複するかと思いまするが、一
應概略経過を御
報告をいたしたいと思います。先ず第一の問題は、
只今お
詑びをいたしました二十六日の本
委員会におきまして問題に
なつた
事項でございますが、第二
四半期に
復金から一億五千万円の
マル特融資をすることにな
つておりましたところが、
申入れの
状況は一億五千万円を或る
程度超過いたしております。そのためにその
超過分をどういうふうに扱うかということにつきまして、私共といたしましては、問題が問題でありますので、或る
程度政治的に考慮いたしまして、善処いたしたいと
思つてお
つたのでありますが、その意図が
復金の
当局や地方の
関係者などに十分滲透しておりませんでしたために、混乱を生じたのでありますが、この点は特に新
大藏大臣にも
了解を得まして、内輪限りの
措置といたしまして、若干の
超過分については、一億五千万円の
枠外にあ
つても、正当な手続によ
つて申入れたものについては一億五千万円と同樣に取扱うということにいたしまして、その旨は二十七日、八日の両日に亘りまして、現在各地に出張中の者にもその
趣旨を電信で
連絡をいたしまして、
復金の本
金庫とは更にその
趣旨が徹底するようにいたしましたので、御
了承願いたいと思います。
それから第二点は第三
四半期の問題でございます。この問題は、殆ど私共としてもやるべきことをやり盡したような
感じがするのでございますし、殊に御
承知の福井の
問題等について、或いは又第三
四半期の
復金の
融資資金計画自体の
承認を得まする場合は、直接
大藏省が第一線の
担当者であつたために、率直に申しますと、私共としては全く暗礁に乘り上げているような恰好でございます。その
経緯は詳しく
内閣官房等にも
報告をいたしてございまするし、又我々
事務当局といたしましても、政治的に大きく取上げて頂きたい。殊に今後
引揚者の
マル特融資については今までのような私生兒的なものでは必ずどこかに無理が生ずると思いますので、
一つ堂々と証人を取りたいというように
考えまして、その持
つて行き方、その他の
関係を
当局の
関係でも相談をいたしまして、特に
閣僚諸公の
善処方を私共としても御期待申上げておるような次第であります。
從つて今日ここでこの問題の
経過をこれ以上申上げ得ないことは非常に残念でございますが、近く
政府といたしまして、何らかの
措置が期待できるのではなかろうかと思いますが、同時に私の
感じといたしましても、この問題については申すまでもございませんが、
日本側が本当に一体にな
つて余程覚悟してかからないと、なかなか効果を期し得られないのではなかろうかと
考えるのでございます。
それから第三に申上げたいと思いますのは、
國民金融公庫の問題でございます。その極めて概略の要綱は、
只今もお
手許に御
参考にお配りいたした筈でございますが、その
國民金融公庫法案は本
臨時國会にも私
共大藏省としては
是非國会に提出するように手配を完了いたしたわけでございます。ただやはり
関係方面との
関係もありまして、まだ或る
程度問題が残
つておる点がないではございませんが、何とかしてこの
國会で
纒めて頂きたいと
考えておるわけなんであります。ところがこれ亦率直に申上げまして、今
國会の会期の問題、それから
法律案の
整備の
問題等に関連いたしまして、一〇〇%確実にこの
國会に
提案ができるかどうかということについては、はつきりしていない
模樣でございます。この点は更に私
共大藏省としては、
是非共この
國会に出るように努力いたしたいと思うのでございますが、
國会方面からの御
協力も
お願いいたしたいと
考えておるわけであります。この
國民金融公庫は、今取敢えずのところといたしましては、極めて
金額も少いのでありますが、
基本金として十六億円を予定いたしております。この十六億円というのは如何にも少いのでございまして、殊に実際に直ちに
融資に向け得る現金はこの中三億円でございます。三億円だけでありましては如何にも
金額が少いのでございますが、あとで申上げまするように、多少の、その他にも工作の余地がございまするし、又私共の
考え方といたしましては、とにかく何とかしてこの
公庫をものにして、でつち上げますれば、後は逐次その
業務の進展に應じて
基本金の増額を
お願いをするということに
考えた方がいいのではなかろうか、
最初から大きなものを担ぎ出しまして、この
追加予算の
編成難の折に潰れるよりも、多少でも芽を出しておきまして、時期の
経過と共に大きなものにして行きたいということに
思つておるわけでございます。この
國民公庫と
引揚者金融との
関係でございますが、その点について若干御
説明をいたしたいと思います。その前に、この
國民金融公庫の立案の
経緯は、御
承知のように、
從來生業資金を扱
つております
庶民金庫が
再建設備の
関係で、
資本金が全額なくなりまして、現在は消滅の過程にあるのであります。それから又、
恩給金庫も同
樣再建整備の
関係で、現在のままの
状態では続けて行くことができませんので、この二つの
金庫を併せて、第二
金庫として本当の
庶民金融をや
つて行きたいというのが、この
公庫の狙いでございます。即ちその
内容といたしましては、
生活資金、
生業資金、それから災害の
対策の
資金というようなものであ
つて、どうしても他の
金融の途を期待し得ないという向きに対しての
金融をやろうということに
考えておるわけでございます。
從つて現在において、そういうような
庶民金融を最も必要とするものといえば、私共の
考えでは、第一に
引揚者がその中に入るというように
考えておるわけでありますが、同時に
引揚者だけを特に優遇してはいかんというような
考え方にも應えるために、
戰災者、その他
一般の
生活困窮者も勿論その
対象とするのであるという
考え方を取
つておるわけであります。それからこの
公庫は全部
政府資金でございますから、完全な
政府機関ということが言えると思うのであります。
從つて役員等は全部
内閣が任命するわけでございますが、同時に
國家の
資金を使うのでありますから、その
資金の
運用等については、本当に民主的な
運営を確保することが必要であろうと
考えますので、重要な
金庫運営の
事項についてはすべての
審議会の議を経て決定するということに
考えておるわけでございます。そして今
考えております
審議会の
構成は、十人の
委員で
構成することにしておるのでございますが、その
構成の中味は、國氏
大衆の
利益を代表する者を三名予定いたしておるのでございますが、その三名の中には当然
引揚者團体の
代表者も參加を予定することにいたしたら如何であろうかということを
考えておるわけでございます。他の
委員は、十人の
内容でございますが、
官廳側としては、
総理廳と
大藏省と
厚生省をそれぞれ代表する者が一人づつ入る。それから商工、農業、
金融、商と工と農と
金融、それぞれから各一名、
國民大衆の
利益を代表する者が三名、この中一名は
引揚者の
代表者の方に入
つて頂くというように
考えておるわけであります。そしてその
審議会の権限を
法律で明記いたしまして、例えば
役員の任命を初めといたしまして、
事業については、
事業の
計画、
資金の
計画、
経費予算というようなことについて事前にその
承認をするのを以てこの
審議会の役割とするというようなふうに
考えておるわけでございます。
さてそういうような
考え方でございますが、特に
引揚者に対する
資金の融通の点について、この
公庫ができた場合に、どういうふうに
考えておるかということについて
簡單に申上げまするならば、
資金貸付けの
條件というようなことは、
業務報告書の中で定められるべきものでありまするので、当然に
審議会の議を経る必要があるのでございます。
從つてその
審議会におきまして、十分に練
つて頂きまして、それによ
つて行うということにいたしたいと思うのでありますが、一應私共の
考えておるところを申上げますというと、この
公庫からの
借受人の資格は先程申しましたように、
引揚者、
戰災者と、それから
一般の
生活困窮者というものを
対象としてはつきり明記いたしたい。それから
貸付の
限度においては一應の
考えといたしましては、
一世帶五万円以内ということを一應の
限度にいたしますが、ただ
連帶の
貸付の場合などについては五十万円以内というふうに決めたら適当ではないかというふうに
考えておるわけでございます。それから
貸付金の
返済の
方法でございますが、その
方法につきましては、年賦、半年賦を原則といたしまして、特別の場合一時拂ということを
考えたらどうかと
思つております。それから
貸付の
期限でございますが、
運轉資金については一ケ年、
設備資金については五ケ年というくらいの
期限にしては如何かと
思つております。それから
利率でございますが、
利率はやはり
庶氏金融とは申せ、やはりこの
金庫としては経営の
收支の
状況も
考えなければなりませんので、短期のものについては二銭八厘
程度、これは現在の平均の市中の金利でございます。長期のものはそれより若干高い
程度にいたしたい。それから
担保等については確実な
保証人一人以上ということを
條件とし、
連帶貸付の場合には
連帶借主の所属する
事業團体の
連帶保証、これについては、例えば
引揚者團体等でございますれば、加入せられたるところの
團体の
連帶保証を以てや
つて行くことにしたらどうかと
考えておるわけでございます。場合によりましては物的の
担保をも考慮することにいたしたい。それからその
融資の実行について御
承知の
マル特融資でや
つておりますものと、それとの
関係をどうするかということでございます。現在の
マル特融資については、例えば
ブロツク別でやることについては非常に御非難があり、又同時に
府縣單位でやるとそれ
相應の弊害がありはいないかという御
意見がございますが、現在
庶民金庫は
厚生省関係の
生業資金に当
つておりますその
庶民金庫の
支所がこの仕事に慣れておりますので、若し
復金の
マル特融資を全部廃止いたしまして、すべてこちらの場合に乘り移るということになりますれば、
復金関係で現在や
つておりますスタツフをこの
新法公庫の
支所の方に吸收するということにいたしたらば如何かと
考えておるわけでございます。御
参考までに申上げますると、現在
生業資金等でや
つておりますことと相対照應いたしまして、例えば
支所單位にやりますような場合におきましては、その
支所にやはり
諮問委員会というようなものを附置いたしまして、その
諮問委員会というようなものが、現在の
厚生事業対策金融審議会と同じような組織をそれにくつ附けたらば如何か。若し
縣單位の方が都合がよろしいということであれば、
縣單位に適当な
支所、
分所等を設立いたしまして、その縣に
相應するような、適当であるような
諮問委員会を附置することにしては如何かというようなふうに
考えておりますから、その点につきましては十分に
関係者の御
意見を取入れまして、現在までの
経驗を活かして採長補足でや
つて参りたいと
考えております。
それから次にこの
資金の
計画でございますが、先程申しましたように、
出資額が一應十億ということにな
つており、且現金は三億に過ぎないのでございますが、私共といたしましては、先程の
復金の
マル特融資を今後続けるかどうか、続けるとして恒久的に続けるのか、或いは暫定的に第三
四半期等の
過渡期を
復金の方で泳ぐだけに止めて、將來は
恒久的対策として全部
公庫の方に吸收するかどうかということの
根本方針のまだ御決定を願
つておりませんので、そこまではつきりいたしませんと具体的には申上げにくい点もございまするが、一應現在のところで
考えておりますのは、この三億円の
融資の
計画は
引揚者以外のものに使いまして、六ケ月間で毎月五千万円
程度を
引揚者以外の
貧困階級に対する
生業資金に供給いたしたいと
考えておるわけであります。そうして
引揚者の方の問題につきましては、十二億五千万円が
庶民金庫として
日本銀行からすでに借入れておりますところの
返済を実は十三億の中から
返済しなければならんのでございますが、その
返済の中で即時に
返済しなければならんものは約十億
程度でございますから、二億五千万円
程度のものを一應ここ暫くの
間引揚者のために留保することができるのじやなかろうか。そうして
根本方針がこの
公庫の方に全部
引揚者資金をやるということになりますれば、先程申しましたように、その
必要額に應じてこの
出資額を
國会の協賛によ
つて殖やして行くということにいたしたいと
考えておるわけでございます。例えば
仮りに第三
四半期に
マル特融資の方が第二
四半期と同樣一億五千万円という
程度になりますれば、一應それで第三
四半期を繋ぎまして、第三
四半期以降においてこの
公庫として
引揚者に留保し得る金として、
只今申上げました二億五千万円
程度のところをまあ準備として留保して安心してや
つて行くことができるのじやなかろうか、その移り変りついて大体そういうふうに
考えておるわけでございます。
大体以上が今日御
報告いたし得る
事項でございますが、
最後に先程も申しましたように、私共の当面の最も大きな問題は、第三
四半期分をどうするかということでございます。
仮りに
國民金融公庫法案がこの
國会に
提案なされ、そうして可決して頂いたといたしましても、やはり両
金庫の併合その他に相当事務的な面倒もございますし、実際動き出しますまでにはどうしても來年になる。そうすればこの
公庫には第三
四半期は当然頼り得ないということにもなりますので、何としてもこの一億五千万円の問題を
解決する焦眉の急に迫られておるわけでありますが、先程申上げましたように、私共としても本当に行き着く所まで行き着いたような恰好でございます。率直に申しますと、更にもう一歩突き進みまして、
從來があまり公にしていなかつたことだけに、
從來のことについても何か問題になりはしないかというような氣がいたしますので、誠に遺憾でございますが、率直に御
報告いたす次第でございます。