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平田政府委員 お答えいたします。
まず第一は
畜産増殖五箇年計画の
実施状況、その後の
経過がどうな
つておるかという御
質問でありました。
畜産増殖の五箇年計画は、昨年九月
畜産審議会を
設置いたしまして、
民間の意見等をも組み入れました計画を立てたのでありまして、大体昨年度におきまして、
家畜單位に換算いたしまして三百三十四万頭ありましたものを、この
審議会の五箇年計画の目標といたしましては、
昭和二十七年におきまして四百三十七万頭に増加せしめよう、こういう計画を
内容としたものであります。過去におきまする最近最大の
頭数は
昭和十九年の四百八万頭という数字でありましたが、その後だんだん低下いたしまして三百三十万
程度に減
つて参りましたものを四百三十七万頭にまでふやそうというのでありまして、最大の数に比べまして、一〇%の増加、最近の数字に比べまして三〇%の増加を企画しようとしたものであ
つたのであります。これをその後
地方の六箇所のブロツク
会議につきまして、
地方の
情勢を打診いたしたのでありましたが、
地方においては意外に
畜産熱が高揚していたしておりまして、その
実施予定の数字を集計いたしますと、四百七十九万頭という数字になりまして、さらに一割
程度を増加したい要望が
地方にみなぎ
つていることを察知し得たのであります。ところでこの二つの数字をもちまして、経済安定本部におきまする他の五箇年計画と相関連いたしまして、さらに檢討を加えた結果、新しい目標といたしましては、
昭和二十七年度におきまして四百五十九万頭、五箇年計画が一箇年ずれまして、二十八年を最終目標といたしますが、その年度においては四百九十万頭に達せしめようという
内容を盛
つたのであります。われわれとしてはこの数字を目途といたしまして、その実現に向
つて種々の
実施方策、たとえば
資金の面とか、
飼料の面とかいう方面に努力いたしているような次第であります。そこでその
実施の
経過がどんなふうにな
つているかということを申し上げまするならば、今年の六月推定いたしました数字によりますければ、現在の
家畜頭数は、
家畜單位に直しまして三百五十五万八千頭と捨定せられておるのであります。ところで二十四年の二月の計画上の数字がいかにな
つているかと申しますると、三百五十七万一千頭ということにな
つておりまして、來年の二月計画上到達すべき数字が大体において本年の六月、ここに達しておるというような
実情でございまするので、この点はまず御安心をいただきたいと考えております。
第二の
飼料の点におきまして、輸入
飼料について申し述べましたが、國内
飼料についての
説明を欠いているではないかというお尋ねであ
つたのであります。で國内の
飼料状況を申し上げますならば、
昭和の初めにおきましては、大体二百五、六十万トン
程度から三百万トンと推定せられてお
つたのであります。ところが
昭和十四年の秋の大早魃を契機といたしまして、米について七分づき
制度がとられたので、
從來の白米九一・三%の搗精歩合より九四%に搗精歩合を高めるというような
措置が講ぜられ、また麦につきましても七五%を食用に供し、二五%を
飼料に供するという
制度を食糧方面にさらに一〇%を高め、
飼料方面は一五%しかないというふうに
飼料給源が減らされましたがために、その後数年は二百二、三十万トン
程度にな
つて参
つたのであります。ところがさらに最近の
情勢によりまして、
從來は食糧農作物中から大体食糧への惡影響を及ぼさない利用率を考慮いたしまして、他の残りを
飼料に充てるという方針を持
つてお
つたのでありますが、新たに食糧管理局におきまして
農家の保有量を決定せられ、麦につきましてもこの
程度しか認めないというようなことになりましたので、昨年の数字は國内産
飼料として充てられますものは百四十六万トン、本年度におむまして百二十八万トン、かような現状を見ておる次第であります。もちろんこれは濃厚
飼料の需給数字をながめたのでありまして、さらにこのほかに
家畜の生活を維持し得べき粗
飼料の点につきましては、これは牧野の草を主といたします
関係上、そこには大した増減も認められないというような
関係もございますので濃厚
飼料の減少に基きまする影響としては、たとえば乳牛が牛を生産する数量が減
つて参るとか、鶏が卵を産む量が減
つて参るとか、役牛の能率が落ちるとかいうような方面に、主として影響が現われているし存じます。そうした需給の総体を通観いたしますると、現在の濃厚
飼料の数字と申しましては、需要の二百五十三万八千トンに対しまして、國内産供給が百二十八万六千トンで、それだけでは百二十五万トン
程度の
不足を見ている
実情でありまするが、ここに若干の輸入数量を期待し得るというようなことで補いまして、残る点につきましてはまだ必要な十分の
飼料が
家畜に供せられていないという
実情におる次第であります。
第三の御
質問は、
飼料公團の発足後の成績についてのお尋ねでございます。
飼料の配給公團は去る二月二十三日に
設立いたしまして、職員として千名以上の人がおり、全國に六つの支部を置きまして、北海寺に出張所を設けているのでございますが、この公團の買收品目とな
つている
飼料の種類は、二十一品目でありまして、買收対象とな
つている工場の数は、二万二千を越えているのであります。公團発足以來の業績は、八月末までの收買実績十七万トンということでありましたが、それはその当時まではまだ公團の組織を整備するスタートの時期でありましたがために、十分の機能の発揮を見ることができなか
つたのでありますが、最近におきましては職員も充実いたすというような
実情になりましたので、年間收買目標四十五万トンは、來年三月までにおそらく到達できるというような
見通しを持
つている次第であります。
次に牛肉の統制並びに牛乳の統制についての御
質問であります。牛肉の統制は御説のごとくなかなか困難な点がございまするし、戰爭中におきましては食肉配給の統制株式会社等を
設立して、これに当つたこともあ
つたのでありますが、この乏しい牛肉を配給いたします上において、一体個人的にどれだけ配るかということも、配給割当ての対象となる数を確保することも、とうてい至難であるというようなことから、除外の方の
一つのチヤンピオンにな
つているような
実情でございますので、今後におきましても、なかなか配給の統制を
実施するのに至難な対象品目と考えておりますが、実はこの食肉の取扱いは、農林省部内におきましても食品局において担当いたしておりますので、詳細につきましてはさらに食品
局長の方にお尋ねをいただけばけつこうかと存じております。
最後に牛乳の問題であります。現在におきましては、ただいま申しましたような
飼料の供給が減少いたしておるという
事情に基因いたしまして、ことに乳牛は最も蛋白
飼料を多く要求する動物でありまして、普通の役牛に比しまして約三倍も必要としているような
事情にあるのでありますが、この
飼料の配給が十分に参りま
せんために、乳牛の生産者といたしましては、そこに経営上非常な困難を感じておられるのであります。このためにたとえば乳牛を生産する場合には
一定の圃場を持
つておられるのでありますが、その圃場に生産されます麦類等は、食糧供出の窮屈になりました今日におきましては、やむを得ず供出の対象面積の中に取入れられるというようなことがありまするので、乳牛の生産者としては
一定の圃場のもとに乳牛を飼育することにより、食糧の方にも供出しなければならず、また生産した牛乳、乳製品は供出しなければならず、いわゆる二重供出に苦痛をなめられるということからいたしまして、乳牛の生産に必要な圃場は
飼料圃として分離してほしいという要望があ
つたのであります。
農林当局におきましてもそうした問題を取上げて、一時は
地方に対してその
趣旨の通牒を発したこともあ
つたのでありますが、食糧供出の窮屈な今日におきましては、
実施上遺憾ながら実現を見ていないというような
実情にあ
つたのでありました。なおまたさらに御
質問のありましたように、牛乳を供出した場合に、それに相当する
飼料を配給したらどうかという点につきましては、
農林当局といたしましても、牛乳一石の供出に対しまして麦類を三斗三升リンク的に配給するということを申し上げておいたのでありまするが、最近までのところ食糧
事情が窮迫いたしておりまするために、その実が上
つていなか
つたのであります。しかしながらただいま申しましたように輸入
飼料等もだんだん
見通しがついて参つたというようなことからいたしまして、最近はさかのぼ
つてこれを差上げておるというようなことで、おそらく八月ごろまではすでに配給の手続きを了しております。以上のような次第でありまして、牛乳の生産につきましては、さらに
酪農生産者の要望にこたえた適切な
措置を講じて参るように、いろいろの準備をいたしておる次第であります。