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成瀬委員 私はまず冒頭に、この問題を党利党略の
立場から
質問を展開するのでない、かような意味におきまして、一應良心的にお答えを願うのでございます。私はまず今日の二十四年度におけるところの
食糧需給関係におきまして、いかに相当数に及ぶ
食糧の
不足を
農民の協力によ
つて、超過供出面から自給自足の体制を整えていかなければならぬかという点にかか
つておるのであります。從
つて供出面からするところの
意見と、
消費者面からするところの
意見と二つにわけて尋ねて見たい。ただ
昭和二十一年度産米が、十九年、二十年、特に二十年の大凶作のあとを受けただけに、当時の自由党内閣におきましては、ワシントンにおける株式の暴落が農産物の
一般豊作である。こういうようなことと、
日本國内における
食糧増産との
関係、まだ戦時中戰後における
農民の供出に関する苦痛等から
考えまして、まず
政策的に
農民の関心を買うという
考え方もあ
つたでありましようが、きわめて困難なる
食糧事情をよく知
つておりながら、
割当の八割
程度でよいというような
考えを、
一般地方の
食糧供出の責任者に植えつけまして、あの当時においては、
日本の國内において
生産される
食糧をまず
確保することなくしては、
輸入食糧を放出しないということに狼狽いたしまして、いわゆる供出の督励時期にあらざるときに一一%の供出を強要いたしまして、マツカーサーの命令だとか、あるいは強権発動だとか、これによ
つて長野縣、新潟縣、各縣に生命をさえ奪われた
農民があるのであります。これはいわゆる自由党の党利党略に立つ
政策であ
つたと、被害を受けた
農民からその当時非常なる恨みを買い、昨年の七月における緊急
食糧対策の面においても、こういうことが指摘されたのでありますが、今回自由党が組閣に成功いたしまして、その
食糧政策の全責任を担われる農林大臣として、在野党当時における供出後の自由販賣をやるという公約が、今日供出面にどういう
影響を與えているか、
農民は世界的な
食糧事情とい
つたようなこと、あるいは國内における
生産食糧需給関係というようなことは一々頭の中に入
つておりません。ただ税金及び米價、これらの不合理なる
立場に立つ
農民が民自党の唱える自由販賣ということが、何らか
農民経済を潤おすものであるということに期待いたしておるのであります。しかるにこの面に関しましてはいまだ
研究中であるということでありまして、おそらく政治の当路に当るあなただけに、世界
食糧事情、あるいは当面の
日本國内の事情をいろいろ勘案せられまして、そしてその点において万潰漏のない
対策を立てることは賢明なるやり方でありまして、当然のことと思うのでありますが、その
対策がいつ立てられるか、目下
農民は
調整の眞最中で、東北各
方面においてはすでに供出を完了しつつあるような
状態でありまして、この二月、三月の間はきわめて重大である。特に本月あたりは重大であるのでありますが、こういう点が鮮朗にされない限り、超過供出に対する期待はとうてい望み得られないものであるというようなことでありまして、これは匿名供出によ
つて、來年度における
割当及び課税、そうい
つた面からする
農民の受ける不利益を除去しようという警戒心も伴うのでございます。從
つてこの際諸般の
食糧事情から
考えて、自由販賣はできないものであればできないものとして、はつきり末端町村の
関係者にまでそれを鮮明にいたしまして、この際
農民の協力を願うようにや
つていただきたい。もう一つは、そのこと自体が早急に決定されない限りは、相当多くの超過供出を見込みまして、いわゆる國内
操作をするための補正を超過供出に期待しているが、國内補正の分がいかに取扱われるかという点についても、
農民は懸念なきを得ないのであります。かような点は党利党略を離れて、一日も早くその根本
方針を樹立し、そして
農民の
考えるととろの不安を一掃して、國家全体のために
対策を樹立してもらいたいが、その成案は、大体の
見通しでいいのでありますが—一目下
研究中
研究中と
言つて、二月、三月も延ばされては、これではたいへんであると
考えますので、この点についてお尋ね申し上げたい。
なおまたそのほかに、米價の問題につきましては、九月二十一日、二十二日及び十月の七、八、九日、こうい
つた閉会中における
農林委員会におきましても、相当つつ込んだこの
方面の
意見を交換して参
つたのでございますが、いわゆる六十キロあたり
生産者米價が御
承知の一千六百三十一円でございますが、それに
政府諸経費及び奨励費等々の諸雑費を計上いたして、そして
消費者價格が三千五百五十七円というわけで、大体倍額以上の経費がかか
つておるのであります。これらは、
農民の
立場から
考えて見ますと、こういう倍額の米價決定に対して、農機具その他すべての
農民関係の
消費物資は、こういう倍額の米價において
價格が決定され、さらにまたやみの米價等も加算せられて、
農民の生活それ自体のこうむる、こうい
つた米價
関係からするところの負担過重ということも大きいのでございます。自由経済時代におけるところのそういう点を
考えて見ますと、莫大なる相違でありますが、かような点につきまして、まず
農民の
生産者價格、手取
價格を基礎として経費を節約して行くことに努めなくちやなりませんので、かような点につきましては、むしろ食管特別会計という面でなしに、そういう特別の経費は、國家全体の
食糧政策のもとからいたしまして、
一般会計の方において支拂いをなし、
一般労働者、
消費階級の人たちのこの面よりする負担の軽減をはかることか、これまた社会
政策的な面と、また
農民の再
生産に対するいろいろそうい
つた面に対しての、公平を期する面におきまして、妥当であると
考えるのでございますが、こういうあまりにも高きに失する
消費者價格を引下げることに対しまして、の御所見を承りたい。
なおまた金利
関係におきましても、
政府は一度に買入れたがために、それらの年間のいわゆる金利も相当多額に上るのでありますが、これも前申し上げたような
一般会計において負担すべき筋合のものであると存ずる次第であります。
さらに早場米の奨励金が四十二億八千万円に及んでおるのであります。これは大体
政府の意図するところの早場米、数量に対しましては、四百円、五百円の間の平均支出と
考えるのであります。そのほか超過供出に対する奨励金も見込んでおりまするが、私はこの際早場米の奨励金の性質がどこにあるのか、当然放任しておきましても季節的
影響によ
つて生産及び販賣にしなくてはならない。そういうような地方に対して、あえて早場米奨励金として支出するということは、これは二十三年度における
不足分をこの早場米の早刈りによりまして補填していこうという
考えのもとになされておるものであるか、もしそういうことであ
つたならば、それらの
方面に
関係する東北及び北海道全体にわた
つて、できる限り公平なる
方法をも
つてなすべきものであると
考えておりまするが、聞くところによると、早場米の奨励金が四十二億八千万円の中で、十八億かが一縣において支拂われておる。一体これはどういう
考えのもとに一縣にそういう莫大なるサービスをなされておるや、また奨励金の内容が、單作農村
地帶であ
つて米作以外に冬期における他の副業收入がない、從
つていわゆる
生産費の高額にかかるような意味で、地域的な
補助政策がなされるのであ
つたならば、これまた北海道その他東北各懸に対してそういう
政策がとられなくてはなりませんが、あえて一地方に政治的な意味であるかどうか知りませんか相当の高額なる奨励金を出しておるということを、一應資料をはつきり出していただいて、われわれは良心的にこれを檢討せざるを得ない。またなおかつその上に憂慮すべき
状態は、さような
政府の
政策が当面早場米の供出をなさしめて、
食糧の
確保のために努めるためのことであ
つたならばやむを得ません。しかしながらそういうことでなしに、官の倉庫あるいはその他の縣内における倉庫に相当量の米を貯藏せしめる。早場米であるが実は恒久的な年内
消費の
立場における貯藏量であ
つて、しかも
農民の心理も
考えておらないがために、早場米獲得のために、こうい
つた富くじ的な
農民の射倖心をねらいまして、ふまじめなるところの供出督励をするために、目下その倉庫においては乾燥の粗悪な物がしまい込まれ、目の前に水分による、腐敗のおそれがあるというので、その
関係縣においては狼狽をいたしておるような
状態でありますが、もしそういうことによ
つて高額なる奨励費及び國家の金を支拂
つた米が腐敗した場合におきまして、一体
政府はそれに対してどういう責任をも
つて國民に見えるかということも
考えるのでありまして、われわれはまずこの早場米奨励金というものが、あまりにも不可解のものであるがゆえに、この点をはつきりせしめて、
一般、農村全体の
立場に立つ
政策を行うとともに、またいわゆる地域的な
生産過重の点につきましては、はつきりした見解のもとに、米價
政策を決定すべきものであるというふうに
考えるのであります。時間がありませんために、これ以上申し上げませんが、とにかく私はかような面からいたしましても、
消費者における
消費價格の高價であるということは、わが國の全体の面に対しまして悪
影響を與える。かように
考えますのでこの点の御答弁をわずらわす次第であります。