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川合委員 私は
日本社会党を代表いたしまして、
議題にな
つております
日本專賣公社法案に対しまして、修正の
意見を
提出するものであります。
まず
法案全体を通観いたしまするに、われわれとしましては、マツカーサー元帥に書簡にのつとりまして、よく元帥の趣旨を織り込んでおる点は、これを了とするものである、同時にまたわが党の政策からいたしまして、わが党の政策をもこの間に取入れておるという点、すなわち本公社案は專賣
行政と企業とを分離するという点、これはわが党の專賣公社案にもある
通りでありますが、次に総裁の責任制を確立したというような点、さらにまた專賣事業
審議会というものを設けて、ある程度民主的な運営の方法を講じたという点、そういう点は、われわれとしても非常にこれを了とするわけであります。しかしながら先般の公聽会におきまして、公述人からもいろいろと
意見があつた
通りに、まだこの
法案は不完全のそしりを免れないというように思うのであります。われわれとしてはもう少し時間的余裕があるならば、さらにこれに
檢討を加え、そうして完全なものを作成したい、かように
考えておるのでありますが、諸般の客観的情勢にかんがみまして、われわれは一應次善の策といたしまして、原案の不完全を補う
意味において、若干の修正案を
提出したい、かように
考えるのであります。
そこで修正案を逐次申し上げますが、まず第九條であります。第九條は「專賣事業
審議会を置く」ということにな
つておりまして、これは今後の公社の運営の上において、民主的な運営の方法を取入れるための
機関として、非常に有意義なものと
考えるのであります。しかしながらその
審議会の構成メンバーというものは、「学識経驗のある者の中から、
大藏大臣が任命する。」とあ
つて、ややもすれば前官吏の人とか、あるいはまた学者的の人というように、非常に限局されるような規定にな
つておるのであります。そこでわれわれとしましては、第九條の四項に「学識経驗のある者」の次に「葉たばこを耕作する者及び公社職員の中から」と改めて、すなわち学識経驗のある者以外に、「葉たばこを耕作する者及び公社職員の中から、
大藏大臣が任命する。」というようにいたしまして、廣くこの
委員を選ぶ、ことに生産者の立場にある葉たばこを耕作する人、あるいはまた公社の職員として産業に関係の深い、そういうような人たちを
委員の中に加えるということは、
審議会の運用をして一層円滑にせしめ、同時にまた
審議会の効果をより以上発揮せしめるゆえんではないかというように
考えるのであります。
次に修正案としましては第十二條でありますが、これは「総裁及び監事は、
審議会の推薦に基き、
大藏大臣が任命する。」ということにな
つておるのでありますが、私はこの専賣公社の内容からいたしまして、もう少し総裁というものの権威を高め、同時に責任を明確にするという必要がある。また同時にこの責任を明確ならしめ、また権威を持つたところの專賣公社の総裁に対しては、
國会がいろいろな
発言権を得ておくというようなことも必要ではないかと
考えまして、第十二條を次のごとく改めたいと思うのであります。すなわち「総裁は、
審議会の推薦に基き、両議院の同意を得て、
内閣が任命する。2、総裁の任命において、衆議院が同意して参議院が同意しない場合には、
日本國憲法第六十七條第二項の場合の例により、衆議院の同意をも
つて両議院の同意とする。3、監事は、
審議会の推薦に基き、
大藏大臣が任命する。」というのであります。この点はこの
法案とほぼ同一目的を持つたところの
日本鉄道におきましては、この修正案と同じような方法によ
つて総裁が任命されることが規定されております。私は國有鉄道と專賣公社との比重を
考えた場合において、こうも両者の間に差異がないというように
考えまして、先ほど申し上げましたように総裁の権威を高め、かつまた責任の所在を明らかにし、同時に
國会がこれに対して一應の
発言権と申しますか、とにかく任命に関與するということをした方がよろしいのではないかというように
考えまして、この十二條を今申し上げたように修正したいと
考えております。
次は第十六條であります。第十六條の2のうち「及び職員」とあるを削りたい、かように
考えるのであります。この第十六條は役職員の兼職の制限を規定しておるのであります。役員の場合においては申すまでもなく、原案のごとく「
國会又は地方公共團体の議会の議員であることができない。」という点は
了承するのでありますが、私は役員と職員とを同樣に扱
つて、兼職の制限をすることは不当ではないかというように思うのであります。職員の場合においては役員の下で使われる使用人的なものであ
つて、國家に対する責任はそういうような軽い面においてのみ責任を負う。
從つてそういうような軽い面において責任を負う人たちに対して、基本的人権を剥奪するようなことは、新憲法の趣旨から
考え、かつまた労働者としての職員の人たちの状態から
考えて、これは不当であるというように
考える。
從つて第十六條の2のうち「及び職員」とあるを削
つて、職員は兼職の制限から除外したい、かように
考えるものであります。
次は第二十六條でありますが、これは全文を削除したいと思うのであります。すなわちその要点とするところは、災害その他により事故の発生したとき、災害の発生が予想される場合において警戒を必要とするとき、労働基準法第三十二條、第三十五條または第四十條の規定にかかわらず、職員をしてその勤務時間を越え、または時間外勤務あるいは休日に勤務させることができるというような規定でありますが、これはもう労働基準法において当然のこととして掲げられているのであ
つて、あえてここでこのような規定を設ける必要はごうまつもないというように
考えておるのであります。こういうような何ら実質的効果のない規定をわざわざ設けて、いたずらに関係の労働者を刺戟するということは、立法者として避くべき点であるというような念慮からいたしまして、私は二十六條の全部を削除する修正案を
提出する次第であります。
次は第四十五條であります。第四十五條は
大藏大臣の監督規定が明記されておるのでありますが、その第二項に「
大藏大臣は、必要があると認めるときは、公社に対して業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」ということにな
つておるのであります。ところが先ほどの
審議会にありました
通りに、
審議会の機能というものを活発を活用してもらいたいというようなことから
考えるならば、私はもし
大藏大臣がよく
事態を
考えずにやつた場合においては、独善的な監督命令を出し得る余地がある。そういうようなことはいわゆる官僚主義としてわれわれがつとに排斥しているところであります。從いまして、私は幸いに
審議会のあることにかんがみまして、もし監督命令を出す場合においては、
審議会の諮問を要する。すなわち第四十五條2のうち、「命令をすることができる。」という規定の次に、「但しこの場合は
審議会の諮問を要する。」というようにいたしまして、独善を排は、同時に
審議会の機能というものを有意義に活用したい、かような念願からいたしまして、私はこの修正を
提出する次第であります。
以上申し述べたような次第でありますので、どうか各党各派におかれましても、われわれのこの修正
意見に同調せられまして、ぜひともこの修正案の通過するように御協力をお願いしたい、かようにお願いいたしまして、修正案の
提出理由を申し述べる次第であります。