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塚本重藏君 ちよつとこの
機会に私からも一、二申上げて御
所見を質して置きたいと思うのでありますが、大体今まで
林厚生大臣の所感を伺い、且つ殆んど全
委員からそれぞれの御
要望が述べられたのでありまして、大体一般的に触れておられるのでありますが、尚一、二申上げて置かなければならん点が残
つておると思うので、これを補足の意味で私から申上げて御
所見を質してみたいと思います。順序は不同になりますが御了承を願いまして、第一番に
厚生大臣が
中途失明者の問題に力を注いで行きたいと
考えておるという御
所見を伺つたのですが、非常に結構であります。是非や
つて頂かなければならんのでありますが、この
委員会におきましても、実は或る
議員から盲人
保護法を
立案し、これを提議したいという希望を持
つておられた方があ
つて、
準備を進められつつあつたのであります。私といたしましてはただ盲人の
保護法というに止まらず、これは身体不自由者全部を含めた身体不自由者の福祉法という内容に改めて
立案して頂きたいことを希望し、折角その
準備を進めておる次第であります。同じ失明者であ
つても、
中途失明者が如何に人生上暗い環境に置かれ、いろいろと悲惨な
状態に置かれているかということは、これはもう言うまでもないと思います。一番早く何とか
対策を講じなければならん問題でありますが、生れながらにしての失明者、これも相当多いわけでありまして、これもなおざりにはできないのであります。ただその失明者ばかりではなく、耳の聞えない人、或いはものの言えない人、これら盲聾唖者全体を含めて、更に又この四肢不自由者といつたような廣い意味の身体不自由者全体に対する福祉を、
厚生省としては
厚生行政の上に
考えて行かなければならんと我々
考えております。折角どうぞこういう
方面に廣く力を注がれまして、万遺憾なき施策を講じて頂きたい、かように
考えるのであります。更に進んでは精神異常者、
精神薄弱者、そういつたような者をも含めて貰いたい。その範囲が非常に廣いのでありますが、これ亦草葉
委員の申されますように、取上げるのに緩急よろしきを得て行かなければならんと
考えます。一應これら全体の問題について
一つの施策を持
つておられなければならん。かように
考えているのであります。
それから戰争犠牲に関しまする
未亡人の問題であるとか、或いは戰災孤兒の問題であるとか、
引揚者の問題であるとかというような問題を多くの方々が触れて頂いたことは感謝に堪えませんが、私、
厚生省として今から
考えて頂きたいのは、今後に起
つて來まする国家再建の犠牲者と申しますか、適当な言葉がないかも知れませんが、これから新らしい
日本の
國家を建設して行く上において、或いは企業
整備であるとか、或いは
行政整理であるとかいつたようなことから來るいわゆる国家再建のための犠牲者とも申すべき失業者が相当多くな
つて来ると
考えるのであります。これは一部は労働省
関係の所管だとは
考えますが、そのことが延いては
厚生省の所管に及んで來る部面が非常に多くな
つて来る。働き得る能力を持
つている者すら働けないというような
状態に
なつたときに、その働く能力の非常に弱い人という者が、先ず一番の犠牲の先頭に立たなければならないのであります。労働
行政の手の及ばない部面における国家再建の犠牲者というものが、先ず
厚生省の所管の中に大きく浮び上
つて来るということを今から
考えて、これに対する施策を立てて頂きたい。こういうことをまあ
考えるわけであります。
それから次にやはり戰争犠牲者に対する
対策の中に当然含まれて來る
生業補助の問題であるとか、或いは
医療保護、職業補導といつたような問題と関連しまして、授産所の問題が取上げられましたが、この問題についても早急に解決して頂きたいのは、いわゆる労働省と
厚生省との所管の
関係であります。今日授産所をや
つておられる方が一番困
つている問題は、これだろうと思うのであります。
資材を入手する場合にはむしろ労働者の方から手を廻すことの方が非常に都合がいいような
状態に置かれている。けれども授産所それ自体の使命から言えば、これは当然
厚生行政の間で取扱うべき問題だと
考えられるのであります。又そうなければならんと思うのでありますが、今日の授産所の実際経営面における問題を
考えて見ますと、ここに二元
行政の弊害というもので苦しんでいるのでありますから、これは何とか
一つ労働省の方と所管
関係を調整せられまして、そうしてこの授産経営がスムースに、且つ強力に行な
つて行けるようなふうに
一つお取計らいが願いたいと思うのであります。
尚触れていなかつた問題に乳幼兒の問題がありますが、勿論廣い意味では母子の問題等で言及せられておつたともいえば言えるのでありますが、特に乳幼兒の問題は乳兒の
死亡率が非常に高い現状から見まして、
厚生省では特にこの点に深い留意をいたされまして、適当な施設を施さなければ、
対策を講じなければならんのではないかと思います。乳幼兒に対しまする食糧の問題、或いは衣料の問題などがあるわけであります。これらも決して等閑に附すべき問題ではないのであります。兒童福祉と共にこれらの面にも深い施策をめぐらして頂きたいと
考えるのであります。
最後にもう一点は、
國民健康保險制度の問題であります。これは先頃の
國会で根本的に立法の上から立て直されましたけれども、この改正せられた
國民健康保險法の施行に伴いまして、実際
國民健康保險がどういう途を以て更生して行くか、どういう方法によ
つて改正せられたこの法を活用いたしまして、十分に所期の目的を達することができるかという問題は、ただ法律を作つただけでこれを放つりぱなすことのできないこれは刻下焦眉の重大な問題だろうと
考えます。すでに今明日は
國民健康保險の創始十周年に当
つてそれぞれの記念の催し等も行われるのでありますが、この
國民健康保險が
実施せられて十年にな
つて、新らしく根本的に生れ変ろうとするときに当りまして、ただ法律を改正しただけでやりつ放して置くと、これから先は
地方の自治体においてそれぞれやるかやらないかは自由である。やるなら強制でやるのだというような、任意加入を強制加入に改めたのだということだけではこれは目的は達成できないと思うのです。これに伴いまする各般の施設というものは鋭意
努力を今においてやらなければならん
機会に到達していると
考えるのであります。これらにつきましてもやはりこれを助成して行きまするのには、いろいろの施策が必要であります。結局はこの問題についても
厚生省は國の
予算の上で相当思い切つた
予算を取らなければ、この
國民健康保險組合というものを市町村経営に移して、そうして強制加入で以て、而もそれが立派に運営せられてその業績を挙げて行く。見直した健康保險になるということは望みがたい今日の
状態ではないかと思うのであります。それは一にまだ
日本國民の保健思想というものが十分に育成せられておらないというところにも難点があるのでありますが、その難点を克服して、国難を克服してこれを成就しなければならん。況んや先程問題に
なつたような
社会保障制度というものができるだけ早い
機会にこれを
整備し、これを立法化しまして、そうしてその
実施を見なければならんというような時期に到達して、
國民健康保險が今のような
状態にあるということは、
社会保障制度の確立ということが期して行きがたいというような暗い感を抱かざるを得ないのであります。できるだけ早い
機会に
社会保障制度というものを確立するためにも今日
國民健康保險制度を十分に育成して
社会保障制度が
実施せられるような
措置を今から作
つて行かなければならんと
考えるのであります。こういう点について御
所見を頂きたい。