○榊原亨君 私は、新
自由党準備会を代表いたしまして、本案に
賛成するものであります。
元來私
どもは、
内閣総辞職の場合、必ず在野第一党が
首班を握るべしという
吉田総理の
憲政常道論とは、その
意見を異にしておるものであります。すなわち、
首班の指名を受けんとする者は、
首班選挙に先だち、まず大体組閣後の
施政方針を
議員の前に明らかにすべきものであり、これに基き、各
議員がその当時の現実の國情を勘案して、正しい判断のもとに
首班選挙を行うべきものと信ずるのであります。しかるに、先般の
首班選挙におきましては、
吉田総理は在野第一党の総裁が当然
首班の指名を受けるべきものとし、組閣の
方針をも、
施政の
大綱をも示さないで、是が非でも自分を選挙せよというような、きわめて封建的な
態度を示されたのであります。
私は、今ここで
憲法解釈上の相違を論議をするものではないのでありますが、少くとも一方において、組閣の前に
施政の
方針を明確にすべしという見解がある以上、今日の政情から見ましても、はたまた
政治の円満運営上よりいたしましても、ただちに
施政方針を明確にすべきは
首班の当然の
義務であると
考える次第であります。
施政演説はやるにはやる、そのうちにやるというのでありましては、是が非でも試験に及第させろ、試験の答案はそのうち出すというのと同じでありまして、そのりくつに合わないことは、小学校一年生といえ
どもよく了解し得るところと信ずるのであります。(
拍手)
民主自由党は、在野一年有半、すでに諸般の政務につきましては的確なる御調査を終えられ、
施政の実際につきましても確固たる
方針をも
つて組閣せられたことと信じているのでありますが、それにもかかわらず、この際
施政方針を明示できないと言わるることは、おそらくそれは、予期せざる、
政府のいわゆる諸般の事情が出て來たことと存ずるのでありますから、
政府はこの際、その
理由を率直に開陳すべきものであると思うのであります。今その
理由を明らかにせずして、そのうちに
演説をやるの一点ばりを主張せられるならば、一つには、
政府は確固たる
方針なくして組閣せられたものであり、二つには、
内閣は
とつたものの、在野当時の公約を実現できず、やむを得ず
議会を
解散に導き、
解散直前に、一方的、
独善的の
施政方針演説を行い、
野党の
質問を封ぜんとする党略的の企図であると断ぜられても、いたしかたないと信ずる次第であります。(
拍手)
私
どもは、
吉田総理を選挙したものでありますが、かように
施政の
方針のきま
つておらなかつた
首相を選挙したということになると、單に私
どもの
責任上よりいたしましても、全
國民に対して、まことに申訳ない次第と存ずるのであります。
わが党といたしましても、現
内閣に対しては、
民主自由党多年の公約である
取引高税の
廃止、料理飲食店の
再開、主食
供出後の
自由販賣、輸入物資以外のマル公の
撤廃並びに自由経済の確立等を実行されるならば、積極的に現
内閣を支持することを、組閣直後に申したのでありまするが、
吉田内閣の
性格が明瞭でない以上、わが党の
態度につきましても、やむを得ず
野党的立場をとらざるを得ないことを、はなはだ遺憾とするものであります。
先刻來しばしばお話がありましたように、
國家公務員法の及ぼす範囲はきわめて廣汎であります。
給與の問題、
予算問題、さらに
施政の全般に通ずる大体の
施政方針を明らかにしない限り、單独に
国家公務員法のみを
審議するのは、群盲象を探るの類でありまして、
吉田内閣の
要求は、あたかも砂上に樓閣を築くにもひとしいものであると断ぜざるを得ないのであります。
吉田内閣が砂上の樓閣として倒壊することは御自由でありまするが、少くともわれら
國民は、その下敷となることだけは、ぜひともごめんこうむりたいと存ずるのであります。
以上、わが党といたしましても、ただちに
吉田総理の
施政方針演説をされんことを要望し、本案に
賛成する次第であります。(
拍手)