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矢野酉雄君 願くば政務次官諸公の御
発言は成るべく御遠慮願いたいと思います。
私はこの問題こそ全く
政党政派を超えて、
参議院全体の
立場から愼重に考えて、この事態を決すべきであるという
根本的な
意見を先ず申述べて置きたいと思います。過般
衆議院におきまして、某
議員の或る横領問題について、その某
議員は潔く
議員たるの
資格をみずから抛
つて、檢察当局の逮捕に應ぜられたことを私、目の当り見て非常に、その方の
態度の立派であ
つたことを実は考えているのでございますが、第一審の無罪ということで又非常に考えさせられました。
只今もここに議題とな
つている問題は、結局どういうふうに
参議院はこれに対して
態度を
決めるかという場合に、私は
通常國会などの三ヶ月の
会期がまだ残
つておるというような場合と、それから現実のこの問題のごとく、
会期が
臨時國会であ
つて非常に短
期間である。而も
最前の説明によるというと、
事件は本年の三月一日までの
事件であ
つて、而も三月一日から直ちに捜査を開始していない、尚説明の中には何か発展性があるかのごとき、いろいろな
意見がありましたけれども、書状によるところの、
議長に対して逮捕要求をしている、而も公文書を見ますと、そういう点は何ら謳
つていないのでありまして、果してそれがここに中央檢察廳の責任ある人が臨んで、そうして詳細なる説明を聽いたのと、今の
檢務長官の説明とは非常に私その間相違がありはしないかと思うのです。確かに隔靴掻痒の感がいたしまして、あと十日か或いは二週間すれば
会期が終ろうというような際、而も任意出頭において幾らでもその逮捕によ
つて調査することと実質的には同様のことができ得る。現に前某大臣のごときは頻りに任意出頭で、何ら逮捕されないで或る
事件について捜査を受けておるようでありますが、これは
前例を開く基になるのでありますから、この書面の
要望と、今説明せられたるところの説明の材料とを加えただけの材料では、私は
参議院として逮捕に許諾を與えることに対して
賛成をすることができないのであります。むしろ憲法において、
会期中の
議員に対する特別の成文を以て
規定して、その國権の最高機関たる構成員たる
議員のその権限と義務を十二分に遂行せしめるために、最も強力なる最高の法がこれを擁護しておる精神から推定いたしましても、今ぐらいの程度の、而も今日における條件によ
つて結ばれておるこの
事件についての問題といたしましては、私は逮捕状の請求に対して、むしろ拒絶をするという
態度が然るべきでないかという
意見を持つ者であります。