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政府委員(
秋山龍君) お答えいたします。港湾の行政特に港湾における荷役の行政というものは、戰事前には実は余りはつきりしたものはなか
つたのでありますが、その後戰爭に連れまして荷役の重要性が強調せられ、港湾の一部に独自の権限を振
つておりました税関と港湾荷役に責任を持つ
海運局でございますが、これを合併して
一つの手でコントロールしなければならない、こういうふうな議が熟しまして戰時中税関と
海運局の合併をいたして、そうして一元的に港湾の管理をいたして参
つたことは御
承知の通りでございますが、その後終戰になりまして、まあ外國貿易の再開等も予想される
折柄、税関などの復活が必要と認められまして、税関の分離独立をしたのでございますが、その際に我々の
海運当局としての主張は、この港湾というものは防波堤、それから沖の浮標、岸壁、荷役機械、倉庫、上屋、艀舟、人夫、こういうようなものを総合一体化したものが港湾の能力でございまして、その一部の荷役
関係に責任者の力の及ぱないものができるということは港湾の総合
運営を害する、こういうような見地から種々話合いました結果、徴税に関する廳舎及びその機能はこれを税関に返却するけれども、他の埠頭その他の施設は国有
財産として一括して
海運局が管理するという、実はそういう方針の下に税関と
海運局の機能を分けたのでありますが、その後横浜及び神戸港の
連合軍占用施設を
日本側に返す、そうしてここで
日本のサーヴイスに対してドルの金を拂
つててやろうというような指令が出ました際に、
日本側でこの港湾をどういうふうに
運営するがよいか、こういうことを諮問されたわけであります。これに対しまして
海運局といたしましては、從来の主張からいたしまして、当然開放せられましたピーアその他は港湾施設の一部として一元的に
海運局が管理すべきものである、こういうふうな主張をして参
つたのでありますが、税関といたしましては税関の機能は必ずしも税金を取るばかりではないのであります。非常に古い
法律でありますが、関税法の
規定するところによれば、
一つの
地域を画してここに絶対的な権限を振うということが税金をうまく徴收し、脱税をなからしめ、密貿易を防ぐ上において極めて必要である、かような見解を持たれまして、ここに両事務当局の
意見が相対峙したわけであります。論爭の日を重ねましたけれども、なかなか容易に解決が見られませんので、蓬に次官
会議にこれを一任いたしまして、
関係次官の採決を求めたのでありますが、
関係次官
会議におきましては、大体両方が旧税関の施設については
海運局と税関とが大体五分々々を共管をするのだ。そういう氣持で繋船外及び荷役機械等はこれは主として
海運局の方で、まあ何といいますか、
海運局の方が主たる管理者、それから上屋の方はこれに反して税関が主たる管理者にな
つて海運局の方は從たる担任者になるのだ、こういうふうな妥協案を決定されたのであります。
政府といたしましてはこの線に副いまして、
関係方面にこういうような
機構で
運営したいという
計画書を提出いたしたのでございます。然るに
関係方面におきましてもこれに対していろいろと
審議檢討を加えられておるようでございますけれども、なかなかことが複雑で決定が困難と見えまして、未だ何らの正式な御回答に接しておらないというのが実際でございます。以上
経過を申上げました。
委員長(版谷順助君)それは何ですか。一体となれば向うが許すのですか、何とが話を纏めなければ……。折角返すというものを未だに決まらんということは不利なことじやないですか。