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1948-11-18 第3回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年十一月十八日(木曜日) 午後四時四分
開議
出席委員
委員長
武藤運十郎
君
理事
明禮輝三郎
君
理事
河井 榮藏君
理事
小松 勇次君
理事
石田 一松君 大上 司君 尾崎 末吉君 古島 義英君 足立 梅市君 佐竹 新市君 前田
種男
君 小野 孝君
椎熊
三郎君 田中 健吉君
宇都宮則綱
君 寺崎 覺君 徳田 球一君
委員外
の
出席者
昭和電工
に関する問題について
出頭
した
証人
野田岩次郎
君
市村寅
之
輔君
—
——
——
——
——
——
——
本日の
会議
に付した事件
証人出頭要求
に関する件
昭和電工
に関する問題 —
——
——
——
——
——
——
武藤運十郎
1
○
武藤委員長
これより
会議
を開きます。 本日の
理事会
において決定せられました
事項
を御報告申し上げて、
皆さん
にお諮りいたしたいと存じます。 第一、昨日行われました
笹山
君の
証言
につきましては、偽証の疑い濃厚な部分がありますので、
速記録
の調査その他の
手続
をいたしたいと存じます。御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
武藤運十郎
2
○
武藤委員長
ではさよう決します。 第二、來る二十四日、二十五日の両日午前十時より
栗栖赳夫
君、
二宮善基
君、
日野原節三
君、
藤井孝
君の四名を
証人
として当
委員会
に
出頭
を求め、
証言
を求めたいと思います。但し
檢察廳
と打合せの上、
出頭
困難なる場合には、当方より所在に出張して
尋問
をいたします。出張する
委員
は
委員長
に御一任を願います。右御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
武藤運十郎
3
○
武藤委員長
ではさよう決します。 本日
出頭
の
証人
は
野田岩次郎
君、
市村寅
之
輔君
の両名であります。御
両君
とも昨日御
出頭
になりまして
宣誓
をせられましたが、念のため本日も
宣誓
を求めます。
証言
を求める前に各
証人
に一言申し上げます。 昨年十二月二十三日公布になりました
昭和
二十三年
法律
第二百二十五号、議院における
証人
の
宣誓
及び
証言等
に関する
法律
によりまして、
証人
に
証言
を求める場合には、その前に
宣誓
をさせなければならぬことにな
つて
おります。
宣誓
または
証言
を拒むことのできるのは、一般の人については、
証言
が
証人
または
証人
の
配偶者
、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族、及び
証人
の後見人、または
証人
の後見を受ける者の、刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある
事項
、あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき
事項
に関するときに限られ、
医師
、
歯科医師
、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、
弁理士
、
弁護人
、
公証人
、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあ
つた者
については、その職務上
知つた
事実であ
つて
黙秘すべきものについて、
尋問
を受けたときに限られております。右以外には何人も
宣誓
または
証言
を拒むことができないことにな
つて
おるのであります。なお
証人
が正当の理由なくして
宣誓
または
証言
を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、且つ
宣誓
した
証人
が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることにな
つて
おるのであります。一應このことを御
承知
にな
つて
いただきたいと思います。 それでは
法律
の定めるところによりまして、
証人
に
宣誓
を求めます。お手もとに差上げてある
宣誓
君を御起立の上、朗読してください。 〔
証人野田岩次郎
君各
証人
を代表して
宣誓
〕
武藤運十郎
4
○
武藤委員長
御
署名
、御
捺印
を願います。 〔各
証人宣誓書
に
署名捺印
〕
宇都宮則綱
5
○
宇都宮委員
本日私は一身上のことについて
釈明
をこの
機会
にさしていただきたいと思うのですが……。
武藤運十郎
6
○
武藤委員長
それでは十分以内くらいで発言を許します。
宇都宮則綱
7
○
宇都宮委員
先般來たまたま
新聞紙上
に私の
名前
が出るのであります。それは
復金
の
融資
を受けて、その
融資
の金を私が利用費消したというような
新聞
をたまたま見るのでありますが、私は
復金
から
融資
を受けたことはないのであります。但し、
大分縣
の第一区に
保戸島
という
遠洋漁業
の島がありますが、そこの
零細漁民
が、
戰爭中
に百艘からの
遠洋漁業
の
まぐろ船
があ
つて
、それが戰爭に徴発されて一艘もなくな
つて
しま
つた
というので、昨年
來水産局
に参りましてこの船の
建造
及び
企業認可
を申請するということにつきましては私は非常に盡力をいたしてや
つたの
であります。ところが、
復金
から金を借りることについても零細農民なるがゆえに
手持
の金がないのであります。そこで私に
手持金
を何とか工面してくれないかと言うので、私は
自分
の
不動産
を担保に入れて二百万円の金を融通してや
つたの
であります。それを資金として
保戸島遠洋漁業
というものは千五百万円の金を本年の五、六、七月の候に借り出しまして、現在船を三艘
建造
中であります。そのうち一艘
エホ丸
というのが、ここに
進水
の
写眞
もありますが、三箇月ほど前に
進水
をしまして、すでに艤裝を凝らして、ここ二、三日のうちに出漁の
準備
が完成いたしております。よく聞きますと、一艘の船が艤裝できるまでには約一千万円の金が要るそうでありますが、
エホ丸
というのはすでにそういう
準備
ができております。その他百トン級の船がさらに二艘
建造
中でございまして
外板
を張
つて
いるそうでありますが、千五百万円の金でも
つて
、なんでも
新聞
を見ますと、私が使込んだ金が九百万円からあるようなことを書いてあるのであります。これは諸君もみな御
承知
のごとく、
復金
の金が本年四、五月から出まして
建造
にかかりますと、鉄材、木材が七割五分の
マル公
の
値上げ
にな
つて
いるのであります。そこで私の世話したところの
保戸島遠洋漁業
のみならず、
復金
から
融資
を受けたところの、こういう
事業
をや
つて
いる者はみな実は行詰
つて
いるのであります。それは七割の
値上げ
によ
つて
全部が行詰
つて
いるのでありますが、幸いに
遠洋漁業
の組合は着々として進行している。それをどういう
意味
においてか、
檢察廳
及び
新聞社
が私の
名誉毀損
をするべくというか、その意思が那辺にあるのかわかりませんが、今や
議会解散
も眼のあたりにあるときにあた
つて
、非常に
名誉毀損
をや
つて
いるのであります。私は
保戸島遠洋漁業
には
不動産
は貸してありますが、一銭の金も一厘の
運動金
も今日までもら
つた
ことはないのであります。私が
不当財産
の
委員
でなければ別にここに立
つて
釈明
する必要はないのでありますけれども、
自分
が
不当財産
の
委員
をしている
関係
上、特にこの
機会
に何ら
関係
のないこと、ただ私が
不動産
を貸して出発をさせたという
関係
はあるのでありますけれども、
運動金
であるとかその他の名目によ
つて
、
復金
から
融資
を受けたところの金については一厘一銭たりとも私は
使つた覚え
もなければ借りた
覚え
もないのでありますから、この
機会
に
釈明
をいたしたいと思うのであります。 —
——
——
——
——
——
——
武藤運十郎
8
○
武藤委員長
それでは
証人調べ
をいたします。
野田
さんから先に
お話
を伺いますから、
市村
さんはそのままその場でお待ちください。 まず
野田
さん伺いますが、あなたの経歴を簡單に述べてください。
野田岩次郎
9
○
野田證人
大正
七年
三井物産株式会社
に入社しまして、その年にアメリカに参り、
日米貿易
、それから
米國
と中國との
貿易
に從事いたしました。大震災の年ですから
大正
十二年かと思いますが、よしまして、一、二年ほかの
貿易事業
に携わりまして、
日本綿花株式会社
に入りましてやはり
日米貿易
、
米國
と中國との
貿易
に從事いたしました。
爾來大体ニユーヨーク
にありましてときどきこちらに帰
つて
参りました。それから
ニユーヨーク
にジヤパン・コツトン・アンド・シルク・カンパニーという
会社
が設立されまして、私が
社長
になりまして、やはり同じ
貿易
に從事しておりました。最後には
戰爭中
第二の
交換船
で帰
つて
参りました。それから
日綿実業株式会社
、これは大体纖維の
貿易
の
株式会社
でありますが、そこの
渉外部長
をつとめて、それから二十一年の一月に
株式会社整理委員会
、
財閥解体
の
仕事
が始まるというので、そちらの方に参りまして今日に至
つたわけ
であります。
武藤運十郎
10
○
武藤委員長
持株会社整理委員会
ができる前に
準備委員
というものができましたか。
野田岩次郎
11
○
野田證人
はい。
武藤運十郎
12
○
武藤委員長
準備委員
は今の
委員
と同じですか。
野田岩次郎
13
○
野田證人
設立準備委員
は現在の
委員
とは違います。当時は
中根貞彦
、私
野田岩次郎
、
笹山
、
岡田重吉
だと思います。それから飲島
幡司
、
大森洪太
、
脇村義太郎
、
義濃部亮吉
、さように今
覚え
ております。ただいまはそのメンバーが違
つて
おります。
武藤運十郎
14
○
武藤委員長
そうしますとただいまとは違いますけれども、当時は
準備委員
がそのままほんとうの
委員
にな
つたわけ
ですね。
野田岩次郎
15
○
野田證人
さようでございます。
武藤運十郎
16
○
武藤委員長
ただ
大森洪太
氏がなくな
つたの
で、一人欠員ということにな
つたの
ですか。
野田岩次郎
17
○
野田證人
大森洪太
氏がなくなられ、
中根貞彦
さんが
追放該当者
になりまして、その次には飲島
幡司
君にお頼みしようと
思つて
お
つたの
でありますが、これまた
追放該当
になりまして、それで当時
常務委員
で行こうと
言つて
おりました
笹山忠夫
君が
委員長
に
就任
されたのであります。
武藤運十郎
18
○
武藤委員長
当時の
準備委員
というのはだれが選んだものですか。
野田岩次郎
19
○
野田證人
当時の
準備委員
と申しますのは、私の知
つて
おります限りでは、
中根貞彦
さんが多分
大藏大臣
に頼まれて、
財閥解体
の
仕事
を引受けることに一旦きまりましたが、その後
財閥解体
の
仕事
は
銀行並
の
仕事
ばかりだと
思つて
お
つた
ところが、そうではなくてほかの
仕事
もやらなければならないというので、
銀行家
以外の
実業人
も入れようというような氣運になりまして、
中根貞彦
氏が物色し、同時に
大藏省
がその
関係
でありましたので、
大藏大臣
の方でも物色されたようであります。同時に
司令部
の方でも各
方面
から人を物色されて、
言論界
、
学者グループ
、
学識経驗
のある者を各界から探しておられたようであります。それで結局は
中根貞彦
の
推薦
によるもの、
大藏省
の
推薦
によるものと、
司令部
の方でこれはどうかと
言つて
きめたものもあると思います。
武藤運十郎
20
○
武藤委員長
あなたはだれの
推薦
ですか。
野田岩次郎
21
○
野田證人
私は
中根貞彦
氏のあつせんによりまして、
澁澤大藏大臣
の
推薦
で
司令部
の方へ出されたことと思います。
武藤運十郎
22
○
武藤委員長
笹山忠夫
氏はだれの
推薦
ですか。
野田岩次郎
23
○
野田證人
笹山
さんは多分
澁澤藏相
の
推薦
だと
思つて
おります。
武藤運十郎
24
○
武藤委員長
日野原節三
氏とはどういう
関係
で知合いになりましたか。
野田岩次郎
25
○
野田證人
私が
日野原節三
氏に初めて会いましたのは去年の三月二十四、五日だと思いますが、
昭和電工
の
社長
を承諾したということで
委員会
に見えたときに、
笹山委員長
に紹介されて初めて知りました。
武藤運十郎
26
○
武藤委員長
その後はどういう
つきあい
をしておりましたか。
野田岩次郎
27
○
野田證人
その後は別に個人的な
つきあい
もいたしません。
委員会
に來られるときには大体
事務当局
及び
委員長
の
方面
に
会つて
おられまして、私は大体
渉外関係
で外へ出て飛び歩いておりますので、
あまり会
つて
おりません。
武藤運十郎
28
○
武藤委員長
昭和電工
の森前
社長
がやめまして、その
あと
に
日野原節三
氏が新
社長
として
就任
をせられたのでありますけれども、その間の
事情
を詳しく述べてください。
野田岩次郎
29
○
野田證人
森前
社長
に
笹山委員長
から
辞任
の勧告をいたしまして
——
私はそこに同席はいたしませんのでその
模樣
は
あと
で聞いたのでありますが、それからその
あと
で今の
残り
の
重役
の方が
市村
氏を中心として
会議制
で行かれるというような話を、私は
委員会
で聞いておりました。それから、これは総
司令部
の話になりますが、私どもの
関係
いたしておる
司令部
の係は、
経済科学部
反トラスト・
カルテル課
でありますが、そこに
制限会社監督
、それから
財閥関係
の
監視
、
役員就退任
の
監督
、
監査審査
をいたしておりまするサーヴエランス・ブランチというものがありまして、それは
監視課
とでも訳しますか、そこの課長の
ザイビユラ少佐
という人が、森氏の
辞任
のことも
言つたの
でありますが、同時に当時
残り
の
重役
の方で
会議制
で行かれるような話を聞きましたので、その旨を
ザイビユラ少佐
に話しておきました。ところがそのときに、
責任者
がないのじや困るだろうかというような話があ
つた
ように記憶いたしておりますが、私も、
委員会
もそのつもりでありますが、諸
会社
の内部のことは
会社
の方が一番よく御存じでありますし、人事に突つ込みますと、泥沼に足を突つ込んだようなもので、よければいいが惡ければまた非常にたいへんなことになるのでありまして、できるだけ
消極的方針
をとりたいという希望を持
つて
おりました際でございますから、いずれにしてもそれだけのことはきめておきました。そうしましたところ三月の半ばでございましたか、十五、六日であ
つた
かと記憶しますが、ある日
栗栖
氏が
委員会
に見えまして、私と
笹山委員長
とでお会いしました。ついでに申し上げますが、その時に私は初めて
栗栖
氏に紹介されてお会いしたのであります。そのときに
栗栖
氏が言われるのには、
司令部
の方で
復金
、
興銀
の方に
後任社長
を選べという
指示
があ
つた
、ついては三人の
名前
を
候補
として選んでこれを
司令部
に持
つて
行つた
。多分
ザイビユラ少佐
と思いますが、持
つて
行つた
。その時に言われたことは、その寫しを
持株整理委員会
の方へ置いておいてもらいたいということなので、ここに
寄つたの
であるという
お話
でした。その
リスト
には
信越化学
の今井、
保土ケ谷化学
の磯村、
日本水素
の
日野原
という三人の
名前
が載
つて
おりました。私
自身
は、はなはだ遺憾でありますが、
化学工業
の方には一向に
知識
もございませんし、人物も知りませんので、それについては別に意見は述べないでわきで聞いておりました。
笹山委員長
が言うのには、
経理
の問題が
一つ
きつかけにな
つて
森氏がやめたというようなことがあるので、むしろ
会議制
でや
つて
おいて、ぜひ必要ならば
経理担当
の
重役
でも入れてや
つた
らどうだと
栗栖
氏に
言つたよう
に記憶しております。
社長
をすぐに見つけようとい
つて
もなかなか骨だ。それでそのときに三人はどうして選んだのかということを
笹山委員長
が聞いたように記憶しておりますが、そのときに
栗栖
氏は、
司令部
からこの
社長
を選べと言われたときに大体
わく
が與えられた、その條件というのは、
財閥
に
関係
のない者、それから
化学工業
に
経驗
のある者がよろしい、それからあまり老年ではいけない、できるだけ働ける者、その言葉は英語で言われたように思いますが、ノツト・ツー・オールドというような話だ
つた
と記憶しております。それから、やはり
昭和電工
は大きい
会社
であるので、
社長クラス
の人というような
わく
が與えられたので、それに合せるのはなかなかむずかしいが、ここにある三人の
名前
を書いて來たのだというような話でありました。それで、
栗栖
氏い
わく
、
経理担当重役
を入れるということについては
自分
の方からももちろん話すが、
機会
があ
つた
らなばあなたの方からも話しておいてもらいたい。こういうことで会見を終りました。それからその
経理担当重役
を入れていいのではないかということを
ザイビユラ少佐
及び
整理委員会
の
オブザーバー
でありまする
バークレー・ヘンダーソン
氏に話してみましたところ、なかなか聞きそうにもありませんでした。それで、帰
つて
参りまして
笹山委員長
に、なかなか
経理担当重役
を入れるだけでは
承知
しそうにもないということを報告して、そのままにな
つて
おりました。それから私はほかの
仕事
をしておりまして、事実今のように
社長選任
のことなどは私
自身
にもわかりませんし、やるひまもないので、これは
企業方面
をよく知られておる
笹山
氏にそのことは一任して、何も私はいたしませんでした。ところが、私が見ましたところでは、事務所に一、二回
二宮
氏、
日野原
氏が見えたようでした。そうして、
ちようど委員室
にソフアーがありますので、そこで話をしておりましたのですが、私は机の方におりましたところ、呼ばれるので
行つて
みましたら、それが
日野原
氏で、その人の顔ならばこのうも見たわけでありますが、
社長就任
を承諾するということになられたので、そういう返事を今持
つて
來られたので紹介するということで、初めてそのときに私が紹介されたわけであります。それからほかの
委員
も紹介されたと思いますが、それが二十五日。その前に
栗栖
氏の
リスト
を持
つて
來られたのが十五、六日でありました。それから
経理担当重役
くらいではどうだ。そう
言つて
おりましたことはさつき申し上げた
通り
でありまするが、それから一週間くらい遅れましてから、二十二日か一日でございましようか、
ちようど委員会
の
オブザーバー
の
部屋
が六階にありました。そこに
ザイビユラ少佐
と
委員会
の
オブザーバー
であります
バークレー・ヘンダーソン
氏がや
つて
参りまして、突然
社長
をやはり入れなければいけない、さつ
そく社長
を入れることの
手続
をとるべきであるというような
意味
の話がありました。そのとき
笹山委員長
と私と二人で、そのときは初めから
会つたの
でありますが、申したことはこれは
笹山
さんが主として言
つた
ことでありますが、
社長
をなかなか急に選ぶことも困難であるから、そういうふうにぜひやれという
指示
であるならばいたし方がないからやるが、しばらく待
つて
もらいたい。もう少し愼重に檢討したいというような
意味
のことを申しましたら、とにかくいま一日、二日延ばす必要は全然ない。それだけ待
つて
もいい者がみつかるかどうかはわからない。至急やれというような
意味
の話がありました。それでは努力しようということにな
つて
、
笹山
氏が
二宮
氏と会
つた
ような話であります。私はそこにおりませんから知りませんが、その後
笹山
氏がその問題を担当されたのであります。それから
昭和電工
の
重役
の方にも
笹山委員長
から話があ
つた
ように聞いておりまするが、その折衝には私は入
つて
おりませんので正確には存じません。それから二十五日に今申し上げた
通り日野原
に紹介されて、二十六日に
笹山委員長
が
昭和電工
の
重役
の方に話をするということでありました。それから三月二十六日は
ちよいちよい來
ておる
オブザーバー
もまた夕方來たようでありまするが、そのときに
笹山委員長
が出て來て、なかなか
重役
の方も
承知
しないと
言つたの
か、あるいは話がむずかしいと
言つたの
か
覚え
ませんが、とにかく
オブザーバー
に
会つて話
の
模樣
をしたように記憶しております。 それからそのときもまた二十八日の
総会
はぜひやらねばらなぬというような
意味
のことと、それから
日野原
氏を
社長
とするように今の
重役
の方に
推薦
することは、
司令部
の
指示
として
言つて
よろしいかということを確かめに
笹山
氏が
行つたよう
でありました。そうしてそれはよろしい、その
通り
だということで、さらにむしろ激励をしておりました。それから三月二十八日の
総会
と思いますが、
総会
にこちらからは
永井部長
そのほか一人が
出席
をし、それから
委任状——
その当時も
つて
おりました
議決権
が約八万五千株くらい、パーセンテージにして一ポイント七くらいになると思いますが、それの
議決権
の
委任状
を出した。そうして
自分
も
出席
したと報告して参りました。これが
日野原
氏が
社長
になるまで私が知
つて
おる大要であります。
武藤運十郎
30
○
武藤委員長
そこで二、三ただいまお述べにな
つた
中から伺いたいことがあるのですが、
司令部
の方から
興銀
と
復金
へ、
昭電社長
の
後任候補者
三名を選ぶようにと
言つて
参りましたのは、だれか
言つて來
たのですか。だれか
行つて
聞いたわけですか。その点は
栗栖
氏からお聞きになりませんか。
野田岩次郎
31
○
野田證人
それは聞きませんでした。だれがどこへ
行つた
か全然そういう話はございません。私は
栗栖
さんがその
リスト
を持
つて
行かれたと
思つて
おりました。
武藤運十郎
32
○
武藤委員長
いや、そうではないのであ
つて
、
リスト
を持
つて
行かれたのは
栗栖
さんであるようですけれども、その
リスト
をつくるように申されたのはだれですか。
野田岩次郎
33
○
野田證人
それは私は存じません。
武藤運十郎
34
○
武藤委員長
向う
からそう
言つて來
たのか、こつちから
行つた
ときに
言つたの
かわからないですか。
野田岩次郎
35
○
野田證人
それもわかりません。
武藤運十郎
36
○
武藤委員長
さらに三人の
リスト
はだれとだれが相談をしてつく
つた
か知りませんか。
野田岩次郎
37
○
野田證人
いや私はそれは存じません。話は聞きましたけれども、事実
知識
はも
つて
おりません。
武藤運十郎
38
○
武藤委員長
いつどういう話をだれから聞きましたか。
野田岩次郎
39
○
野田證人
その三人の
リスト
をつく
つた
というのは、私が聞きましたところは
二宮
さんと
末廣
さんが考えたというような
お話
をその当時は私は知りませんでしたが、今年にな
つて
知りました。
武藤運十郎
40
○
武藤委員長
だれから聞きましたか。
野田岩次郎
41
○
野田證人
それは
笹山委員長
だと思います。
武藤運十郎
42
○
武藤委員長
会社
の方では
日野原
氏を
社長
にすえることについては非常な
反対
をしたそうではありませんか。
野田岩次郎
43
○
野田證人
それはそういうふうに伺
つて
おります。当時はその間の
事情
はよくわかりませんでしたが、
あと
でそういうふうに聞きました。
武藤運十郎
44
○
武藤委員長
当時
市村
なども参りまして、いろいろ
末廣
、
二宮
、
笹山
氏と
会つて
、その由を話して
反対
をしたというようなことについて御存じありませんか。
野田岩次郎
45
○
野田證人
末廣
さんと
二宮
さんとに
昭和電工
の方がお会いにな
つた
ことだとか、そういう間の交渉は私は
一つ
も
関係
がなくて、
笹山委員長
がや
つて
おりまして、別に報告もございませんので、当時は
一つ
も知りませんでした。
武藤運十郎
46
○
武藤委員長
司令部
との連絡はあなたがもつぱら当
つて
お
つたわけ
ではありませんか。
野田岩次郎
47
○
野田證人
当時私が
委員会
ができますときから
渉外
の方をや
つて
おりました
関係
上、
通訳
その他訓練をしてはおりましたが、まだまだ間に合いかねましたので非常に忙しくはございましたが、何もかも一切合財や
つて
おるような形でありまして、
あと
は一人二人の者が
行つて
お
つた
にすぎません。
武藤運十郎
48
○
武藤委員長
三月の二十六日に
市村
氏が
末廣
、
二宮両君
を同道して
笹山
氏をたずねて
お話
をしたときに、あなたは全然知りませんか。
野田岩次郎
49
○
野田證人
はあ、私は全然そこにおりませんでした。
武藤運十郎
50
○
武藤委員長
その際に
司令部
の方から人が來たということでありますけれども、その人がだれであ
つた
か、どういう話をしたか等についてあなたは何も知らない……。
野田岩次郎
51
○
野田證人
いや、それは知
つて
おります。
司令部
から來られたのは
部屋
が別にな
つて
おりまして、私はその
人たち
とその
オブザーバー
の
部屋
で話をしてお
つたの
だろうと
思つて
おります。そういうふうに記憶しております。その
司令部
の
人たち
は電工の方と
委員長
が話しておられるところには
行つて
おらないようでありました。
武藤運十郎
52
○
武藤委員長
森氏をやめさせること、
日野原
氏を
就任
させること等はすべて
司令部
の命令であるというふうに
笹山
氏など
はつ
きり
言つて
おるのですけれども、そうですか。
野田岩次郎
53
○
野田證人
さようでございました。
武藤運十郎
54
○
武藤委員長
そういうことについては
持株整理委員会
の方ではどうすることもできないわけですか。
野田岩次郎
55
○
野田證人
そういうふうな
はつ
きりして提示があの場合のようにぽんと出て参りますと、もう何ともいたし方がございません。
武藤運十郎
56
○
武藤委員長
三月三十一日ごろ
司令部
で
ザイビユラ
氏らと
日野原
、
市村
、中村、
藤本等
の
昭電重役
が面会をした際にあなたはそこに立ち
会つて通訳
を勤められたことがありますか。
野田岩次郎
57
○
野田證人
三月三十一日
総会
後数日ですから、三十一日と思います。ただ
市村
氏は前によく話を聞いておりましたし、一回か
委員会
でお会いしまして顔も
覚え
ておりましたが、ほかの
重役
の方の
名前
と顔とは一致して
覚え
ておりませんので、そのときに來られました
重役方
の
名前
は
はつ
きり
覚え
ておりませんが、とにかく数人、新
重役陣
であると記憶しておりますが、行かれまして、私が
司令部
に
行つて
お
つた
らたしか電話がかか
つて
來て、
皆さん
がいらして、それで廣い
部屋
で
ザイビユラ少佐
のところで新
重役陣
として御紹介いたしました。
武藤運十郎
58
○
武藤委員長
それではあなたはあらかじめこの
人たち
と
一緒
になるわけではないのであ
つて
、ほかの用事で先に
行つて
お
つたわけ
ですか。
野田岩次郎
59
○
野田證人
私は三十一日には、よく記憶しませんが
一緒
に
参つた
かもしれませんが、あるいは先に
行つた
かもしれません。そこは
はつ
きりいたしませんが、紹介をしたことだけよく
覚え
ております。
一緒
に
委員会
から同道しましたか、あるいは
向う
でお会いしましたか、私は
はつ
きりいたしませんが、とにかく
ザイビユラ少佐
に御紹介したことだけは
はつ
きり
覚え
ております。
武藤運十郎
60
○
武藤委員長
そのときの話の内容は大体においてどういうことですか。
野田岩次郎
61
○
野田證人
話の内容はきわめて簡單でありまして、こういう廣い大きな事務所で、
向う
のすみの方に
ザイビユラ少佐
と、当時のサーヴエーランス・ブランチのほかの人が二人ばかりおりましたが、
ザイビユラ少佐
に対して、
日野原
氏とほかの
重役
の方が三人か四人おられて、それから
市村
さんがおいでにな
つた
と思いますが、
日野原
氏を紹介し、それからその
名前
をその当人から
言つて
いただいて、この方はだれだれ、この方はだれだれ、そういうふうに紹介いたしました。最後に
市村
さんを御紹介いたしました。
武藤運十郎
62
○
武藤委員長
それだけですね。
野田岩次郎
63
○
野田證人
私最近の
新聞
や何かで見ましたので思い出しましたが、そのときに
市村
さんはオールド・デイレクターとか
言つて
私が紹介をしたということを
新聞
に書いておられるのを拝見いたしまして、なお記憶を新たにしたわけであります。私が紹介しました言葉をよく考えてみますと、まずきわめて簡單でありまして、
昭和電工
の総合で選任された新
重役陣
を御紹村する、そしてミスター
市村
のところに参りまして、ミスター・イチムラ・ヒー・イズ・アン・オールド・デイレクター、この方は前から
昭和電工
におられる方、新しいぽつと出の
重役
でなくて、
経驗
のある方というような
意味
でアン・オールド・デイレクターと申しました。それからアン・オールド・デイレクターと言
つた
から、何だかへんにオールドとかニユーとかいうようなふうに考えられるとおかしいので
——
おかしいというのは、何だかオールドというと年をと
つた
ようなふうにも聞えますので、ヒー・イズ・ノツト・オールド、ヒー・イズ・ア・オンリー・フレシユ・マンと
言つたの
であります。むしろそういうような言葉は非常にぶつきらぼうな、紹介のときに使
つた
あいきようとでも申しますか、
一つ
のコンプリメントで、むしろ
市村
さんは
経驗
のある方だ、新
重役陣
でも前からおいでになる方だというような
意味
で言
つた
と思います。それだけでその場は
ザイビユラ少佐
以外の方に御紹介したかどうか
はつ
きり
覚え
ませんが、
ザイビユラ少佐
に紹介したことだけはよく
覚え
ております。
武藤運十郎
64
○
武藤委員長
それから明けて四月の三日に同じく
司令部
でヘンダーソン氏と
日野原
、
市村
、中村、松本、藤本、鎌田そういう人が面会した際に、やはり
通訳
をなさいましたか。
野田岩次郎
65
○
野田證人
やりました。
武藤運十郎
66
○
武藤委員長
そのときの話の内容はどういうことですか。
野田岩次郎
67
○
野田證人
ちようどその
通訳
をや
つた
というのは、四月三日は日本側は休みでありました。日本側は祭日でありましても、
司令部
は働いております。それで私は非常に忙しく、ほとんど一人で朝から晩までかけずりまわ
つて
おりますので、日本側の休みのときに
司令部
があいておりますので、今までたま
つた
仕事
などはゆつくり話せますし、片づきますから、よく日本側が休みのときには
司令部
に
行つて
おります。四月三日もちようどその
通り
でございまして、その大きな
部屋
でほかの
人たち
と話をしておりましたところが、ひよつと
日野原
氏が入
つて
來られて、私もや
あと
あいさつをかわしました。それから、今日はどうしてこちらへいらつしや
つたの
ですか。なかなか休みの日には日本人もありま
司令部
には行かないものですから、そこへひよいと飛び込んで來たので、むしろ、私もびつくりした形でありました。これは
バークレー・ヘンダーソン
にあいさつしたいというつもりで入
つて
來た、こういう話であります。それからヘンダーソン氏は当時の課長のカフエラー大佐の所にいるようでございますからそうですかというので、ミスタ・ヘンダーソンと呼んで、
日野原
氏があいさつに來たのだということを言いました。ああそうか、それではちようどいい都合だからお前もここへ來てひとつ
通訳
をしてくれぬかと
言つて
、むしろヘンダーソンが私を連れて
行つた
。ヘンダーソンの小さな
部屋
に入りまして、そのときに
日野原
氏及び
重役
の方が
一緒
にそのヘンダーソンの
部屋
にお入りにな
つた
と記憶いたします。それからヘンダーソン氏に対して
日野原
氏が
重役
の方を紹介して、紹介するときにはもちろんまた私が行
つたの
でありますが、おのおの
皆さん
の
名前
を紹介しまして、そうして
就任
のあいさつを
日野原
氏がや
つた
ように記憶しております。そのときに
バークレー・ヘンダーソン
氏が
日野原
氏に向
つて
、あるいは
皆さん
に向
つて
かと思いますが、日本の肥料の増産は非常に重大事である。だからみんな大いに励んでもらいたいという話をいたしまして、私はそのまま、その
通訳
をいたしました。それから、それではどうもありがとうというようなことで、
皆さん
が外に出かけようとしますとヘンダーソンが
日野原
氏を呼び止めました。ちよつと待
つて
くれ。それでそのままほかの
重役
の方は外に出られて、ヘンダーソンが
日野原
氏だけをそこに呼びました。そして何を言うかと思いますと、私はその
通り
忠実に
通訳
をいたしましたが、今言
つた
通り
に肥料の増産は日本の経済にと
つて
きわめて重大である、お前は
司令部
の承認を得て
社長
にな
つたの
であるから、これから
昭和電工
についてはよかれあしかれ
司令部
はお前を
責任者
とする、だから一生懸命にやれ、同時に森の勢力は排除しろというようなことを言いました。それから、それが唐突に出てきたので、私は
通訳
をしながらむしろ奇異の感じがしたのでありますが、そのとき、そう言いました。それから
日野原
氏は、その前のことはよくわかるが、
あと
の森勢力の一掃というのは、どういうところまで行くのだろうかというような話でありました。技術屋も何もそういうことになると皆森勢力ですというような話がありました。それは森勢力とい
つて
も、技術家とか、
仕事
にぜひ必要な人はもちろんしようがないが、森の色の濃い者という
意味
だけであるというように言われたと思います。それから
日野原
氏は、ああそうですか、ちよつともう一ぺん連れて來た人でありますからと
言つて
、二人だ
つた
と思いますが、二人を連れて入
つて
來ました。それからヘンダーソン氏は、その
人たち
はたけかと聞きましたら、この人はたれたれで、第一何部長、工務部長か工場長か、それからこの人は第二部長もしくは工場長というようなことを言
つた
と記憶しますが、こういう人は技術家であります。ついてはこの前でもう一ぺん今の森糸一掃の話をしてくださいと
言つたよう
に記憶いたしております。そこで、その
人たち
の
名前
と顔は私はよく
覚え
てはおりませんけれども、要するに
日野原
類がそういうことを
言つたの
で、もちろんそのときには多分その
人たち
の前で森勢力の一掃ということを
日野原
氏がその
人たち
にも
証人
として聞かせようというような
意味
ではないかと存じております。それでその
人たち
の
名前
と役名を
日野原
氏が
言つて
、皆ひとつよろしく頼むとヘンダーソンが
言つて
、そこでそのまま別れたのではないかと思います。そのときにほかの
重役
の方が入
つて
來られたかどうか、多分入
つて
來られなか
つたの
ではないかと思います。それが四月三日の話であります。
武藤運十郎
68
○
武藤委員長
そのときに工務部長はきめたのですか。
野田岩次郎
69
○
野田證人
そのときにきめたのではなくて、そうだと
言つて
日野原
氏の方が紹介したのであります。その役名をきめたというのは
日野原
氏がこれはだれだれです。これは何々だと
言つて
紹介したのであ
つて
、ヘンダーソンも知るはずがありませんし、私も存じませんので、ただそれは
日野原
氏がこうこういう人はこういう役だと
言つたの
であります。
武藤運十郎
70
○
武藤委員長
あなたは昭電側の
日野原
社長
その他から金品の贈與を受けたとか、あるいは饗應を受けたとかいうことはありませんか。
野田岩次郎
71
○
野田證人
金をもら
つた
ことは一度もありません。また持
つて
來たこともありません。品物は酒二、三本、二、三回です。それから牛肉を少し私の祕書と寄宿をしておりました世田ケ谷のうちに持
つて
來たことがあります。それからほかに何かないかと今度は
新聞
でやかましくな
つたの
で、私は今そこにおりませんものですから、一應確かめに
行つて
見ましたところが、当
人たち
はそれくらいのものだ、ほかには
覚え
ておらぬという返事でありました。その当時は物をもらうということはいけないからと、いずれにしてもお断りするように私の寄宿先には
言つて
おりましたが、その牛肉を持
つて
來たときなどは、お断りをしたにもかかわらず、ほうり出して逃げて帰るようなかつこうで持
つて
來たそうであります。それから何かほかにもら
つた
物はないかと聞きましたが、これは今申し上げた
通り
に
はつ
きり
覚え
ぬという話であります。饗應を受けたと申しますのは、ご飯を食べたことが一、二回あると思います。その時期は
はつ
きり
覚え
ませんが、
昭和電工
の川崎工場を見せてもらいましたときに、東京の郊外の方へ連れて行かれてそこでご飯をいただきました。
あと
一回ぐらいと思います。別にしよつちゆう会う必要もなし、個人的に知
つて
いるわけでもありませんので、饗應を受けたのはそれくらいのものだと記憶しております。
武藤運十郎
72
○
武藤委員長
何か福島縣の方へ
行つた
ことはありませんか。
野田岩次郎
73
○
野田證人
福島縣の方へは
行つた
ことはございません。
武藤運十郎
74
○
武藤委員長
飯坂温泉か東山温泉に
行つた
ことはありませんか。
野田岩次郎
75
○
野田證人
一ぺんも
行つた
ことはありません。私はまだ飯坂温泉も東山温泉もどこにあるか知りません。
武藤運十郎
76
○
武藤委員長
最後に、あなたは
戰爭中
に海運省で嘱託みたいなことをして、おりましたか。
野田岩次郎
77
○
野田證人
私が
交換船
でアメリカから帰りまして、海軍省で外務省のニユース・プリンテイング等を飜訳するのに人がいるから、ひまのときに手傳
つて
くれんかという
お話
がありまして、運軍省の依頼によ
つて
、イギリス版のニユース等を日本語に飜訳いたしましたが、別に辞令もいただきませず、
宣誓
もいたしておりませんので、嘱託という役名になりますかどうか知りませんが、いずれにしてもそういう
仕事
はいたしておりました。その時期は終戰前までだと思います。
武藤運十郎
78
○
武藤委員長
諸君お尋ねになることがございますか。
河井榮藏
79
○河井
委員
持株会社整理委員会
としては、その管理しておる昭電の
社長
をとりかえるということは非常に重大なことですが、
日野原
氏を
推薦
されるのに
栗栖
氏が持
つて
來たことだけによ
つて
あなたの方で、
笹山委員長
なりあなたなりが直接
司令部
に行かれてヘンダーソンさんにその点を確かめられたようなことはないのですか。
野田岩次郎
80
○
野田證人
確かめませんでした。
河井榮藏
81
○河井
委員
これは非常に重大なことだと思いますが、單に
復金
からの
推薦
だけによらずに、
持株会社整理委員会
として直接念のためにお尋ねになるのがほんとうだと思いますが、それはどうですか。お尋ねになるほど必要がないと
はつ
きりしてお
つたの
ですか。
野田岩次郎
82
○
野田證人
いや、そうではありません。私といたしましては、
栗栖
氏がその
リスト
を持
つて
参りましたときには、
復金
に対する
司令部
の命令であ
つて
、しかも大債権者の
復金
、大きな
融資
をしております
復金
が、その人選の衝に当
つた
ことは、むしろ適当ではないかというふうに考えておりました。
河井榮藏
83
○河井
委員
ですけれども昭電に対する
監督
は直接あなたの方が責任があるわけです。
復金
は債権はも
つて
おりましたけれども、昭電に対する
監督
権はないわけですから、
監督
するのは
持株会社整理委員会
が
監督
する。そのあなたの方がそういう重大に人事について直接お尋ねにならないというのはどうですか、
復金
で
推薦
するという順序はとりましても、あなたの方でこれはあなたの方の
仕事
なんですから、なぜ直接にお尋ねにならなか
つたの
ですか。
野田岩次郎
84
○
野田證人
それは
経理担当
の
重役
を入れるぐらいではどうかというような
お話
をいたしまして、それではいけないということにな
つたの
で、
笹山委員長
に私どもは依頼をして
二宮
氏、
栗栖
氏なんかと相談に乘られるようにな
つたの
であります。もちろん人事は重大ではありますが、その人選につきましては
復金
が責任をも
つて
おるのでありまして、私どもといたしましては
復金
の
推薦
により、それからそれを
司令部
がアプルーブしているものならば、これは受入れるよりほかはないだろうと
思つて
おります。
河井榮藏
85
○河井
委員
そうすると直接尋ねるほどのこともなく
はつ
きりしてお
つた
というわけでお尋ねにならなか
つたわけ
ですね。
野田岩次郎
86
○
野田證人
いや、
はつ
きりしおるというのは、どういう
意味
でございますか。人選が
はつ
きりしているという
意味
でなくて、その三人の者のうちから、だれかが選ばれるということでありまして、私といたしましては、今井さん、磯村さん、
日野原
さんという方は、聞いてみれば、ことに前者の二人の方は有名な方だそうですが、それはむしろ
委員長
に一任してお
つた
ら、企業に明るい方であるから、そのうちからいい人を選んでくれるだろうと
思つて
お
つたの
であります。
河井榮藏
87
○河井
委員
私どもとしては、その人選については、たとい
復金
からの
推薦
があ
つて
、そうして
ザイビユラ少佐
からの
推薦
があ
つた
にしても、その人選の責任はあなたの方にあると思うのですが、その任命についてはどういうふうにお考えですか。選考は
復金
でやられたにしても、
司令部
がやられたにしても、それをいよいよ昭電の
社長
にするという任命については、あなたの方に責任があると思うのですが、それはどういうふうにお考えなんですか。
野田岩次郎
88
○
野田證人
その人選は大体
復金
に
指示
されておるのでありますから、そのままにして通したわけであります。
河井榮藏
89
○河井
委員
その責任はどうなるのですか。どうもそこが選考と任命することとは違うと私らは思うのです。選考はそういうような順序で
復金
なり、あるいは
ザイビユラ少佐
から
推薦
があ
つた
としても、あなたの方がそれを承諾されて任命されなければいかぬわけですね。その任命はあなたの方にあるわけだと思いますが、それでさしつかえないと
思つて
任命なさ
つたの
ですか。
野田岩次郎
90
○
野田證人
任命は私の方にあります。
河井榮藏
91
○河井
委員
そうですね。
野田岩次郎
92
○
野田證人
任命と申しますのは、つまり
昭和電工
の総合の決議
事項
として提出するという……。
河井榮藏
93
○河井
委員
そうそう、そういう
意味
です。
野田岩次郎
94
○
野田證人
さようでございます。
河井榮藏
95
○河井
委員
そうすると
日野原
氏が今日のような状態を引起したことについては、その任命については非常におもしろくないことにな
つたわけ
ですな。少し責任をお考えになりますか。
野田岩次郎
96
○
野田證人
事実今日のような状態になりましたことは、きわめて遺憾に感じております。しかしながら私といたしましては、私に與えられた
仕事
を忠実に行
つたの
でありまして、このような場合に特にその責任を私がとるということにはならないと思います。なぜとなれば、こういうものをアポイントしろと言われました場合はこれをなさざるを得ないのでありまして、どうしてもその当時是と信じまして忠実に
行つた
ことであります。
河井榮藏
97
○河井
委員
それではもう
一つ
お伺いしますが、この
持株会社整理委員会
の第一條では、持株
会社
または指定者の所有する有價証券その他の財産を讓受け、これを管理処分して持株
会社
の整理を促進するということが目的ですか。
野田岩次郎
98
○
野田證人
はい。
河井榮藏
99
○河井
委員
そういうふうに持株
会社
の有價証券その他の財産を分散することによ
つて
企業の支配力を民主化するというのが確たる目的でありまして、物の面においての分散を目的とするということが第一條にあると思うのですが、人事に関しまして干渉してそれをやるということは、この條文では見られないように思うのですが、その点はどういうふうに御解釈になりますか。
野田岩次郎
100
○
野田證人
私はその
持株会社整理委員会
令の第一條は、もちろん証券その他の財産を讓り受けましてそれを民主化したしますこと、それが企業所有の民確化でありますが、同時に経営の民主化ということもありまして、「処分する等に依り」ということにな
つて
おります。これは英文の方が、おそらくよくその間の
事情
を
言つて
おると思いますが、日本文の方では「等」ということで片づけてあります。英文の方では、証券、その他の財産を讓り受け、それにつき有する
議決権
を行使するということと、そしてほかの措置を講ずることによつと経営の民主化をするということにな
つて
おりまして、財産の処分ということだけには限られておらないように確信いたします。
河井榮藏
101
○河井
委員
そうすると、その他の処置というところに人事の干渉もあるというお考えまのですか。
野田岩次郎
102
○
野田證人
そういう考えです。
河井榮藏
103
○河井
委員
そうすると、ある
会社
の
社長
がおもしろくない、それをとりかえようという場合には、第一條の條文にや
つて
やり得るというお考えなんですか。
野田岩次郎
104
○
野田證人
私は
法律
專門家でありませんから、法理論はよくわかりませんが、第一條がありまして、第九條第三項でございますか、それと第十八條等によりまして、やろうと思えばやれるということにな
つて
おると確信いたします。
河井榮藏
105
○河井
委員
私としてはこの第一條によらずとも、持株
会社
の持
つて
いる讓り受けた株券の
議決権
の行使によ
つて
総会
で任免ができると思うのです。それでやるのがまた正当じやないかと思うのですが、どうでしようか。
野田岩次郎
106
○
野田證人
持株
会社
を含みまして、その他の
会社
につきましても、
議決権
だけを行使する
会社
と、
議決権
を行使する以外に、ほかの方法、権限まで持
つて
いる
会社
と、私の方でや
つて
おるのは二種類でございます。
持株会社整理委員会
で指定された
会社
でありまして……。
河井榮藏
107
○河井
委員
それは八十三社ですね。
野田岩次郎
108
○
野田證人
そうです。
河井榮藏
109
○河井
委員
そのうちには昭電は入らぬでしよう。
野田岩次郎
110
○
野田證人
入
つて
おります。
河井榮藏
111
○河井
委員
そうすると、その特別な権限でおやりにな
つたわけ
ですか。
野田岩次郎
112
○
野田證人
特別な権限もございますし、同時にまた
総会
におきましては、少しではありますけれども、
議決権
の行使もいたしております。
河井榮藏
113
○河井
委員
昭和電工
の場合は……。
野田岩次郎
114
○
野田證人
昭和電工
の場合は両方でございます。
河井榮藏
115
○河井
委員
人事による干渉はどの方法によるわけですか。
野田岩次郎
116
○
野田證人
それは第一條の目的によりまして、第九條第三項でございますか、デイソリユーシヨン
——
解散に至りますまでの業務の執行及び清算の遂行という項がございますが、それによりまして
重役
経営陣の方へ
重役
として入れるように、
総会
に付議するようにということを申した次第であります。それから
総会
では同時にわれわれがも
つて
おりました
議決権
、一・七%も
委任状
付きでや
つて
、それも行使していると思います。
河井榮藏
117
○河井
委員
よろしゆうございます。
足立梅市
118
○足立
委員
一番最初に
市村
さんにお尋ねいたしますが、
野田
さんのおつしや
つた
点とあなたの知
つて
おられる事実との間に相違はありませんか。
市村寅之輔
119
○
市村
證人
野田
さんは森が
経理
面の問題で追放が確定されたとおつしやいましたけれども、これはたびたび私が
証言
いたしました
通り
、
経理
面の記帳が遅れてお
つた
という事実はあります。これは御
承知
の
通り
新旧勘定の分離というような問題が政府から命じられてあ
つたの
でありますから、これが確定しない前には元帳への記帳はできません。一般に言いましても、
株式会社
は大体において十月に締め切れば十一月ないし十二月に
総会
をするのが普通であ
つて
、それを端的に言いますと、元帳の記帳が一箇月ないし二箇月遅れておるのは日本の常態であります。ことに今申しました新旧勘定の分離とい
つた
問題があ
つた
場合には、一月や二月遅れておるのは日本の常態であります。一
昭和電工
に限
つた
問題ではありませんので、これは森を
社長
のいすから追い出さなければならない理由になるとは私は全然考えておりません。この点をまず申し述べます。 それから、
野田
さんも前のことで御記憶が薄れておられるのかもしれませんが、昨日も申しましたように、私は二十数年來の経済人としての生活をGHQのオーダーということでピリオドを打たれたその私でありますので、当時のことを忘れ去ることは私の生涯におそらくないと思います。そこで先ほど三十一日に
ザイビユラ
氏に会
つた
ときに、
野田
さんが私をオールド・デイレクターとして御紹介なさ
つた
ようにおつしやいましたけれども、三十一日の日にはそういう紹介の受け方は私はいたしませんでした。それからまた私は前に
野田
さんにお目にかか
つて
いるように
野田
さんは申し述べられましたけれども、私は前にお目にかか
つて
おりませんので、当日
野田
さんに名刺を差し出しましたら、いやあなたの
名前
はよく知
つて
いるということでありましたので、その点をもう一度
野田
さんの御記憶を新たにしていただきたいと思います。私がオールド・デイレクターとして紹介を受けましたのは、四月三日にヘンダーソン氏に会いに
行つた
ときであります。そしてそれは日本ではたしか休日でありまして、
向う
さんはいつもの
通り
執務をなさ
つて
おられましたが、その二日の日私の
会社
が退けます前に、
日野原
氏から明日の午後三時にGHQにあいさつに行くから、明日は午後出て來てくれということで、出て行きましたので、これはどちらかに連絡があ
つた
ものではなかろうかと
思つて
おります。そして最初紹介を受けまして、私どもが外へ出て、
日野原
氏が一人残
つて
、
あと
から中村君と松本君、これは平取締役ですが、私よりか古い
重役
であります。その
人たち
が呼び入れられて、一、二分もしなか
つた
と思いますが出てこられて、私に松本氏が、
自分
が第二工務部長で、中村君が第一工務部長だそうだと言われたのです。だから
日野原
がそういうふうに紹介したのだというふうに私は聞きませんでした。そしてなおそのときに、先ほどの
野田
さんの
お話
だとしますと、森色を一掃しろと言われたということは、
自分
たちのポジシヨンが第一工務部長であるとか第二工務部長であるとかいうことよりかも、もつと重大な問題であるのに、その点については中村君、松本君から私は一言も聞きませんで、それは
会社
へ帰
つて
から
日野原
君から聞いたのであります。その点が非常に違
つて
いるように私は信じておりますので、
野田
さんの御記憶をもう一度新たにしていただきたいと思います。
足立梅市
120
○足立
委員
野田
さん、何か……。
野田岩次郎
121
○
野田證人
ただいまの
市村
さんの
お話
でございますが、私の記憶は、さつき申し上げました
通り
で別に変
つて
おりません。なお申し上げますが、四月三日に、その
あと
で二人の
重役
の方が入
つて
いらし
つた
ときには一、二分のことだと言われますが、短時間ではありました、数分でございましたでしよう、きわめて簡單なことでありました。それから前に
市村
さんにお会いしていないという
お話
でございますけれども、参りましたあの日は三十一日でありまして、たしかその前に
重役
の方が
委員会
においでにな
つた
ときに、ほかの
重役
の方と
一緒
に
委員
室で一度御紹介にあずか
つて
と記憶しております。私はそういうふうに信じております。
足立梅市
122
○足立
委員
それでは
野田
さんにお伺いいたしますが、本件は三つに分けられるわけでございますが、GHQとの交渉のことですが、
一つ
は森を辞めさせろということがGHQの命令ですね。
野田岩次郎
123
○
野田證人
指示
でございます。
足立梅市
124
○足立
委員
それはだれが受けられたのですか。
野田岩次郎
125
○
野田證人
私が受けました。
足立梅市
126
○足立
委員
いつ受けられましたか。
野田岩次郎
127
○
野田證人
三月の上旬ごろでございますか……。
足立梅市
128
○足立
委員
だれから受けられましたか。ヘンダーソンですか。
野田岩次郎
129
○
野田證人
ヘンダーソンではなく、メイジヤー・
ザイビユラ
です。そのときにメイジヤー・
ザイビユラ
から受けまして、それから
バークレー・ヘンダーソン
にもその旨を確かめました。
足立梅市
130
○足立
委員
その次には、
候補
者を三人出しましたが、その
候補
者の中で一番先にだれが書いてありましたか。
野田岩次郎
131
○
野田證人
それは
はつ
きり記憶いたしません。あまり注意しておりませんので、
名前
だけ
覚え
ておりました。
足立梅市
132
○足立
委員
日野原
、磯村、今井、こういう順序を、あなたは今井、磯介、
日野原
と逆に御説明にな
つたの
でちよつと……。
野田岩次郎
133
○
野田證人
さつき申したその順序は、別にそういうふうに書いてあ
つた
という
意味
じやございません。
足立梅市
134
○足立
委員
しからば三人をきめて、その中で
日野原
という特定をしたのはだれですか。
野田岩次郎
135
○
野田證人
それは私はタツチしておりませんので、その間の交渉は内部面でありまして、全部
委員会
におきましては
笹山委員長
がその
方面
のことを担当しておりまして、私はタツチしておりませんでしたから、だれがきめたかということは
知識
がありません。
足立梅市
136
○足立
委員
それならばGHQの方で
日野原
を
社長
にしろという
指示
があ
つたの
ですか、なか
つたの
ですか。
野田岩次郎
137
○
野田證人
日野原
を
社長
にしろと初めから
指示
があ
つたわけ
ではありません。新
社長
を入れろということが
指示
であ
つた
。そして三人の中から
日野原
という者が選び出されたので、結局それをまた
司令部
がアプルーブいたしましたので、結局
日野原
氏が新
社長
に
推薦
されることにな
つたの
であります。
足立梅市
138
○足立
委員
そうしますと新
社長
に
日野原
を
推薦
するということが、これはGHQの方の命令ではなか
つた
。それでこつちの方でこれは、きめたんだ、こういうことでありますね。
野田岩次郎
139
○
野田證人
いやGHQに
日野原
という
名前
は決定の
あと
で
言つて
おりましたので、
あと
では
日野原
、
日野原
という言葉が言われておりました。
足立梅市
140
○足立
委員
そうするとあなたのお考えは、これはどなたかわかりませんけれども、GHQではすでに
日野原
ということが決定してお
つた
というわけですか。
野田岩次郎
141
○
野田證人
いいえ、それは時期の問題です。三人参りまして、その中で
日野原
というものが決定しまして、それから私が三月二十五日でございますが、紹介されましてからその決定の旨は私の方からも
バークレー・ヘンダーソン
、
司令部
の方に通じましたが、おそらく
復金
の方からも通じているのではないかと
思つて
おります。
足立梅市
142
○足立
委員
それでGHQの方できま
つて
お
つた
というわけですか。
野田岩次郎
143
○
野田證人
いやきま
つて
お
つたの
ではない。そのときにGHQの
バークレー・ヘンダーソン
としては
日野原
の
名前
を知
つたわけ
であります。
足立梅市
144
○足立
委員
大体幾日ごろですか。
野田岩次郎
145
○
野田證人
それが決定しましたのが、私が紹介されたのが二十五日でございますから、その日ぐらいでございましよう。
足立梅市
146
○足立
委員
二十五日。
野田岩次郎
147
○
野田證人
二十五日に
日野原
というものが決定したということが通告されたと存じます。
足立梅市
148
○足立
委員
二十五日に
日野原
は
社長
であるということをGHQの方から委委会の方へ通告があ
つたの
ですか。
野田岩次郎
149
○
野田證人
いや、そうではありません。
——
社長
にしろということをですか。
足立梅市
150
○足立
委員
ええ。
野田岩次郎
151
○
野田證人
いや、
日野原
の
名前
が決定いたしましたので、
バークレー・ヘンダーソン
のところへ持
つて
参りました。それはそれだけに止
つて
おりました。ところが新
社長
を選べということは、それはもちろん
向う
でうんと
言つて
おりますから……。たとえば二十六日に
司令部
の側から参りまして、そして言うときにはもう新
社長
をすえろということは、もう
向う
では
日野原
が
社長
になるものと解釈して
言つて
おる。こういうふうに私は解釈しております。
足立梅市
152
○足立
委員
日野原
氏がなるものと
向う
は
思つて
お
つて
、それから
市村
氏の
会社
側の方でなかなか
日野原
氏を
社長
に迎えることについて言うことを聞かない。それからその次の段階として、それならばGHQの命令として言うてもよろしいかという問合合わせに行かれたのですね。
野田岩次郎
153
○
野田證人
いや行
つたわけ
ではなくて、それはたしか二十六日の
向う
の人が來ておられたように記憶しております。
足立梅市
154
○足立
委員
しからば、スキヤツプオーダーだということを
言つて
もよろしいということを言
つたわけ
ですか。
野田岩次郎
155
○
野田證人
これはスキヤツプ・インストラクシヨンである。それでスキヤツプ・オーダーということを
向う
にも
言つて
いいかというような話が
笹山
氏の方からあ
つて
、それでよろしいと
言つたよう
なふうに記憶いたしております。
足立梅市
156
○足立
委員
そうすると、その時はあなたはお立会いじやなか
つたの
ですね。
野田岩次郎
157
○
野田證人
いや、その時にもちろん私はおりました。
足立梅市
158
○足立
委員
その時は、ヘンダーソン氏と
ザイビユラ
氏と二人お
つて
、そのことを言われたわけですね。
野田岩次郎
159
○
野田證人
ヘンダーソン氏と
ザイビユラ
氏と二人お
つた
と記憶いたしております。
足立梅市
160
○足立
委員
それから、もしも
会社
側の方で言うことを聞かなか
つた
ならば、占領政策違反だということは、どなたの口から言われましたか。ヘンダーソンか、
ザイビユラ
か。
野田岩次郎
161
○
野田證人
占領政策……。それは、いつでございますか。
足立梅市
162
○足立
委員
それはおそらく二十六日じやないかしらんと思いますが、違
つて
お
つて
もかまいません。
野田岩次郎
163
○
野田證人
これを受け入れなければ占領政策違反だとい
つて
はつ
きり言
つた
かどうかよく記憶はいたしません。
足立梅市
164
○足立
委員
それではもしも言うことを聞かなか
つた
ならば、森を二十四時間内に
財閥
に指定しろというようなことは言われましたか。
野田岩次郎
165
○
野田證人
いや、そんなことは聞いておりません。
足立梅市
166
○足立
委員
あなたは
日野原
氏を
社長
にすることについて、GHQへ交渉した、あるいは取持
つた
というようなことは全然ございませんか。
野田岩次郎
167
○
野田證人
絶対にございません。第一、
日野原
なるものの
名前
を知
つて
おりませんでした。
足立梅市
168
○足立
委員
その点だけちよつと念を押しておきたいと思いますが、この
委員会
の第一條の問題で、等という解釈でございますが、そうすると、あなたは、これを何をしてもいいのだ、
議決権
以外の行為をや
つて
もいいのだ。從
つて
首のすげ替もできるのだという
お話
ですね。
野田岩次郎
169
○
野田證人
証券につき有する
議決権
を行使することによ
つて
のみ経営の民主化がやられるというわけではないので、そのほかの措置もとられ得るというふうな権限が與へられて、目的であるように思います。
足立梅市
170
○足立
委員
そうすると、この
議決権
を無視した
昭和電工
の今回の事件は、これは適法であるという
一つ
の御解釈ですね。
野田岩次郎
171
○
野田證人
はい。
足立梅市
172
○足立
委員
そうしますと、日本の商法は全然無視されておる、適用の余地はないのだということになるのでございまするが、そういうふうに解釈しておられますか。
野田岩次郎
173
○
野田證人
私はしろうとでございまして、
法律
のことはよく存じませんけれども、これがポツダム宣言受諾に伴う件に基いて出されました勅令でございますので、そこに規定してありますことは、商法の規定に優先するものではないかと考えて、特に述べてありますれば、そういうふうに考えております。しかしよく法理論のことはわかりません。
足立梅市
174
○足立
委員
皆さん
方の御解釈によりますと、
議決権
という最も民主的な
株式会社
の運営が全然無視されるということに相なりますので、これを無視した規定であるという御解釈は重大な問題である。こういうふうに考えましたので、ちよつと念を押したのです。
野田岩次郎
175
○
野田證人
私がそういうふうに考えましたのは、
議決権
の行使を無視したというふうになるかどうかはわかりません。
議決権
ということはきわめて重大なことでございまして、これももちろん尊重さるべきものだと思います。從
つて
昭和電工
の場合におきましても、われわれが
日野原
氏を
総会
にかけようというようなことを
推薦
いたしまして、その結果、ほかの株主の
議決権
の行使によりまして、もしもその付議
事項
が否決されましたならば、そのときはまた事態が変
つて
來たかもしれないと
思つて
おりまするが、よくその
方面
は、そういう場合にな
つて
みないと、わからないだろうと思います。
足立梅市
176
○足立
委員
それからもう
一つ
別の話ですが、あなたは鹿島組から金品をもら
つた
ことはありませんか。特に本年の春ごろ……。
野田岩次郎
177
○
野田證人
絶対にないと思います。
足立梅市
178
○足立
委員
それならば本年の四月ごろに長崎
方面
に参りましたか。
野田岩次郎
179
○
野田證人
はい、参りました。
足立梅市
180
○足立
委員
それは何の御要件で参られましたか。
野田岩次郎
181
○
野田證人
私は九州の方には北九州の日本製鉄、三菱化成、それから安川電機、八幡製鉄所、福岡におきまして集中排除法の
お話
を商工
会議
所でいたしますことと、それから長崎に三菱重工業造船所、三菱製鋼、川南造船所、この視察を主として参りました。
足立梅市
182
○足立
委員
それではもう
一つ
お尋ねいたしますが、あなたは持株
会社
、あるいは制限
会社
、從属
会社
あるいは
関係
会社
ですか、要するに
持株整理委員会
に
関係
しておる
会社
及びその
関係
人から金品をもら
つて
おるというようなことはございませんか。
野田岩次郎
183
○
野田證人
それはあるいは暑中見舞くらいで、いつも私の家には参りましてもお断りするように家人に言いつけてございますが、暑中見舞くらいに酒の一本くらいは持
つて
來たことがあるかも知れませんが、常軌を逸するような高價な品物を受けた記憶はございません。
足立梅市
184
○足立
委員
もちろん金は……。
足立梅市
185
○足立
委員
金は絶対にございません。
足立梅市
186
○足立
委員
饗應は……。
野田岩次郎
187
○
野田證人
食事は非常に忙しい
関係
上よく飛び歩いて外に出ておりますものですから、晝間お会いすることができなくて、
事情
を話したり聞いたりするやうなことが数回あ
つて
記憶いたしますが、これもはなはだしく常軌を逸するようなところに
行つた
覚え
はございません。
足立梅市
188
○足立
委員
この間
笹山
さんの
お話
では、
持株整理委員会
というものは形式上は日本の機関であるけれども、実質的にはGHQの出店のごとき感のあるものであるということでございましたが、やはりさような運営でございますか。
野田岩次郎
189
○
野田證人
全部最高司令官の指導
監督
のもとにあります
関係
上、や
つて
おりますことは一々承認をとりもしくは指導によ
つて
や
つて
おるような実際で、占領政策遂行の機関とか何とか言われるくらいでございますから、実質においてはそういうふうな傾向があるかと思います。
田中健吉
190
○田中(健)
委員
先ほどの御
証言
をお聞きいたしますと、
野田
さんが最初例の三人のあれを知
つたの
は三月の上旬と言いましたね。
野田岩次郎
191
○
野田證人
中旬です。
田中健吉
192
○田中(健)
委員
それでは私の聞き違いでした、それから
野田
さんは持株
委員会
の副
委員長
……。
野田岩次郎
193
○
野田證人
いやそうではございません、
常務委員
です。
田中健吉
194
○田中(健)
委員
そうすると今、や
つて
おられる
仕事
は
常務委員
のほかに何か別の
仕事
もや
つて
おられるのですか。
野田岩次郎
195
○
野田證人
他の
仕事
はや
つて
おりません。
田中健吉
196
○田中(健)
委員
他の
会社
のお
仕事
でも……。
野田岩次郎
197
○
野田證人
いや、や
つて
おりません。
田中健吉
198
○田中(健)
委員
收入を伴う他の
仕事
をや
つて
おられませんか。
野田岩次郎
199
○
野田證人
それはありません。
田中健吉
200
○田中(健)
委員
そうすると持株
委員会
から受ける收入だけで生活しておるのでありますか。
野田岩次郎
201
○
野田證人
私の收入は、私は大体一人でハウス・キーパーをおいておるくらいで、今の月給で現在は十分であります。
田中健吉
202
○田中(健)
委員
一箇月どのくらいの……。
野田岩次郎
203
○
野田證人
手取一万八千八十円か八百円か……。
田中健吉
204
○田中(健)
委員
それが一箇月の生活費全部だというわけですか。
野田岩次郎
205
○
野田證人
そのほか私の家族は今アメリカにおりますので救恤品や衣類等も送
つて
参りますので、どうにかこうにかや
つて
おります。
田中健吉
206
○田中(健)
委員
ちよつともう一ぺんそこのところを。家内の方がアメリカにおられるわけですか。
野田岩次郎
207
○
野田證人
子供が実業家に結婚しております。それから送
つて
参ります。
田中健吉
208
○田中(健)
委員
それは金銭ですか。物品ですか。
野田岩次郎
209
○
野田證人
物品です。救恤品です。
田中健吉
210
○田中(健)
委員
救恤品を処分して暮しておるとこういうのですか。
野田岩次郎
211
○
野田證人
それは罐詰とか何とかがありますから、まあそこそこにや
つて
おります。
田中健吉
212
○田中(健)
委員
それは一箇月どのくらいになりますか。あなたの手取一万八千円にそれを加えますとどのくらいになりますか。
野田岩次郎
213
○
野田證人
それは平均して送
つて
來るわけではございません。ちよいちよい送
つて
來ますし、またクリスマスのときは送
つて
來るというようなわけで、金額に評價いたすわけには参りませんが、何ならば
あと
で今までの統計をとりましてこれに時價を加えまして差出してよろしゆうございますが……。
田中健吉
214
○田中(健)
委員
救恤品を送
つて
來るもの以外に、たけのこの方が何ぼかありますか。
野田岩次郎
215
○
野田證人
それは前に大分やりました。私は前には月給が少うございまして……、私が
交換船
で帰
つて
参りましたときには衣類その他相当数量、私が
ニユーヨーク
で持
つて
おりましたものはほとんど全部
一緒
に持
つて
帰りましたので、これを処分いたしまして生活の資に充てて参りました。その後
委員会
の給料が上りましたので、今日は今の救恤品と合せましてどうかこうか十分に間に合
つて
おります。
田中健吉
216
○田中(健)
委員
それは大体わかりましたが、なお明細表とでも言うか、そういうものをつく
つて
委員長
の方へお出しを願います。 それから先ほどの御
証言
を聞いていると金銭はどこからも受けておらない。ただ二、三回畫飯を食べた程度だ、こういうことですが、それで間違いないのですか。
野田岩次郎
217
○
野田證人
畫飯でなくて、晩飯です、食事です。
田中健吉
218
○田中(健)
委員
その程度だけですか、それ以外には何もないですか。
野田岩次郎
219
○
野田證人
それ以外には何もありません。
田中健吉
220
○田中(健)
委員
持株
委員会
の
常務委員
の方々がどこかお出かけになるというようなこともあ
つたの
ですか。
野田岩次郎
221
○
野田證人
委員
連中が外へ出て宴会をやるということは今まではございません。ただ前に設立当時でございますか、特殊な機関の特殊性格で、創立当初
司令部
の方をお呼びしたようなことはあると思います。
田中健吉
222
○田中(健)
委員
日野原
氏も含めて
昭和電工
関係
の方々と御
一緒
に何か飲食を伴う懇談でもや
つた
ことはないですか。
野田岩次郎
223
○
野田證人
そういうことは記憶いたしません。
田中健吉
224
○田中(健)
委員
一ぺんもないですか。
野田岩次郎
225
○
野田證人
ないように記憶しております。
田中健吉
226
○田中(健)
委員
きのうの
笹山
さんの御
証言
を聞いておりますと、何か都内二、三の場所に出入りしたことがあるというような御
証言
もあ
つたの
ですが……。
野田岩次郎
227
○
野田證人
川崎工場を見ましたときに、
委員
全員で呼ばれたことはございますが、それはさつき
証言
いたした
通り
でございます。
昭和電工
の方と
委員
と、それから部長もいたかもしれません。
田中健吉
228
○田中(健)
委員
委員
全員が行
つたの
ですか。
野田岩次郎
229
○
野田證人
委員
全員というのは川崎工場を視察に行きました連中でございます。
田中健吉
230
○田中(健)
委員
常務委員
は全員行
つたの
ですね。
野田岩次郎
231
○
野田證人
常務委員
は全員
行つた
と記憶しておりますが、その中に欠けた者があ
つた
かもしれません。
田中健吉
232
○田中(健)
委員
その支拂いはもちろん
会社
でや
つたの
でしようね。
野田岩次郎
233
○
野田證人
それは
向う
が食事を出したのでありますから、
向う
が拂
つた
と存じます。
田中健吉
234
○田中(健)
委員
それから先ほどの
証言
の中に、こまかい問題ですが酒三本くらいということでしたが、それが二、三回ということで、一本ずつの二、三回か、三本ずつの二、三回か、どちらですか。
野田岩次郎
235
○
野田證人
それは一回に一本ずつか、一回に三本ずつか
はつ
きり記憶いたしておりませんし、聞いておりませんが、合計三、四本でありましよう。
田中健吉
236
○田中(健)
委員
そうすると最初のより一本多くな
つたわけ
ですね。
野田岩次郎
237
○
野田證人
三本か四本、そのくらいのところでありましよう。
田中健吉
238
○田中(健)
委員
それはあなたのおとまりにな
つて
いる家の者がこれを受けたのか、あなたが直接受けたのか……。
野田岩次郎
239
○
野田證人
私はおりませんで留守の間に置いて
行つた
そうであります。私は直接受取
つて
おりません。
田中健吉
240
○田中(健)
委員
それは
会社
からですか、
日野原
社長
からですか。
野田岩次郎
241
○
野田證人
いや
日野原
さんからと
言つて
おりますから、
会社
の
名前
は知
つて
おらなか
つた
ようでございます。
田中健吉
242
○田中(健)
委員
大体わかりました。
徳田球一
243
○徳田
委員
ちよつとお尋ねしますが、森みたいに首のすげ替をした
会社
はいくつありますか。
野田岩次郎
244
○
野田證人
持株
会社
では
昭和電工
だけだと記憶しております。
徳田球一
245
○徳田
委員
そのほかの
会社
は……。
野田岩次郎
246
○
野田證人
他の
会社
ではすげ替でなくて、現職を辞職させたというのが
一つ
あるように記憶しております。
徳田球一
247
○徳田
委員
何というのですか。
野田岩次郎
248
○
野田證人
それは
大正
海上だと思います。
徳田球一
249
○徳田
委員
それ
一つ
ですか。
大正
海上の話は承
つて
おります。まだほかに何かありませんか。
野田岩次郎
250
○
野田證人
現識にあるものを退任させたという事例は、そのほかには
はつ
きり記憶いたしておりません。それくらいだろうと思います。
徳田球一
251
○徳田
委員
そうすると
昭和電工
は非常に特異的ですね。
野田岩次郎
252
○
野田證人
そういうことになります。
徳田球一
253
○徳田
委員
ほかにはめ
つた
にないですね。
野田岩次郎
254
○
野田證人
め
つた
にありません。
徳田球一
255
○徳田
委員
そこの原因はどこにあるのですか。
野田岩次郎
256
○
野田證人
原因は前にだれか
証言
したかもしれませんが、森氏の辞職を
司令部
によ
つて
余儀なくさせられたということに始ま
つて
おると考えます。
徳田球一
257
○徳田
委員
いや
司令部
によ
つて
余儀なくせられるくらいの事態ならば、日本國中大分あ
つた
ようですが、そんなものならばざるで運ぶくらいあ
つたの
じやないですか。
野田岩次郎
258
○
野田證人
森
財閥
色というものは二月ごろだと思いますが、ちよいちよい私は反トラスト課で聞いております。
向う
でも調査をしておるということで、何か一應
財閥
的の話になりますと、森
財閥
のごとき
はつ
まり軍需工業の権化だというようなことを
財閥
読本にも書いてありますし新興コンツエルン読本にも書いてあります。そういうような二、三の書物には出ておりますので、これは当方の國民のみならず
向う
の方でもよくわか
つて
おると存じます。
徳田球一
259
○徳田
委員
二月以來そういうような話があ
つた
というのですか。
野田岩次郎
260
○
野田證人
二月ごろだ
つた
と記憶しますが、あるいは一月終りごろであ
つた
かもしれません。それで何か話が出ますと、たとえば森のごとき地方
財閥
、しかも軍需工業の
財閥
というようなことは出ておりました。
徳田球一
261
○徳田
委員
特別に憎まれて特別にこいつはどうにもというようなあれが最初からあ
つたわけ
ですね。
野田岩次郎
262
○
野田證人
なぜ森だけがああいうふうに話題に上
つて
まいりましたか、その点は私はよく了解いたしかねますが、いずれにしても事実はそうなのです。
徳田球一
263
○徳田
委員
しかしもつともつとひどい軍需
会社
が相当たくさんあ
つて
、相当惡辣なことをしたものが
——
何も私は森を援護するわけではないけれども、あれにまさるとも劣らぬものが相当あ
つた
と思います。たとえば中島飛行機のごとき錚々たるものですね。
野田岩次郎
264
○
野田證人
これは
財閥
として十大
財閥
の中に指定されております。
徳田球一
265
○徳田
委員
けれどもあの
残り
の人間を、森色を一切除け、中島色を一切除けということはないでしよう。
野田岩次郎
266
○
野田證人
あります。それは
財閥
同族支配力排除法という
法律
で……。
徳田球一
267
○徳田
委員
それはみんなや
つたの
ですか、たええば帝國銀行、三菱銀行、何々銀行というようにそれはみなもつと大きな威力をも
つて
いる。そういうものは三菱色を除け、三井色を除け、澁沢色を除けとい
つて
みんな除いたのですか。
野田岩次郎
268
○
野田證人
みんな
法律
によ
つて
除いております。 それは実際の運用によ
つて
、追放審査
委員会
、支配力排除
委員会
というものがありまして、これが
法律
によ
つて
第一審、第二審をや
つて
おりますし、それも完成したようでありますから、その
財閥
色はそういうふうな
会社
からはもう排除されたと考えてよいと思います。
徳田球一
269
○徳田
委員
それは今あなた方は完成したと考えておるのですか。
野田岩次郎
270
○
野田證人
いや、それは私の方ではやらない。
法律
上のほかの遂行機関がございます。
徳田球一
271
○徳田
委員
ほかの施行機関があるかもしれませんが、あなたの方で森
財閥
の、いわゆる森色を除いたように、ほかの方も除いておるという大体のお考えですか。
野田岩次郎
272
○
野田證人
大体除いておるだろうと
思つて
おります。
徳田球一
273
○徳田
委員
そうですかね、われわれとしたならば大概みんな下から上
つて
行
つたの
で、上のやつはけ飛ばされたけれども、下の事務員から上
つた
、下の課長か何かから上
つた者
もみなそうじやないかと思いますがね。どこだ
つて
森みたいに森色は全部除けというようなああいうとつぴなことをやられているのは、私は森
一つ
じやないかと思う。そこが重大なのです。どうです。どこを見渡してもそんなのはありません。陰謀はそこにある。その点われわれは今重大な関心を持
つて
調べているのです。
野田岩次郎
274
○
野田證人
それはできるだけ私の知
つて
いるところを申し上げて、眞相の解明に御協力したいと
思つて
おります。ただいま申し上げましたところは、私の知
つて
いる限りでありまして、知
つて
いる限りでは、この問題は陰謀というようなことは絶対にないと信じております。
徳田球一
275
○徳田
委員
あなたの言われるのは、たとえば三菱でも三井でも、その他の
会社
でも、すべて
財閥
色を除くには、ほかの機関があ
つて
やられた、それならば森だ
つて
ほかの機関でやられそうなものだが、森などはどうして特別
整理委員会
でや
つたの
か。
野田岩次郎
276
○
野田證人
普通ほかの機関でやるときには、いわゆる十大
財閥
とい
つて
法律
で指定しなければなりません。そう
財閥
を指定すると、あの立法は罪九族に及ぶという態の立法でありまして、個人の財産はすべて凍結せられて三親等まで及ぶ。それから当人はこの
法律
の有効である間、特別の承認がなければどこの
会社
の
重役
にもなれないというような制限が置かれております。しかしそれは指定家族であ
つて
、森は指定家族には入
つて
おらないので、そういう制限も受けておりません。だからして、森個人を特に三井、三菱等と並べて見ますならば、十大
財閥
の
一つ
として指定されたかもしれませんが、それがないところを見ると、あなたのおつしやる
通り
、森よりももつと有力なものがあるわけでございます。それで有力なものは
法律
によ
つて
整理をされたわけであります。
徳田球一
277
○徳田
委員
あなたは少し考え違いしていると思う。三井、三菱とか罪九族に及ぶというのは、たとえば三菱のなにがしとかかにがしとかの九族に及ぶのであ
つて
、ほんとうから言えばあれはでくの棒でありまして、大した問題じやないのです。それではないにやはり別にスタツフがある。そのスタツフに属する者を森色は全部一掃されていますね。しかしほかの帝國銀行とか三菱銀行とか、
財閥
個人のひな壇にすわ
つて
いるでくの棒以外の経営のスタツフに向
つて
、森的に徹底的に追放されたものがあるか。
野田岩次郎
278
○
野田證人
それが今申の上げました
通り
、
財閥
支配力排除法で、その同家族のみならず、アポインテイールが一掃されているわけです。
徳田球一
279
○徳田
委員
それは森色のように一掃されておりますか。
野田岩次郎
280
○
野田證人
もつと徹底していると思います。
徳田球一
281
○徳田
委員
たとえば帝國銀行とか何々銀行とかいうものの、その事務員だ
つた者
は全部そこへ入れないのですね。
野田岩次郎
282
○
野田證人
そうではありません。事務員はあるけれども、ずつと事務員から上
つて
、過去において上の方にな
つて
おります。しかし必ずしもその事務員であ
つた者
を排除するというわけではなくて、特にその中でも
財閥
色の濃厚であ
つた者
を排除しているのです。
徳田球一
283
○徳田
委員
そうです。たいてい常務とか総務というもので、下から出てきた者までや
つて
いるのではないでしよう。
野田岩次郎
284
○
野田證人
下の課長とか何とかいうところまでや
つて
いるのではありません。
徳田球一
285
○徳田
委員
しかし森色の方は下の方まですぱつとや
つた
。そこに重大な問題がある。
野田岩次郎
286
○
野田證人
森色を一掃せよと言われたときのとり方でありまして、課長までやるとか何とかいうことはヘンダーソンは
言つて
おりません。それは
日野原
氏の裁量によ
つて
やるか、あるいは相談にの
つた
方と話をしてきめられたことであ
つて
、私が知
つて
いる限り、どこのどこまでやれということを特定的に話してはおりません。
徳田球一
287
○徳田
委員
持株整理委員会
が、森と比較してそれほど徹底的にや
つたの
がほかに
一つ
でもありますか。
野田岩次郎
288
○
野田證人
そういうふうに徹底的にや
つて
いなくて、
日野原
氏が内部でそれを……。
徳田球一
289
○徳田
委員
日野原
の責任というのですか。
野田岩次郎
290
○
野田證人
日野原
氏がや
つたの
で、
持株整理委員会
は、そんな課長や工場長までや
つた
覚え
はありません。
一つ
も知らなか
つたの
です。
徳田球一
291
○徳田
委員
そうすると、
日野原
が
社長
としてか
つて
にや
つたの
であ
つて
、あなた方は全然
関係
ないのですね。 〔
委員長
退席、小松
委員長
代理着席〕
野田岩次郎
292
○
野田證人
全然ございません。そのときの
重役
その他の辞職がございますが、私の記憶しているところでは、
日野原
氏が内部で相談をして人事を決定したようです。
徳田球一
293
○徳田
委員
それでは申し上げます。
日野原
はただ
社長
にはな
つた
が、しかし株式をたくさんも
つて
いるわけではありません。彼が
社長
として
仕事
をやるにしても、この株式を実際に動かして役員をきめることが彼の力でできますか。
社長
にはな
つた
かもしれぬけれでも、
重役
は株主
総会
で選挙するのですから。
野田岩次郎
294
○
野田證人
私の聞きましたところでは、
日野原
氏は在來のよく人事のわか
つた
重役
に相談をしてきめられたというようなことを
笹山委員長
に話したことがあるというのです。
徳田球一
295
○徳田
委員
そういう
手続
ではないのです。権力をしよ
つて
そういう力によ
つて
や
つて
いるではないか。その権力を貸したのはあなた方ではないかというのです。問題はそこにあるのであ
つて
、彼がどんな人間を使
つて
どうしたなんということは問題ではない。重要な問題は、何も力がないし、株を持
つて
いるわけでも何でもない。ただあなた方からの入むこみたようなもので、これは本來力がない。これがそういうふうに全部かきまわしたことに対して、あなた方が背景にあ
つて
権力を與えたかいなか。これが重大なんです。そういう事実は絶対にありませんか。
日野原
がか
つて
にや
つたの
ですか。
野田岩次郎
296
○
野田證人
森色を一掃しろという指令を
日野原
氏に申しましたことが契機になりまして、それが実行されたということでございます。
徳田球一
297
○徳田
委員
そうすると、GHQが
日野原
にそういう授権をしたのですね。
野田岩次郎
298
○
野田證人
もちろんそうであります。権力を與えたというよりも、そういうふうなことを
言つたの
であります。
徳田球一
299
○徳田
委員
やれと言
つた
つて
彼に國内法上の力がなければできません。たとえば芦田に、お前徳田を切れて
言つて
も彼は首を切れません。私は國
会議
員として堂々たるやはりあれがあ
つて
、切ろうと
思つて
も切れません。國内法で保障されているものを越えてどうするこうするという命令ができますか。
野田岩次郎
300
○
野田證人
それは経営人のことでありますから、また被雇人でありまして、一種の契約でございますから、解任されたということになるではないかと存じますが……。
徳田球一
301
○徳田
委員
そうすると、
昭和電工
は、GHQの管理工場か、あるいはGHQが指令して行政的にこれを管理している工場ですか。
野田岩次郎
302
○
野田證人
そうではありません。今申し上げましたのは、
日野原
氏が
重役
としまして工場長なり課長なりの首を切
つた
ということは、やはりそこの雇用
関係
から出て來たんではないかと思います。上司が下の者を馘首したということになるだろうと思います。
徳田球一
303
○徳田
委員
しかしこの問題につきましてはトラブルが起
つて
、これは團体協約違反だというので経営協議会で大問題にな
つて
、中央労働
委員会
にかか
つて
、あなたも中央労働
委員会
に行かれたのではないですか。
野田岩次郎
304
○
野田證人
参りません。
徳田球一
305
○徳田
委員
参りませんか。中央労働
委員会
では、これは
日野原
の越権だというので重大な問題にな
つたの
です。
野田岩次郎
306
○
野田證人
それは一向私は存じません。爭動が起
つた
ということは知
つて
おります。しかしその結果その問題が中央労働
委員会
まで持ち出されたというようなことは初耳で、今日徳田さんから初めて伺いました。
徳田球一
307
○徳田
委員
そこで私のお聞きしたいのは、あなたの方はこの
日野原
を入れるということに対しては、GHQの
指示
だと言われましたね。
野田岩次郎
308
○
野田證人
社長就任
についてでございますか。
徳田球一
309
○徳田
委員
ええ、
指示
事項
ですね。
野田岩次郎
310
○
野田證人
向う
のインストラクシヨンでございます。
徳田球一
311
○徳田
委員
日本で言えば
指示
事項
ですね。そういう
指示
事項
をあなたは
総会
に報告するのではないのですか。
野田岩次郎
312
○
野田證人
その場合のインストラクシヨンを
指示
と申しましたのは、ただそういうふうな法的な言葉、使い方で
言つたの
ではございません。
社長
を
就任
させろと言
つた
司令部
の言葉は、われわれの方にそれを
言つたの
でありまして、われわれの方からは
社長
を
総会
の付議
事項
にしてくれと
言つたの
でありまして、これは
指示
事項
として
委員会
令第十八條によ
つて
や
つた
ものではございません。話をして納得されて付議
事項
にされたのであ
つて
、われわれの
委員会
令の
指示
というものではありません。もしも
指示
でありましたならば、
委員
総会
に、定款により承認
事項
として出て参ります。
徳田球一
313
○徳田
委員
それは何ですか、個人的な
指示
なんですか。
野田岩次郎
314
○
野田證人
個人的な
指示
でなくて、われわれの方に対しては
司令部
のインストラクシヨンでありますけれども、われわれの方から
昭和電工
の
重役
の方に
お話
をしたときは、第十八條による
指示
ではありませんで、勧告の形であると記憶しております。
徳田球一
315
○徳田
委員
そうするとあなた方が受けるのは
委員会
が受けるのですね。
委員会
の機関が受けるのであ
つて
、あなた個人が受けているわけではありませんでしよう。
野田岩次郎
316
○
野田證人
個人が受けているわけではもちろんありません。
整理委員会
が受けております。
徳田球一
317
○徳田
委員
委員会
が
一つ
のインストラクシヨンを受ければ、このインストラクシヨンについては、
委員会
にちやんと処置したこと、また処理したことを諮らねばならないじやないですか。あなた個人あるいは
笹山
氏個人がやるというのでは、それは……。
野田岩次郎
318
○
野田證人
笹山
個人あるいは
野田
個人がやるのでは決してありませんで、
常務委員
及び平
委員
の九人を集めまして
委員
総会
で大きな方針をきめまして、これを
常務委員
の方にまかしておりまして、その範囲内では
常務委員
の方で措置をとることができるようにな
つて
おります。平
委員
の方は皆学校の先生や方々の嘱託などをしておられて、一々それをやらなければならぬとすると、常任
委員
のようにそこへ詰めておらなければなりません。だから九人の方は、大阪にもおるし、こちらの学校や、外務省にも
行つて
おるというような
関係
でそれを毎日集めることはきわめてたいへんでございます。朝から晩までそういうような
事項
が起
つて
参りますから、そういうふうなことをやる必要がないように、ある程度のことはやるが、そのかわり十八條みたいなもので、
指示
事項
で
指示
を出しましたときは、その次の
総会
で
委員会
の承認を得る、こういうふうにな
つて
おります。
徳田球一
319
○徳田
委員
そうするとこれは常任委委会には報告してあるのですか。
野田岩次郎
320
○
野田證人
常任
委員会
とい
つて
正式のものではありませんけれども、毎日朝から晩まで顔を合しておりますし、畫のときはいつも
会議
をや
つて
おりますので、それは十分に報告してあります。
徳田球一
321
○徳田
委員
この
日野原
にかえるということは非常に重大な問題ですな。
一つ
の大きな
会社
の、指定されている
会社
の首脳部をかえるわけなんですから、非常に重大な、そしてこれはめ
つた
にないことです、そういう重大なことにもかかわらず、右から左に事務を処理するように委任されてあるのですか。
野田岩次郎
322
○
野田證人
それは定款及び今までの慣習によりまして、いわゆる
指示
事項
、承認
事項
でないものは
総会
には出さない。しかしながら
委員
が集まりましたときに、
委員
懇談会というものがございまして、集まりまして、そこでいろいろな話をいたします。そのときには報告をいたして
皆さん
の御了解を、平
委員
を加えてでございますが、御了解を得ることにいたしております。それでこの問題も三月二十七日の
委員
の懇談会に
委員長
から報告をいたしております。
徳田球一
323
○徳田
委員
そのときに
日野原
という人物は惡くて信用のできがたい人間で、こういう人は遺憾であるということはありませんでしたか。
野田岩次郎
324
○
野田證人
そういうふうな発言は
委員
からはありません。
徳田球一
325
○徳田
委員
脇村義太郎
君がそんなことを言いませんか。
野田岩次郎
326
○
野田證人
脇村
委員
が言われたことは、
日野原
という人はわからぬ、
自分
は知らぬ、ひとつ調査してみよう、こういうことでございます。
徳田球一
327
○徳田
委員
日野原
君が
昭和電工
にかわりましてから、
昭和電工
の復興計画、性質及び
昭和電工
と政府との
関係
の性格はかわりましたね。
昭和電工
よは
自分
で復興はするけれども、これは産業復興公團に皆引継いで、すつかり賃貸する。ところが
日野原
にな
つて
から、多分六月ころだろうと思いますが、その契約を破棄して、すべて
昭和電工
は
復金
から金を借りて、
自分
の権利で、
自分
の所有権で全部やるということにかわ
つて
いるのですね。
野田岩次郎
328
○
野田證人
それは事務係の方へそういうふうなことは來ているかとも思いますけれども、私はその
方面
を担当しておりませんので、実は
常務委員
として見るべきであるかもしれませんが、一人で何もかも見るわけに行きませんので、その実情はよく存じません。
徳田球一
329
○徳田
委員
そういうことは常任
委員
にも諮らず、また
委員会
の
総会
にもかけておらぬのですか。
野田岩次郎
330
○
野田證人
復興計画のかわ
つた
ことですか。
徳田球一
331
○徳田
委員
政府との契約のこと。
野田岩次郎
332
○
野田證人
そんなことは
委員
総会
にかけておりません。
徳田球一
333
○徳田
委員
そうするとあの
会社
は指定されている
会社
でありますか。これは持株
会社
の整理する
会社
でしよう。管理している
会社
ですね。
野田岩次郎
334
○
野田證人
ええ、そうです。
徳田球一
335
○徳田
委員
その管理している
会社
の世質が全然変るのに、これに対して
整理委員会
は知らないんですか。
野田岩次郎
336
○
野田證人
これはわれわれが指定しております持株
会社
は八十三社でございまして、その
事業
も多岐多端にわた
つて
おります。またわれわれの使命は持株的色彩の拂拭ということろにありまして、現業部門がどうなる、こうなる、どういうような復興計画をやるというようなことは、われわれの方では見られないのであります。要するに
財閥解体
というような観点から
持株整理委員会
令というものが出ておりますので、そういう
方面
に重点をおいて業務の
監督
をいたしております。
徳田球一
337
○徳田
委員
そうですか。なら聞きますけれども、あの性格の変
つたの
は、解体さるべき性格から復興して新
財閥
になる計画をしたんですよ。あなた方が整理しなければならない義務を踏みにじ
つて
、彼は再び大
財閥
になる復興計画をや
つて
いる、そういうふうに性格が変
つて
いるんです。この
会社
の……。これをあなた方はさつぱり御存じなくて、飯の煮えたも御存じない。そんなことはおれの
知つた
ことじやない、現業のことだからというのでは
整理委員会
は何をや
つて
いる……。
野田岩次郎
338
○
野田證人
いや、
昭和電工
がそういうような復興計端を
——
整理されるところをさらに拡張しておるというような
お話
でございますが、現業部門を持
つて
おります持株
会社
は別に整理をする、つまりそいつをつぶしてしまうという考えはない。
徳田球一
339
○徳田
委員
いやいやそうじやないですよ。たなたは別な
方面
を
言つて
おる。つまり
昭和電工
は
一つ
のコンツエルン的性格をも
つて
おる。多
方面
に手を出して
財閥
的なものをも
つて
おる非常に大きなもので、これはどうしてもいかぬ。いわゆる反トラスト的にしなければいかぬというのでしよう。だからこれの子
会社
も何でも十一か、十五あるはずだ。これを切らなければならぬ、そうでしよう。だからこれを切らなければならぬのを切る
準備
をしていたものを、みん
なつ
なぎ合わせている、しかもこの
会社
のや
つて
いるのは、政府から金を借りてや
つて
いる。從
つて
このでき上
つた
ものはすべて政府に、産業復興公團にこれをみんな差上げるということにな
つて
おる。だから具体的には産業復興公團のために
復金
から、すなわち政府から金を借りて政府のためにや
つて
いた
仕事
なんです。だから彼らがや
つて
いたけれども、実質は政府の
仕事
をや
つて
いた、政府の委託を受けてや
つた
仕事
です。これが
日野原
にな
つて
から変りました。政府との
関係
を絶ち切
つて
、これまでや
つた
ものがすべて
日野原
の手に移
つて
、すべて
日野原
の計算でやることにな
つた
。だからそれがこれまでの子
会社
の切るべきものを切らずに、これを全部つなぎ合わせたものだから、これは集中排除法とは逆な
方面
に、トラストを形成する
方面
に進んでいるんですよ。そういう重大なことが起
つて
いるのにあなた方全然知らないという、
笹山
君も知らぬという、そういうことがありますか。
野田岩次郎
340
○
野田證人
いや、それは事実、今
お話
になりました子
会社
を、
昭和電工
が持
つて
お
つた
ものをまたつなぎ合わして
昭和電工
がこれを持つというようなことはございません。なぜならば
昭和電工
は持株
会社
でありまして、その保有する支配株、商権というものは、皆知除いてありますので、これ
はつ
けようと
思つて
もつけ得られない。つまりこういうたこの足のような、そんなものは切られつぱなしで、これがくつつくということは今のところありません。
徳田球一
341
○徳田
委員
絶対にないですね。
野田岩次郎
342
○
野田證人
今のところ、今までのその子
会社
が
昭和電工
が持
つて
お
つた
株式を、さらに
昭和電工
が再びこれを手に入れて
自分
の從來の子
会社
をさらに
自分
の支配下に置くということは、今はやれない仕組みにな
つて
おります。
徳田球一
343
○徳田
委員
それならいいです。
市村
君どうです。そういうことはありませんか。
市村寅之輔
344
○
市村
證人 それは
野田
さんのお説のような株式を通じての支配はないかもしれませんが、私どもが経営しております時代には眠
つて
お
つた
会社
が、現在生きておるという例は
新聞
等によ
つて
私も認めておる。その一例は昭榮興業という
会社
がありますが、これは私どものときには全然眠
つて
おりました。現在は生きておると思います。その事実は知
つて
おります。
徳田球一
345
○徳田
委員
それから。
市村寅之輔
346
○
市村
證人 それからこれは私直接ではありません、間接に聞いたのですけれども、鳥巣君が
昭和電工
のか
つて
の子
会社
、今は
野田
さんの言われるようにたこの足のように切られたその
会社
の
一つ
であるが、日本化成でしたか、
昭和
化成でしたか、それは新潟にある
会社
ですが、その
会社
の株式のある数量を賣渡すことの交渉を受けたという話があります。もう
一つ
は
昭和
炭酸という
会社
がありますが、これにたしか丸山二郎君の
関係
の人を專務か何かに入れろということを
日野原
君が
昭和
炭酸の
社長
を呼んで話をして、拒絶をされたという、これだけのことを聞いております。
徳田球一
347
○徳田
委員
それから東北肥料というのは知りませんか。
市村寅之輔
348
○
市村
證人 東北肥料は
昭和電工
の
関係
会社
にな
つて
いたかどうか知りません。あすこに
昭和電工
の人が大量に幹部に
行つて
おります。
徳田球一
349
○徳田
委員
行つて
おりますね。事実はそうですがね。そうして政府のものになるべき
昭和電工
が、今や政府のものにもらなず、
日野原
を中心とするこれらの
会社
のものに再びもど
つて
おる。その
会社
は政府のものを賃貸すべき性質のものだ、これは列挙せられておる明らかな指令です。それによ
つて
最初森は復興したのだ。ところがこれが
日野原
になるとただちにそういうように性格が変
つて
來ておる。これに対して
整理委員会
は干渉しておりますか。この問題にタツチしておりますかどうか。
野田岩次郎
350
○
野田證人
その問題には私の方の
事務当局
からは、タツチをしておる、干渉しておるとお言いになりましたか、そういうことは報告も受けておりませんし、また
持株会社整理委員会
といたしまして、そこまでやるべきものであるかどうかということはきわめて疑問であります。たとえ北海道の先から九州の端まで拡が
つて
おります各工場約九万以上の
会社
がありましようが、これらのものの中で八十三社にか
つて
関係
のあ
つた
というものの経営人の移動というようなところまでには、肥料もありましようし、石炭もありましようし、紡績もありましようし工場とい
つた
ら非常にたくさんあります。そういうところまで一々見るというのはわれわれの
仕事
の範囲外であると考えられます。
徳田球一
351
○徳田
委員
そういう指定
会社
はあなた方に
会社
の性質を変更するときに許可を受けなければならぬように定款にあ
つて
、内部の処置のことはあなた方が
監督
するように書いてありますが、この前も聞きましたら、そういう
監督
は大体許可することだ。こういうふうに変更したい、ああいうふうに変更したいというときには、みんな許可を受けなければならぬということを
笹山
氏は
言つて
おりましたが、あなたの方ではこれは重大な問題ですよ、政府の財産になるべきものが
日野原
一派の財産になる。これはあなた、政府に干渉しておることなのですよ。これは内閣の書類にちやんとあるのです。特殊
会社
のあなた方の
仕事
は、これは内閣に報告しなければならないのですよ。
野田岩次郎
352
○
野田證人
事業
報告は内閣へ出しております。
徳田球一
353
○徳田
委員
その報告の中にあるのです。これはちやんとあるのです。そういう性格のかわ
つて
來たということがちやんとある。それをあなた方は、そんなことは知らないと言う。そんなべらぼうなことはありますまい。
野田岩次郎
354
○
野田證人
われわれの出した業務報告でございますか。
徳田球一
355
○徳田
委員
そうです。GHQの指令がかわ
つて
おる。最初の指令と次の指令がかわ
つて
おる。
野田岩次郎
356
○
野田證人
われわれの方の
事業
報告の中にあるかどうか、よく
覚え
ておりません。
徳田球一
357
○徳田
委員
全然知らぬのでね。
野田岩次郎
358
○
野田證人
それはわれわれの方は、そういうふうな操業上の、ある工場がこういうふうにかわるとか、大きくなるとか、小くなるとかいうような詳細のところまでは……。
徳田球一
359
○徳田
委員
そうじやないのです。あの
会社
の性格はかわるのです。大々的に変化する。
野田岩次郎
360
○
野田證人
しかしあの
会社
は性格がかわ
つた
とお言いになりますけれども、
株式会社
でありまして、株主がある。株主がつまりその
会社
を占有しておる。
徳田球一
361
○徳田
委員
それはあなたの常識かもしれませんけれども、私の言うのはそうじやないのです。あの大工場が、これが政府の所有にな
つて
、この
会社
を
会社
が賃借りするものなのです。ところがいまは、
日野原
にな
つて
からは、そうじやなくて、あの
会社
の設備、財産全部を
昭和電工
会社
が持
つて
おることにな
つて
おる。
野田岩次郎
362
○
野田證人
昭和電工
が持
つて
おるということは、
昭和電工
の株主がそれにインタレストを持つということになると思います。
徳田球一
363
○徳田
委員
いやいや、そうじやないのです。この
会社
が、政府のものを賃借する
会社
と、そうじやなくて、政府のものと断ち切
つて
自分
がすべてを全部所有してやるという
会社
とでは、これは性格上違うと言うのですよ。そうでしよう。かりに大事な國家のものを委任経営する
会社
、そうじやなくて、自己経営でやるというのとは、違うじやないのですか。その根本的な性格の違うものを、
整理委員会
がさつぱり知らずにかわ
つた
という法はないと思う。それも
日野原
にかわ
つて
から、すぐにこういう大変化が起
つて
おる。そこに重大なる問題があると言うのです。どうです、そこに重大な問題はありませんか。
野田岩次郎
364
○
野田證人
それは重大な問題であるかもしれませんが、いずれにしても、われわれの常務の
監督
以外に属しておるものと思います。
徳田球一
365
○徳田
委員
全然知りませんね。
野田岩次郎
366
○
野田證人
私
自身
は存じません。
徳田球一
367
○徳田
委員
それならばお聞きしますが、そこで
日野原
がいろいろ不行跡をするようになりましてから、
持株整理委員会
は、この
日野原
のやり方に対して、一ぺんだ
つて
監督
上実際檢査をしたことはありますか。
野田岩次郎
368
○
野田證人
日野原
自身
をですか。
徳田球一
369
○徳田
委員
いやいや、この
会社
をです。
日野原
が経営して後に……。
野田岩次郎
370
○
野田證人
昭和電工
へ要球しておりまする書類は、毎月出して來まする收支予算表、それに実績表、貸借対照表、金繰表というようなものだと記憶しておりまするが、まだそのほかにあ
つた
かもしれませんが、これは一々相手もずつと書いて、小さく掘り下げて來るのではありませんで、大きく数字をあげて参ります。これは毎月参りますけれども、こちらで見ておりますのは、その資産あるいは営業の状態の動きを見ております。それで大きな数字がいくら足りないとか、いくら余るとかいうような、動的な状態を調べて行くのでありまして、毎月その中の勘定科目がどういうふうにかわ
つて
おるかというような
経理
面の檢査はいたす仕組みではありません。
徳田球一
371
○徳田
委員
そうすると大体形式的ですね。報告に大体バランスがとれてお
つて
うまくすつすつと
行つて
おればよいのですね。内客まで立ち至
つて
、いかぬじやないかということまではやらぬのですね。
野田岩次郎
372
○
野田證人
これは内容まで立ち至
つて
調べるフオースもございませんし、そういうふうな機構にもな
つて
おりません。それで、たとえば
復金
の
融資
でございますとか、あるいは工場の復元計画とかいうようなものは、おのおのこれを調べる制度がほかにございます。たとえば商工省でありますとか、あるいは
復金
の幹事会とかいうような制度があるものは、その
方面
にまかしてしま
つて
あるのであります。
徳田球一
373
○徳田
委員
そうすると、あなた方は
日野原
という人間を森君にかえて、これに経営させて、重大なる変化を及ぼしておるのに、
あと
は知らず、存ぜず、ただまああれが
日野原
かというだけですな。無責任きわまるものであると私は思う。
野田岩次郎
374
○
野田證人
そういうわけではございません。一應われわれがやるべきことはいたしておると考えおります。
徳田球一
375
○徳田
委員
しかし、いやしくもあの大
会社
を
日野原
なるものに実際上全権を委託して、しかも政府が二十八億も貸しておるのに、これに向
つて
あなた他はほとんど責任を盡しておらぬように思われますが、どうですか。
野田岩次郎
376
○
野田證人
これは
復金
の
融資
二十八億というようなものは、もちろん債権者といたしまして、
復金
は
監督
機関も持
つて
おりますし、それから
融資
のときには、これを審査する機関も持
つて
おるのでございますから、当然
復金
の方でそういうような面は見るべきものだと考えております。もしもわれわれが各持株
会社
のそこまで行くことになれば、このフオースの何十倍あ
つて
も、とても足りないと考えまして、これは実際的に不可能なことと考えますし、フオースはそこまでは命令しておらないのであります。これはインストラクシヨンによ
つて
やらざるを得ないのです。
徳田球一
377
○徳田
委員
しかし、インストラクシヨンでやるくらいなら、
自分
で責任をも
つて
やらなければならぬ。そこに重大なる責任があると思うが、まあそれでいいです。
石田一松
378
○石田(一)
委員
時間も遅いので、ちよつと簡單にお尋ねいたします。私のお尋ねすることにつきまして、
証人
は説明は必要でありません。イエスかノーか、それだけ答えていただけば結構であります。先ほどの
証人
の
証言
の中に、四月三日、
司令部
で、
日野原
君が、二人の
重役
を
バークレー・ヘンダーソン
氏の
部屋
に呼び入れて、この二人は技術家である。ただいまヘンダーソン氏のおつしや
つた
森系の者を一掃しろということを、この二人の前で
言つて
くれと
日野原
氏が言
つた
と
証言
をなさいましたが、そのときにヘンダーソン氏は、それではあらためて言うが
——
森系を一掃しろということを言
つた
ということの
証言
はありませんが、そのときヘンダーソン氏は、
日野原
氏のこの要求に対して、同じ言葉を繰返しましたか。
野田岩次郎
379
○
野田證人
同じ言葉を繰返したように記憶しております。
石田一松
380
○石田(一)
委員
これはなことに重大なことであると私は思います。ところがその
通訳
をや
つて
いらつしやいまして、しかもあなたの御
証言
によると、森系を一掃しろというような重要な問題であるので、
日野原
氏はこの二人に
証人
にな
つて
もらおうと思
つたの
だという御
証言
があります。それほど重大な問題を、多分ヘンダーソン氏が言
つた
であろうというような御証順は、ちよつと私はふに落ちませんが、言いませんか、言いましたか。
野田岩次郎
381
○
野田證人
言つたよう
に記憶いたします。
石田一松
382
○石田(一)
委員
それでは
日野原
をみんな帰るときにヘンダーソン氏が呼びもどしたのですが、それとも
日野原
自私がみんな出た
あと
残
つたの
ですか。
野田岩次郎
383
○
野田證人
ヘンダーソンが引きとめたのであります。
石田一松
384
○石田(一)
委員
休日である日曜日に、
日野原
氏がヘンダーソンのところに特に行くということは、あなた
自身
も奇異に感じられたそうですが、よほど懇意な間柄か、さもなければ緊急やむを得ない
事情
がなければ、おそらくヘンダーソン氏あたり、アメリカの習慣では、休日にはこうしたことはなさらぬと私は思いますが、これはあらかじめその日に行く約束があ
つたの
ですか、なか
つたの
ですか。
野田岩次郎
385
○
野田證人
私は約束した
覚え
はありません。
石田一松
386
○石田(一)
委員
あなたが休日にいらつしや
つたの
はどういう要件ですか。
野田岩次郎
387
○
野田證人
これはさつき
証言
いたしました
通り
、日本側は休みでありましても、
司令部
は働いております。それでわれわれ日本側の方の事務所の
仕事
はございませんし、
向う
も日本の休日でありますから、日本人はあまり参りませんので、非常にひまでありますから、集積したいろいろな事務をさばくのに非常に便利なわけであります。それで私は日本側が休日で、
司令部
が働いておる日には、大体原則として参
つて
おるのが普通でございました。その日もそういう
意味
で
行つて
おりました。
石田一松
388
○石田(一)
委員
日本側からたくさん人が行かないから相談するのに便利だというそのお言葉は、私もそれを善意に解したいと思うのでありますが、その言葉をもし邪推するとすれば、これはゆゆしいことじやないかと考えるのであります。しかしこれは私の意見でとどめます。そこで今回の
日野原
氏の
後任社長
の問題で、これはスキヤツプのオーダーであるという言葉がたえず使われておりますが、これについては文書としてのオーダーではなく、ほとんど口頭である。こんな重要な問題であり、しかも
会議制
であなたたちがや
つた
方がいいと、オーダーとして強く
指示
されたものを、なぜあなたたち
委員会
は、これを文書によ
つて
オーダーとしてもらう
手続
をとらなか
つたの
ですか。
野田岩次郎
389
○
野田證人
それは当時
司令部
の反トラスト課の運営の差でありまして、当時カフエラー大佐が課長でありました。それからその前にはマツク・ヘンダーソン。
——
それがあすこの創設者でありますが、マツク・ヘンダーソンとカフエラーの時代には、前からのしきたりでインストラクシヨンを書きものにして出すということはほとんどやらなか
つた
。それからウエルシユ氏が三月末着任しまして四月の初めに課長になりましてからは、ちよいちよいメモランダムというような体裁のものが、いわゆる書いたものが出て参りました。
石田一松
390
○石田(一)
委員
それで
日野原
君の
後任社長
の件で、あなたがだれも伴わず、一人で
バークレー・ヘンダーソン
氏とか、あるいは
ザイビユラ
氏に交渉に行かれたことがありますか。
野田岩次郎
391
○
野田證人
私が一人で相談に
行つた
ことはありませんが、いずれにしても
委員会
と総
司令部
との間の連絡
事項
、折衝
事項
は私がや
つて
おりましたので、たとえば今の
リスト
を見せられてから、
経理担当重役
を入れた方がよくはないかというようなことなどを申しますときには、私は一人で
行つた
ときに話をしております。
石田一松
392
○石田(一)
委員
それで一人で
行つた
ときに、
経理担当
の
重役
を入れるということでは絶対にいかぬ。
責任者
を定めるべきであるという返事をお聞きにな
つた
。そのこともあなた一人でお聞きにな
つたの
ですか。それとも
委員会
にあなたが報告なす
つたの
ですか。
野田岩次郎
393
○
野田證人
そういうような強い表現ではありませんでした。つまり
経理担当
の
重役
を入れて済ましてはどうかと申しましたときに、
向う
では、それはいかぬだろう。烏合の衆みたいになるから、やはり
責任者
を置いた方がよくはないかというようなことでありまして、
経理担当重役
を入れるだけではなかなか済みそうにもないということは、
笹山委員長
に報告しております。
石田一松
394
○石田(一)
委員
それでは先の
証言
を調べる必要がある。それは何日ですか。
野田岩次郎
395
○
野田證人
その報告は、その
リスト
を見てから後でありますから、三月十五日ごろから二十日までの間くらいではないかと思います。
石田一松
396
○石田(一)
委員
そうすると十五日から二十日までの間には、
後任社長
を必ず入れろということは、ただいまあなたの
証言
によるとスキヤツプのそれほど強いオーダーでなくして、ただ入れなければ收まらないだろうという程度のものと解してさしつかえありませんか。
野田岩次郎
397
○
野田證人
持株会社整理委員会
と
司令部
に関する限りそうであ
つた
と思います。
石田一松
398
○石田(一)
委員
先ほどあなたは何ら事前の打合せもなく
司令部
にいらつしやいまして、しかも
市村
氏あたりの
通訳
を偶然にいたようにおつしやいますが、
市村
氏は
日野原
新
社長
から、きよう
司令部
にあいさつに行くことにな
つて
いるから、君も來いと言われたので、
司令部
に
行つて
もわれわれは英語ができぬが、
通訳
は連れて行かぬでもいいかと言
つた
ら、
日野原
氏が、
通訳
は
向う
に行けばいるというので、
行つて
みたらあなたが待
つて
いたということを、
市村
氏が
証言
しておりますが、あなたは
日野原
氏と打合せをしたのではありませんか。
野田岩次郎
399
○
野田證人
そういうことは絶対にありません。私は今も申した
通り
、こちらが休みのときに
向う
に行くことにしてお
つたの
で、行くと二人にひよつと会
つた
。
日野原
氏がいかなる意図をも
つて
市村
氏に言われたか存じませんが、
通訳
は
向う
にも二世がおります。
石田一松
400
○石田(一)
委員
それでもう
一つ
お尋ねいたしますが、先ほどあなたの
証言
では維森前
社長
や
市村
重役
に対して、
日野原
社長
を二十八日の
総会
でスムースに決定しなければ森を二十四時間以内に
財閥
指定する、あるいはまた占領違反であるというようなことはあなたはおつしや
つた
ことがない。またこれを
向う
からそういうふうにお聞きにな
つた
こともありませんですか。
野田岩次郎
401
○
野田證人
ありません。
石田一松
402
○石田(一)
委員
それをもし、森氏とかあるいは
市村
氏に二十八日の
総会
で、
日野原
を
後任社長
にしないならば森を二十四時間以内に
財閥
の指定にするというようなことを、あなたたちの
委員
の中で言
つた
人があ
つた
としたらば、これは全然スキヤツプのオーダーでも何でもないものを虚構の事実を
言つて
前
社長
並びに
市村
氏あたりを脅喝したと判断してかまいませんか。
野田岩次郎
403
○
野田證人
そういうふうなことを言
つた
かどうか存じませんし、また脅迫したかどうかということは私は一向そこにおらなか
つたの
で存じません。
石田一松
404
○石田(一)
委員
実は
市村
証人
は、詰め腹を切らされたこの日に、たしか
笹山委員長
も言
つた
と思いますが、男泣きにその場で泣いておる。しかも社へ帰
つて
からも、占領違反があるとか、あるいはまた前
社長
を二十四時間以内に
財閥
指定をするとかいうことを言われ、しかもこれはスキヤツプのオーダーで絶対にやれと相当強硬な意思をも
つて
詰め寄られた。そういう言葉がなければあくまでも
社長
をやめさせない。われわれもやめないつもりであ
つた
。こういうことを
言つて
おりますが、あなたはそういうことを一切
通訳
として他の
委員
におつしやらなか
つた
とすれば、この言葉を
言つて
いる
委員
が他にあ
つた
とすれば、これは全然
自分
の考えで、スキヤツプのオーダーでも何でもないものを、あるいはまたその係のヘンダーソン槇やあるいは
ザイビユラ
氏からそのことを聞きもしないものを、
自分
の判断でそれを強行した言葉であると私は判断したいと思います。これは私の意見ですから
証言
は結構であります。 もう
一つ
お尋ねします。川崎守之助という方を御存じですか。
野田岩次郎
405
○
野田證人
川崎守之助という人は、川崎定徳会という同族
会社
がありますが、それに
関係
しておる川崎ならば、たしか去年の九月以後でございましよう。十月ぐらいに一ぺん
委員会
に見えたことがあると思います。
石田一松
406
○石田(一)
委員
この川崎守之助という人は、いわゆる第百銀行、川崎銀行の当主であります。その方を御存じですか。
野田岩次郎
407
○
野田證人
川崎守之助でありましたか、顔と
名前
とはよく一致して
覚え
ておりませんが、
委員会
に來られたかもしれません。
石田一松
408
○石田(一)
委員
アメリカにもいらつしや
つた
方ですが……。
野田岩次郎
409
○
野田證人
それなら川崎守之助さんでしよう。
石田一松
410
○石田(一)
委員
相当英語が達者です。
野田岩次郎
411
○
野田證人
その方は今顔を
覚え
ておらぬくらいでございます。
石田一松
412
○石田(一)
委員
この方の顔を
覚え
ていないくらいでは、そんなに親しく
お話
なさ
つた
ことはございませんか。
野田岩次郎
413
○
野田證人
ありません。
石田一松
414
○石田(一)
委員
元
昭和電工
の
通訳
をしておりました婦人の方で河野百合子さんという方を御存じですか。
野田岩次郎
415
○
野田證人
いや存じません。
石田一松
416
○石田(一)
委員
全然御存じありませんか。
野田岩次郎
417
○
野田證人
全然ありません。
石田一松
418
○石田(一)
委員
ニユーヨーク
あたりで御存じありませんか。
野田岩次郎
419
○
野田證人
全然ありません。
石田一松
420
○石田(一)
委員
昭和電工
に
通訳
がいたということも御存じありませんか。
野田岩次郎
421
○
野田證人
存じません。
石田一松
422
○石田(一)
委員
実はこれはあなたに参考までに申し上げておきますが、この川崎守之助という人が、
昭和電工
の河野百合子という
通訳
は、スキヤツプのオーダーである。ただちに
昭和電工
をやめろと言われておる。早くやめないとたいへんなことになる。そう
言つて
おどかされてこの
通訳
は
昭和電工
を追い出されておる。その後森前
社長
は一切連合軍に立入りを禁止されたと言われる。しかも
自分
のいわゆる
渉外
的な最もよき
通訳
を失
つて
おります。この点などは私は非常に重大な問題だと
思つて
おるのでありますが、あなたが御存じないとおつしやればこれ以上お尋ねいたしません。
野田岩次郎
423
○
野田證人
全然存じません。
石田一松
424
○石田(一)
委員
そこでもう
一つ
最後にお伺いしたいことは、あたな先ほど、
通訳
として現在訓練しておる者もあるが、それがいまだ用が足りないので、ほとんど
渉外
の面はあなた一人が主としてや
つた
、こういう御
証言
でありますが、今
通訳
として訓練していらつしやるのは幾人ありますか。
野田岩次郎
425
○
野田證人
通訳
專門ではありませんが、やはりほかの
委員会
の事務と並行して、いわば連絡員ですが、それが現在四、五人おると思います。ほかに今外事課というものを設けまして、そこでは飜訳を担任しております。
石田一松
426
○石田(一)
委員
それで、今訓練していらつしやる
通訳
の四人の方が、今回の
昭和電工
の
日野原
後任社長
の問題が惹起した当時、この方たちはやはり
通訳
として訓練しておりましたか。
野田岩次郎
427
○
野田證人
通訳
としてよりも、連絡員として
向う
にも
行つて
おります。
石田一松
428
○石田(一)
委員
その方々がこの
後任社長
の問題でヘンダーソン氏あるいは……。
野田岩次郎
429
○
野田證人
その当時でございますか。
石田一松
430
○石田(一)
委員
そうです。
野田岩次郎
431
○
野田證人
いや当時はありませんでした。
石田一松
432
○石田(一)
委員
そうすると、あなたが先ほどおつしやいました、
委員会
では
通訳
を幾人か訓練しておるが、用が足りないのでほとんど私がや
つて
おるというのは、いつからそうなんですか。いつから訓練をなさ
つた
か。
野田岩次郎
433
○
野田證人
通訳
の訓練は、
委員会
に外事課というものをつくりまして、飜訳する者を入れた。これは記録を見ればわかりますが……。
石田一松
434
○石田(一)
委員
およそでいいですが、それはいつごろですか。
野田岩次郎
435
○
野田證人
それはおそらく前々年の末か春ころには飜訳官がお
つた
と思います。それから、飜訳官は、外へ出ませんで、ちよいちよい使い走りをする程度のものはほかの部に二人ばかりおりまして、これを間に合うようにしたいと
思つて
おりました。
石田一松
436
○石田(一)
委員
では、この
昭和電工
の問題が起きた時当には、
持株整理委員会
には、
渉外関係
の
通訳
をする者はあなた以外に一人もなか
つた
ということですね。ほかの者は一切やらなか
つた
。
野田岩次郎
437
○
野田證人
いやそれは、問題が、とにかく大きな
仕事
でございますから、ほかのたとえば飜訳外事部長を私がいないときに連れて
行つた
人があるかもしれません。全然
委員会
から一人も行かないというようなことは申されないと思いますし……。
石田一松
438
○石田(一)
委員
そうするとあなたのお留守のとき、あなたが他に公の職務を帶びてどつかへ
行つて
おるとき、たとえば
笹山委員長
あたりがヘンダーソンあるいはその他の人に会わなければならぬときに、
通訳
をあるいは飜訳課の課長かなんかを連れて
行つた
という事実を御存じでしようか。
野田岩次郎
439
○
野田證人
その当時はないと思いますが……。
石田一松
440
○石田(一)
委員
そうするとあなたにひとつお尋ねしたいのでありますが、あなたは
持株会社整理委員会
の
常務委員
ですね。
野田岩次郎
441
○
野田證人
はあ。
石田一松
442
○石田(一)
委員
要するにこのわずかな員数の
委員
で、重要な職責にあ
つて
、この
委員会
の意思決定のできるあなたは一構成分子です。その一構成分子であるあなたが、何ら他の正規に採用されたる
通訳
官を使わないで、あなた一人が面会に
行つて
、この重要な件で話したことがあるとあなたは
証言
しておる。しかもあなた
自身
が聞いて來たことが
委員会
において絶対に信頼されることにな
つて
おる。しかもあなたは
通訳
という職責でも
つて
この
委員会
に職を奉じておるわけではありません。
委員
として職を奉じておる。
委員
として職を奉じている人が
通訳
を連れないで一人で
行つて
、あなたの意思
一つ
で
委員会
が全部動くという結果になることをあなたはどうお考えになるか。
野田岩次郎
443
○
野田證人
それは
委員会
ができました当時からの
事情
によると思います。私はアメリカに長くお
つて
、ある程度英話がしやべれる。それで
委員会
の職員を連れて参りまするのにも、なかなか英語をしやべるという者が少いものでございますから、私英語がしやべれる
関係
上ずつと続けて
行つて
仕事
をや
つたの
でありまして、
常務委員
が
通訳
を
仕事
にしておるというわけではございません。ただ英話がわかりまする
関係
上、私がほかの
仕事
もや
つて
來たということだけであります。
石田一松
444
○石田(一)
委員
それはよくわかるのですが、あなたにお聞きしたいことは、
委員会
の意思決定をするところの一構成分子であり、しかも
常務委員
というような重要な職責にある方が一人で
向う
に交渉に
行つて
、しかもあなた一人で聞いたことを
委員会
に報告をなさる。結局他にその
通訳
の役をする人がなければ、あなたの報告なさることが
委員会
に絶対に信頼されて
委員会
の議事が進められるということになりますと、これはまことに危險だと私は考えます。そこで私はあなたを決して疑おうとするものではありませんが、先ほど申し上げました河野百合子というような
通訳
がおりますが、非常にこれに関心を持
つて
おります。ただ
一つ
、あなたがお言葉が話せて
準備委員
会の当時から継続しておやりにな
つて
おる。この問題によく似た問題は小松隆という兵器処理
委員長
の問題であなたと同じ立場に立
つた
人が今強制收容されております。これはあなたと同じように非常に言葉がわか
つて
、その人があつせんして
委員会
をつく
つて
、兵器処理について相当大きな疑惑を持たれた人です。これなども要するに
委員長
小松氏が連合軍と
通訳
を入れないで直接交渉した。こういうところに私は非常な危險性が伏在したのじやないかと考えるのであります。そこであなたに一言聞きたいことは、あなたは
常務委員
である。しかもその方が、ただ一人で
委員会
の
渉外関係
の
通訳
の
仕事
、しかもこの
昭和電工
の問題に関しては、ほとんどほかの者が行かない。全部あなたがおやりにな
つた
。このことについて非常に危險が伏在する、こういうふうに判断するのですが、あなたはこれで正しいとお考えになりますか。それとも
通訳
というものを別に採用して、それらにやらせることが正しいとお考えになりますか。どちらです。
野田岩次郎
445
○
野田證人
通訳
官がおりましても、おりませんでも、
自分
が話せますればその職務に忠実であることを目的といたしまして、どんどん運んで
行つて
かまわない。それで
向う
に話をしに行きますときに、別に話せる者とか
通訳
を
一緒
に連れて行くというようなことは重複でありまして、能率上非常に惡いことと
思つて
おります。
石田一松
446
○石田(一)
委員
そういう場合にあなたがいらつしやる。あなた一人がいらつしやるときに、
通訳
として連れて行くのではなくて、
委員会
のだれかとか、あるいはまた権威のある事務局の方が立会いでそれをお聞きになる。そういうことはめんどうなようですが、一應こうした大きな問題を扱う
手続
きとしては、公明な後日に疑惑を残さない方法ではないか、こう考えます。
野田岩次郎
447
○
野田證人
三月二十二日ごろの会話、三月二十六日の会話には
笹山委員長
と私は常に同席して話をしております。
委員長
あるいはほかの
委員
を連れないで私が必ず一人ですべてのことを
司令部
に言
つた
ということは決してございません。もちろんほかの
委員
とも
行つた
こともあります。これは昭電の問題にしましても、昭電の問題以外にしましても、そういうふうな場合にはほかの
委員
の意思を通じ、
向う
の意思を通ずるということでありまして、私はできるだけ職務に忠実であることを旨としてや
つて
來たことをお誓いする次第であります。
石田一松
448
○石田(一)
委員
まことに結構です。そこで最後に私は申し上げたいと思いますが、先ほどの
市村
氏の
証言
にもあります
通り
に、森系を一掃しろというような重要な問題が、そのとき
一緒
に入
つた
二人の方が出たときには何ら語られないで、
自分
が今度第一部長にな
つた
、工場長にな
つた
ということがちよつと報告され、帰
つて
思い出したように
日野原
氏から森系を一掃しろと言われた、こう言われた。しかもあなたの
証言
によると、多分その時にヘンダーソン氏が
日野原
氏に森系を一掃しろと、その二人の前で言
つた
と記憶するという不確かなことであ
つて
、結局これはわれわれが判断する場合において、ヘンダーソン氏が
日野原
氏に対して森系を一掃しろという命令をしたかしないか
はつ
きりせぬと判断する以外になくなる。こういう場合においてあなた以外にだれか
通訳
官がおれば、要するに当事者以外の者がおれば、これが第三者の
証言
とな
つて
非常に明瞭にな
つて
來るのであります。しかしあなたがこの大きな事件を処理するところの、しかも
委員会
の常任
委員
である。しかも
通訳
をや
つて
おる。二人とも当事者であるので、どちらをお呼びしても、結局第三者のわれわれがあなたの
証言
を聞き、しかも多分ヘンダーソン氏がそう言
つた
と記憶するというな不確かな
証言
をされるならば、私たちは、そう判断せざるを得なくなるという危險が伏在するのであります。
野田岩次郎
449
○
野田證人
実際問題としましては、その時に、
向う
におりました時に、ヘンダーソン氏が來てくれと
言つて
私を連れて行
つたの
でありまして、そのときに
通訳
をさせられたのであります。そのときに私がさらにほかの
通訳
を連れて入
つて
行くとか、あるいはほかの人と入
つて
行くべきだとおつしやいますが、実際において……。
石田一松
450
○石田(一)
委員
その場合の時のことを言うのじやありません。このときにあなたが
通訳
をした。しかもあなたがその
委員会
の最も重要な職責のある常任
委員
である。こういうことでこの際あなたに
証言
を求めても、結局明確なることまであなたは
証言
なされておらぬ。こういことから判断すれば、結局第三者的の
通訳
官というような、しかもこれが祕密を保持するという
宣誓
の下に接用されて、この処理の問題に対しての
渉外
を受持
つた
ならば、こうした問題もあるいは一應事前に明確にわれわれが関知することができるような方法があ
つたの
じやないか、こういうふうにも考える、これは私の意見を申し上げただけであります。
野田岩次郎
451
○
野田證人
その事実の内容はもちろん
司令部
にも記録はございましようし、それから
日野原
氏
自身
も知
つて
おりましようし、ヘンダーソン
自身
も記憶しておるかも知れませんし、それを確かめる途はあると思うのであります。私が今日
証言
いたしましたことは、
はつ
きり記憶しておらないところは、
はつ
きり記憶しておらないと申し上げました。しかし全部忠実に誓
つて
申し上げたつもりでございます。
石田一松
452
○石田(一)
委員
たいへん私は言いたいことを
言つたよう
ですが、ただいま私の意見として申し上げました。あなたにたびたび
証言
を求めましたけれども、そういう記憶がするということである。しかもその
部屋
を出た直後、
市村
氏にこういう重大なことが報告されなか
つた
。しかも
日野原
氏が社に帰
つて
後に
市村
氏にこういうことを言
つた
。このことについては、われわれも令靜に判断しなければならぬ。こういうように考える。このことを意見として申し上げただけであります。
小松勇次
453
○小松
委員長
代理
市村
さん、
野田
さんの
証言
とあなたの御記憶、お考え等と食い違う点がありましたならば、この際御
証言
願いたいと思います。
市村寅之輔
454
○
市村
證人 先ほど申し述べたように思います。それは三月三十一日に、
野田
さんはそのときに、オーダー・デイレクターという紹介をなさ
つて
くださらなくて、四月三日に
日野原
君、それからほかに私よりか古い
重役
二人を連れて
行つた
とき、そのときに私にだけオーダー・デイレクターと
言つて
紹介した。それが違うということを申し上げます。
小松勇次
455
○小松
委員長
代理 ほかに相違するようなことはございませんか。
市村寅之輔
456
○
市村
證人 ほかに相違する点は別にないと思いますが、それから
野田
さんは私が前に
委員
室で
野田
さんにお目にかか
つた
ように
野田
さんは言われましたけれども、私初めて会う場合には、大体名刺を差出す習慣をも
つて
おりますので、私そのときには
野田
さんに名刺を差上げれば大体いただくものでありますが、いただいておりませんし三十一日に
野田
さんに初めて私としてはお目にかか
つた
つもりで、名刺を差上げたように記憶しております。
石田一松
457
○石田(一)
委員
ちよつと
野田
さん、もう
一つ
だけ聞いておきますが、あなたが
通訳
をなされないで、また
通訳
を連れないで、
笹山委員長
が直接に
ザイビユラ
氏またはヘンダーソン氏と
会つて
、
笹山委員長
だけで先方の係の方と
会つて話
したということがありますか。
野田岩次郎
458
○
野田證人
それはないじやないかと思います。私の知
つて
いる範囲では……。
石田一松
459
○石田(一)
委員
それは
笹山委員長
一人ではあまりこみ入
つた
交渉のことについては、英語の点において、それほど堪能ではないというようなことからですか、それとも事実としてですか。
野田岩次郎
460
○
野田證人
事実として、事実は私の知
つて
おる範囲ではないと思います。
笹山
氏は大体聞くことはおわかりになると思いますが、今の
お話
の
通り
そうこみ入
つた
ことを表現するということは、十分にはできないじやないかと私は考えております。
小松勇次
461
○小松
委員長
代理 他にお尋ねすることはありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
小松勇次
462
○小松
委員長
代理 それでは本日はこれにて散会いたします。
証人
の方長い間御苦労さまでした。 午後七時三十六分散会