○伊原
説明員 政府支拂いの問題につきまして、私から簡單に御説明申し上げたいと思います。
政府支拂いの問題につきましては、ただいままで
政府支拂いのいわゆる遅延問題をどういうふうにして促進することに努めて参つたかということが
一つ、それから十月、十一月、十二月の第三・四半期におきまする
政府支拂いの計画と、並びにただいままでの実績、それから年末にかけてどういうふうな処置をとつたかということを二つにわけて御説明申し上げたいと思います。
御存じのように
政府支拂いのことにつきましては、八月の中旬でありましたか、
政府支拂いの遅延問題が非常にやかましい問題になりましたので、これをできるだけ促進しなければいけないということで、三つの閣議決定をいたしました。
一つは
政府の
支拂いはいわゆる総合
資金計画というものがありまして、その総合
資金計画の一環として
政府支拂いを計画通りにやろう。それから第二には
政府支拂いにつきまして、計画と実績とが齟齬いたしました場合には、その違つた理由等を確めまして閣議に報告する。第三は
政府支拂いの遅延と申しておりますが、実態がほとんどわかりませんので、その実態調査をする。ことに
政府の
支拂いが地方團体に支拂われて、それから産業界に入つた金がさらに下請に流れて行くというような
実情にな
つてわかりませんために、これの実態調査をしようという決定があつたわけであります。その後実は
政府收支調整協議会というものを活用いたしまして、三方面から
政府支拂いの実態を調査いたしました。その
一つは
金融界の方に、ことに
日本銀行等にごあつせんを願いまして、一体
政府の
支拂いを見返りにしておる融資というものがどのくらいの
数字に上
つて、どういう状況にな
つておるかということを
金融界から調べました。もう
一つは産業界から
政府支拂いに悩んでいる
実情はどういうふうにな
つておるかということを産業界に伺いました。第三は支出官出身から一体自分のところで遅延にな
つておるような
支拂いはどういうふうにな
つておるかというようなことを、それぞれ表をつく
つて照会をいたしたのでありますが、率直に申しまして、
金融界からは
数字をいただきましたが、産業界等もなかなか思つたように実例はまだ出していただけないような
状態にな
つております。もつとも経團連等ではいろいろなお調べをいただいたのでありますが、なおいただけない部分もあります。支出官自体の問題は、これは正直に申して、自分自身のところがどれだけ
支拂いが遅れておるかということの報告でありますので、なかなか出してもらえないというのが
実情にな
つております。実際調べてみますと、なるほど汽車が走
つてしま
つてから、数箇月間機関車の
代金が拂われないとか、工事が始ま
つてから一年以上金が拂われないという
実情が、非常にたくさんございますことは事実でございます。
数字について申し上げますと、
金融機関の調べていただきました
数字は参考になるかと思いますが、八月の末しかないのでございますが、八月末におきまして、
政府の
支拂いを見返りにして金を貸しておりますのは百三十三億に上
つております。このうち七月の末は百二億でありましたのが、八月には三十一億殖えまして、百三十三億にな
つております。そのうち公團
関係が多いのでありまして九十五億、
政府自体は三十六億というふうなことにな
つております。
政府の
支拂いを見返りにして、大口では特別調達廳が八億とか、運輸省が七億、
貿易廳が十億というようなところが大口にな
つております。
金融界では百三十三億の金を
政府の
支拂いを見返りにして貸している。この九月の
数字等はまだ出て参らないのでわかりませんが、あるいは大体同じくらいの
数字ではないかと思います。
今までの経過はそんなことでありますが、なお対策等につきましても、
政府支拂い遅延の
原因はどういう点にあるのかということを調べまして、対策も進めているのでありますが、今までにわかりました
原因では、いわゆる終戰処理費等については、業者側にもずいぶん
原因がございますし、役所の方にも
原因がございまして、両方に
原因があるわけであります。事業者の方の側におきましては、たとえば土木工事等については、
法律百七十一号という相当めんどうな
法律がございまして、これに基く請求書を出すことが、人手不足とか、土建業者の中には計理の事務員が少いというようなことで、請求書自体がなかなかできないというふうなことが相当大きな
原因にな
つております。そんなことが
原因でなかなか請求書自体ができないのでございます。それから役所の方へ参りますと、役所でも人手が不足であるとか、非常に段階が多いのでありまして、たとえば地方廳の中でも何段階を経て東京に送られる。東京でも特別調達廳、
大藏省というように書類のまわるところが非常に多いものでありますから、
政府の方では相当時間がかかることについて理由はあるのでありましようが、一年たつのもあり、六箇月たつのもあ
つて、結局業者に金の入るのが非常に遅くなるというふうなことにな
つております。そこで対策といたしましては、何とか概算拂いであるとか、前拂い金の制度を活用するというようなことをぜひやらなければならないじやないかということで
研究をしております。そのほか
政府の
支拂いが遅れた場合にも遅延利息をつけたらどうか。
政府は一方で
税金の滯納にはすぐ延滯利息をとつたり、差押えたりするのであるから、遅延利息をとるということも
研究しろということで
研究しております。業者の方としては遅延利息をもら
つても、元をもらうことが大事なことなので、遅延利息ぐらいの意味がないというのでありますが、遅延利息をつけるということは支出官の心理的の要素と島て、そういうふうなこともやつたらどうかということで
研究をただいましております。ただ技術的には、いつから
支拂い遅延であるかというふうなことがわかりません——と言いますか、きめられませんものですから、それらにいくらの利息をつけるとか、いつからを
支拂い遅延に見るかということがむずかしい問題でありますので、なお
研究中でございます。これがただいままでの経過であります。
第二にお手元にただいまお配りしました最近の
政府支拂いの
実情につきまして、御説明を簡單に申し上げたいと思います。一枚紙の一番右手から二番目の欄の第三・四半期見込というのをごらん願いますと、一、二、三の三箇月で、歳入は一番上の欄にあります八百三十五億を見込んであります。租税は七百億、それから專賣益金は二百二十一億を、相当無理でありましたが、歳入として見込みました。それから歳出の方は千二百億ということで、結局
一般会計におきましては、十、十一、十二月の
支拂い超過を百二十七億と予定をいたしました。七百七十二億六千万円は、
特別会計の方の
支拂い超過合計で、
國庫の金の
支拂い超過は八百九十九億六千万円ということにな
つております。そうして総合
資金計画では、これらの
政府收支とか、産業
資金の需要とか、貯蓄のぐあいとかで、三千二百九十一億を年末通過の発行高と見込みました。十、十一、十二の三箇月で六百七十億の通貨がふえ、年末には三千二百九十一億くらいになるのであろう。その大きな産業として八百九十九億六千万円の
政府の
支拂い超過がある。こういうふうな見込みを立てたわけであります。八百九十九億六千万円の
支拂い超過は、
特別会計におきましては七百二十二億でありますので、
一般会計の
支拂い超過というのはわずか百二十七億であります。これがつまり産業界に
影響のある金であります。第二・四半期におきましては、
一般会計の
支拂い超過は二百六十八億三千三百万円あつたわけでありますが、第三・四半期はこれの半分の百二十七億でありまして、
一般会計の
支拂い超過は
割合に少いのであります。大部分の
支拂い超過は
特別会計にあるのでありますが、
特別会計の何にあると言いますと、
食糧管理特別会計でありまして、これは結局
政府が米とかかんしよを
農村から買上げる金でありまして、十、十一、十二月で約九百億以上の金が
農村に出ることにな
つております。
食糧管理は
農村から買
つて、それから
一般の
國民に賣るのでありますから、その
收支が六、七百億あるのでありまして、結局第三・四半期における
政府の
支拂い超過というのは、ほとんど
食糧管理特別会計で
農村に金が流れるということを示しておるわけであります。
そこで計画はこのようにな
つておりますが、実績はどうかと申しますと、十月の租税では百七十億見込みましたが、百八十四億はい
つております。專賣益金は六十七億見込みましたが、大体六十七億入りまして、結局歳入の方は
割合に予定以上に入
つております。歳出の方は予定より三十五億足りないので、結局は四十二億だけは予定より
政府の
支拂い超過が足りなかつた。つまり
政府支拂い促進という意味から言うと、四十二億だけは足りなかつたという計算にな
つております。それから十一月は、租税は一箇月間で二百七十億と見込みましたが、十五日まで百五十六億入
つておりまして、非常に成績がいいようであります。專賣益金についても、一箇月分七十八億のつもりが三十八億入
つておりますから、相当成績がよい。歳出も三百五十五億が二百億出ております。ことに著しいのは、十一月の
特別会計の
支拂い超過が、計画では三百十九億四千三百万円が、十五日までで、すでに三百三十九億九千五百万円と半月で一箇月分の見込みを超過いたしております。これは
農村からの
供出が非常によいので、
食糧管理特別会計の
支拂いが非常にはかど
つているということを示しております。大体第三・四半期の計画と、ただいままでにわかりました実績はこういうふうにな
つておるのでありますが、昨日
大藏省では別紙のような通牒を各次官あてに発しました。要するに年末までにかけて
資金の調整をはかるために、
支拂い遅延を一掃するように促進をする。去年は年末になりまして一度に
政府の
支拂いが出て非常に困つたので、そういうことのないようにできるだけ十一月ないし十二月の上旬までに
支拂い承認をして、実際の金はなるべく十二月の初めないし中旬までに出るようにしたい。そういうことによりまして、産業界の十二月の初めまでに金が入
つて、それが産業
資金として使われ、また銀行の方に還流するように、できるだけいたしたいという趣旨でこういう通牒を出しました。
なおもう一点御参考までに申します。この表の
支拂い累計というのは何を意味するかと申しますと、
大藏省主計局で
支拂い承認を各支出官にいたしましたけれ
ども、各支出官が
日本銀行に小切手を振り出して取りに來ない金、つまり拂えばいつでも拂える
金額というのがこれを示しております。たとえば第二・四半期の九月の末には三百五十億でございましたものが、十月の末には五百五十三億になり、十一月には五百八十三億ということになりますので、この
金額は、
大藏省といたしましては、主計局で
支拂いの承認を各省に出しまして、それが二千にわたる支出官でありますので、その支出官が小切手を振り出せば振り出し得る
金額、支拂おうと思えば支拂得る
金額にな
つております。但しこの中には俸給だとか何かがありまして、俸給などは四半期ごとに
支拂い承認を出しますから、十二月分を今一ぺんに
拂つてしまうということはできませんので、この五百何十億という金は、これ自体が
政府の
支拂い遅延の
金額ではございません。要するに拂おうと思えば拂い得る
金額というものが、こういうふうな
数字にな
つているということでございます。
政府の
支拂いの
関係から申しますと、年末の
金融につきましては、去年のように年末にどつと出るようなことにしないように、今年は大分前から心配をいたしておりまして、閣議でもそういう御決定があり、
大藏省でも各省に通牒等を出しておりますので、
政府支拂いの
関係から、年末
金融がむずかしくなるということはあまりないではないかといふうに考えております。ただ追加予算が出ないで、各
特別会計等で
支拂いができない問題等がございます。たとえば今日提出になりました金
資金特別会計のごとく、一方強制買上げの規定がございますのに、一方予算がなくて金が出せない。
從つて日本銀行から各金の業者が金を借りて行くというような状況がございますが、そういう点以外は大体順調に行くのではないかと考えております。