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川合彰武君 私は、税法及び
徴税事務に関しまして吉田総理
大臣並びに泉山大藏
大臣あるいは
商工大臣に
質疑せんとするものであります。
まず
最初に私が特に強調したい点は、最近は税金恐慌ということが言われております。ことほどさように、課税面におけるところのいろいろな事態が恐慌的な現象さえ呈しておるのでありまするが、この傾向に拍車を入れた場合においては、私は税金革命というような事態が出現することをおそれておるのであります。從いまして、われわれは、救國の精神をも
つて今後の財政並びに税法ということを深く考えねばならぬということを特に強調したいのであります。
そういうような観点に立
つたときにおいて、私どもは、
民自党の財政金融政策、あるいはまた必然的に
吉田内閣の財政政策に対しまして、理論的な欠陷と、また現実の脆弱性を指摘せざるを得ないのであります。
民自党の大会におきまして、その緊急政策として掲げられたうちにおきまして、税法の面においては、間接税中心主義が強調されております。私は、近代税制においては、近代文明國家としては、どこまでも直接税中心主義であらねばならぬというふうに考えております。しかしながら、現在のような敗戰の窮乏経済のもとにおいては、直接税中心主義では、現実に財政問題というものは解決し得られないのであります。從いまして、理論的には直接税中心主義をとるにいたしましても、実際の面におきましては間接税中心主義にならざるを得ないというこの現実は、認めることにおいてやぶさかではないのであります。
そこで問題は、
民自党の政策が間接税中心主義という理論的な主張をしながら、その現実の面においては、間接税の中心をなすところの取引高税においてこれを否認しておるということは、明らかに理論的な矛盾であるという点であります。かような面を指摘する限りにおいて、私は、
民主自由党の税制の面におけるところの理論の貧困を指摘せざるを得ないのであります。從いまして、
民主自由党の單独
内閣である
吉田内閣の税制というものは、かかる矛盾に対してどういうような考え方をも
つておるか。
また同時に、私はせんだ
つての
委員会において、
吉田首相より直接に現存の税法というものは非常に困難に逢着しておる。——税金革命というような言葉によ
つて表わされる通りにおいて、現行の税制によ
つては、とうてい税收入の増加は期待し得られないのであります。そこで
吉田内閣は、今回の六百三十億と称せられるような追加予算において、約二百億の所得税の水増しをしようというようなことを言
つております。こういうようにいたしまして、現行税制では、とうてい税收入の増加が期待されない。もし、これ以上に税收入の増加をはからんとするならば、苛斂誅求を通り越して、税金革命を勃発するような事態を憂慮せざるを得ないのであります。
かかる見地に立つときに、私どもは、どうしても税法の全面にわた
つて根本的な改革をせればならぬというように考えるのであります。わが
社会党は、かかる面において用意をも
つておりまするが、こういうような面において、
吉田内閣はいかなる方針を持
つておられるか、これを、総理がおられませんから、副総理である林國務
大臣から承りたいと思うのであります。私は、税法という根本的な問題でありまするので、どうか党というような精神を離れまして、誠意あるところの
答弁を要求してやまないのであります。
同時にまた、現在のいろいろな苛斂誅求、あるいは税金革命というような事態が指摘せられる原因は、
徴税事務の面において、いろいろな不備があるということを、私たちは指摘したのであります。そこで、一番問題とな
つておりますのは査定の不公正であります。しかも、今回の十月の修正申告の更正決定にあたりましては、繊維品の中小業者に対しては四倍三分、あるいは中古衣類の業者に対しては四倍三分、また料理飲食店に対しては五倍、あるいはまた旅館に対しては四倍というような、前年に比較して少くとも三倍以上の課税にな
つております。なるほど、マル公は上
つたでありましよう。しかしながら、購買力の激減からいたしまして、取引高はむしろ減少しております。かかる際に、こういう三倍、五倍というような課税が行われているという点において、私は
徴税事務の欠点を指摘せざるを得ないのであります。
かかる点において、今後適当な課税をいかに行わんとするか、この点、大藏
大臣の誠意ある御
答弁を要求してやまないのであります。
さらに、私どもとしまして特に深く関心を拂
つておりますのは、いずれ來年の三月ごろになりますと、再び更正決定に対するところの
異議申請というような問題が起
つて参ります。ところが、この
異議申請に対しまして、最終決定を行うまでに相当の日時を要するのであります。從いまして、私どもは、
異議申請が出た場合においては、少くとも一箇月あるいは四十日の範囲において税務署からそれに対する最終決定のない場合においては、
異議申請のそのものが認められるというような制度を考えてはどうか、この点に関する大藏
大臣の所見はどうか、これを承りたいと思うのであります。
さらにまた私どもは、現在の税制におきましてかなり問題と
なつたところの法人税の改正を、芦田
内閣のもとに行いました。ところが、この法人税の課税の実行にあたりまして、徴税上の不備欠陷というものを指摘したいのであります。すなわち私たちは、大きな会社に対して脱税のあるという事実、しかも最近におきましては、静岡縣におきまして、大
昭和製紙という大きな会社が数億円の脱税をしている。しかも、この会社の経理顧問は
民主自由党の代議士であります。かかる点から察しますならば、大会社における経理顧問によ
つて、かなりの脱税が行われているのではないか。幸いに、各財務局あるいは税務署に査察部というようなものが設けられて、脱税の摘発に努めておられるようであるが、こういうような政治的
関係からして、大きな会社に対しては脱税の余地があることを認めながら、脱税そのものを認めているのではないか、こういう点に関して、大藏
大臣はどういうような措置を講じているか。
それとは
反対に、小さな会社の例においては、こういうような
実情があるということを申したい。すなわち小さな会社においては、あたかも個人所得の査定と同じように、税務署の推定に基く、すなわち帳簿その他は一切否認されまして、そうして税務署の査定に基いて法人税が賦課されるというような
実情にな
つているのであります。こういうようなことは明らかに不合理である。言葉をかえて申しまするならば、先ほど申しますように、大きな会社に対しては脱税の余地を認めながら、小さな会社に対しては、会社の申告を否認して、それに対して天くだり的な課税をしているというこの
実情に対して、大藏
大臣はいかなる指導をなし、またこの現実に対して、どういうように考えられているか、この点に対する所見を承りたいと思うのであります。さらに、しばしば問題になるのでありますが……。