○
証人(
細野日出男君) 私は
日本國有鉄道法案そのものを直接入手いたしますのが大変遅れまして、この解釈につきまして、殊にどなたからも解説を伺
つていない状況でありますので、相当分らない
ところがあり、又自分の
考えたものと違
つた解釈があるのかも知れないと思うのでありますが、交通学者の一人という
立場から忌憚ない感想を申上げて見たいと思います。先ず全体を通観いたしますと、この
法案は非常に大きな変革を與えたものだという印はないのでございます。大体において現状維持的なものをただ名称を変える。その他に重要な点は第二章に整理
委員会という制度を
一つ設けたことと、それから
國家公務員法から
國有鉄道の
職員を外すということ、その点は非常にはつきりした変わ
つた点でありますが、その他におきましては大体において現状維持とい
つたような印象が大変に強いのであります。実は私共としましては敗戰後の日本はあらゆる面において根本的な変動が起り、改革が行われなければならない客観的情勢にあるのだと思うのであります。この新らしく日本
國有鉄道というものをこの
法律によ
つて設け、盛んに言われております
ところの、
パブリック・コーポレーシヨン、
公共企業体というものにするということであるからには、余程大きな変革が行われたのであるという印象を、全國民、それから全
國有鉄道の
職員、從業員に與えられるようなものでなければ、精神的な効果が少いのではないかと思うのであります。今までのものをただ名前が変
つただけだとい
つたような印象では、これは
目的の第
一條に謳
つてあるように、この
能率化というようなことでさえも行い得ないのではないかと思うのであります、それが全体に対する感想でございます。
第
一條について申上げますと、前公述人の皆さんがいろいろ御
指摘に
なつた
ところでありますが、「
能率的な
運営により」という言葉がありますけれども、この外に前案には何でも自主的という言葉があ
つたという
お話でありますが、まあ自主的ということは、
能率的な
運営をするためには必然的に成る
程度必要なことでありますが、この日本の
行政とか、
経済とかいうことの
民主化ということが、非常に戰後の大事な眼目にな
つておるのだと思うのであります。ですからこの
目的の
ところにはどうしてもやはり民主的な
運営ができる、それをさせるのだという趣旨の言葉をお入れに
なつた方がいいのではないかということを
考えます。
それから飛びまして第六條の
ところに、「日本
國有鉄道には、所得税及び法人税を課さない。」それから「地方税については」云々という
規定がございますが、この税金というものは、日本のようないわゆる
官僚國家的な、或いはいわゆる天皇制
國家とい
つたような
考え方をして來ております
ところでは、國営事業に対しては、税金は課さないという思想がずつと一貫して來ておるようであります。併しながら、この間、國有化されましたイギリスの
鉄道におきましては、税金
関係については、國有化されても変りはないということをはつきりさせておるのであります。勿論
國有鉄道は税金を納めない代りに、
國家の
経済政策、社会政策とい
つたようなものに服する
ところの、犠牲を多分に負担するということが、税金の代りだという思想はあるのであります。併しながら理論的には税金は税金、社会政策、或いは
経済政策は
経済政策として、別箇のものにして
考えることの方が、合理的ではないかと
考えるのであります。
併しながら
國家の、後の方にございますが、日本
國有鉄道の益金というのは、國庫に繰入れるという
原則が後の方にあるようでございます。その益金が國庫に入る建前である限りにおきましては、これが即ち國税に大体当る性質のものであるかと思います。
ところが地方
公共体の方はその点
余り恩恵には浴さないわけでありまして、実は
從來の日本の市場におきましては、私設
鉄道であ
つた時代には、地方の
公共体は、これは立派な
一つの税源であ
つたのであります。
ところが一部分一部分國有化されて行きますと、地方はそれだけ税源を失うような面がありますので、地方税というものは成る
程度日本
國有鉄道が負担することが、これが合理的ではないかと思うのであります。
労働組合の加藤
委員長は今、第六條二項の全面的削除をおつしやいましたけれども、先程申しましたように、税金は税金、それから政策は政策とい
つたようなことを明確化することは、これは
企業の合理化、
能率化との点から見て、却
つて必要なことではないかと思うのであります。
それから第二章に移りまして
監理委員会、
監理委員会の内容、仕事は何であるかということは、これはまあ大変な論議を呼ぶ
ところであると思うのでありますが、
パブリック・
コーポレーションにおきましては、これはやはりその
企業経営の主体となる
ところの、最高機関という思想が当然盛らるべきではないかと思います。即ち
國家、若しくは國民を株主とする
ところの株式
会社的な存在であるという、一應の
考え方からスタートしておるのだと思うのでありますが、株主総会に当るものはこれは國会である。しかしながら國会が直接、株主総会が直接
企業の
経営を指導、或いは大綱を決めるとい
つたようなことは必ずしもできないことでありますからして、その
代表者を選ぶという
意味で以て取締役会、或いは重役会とい
つたようなものが、その株主から選ばれるということになるのだと思うのでありますが、若しこの
監理委員会というものが、
パブリック・
コーポレーションの、ボード・オブ・ディレクターズというものの思想から出ておりますものであるならば、やはりその
意味において、日本
國有鉄道の
運営ということの、最高機関であることをはつきりさせることが必要だと思うのであります。先程
片岡さんからは
監理委員会ではなくして、監査
委員会とい
つたように限定するようにという御
意見が出ておるようでありますが、実はこれは大体日本の占領下におきまする事情では、アメリカ流の
考え方が多分に入るものだと思うのでございますが、ここにアメリカ最大の
鉄道会社であります
ところのペンシルヴァニア
鉄道会社の、ここの
ところの
組織が出ておりますので、ちよつとご
参考のために申上げますと、ボード・オブ・デレクターズというものは、株主代表という趣旨の者が十三人出ております。その中の一人はいわゆるエクゼクティヴ・オフィサー、執行機関としての長である
ところの社長が入
つておるのでありますが、その他の十二人というものは、これは大株主の代表であります。大株主の代表が十二人出ております。これらの大株主というものの代表は、勿論それぞれ大きなペンシルヴァニア
鉄道株式
会社の株式を保有しております
ところの團体の長、若しくは重要な役員の人でありまして、例えばフィラデルフィアにあります
ところのペンシルヴァニア大学というものは、財團としまして、ペンシルヴァニア
鉄道の大株主にな
つております。その中の大学総長がその中に入
つておる。それから有名なデュポン化学
会社の重役が入
つております。それから保險
会社の重役が入
つておる。信託
会社の重役が入
つておる。銀行の重役が入
つておる。これらは皆大株主代表という
ところから入
つておるわけであります。
ところがその十三人のボード・オブ・ディレクターズというものが、更にその次にあります
ところの、エクゼクティヴ・オフィサー、即ち執行機関の役員、日本
國有鉄道法で言います
ところの役員という言葉がありますが、その役員の中から何人かを更にボード・オブ・ディレクターズの中に毎年人を変えて入れておるようであります。この一年間は誰を入れるということにしておりますが、この四十七年度の営業報告書によりますというと、四人の執行機関の役員を追加して、ボード・オブ・デレクターズに入れております。これらのボード・オブ・ディレクターズのメンバーは、デレクターズというものは、これは勿論專任の職ではないのであります。いわゆる重役会を開きまして、重要な政策大綱を決定する、或いは
予算の
審議、或いは
決算の
審議、
決算処分、ことに損益
処分の問題とい
つたようなことは、このボード・オブ・デレクターズの最も嚴重に取扱う大事な項目なわけでありますが、これらの人人は常時出動し、常時や
つておるわけではない。併しながら大株主でありますからして、自然そこにみずから大きな利益代表という
ところから関心を持ちますからして、この日本
國有鉄道法におきます
ところの監理
委員というものは、名誉職であ
つて、直接に何ら、全くこの
公共心の強い人で、十分な関心を持ち得ないとい、そうこに根本的な差があるわけであります。即ち株主代表ということであ
つて、十分大きな利益を感じておるのでありますからして、いわゆる俸給的なものは必ずしも貰
つておらないかと思います。勿論賞與金のようなものは出ておるかと思いますけれども、これらのボード・オブ・デレクターズのメンバーは、十分なる関心を以て臨めるという態勢にな
つておるわけであります。
ところが日本
國有鉄道法のこの案におきましては、監理
委員は名誉職である。内閣が推薦して國会の同意を得て決めるという建前にな
つておりますが、これは即ち株主、総会に当ります
ところの、國会の代表だという
意味におきまして、國会の同意を得て決めるということそれ
自身は正しいのでありますが、そこに名誉職扱をするという
ところに、やはり十分なる関心が持てるかどうかということの不安が一應あるわけであります。勿論十分な関心を持ち得るような
公共心の強い人を選ぶんだということであると思うのでありますが、制度としてはそこに不安なきを得ないのであります。
ことに名誉職であるからして、十分に関心が持ち得ないから、その人に大きな権限を持たせることは無理だというような方向、これが若し解釈されるとしますならば、非常に問題な
ところだと思うのであります。やはり相当な利害関心をも
つて望み得るというような態勢にする必要がありはしないかと
考えるのであります。
それから
委員の数が五人、それから
総裁たる
委員六人ということにな
つておりますが、第十二條におきましては、
委員を選ぶべき範囲を運輸業、工業、商業、又は
金融業というふうに
規定してございますけれども、何故これだけのものに限定したかということを聊か解し兼ねるのであります。それからこれは又各業から一人ずつということを
意味しておるのか、必ずしも一人ずつではないことも
意味するのではないのか、それもこの條文では分り兼ねるのではないかと思うのであります。イギリスの今度國有になりました、英國
運輸委員会のメンバーというものは、これは大体
監理委員会に当るものだと
考えますが、やはり運輸業、工業、商業、
金融業というものは挙
つております。勿論その外にイギリスは、社会労働党が政権をとりまして、社会主義的な政策を盛んに行な
つておる
ところでありますからして当然でありますけれども、労働
関係の、労働
組織の
代表者を入れるということを決めておるのでありまして、私は加藤さんがいわれましたが、ここの
ところにやはり日本の問題、
民主化という中に、社会化ということが
一つ入るのか、入らないのか日本におきましては、やはりこれは入れる必要があると
考えるのでありまして、労働
組織の代表というものも是非ここに入れられて然るべきものではないかと思います。又各種の産業を若し挙げるならば、工業や、商業、
金融業を挙げて、農業を落して置くことは、これもどういうお積りか分らないのでありますが、私としては当然に農業も入れらるべきではないかと
考えます。
それからこの第十二の第三項の
ところに「左の各号の一に該当する者は、
委員であることができない。」と書いてあります中の三号の「國務
大臣、國
会議員、
政府職員又は地方
公共團体の
議会の議員」という言葉がございます。この
政府職員というものの中には、
國有鉄道の
職員は入るのか入らないのか、これは私も解釈はちよつと分らないのでありますが、現在の
國有鉄道の
職員は、
政府職員だと思いますが、今度日本
國有鉄道というものになりますというと、それは
政府職員ではないということに若しなるならば、それならば
國有鉄道の
職員たるものは、
委員であることができることになるわけでありますが、若しそうでなければ
政府職員の日本
國有鉄道の
職員に入るならば、これは
委員であることができないということになりますからして、ここの
ところはどういう解釈になりますのか、私としては日本
國有鉄道の
職員たる位置にあ
つたものが、ここの
ところにこの
委員に入れないということでありますというと、例の労働
組織の代表というようなものを入れます場合に、当然
國有鉄道の
労働組合の代表は入ることが困難にな
つて参りますし、又この
條項はどう解釈されるのか存じませんが、
國有鉄道の
職員であ
つた人は、
総裁にはなれないとい
つたようなことになるかも知れないのでありまして、この
ところは私は解釈を伺
つておりませんので分らないのでありますが、念のために疑問として申上げる次第であります。
それから第十五條の名誉職という
ところでありますが、この名誉職という
ところは、先程申上げましたように、寧ろ名誉職よりは、重大なる
責任を負う
ところの職務といたしまして、相当の報酬が伴う方が自然ではないかと
考えるのであります。
それから
委員の数の
ところで、当然五人というよりは、もう少し多い方が……、農業を入れまして、労働
組織の代表も入れたい、但しこれだけでは
委員の数というものは、運輸、工業、商業、農業、
金融業、労働
組織の代表というふうに六人になりますが、更に一般輿論、世論、或いは消費者、利用者代表的な
意味の方面のものも、一人くらいは入れるという必要があるのではないかと思うのであります。
第二章につきましては十八條でありますが、役員は
総裁、副
総裁、及び理事ということが書いてありまして、員数が書いてございません。当然
総裁は一人であるという解釈が行われるのでありましようが、
総裁は一人であるのか、二人であるのか、そこの條文では分りません。あとの方では一人と書いてあ
つたかと思いますが……。
ところがアメリカの
鉄道会社のいわゆる役員というものを見ると、これは
一つの慣習でありますが、副社長の数が非常に沢山決めてあるのであります。例えばペンシルバニア
鉄道の例を申上げると、役員として挙
つておるのは
総裁一人、その外にエクゼクテイヴ・ヴアイス・プレジデント即ち常務的副社長というのと、それからヴアイス・プレジデントというのが十一人おります。これらの副社長の内容は、日本の
國有鉄道ならば、各局長級に当る
ところの人人が、すべて副社長という名前を與えられております。これは日本の
会社組織では取締役というものが取締役会を作
つておる、ボード・オブ・ディレクターズが、エクゼクチィヴ・オフイサーと重な
つておるという
ところから、そういう取締役が
経営の
責任の衝に当る、局の
責任の衝に当る者のことをディレクターと言
つております。アメリカではディレクターズは全体に対する最高監理機関ということで、事業の直接
運営の衝に当る者の方には、ディレクターという名前は着いておりません。そのためかも知れませんが、ヴァイス・プレジデントという名前を附けております。ヴァイス・プレジデントというのは、例えば財務局長も、購買局長も、工務局長もそうですし、又不動産課税局長、或いはニューヨーク
鉄道局長、東部
鉄道局長、西部
鉄道局長、中部
鉄道局長というような、四人の現場局長も、やはりヴァイス・プレジデントという位置を與えられております。このヴァイス・プレジデントの外に役員としてトレジュラー、これは出納役、
收入役であります。それから
経理の方の仕事をやる長のコムプトローラー、そうい
つた者も入ります。この点は日本の行き方と、アメリカの行き方と違う
ところでありますけれども、
総裁に対して、副
総裁の数が多いという
ところが、アメリカ流の行き方なのであります。それからこれは少し申し過ぎであ
つたかも知れませんが、理事についての任期が
規定してございません。これは
総裁が決めるということであるかも知れませんが……、当然
総裁が決めるということになるのだと思いますが、
総裁と副
総裁の任期は、各々四年とするということが決めてありますが、理事については任期のことも、亦在任についても
規定がないようであります。これはどういうふうにする積りか、特にどうしなければならないということはないと思いますが、疑問とする
ところであります。
それから
職員の地位及び資格というようなことにつきまして、丁度加藤
労働組合委員長から、いろいろ
労働組合側からの見解が出ておりましたが、この
ところの
人事の任免、それから休職にするとか、懲罰にするとかとい
つたようなことは、これは最も公平に、且つ民主的に行わなければならない面でありまするので、やはり
労働組合の方からお出しに
なつたような、一種の
審議会的な、そういう出て弁明をするとい
つたような、機会の與えられる機関がなければならないと思うのであります。それから少し先へ参りまして労働
関係につきましては、
公共企業体労働
関係法というものが、どういう
法律ができるのか私今分
つておりませんので、その点ちよつと
意見も特別には申上げられない次第であります。
第四章の
会計の方へ行きますと、こちらの方では、これは午前もいろいろ御
意見が出たそうでありますし、先程
片岡さんから御
意見が出ておりますごとくに、現在のここに出ております三十六條以下の方では、大体は現状維持的なものでありまして、これでは
財政法の
運用の
能率化というようなことは困難だと思われる節が沢山にあります。先程いろいろ改革の御
意見が出ておりましたような、いろいろな改革、修正をして頂くことが必要だと思うのであります。この中で、運賃の決定
機構というものは、これはやはり最も大事な点でありまして、今日
財政法第三條によりまして、
國有鉄道の運賃は、すべき基本的なものは國会で
審議されるということにな
つておりますが、その欠陷というものは、ついこの間からよく露呈されておる
ところでございまして、即ち政党対立的な、
運営の仕方が根本であります
ところの國会におきましては、運賃のような、非常に大勢の國民に
関係しますようなものは、例えば値上をするとい
つたような場合には、それは非常に値上しにくいことになるのであります。政爭の具に供される。これを見ましても、運賃の値上ということは、政党を代表される皆さんに取
つては、決して選挙区に対して自慢になるような、みやげになるような内容のことではないものでありますので、とかく運賃の改正なり、決定というようなことができなくて、いわゆる
政治的な取引で以て決められるというようなことになりますのと、それから今
一つは、運賃の決定が非常に遅れるということ、最近のようなインフレ進行化におきまして、運賃の決定が非常に遅れることは、運賃なんというものは、値上をします場合に、遡
つて実施することが絶対にできない性質のものでありますので、値上が遅れるということは、それだけ
財政の欠陷を大きくするか、或いは將來の利用者の負担を重くするという結果になるのでありますからして、そういう運賃の決定というものが、公正に敏速に行われるというようなことから、やはり運賃の
審議につきましては、專門的な機関が必要だと
考えるのであります。運賃の決定などは、これはいわゆる第三者的な、公平な
立場に立
つた行政裁判所、運賃に関する專門の
行政裁判所とい
つたような形のものができるのが、これが本筋だと
考えるのであります。イギリスにおいてもそうでありますし、アメリカにおいてもI・C・Cとい
つたようなものは、そういうような
運用が行われておる次第であります。それから私設
鉄道の運賃というのは、これは
國有鉄道の運賃と、事実上非常に関連の深いものでありまして、或る場面におきましては、競爭運賃にな
つておる
ところが沢山あるのであります。
ところが
國有鉄道の運賃だけが國会で以て
審議される、その実質上運賃である
ところの、私設
鉄道の運賃は、國会はノータツチであるというようなことでありますのも、これも不公平な、不便なことなのでありまして、この点もやはり
行政裁判所的な性格を持
つた運賃決定機関というものが、
國有鉄道運賃と共に、一緒に扱うというようなことが必要だと
考えるのであります。その他この
財政制度のことにつきましては、殊に自主的な
運営、
能率的な
運営ができるような、いろいろな新制度というものが必要だと
考えます。それから四十三條におきましては、損益の処理について書いておるのでありますが「
政府は日本
國有鉄道に損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付する。」ということにな
つております。その次の二項におきましては、
一般会計に納付しなければならない、即ちいわゆる
独立採算ではなくして、損失は
政府から貰い、益金は
政府え納めるという
原則が一應とられておるようであります。この
ところで、これは現在のような、インフレーションの、非常な不健全な
経済状態下におきまして、自然こういうことが必要なんだと思うのでありますが、この特別の必要があると認めることにつきましては、殊に
國家の運賃を、國会が握
つているというような場合におきましては、特にこの面が自動的に、運賃を上げないということならば、このために起る
ところの欠陷というものは、國会が
予算として当然交付金を計上するとい
つたような、自動的な操作が行なわれることが必要だと
考えます。それから別に
予算に定める場合を除き、
政府の
一般会計に、益金を納めるということでありますが、この益金を
一般会計に納めるという
原則を立てますからには、益金というのを、非常に嚴格に計算しなければいけないのであります。その
意味におきましは、
從來殆んど行なわれて來ておりませんでした
ところの、原價償却金とい
つたようなものの計算も、ぜひする必要があると
考えるのであります。勿論この益金というものは、最後の剰余の
意味でありましようが、別に
予算に定める多合を除き、というのでありますから、このものは、
國有鉄道の自己拡張
資金とい
つたようなものが、必要なものは先に除かれるということでありますが、順位ははつきりさせる必要があると思うのであります。それから長期借入金、一時借入金とい
つたような名称にな
つておりますが、これも
國有鉄道の
資金、
國有鉄道独自の信用における
國有鉄道の公債のようなものが、発行できるようにする必要があるのではないかと
考えるのであります。イギリスの
運輸委員会におきましては、ブリティツシュ・トランスポート・ストツクという特殊の公債を発行する権限が與えられております。この條文には出ておりませんのですが、
民主化ということに関連いたしまして、一般利用者の声を常に聞いて、そうしてこれを急速に反映できるような
機構が欲しいのであります。
監理委員会は性質上双方出の
代表者を入れることができませんから、或る
程度民主化の任務を負わされるものでありますけれども、利用者の声を常に聞いて、急速にそのうち取入れらるべきものは取入れるというようなことはしかねるのではないかと思うのであります。それにつきまして、やはり各方面の利用者を代表する諮問
委員会のようなものが作られることが望ましいと思います。イギリスにおきましては、運輸の國有化をやりますと共に、中央と地方に運輸諮問
委員会というものを拵えまして、各方面のトランス・ポート・サーヴィス、利用者の
代表者を相当人数入れまして、諮問機関が希望する
ところを常に聞くというような態勢を取
つておるのであります。それにつきまして、今年の一月、イギリスの運輸國有法が断行されますときに、イギリスの
運輸大臣バーンズ氏がラジオを通じまして、全國民に
鉄道國有断行の辞を述べておるのでありますが、その中で一般公衆に対しては、特にこういうことを言
つております。中央と地方に諮問
委員会コンストラクト・コンミツテイを作
つて、商工、運送、労働、地方廳等の
代表者をフルに入れるから、運輸について言いたいことは、すべてこの機関を利用して言
つて頂きたい。イギリスの
運輸委員会というものは、これを通じて公衆の世論とその必要とに常に密接な接触をして行きたいのである。そうしてこれによ
つて、イギリス
運輸委員会というものは、生きたボデーにしておきたいと
考えるのであるからして、諮問機関であるからとい
つて、隅つこの隠居のよう
なつもりで、聞かれたときに言うというような、消極的な態度でなく臨んで貰いたいというような趣旨の演説をいたしております。こういう
意味から、この
法案には何処にも諮問
委員会的のものはできておりませんが、そういう
意味のものが盛り込まれることが、必要かと思うのであります。大体以上の
通りであります。