○岡部
政府委員 それでは御
説明申し上げます。昨日は時間の都合で第三條の半ばだけを
説明いたしましたから、引続きましてその残りについて御
説明申し上げます。
人事院の性格に関する御
説明でありますが、人事院は御
承知の
通り三人の人事官をも
つて構成される
会議体の官廳でございます。その内部機構につきましては人事院がこれをみずから管理する。いわば人事院の機構の自律性を認めましたのは、これは一應行政組織法とも関連があるわけでありまして、人事院は先般來御論議の的にな
つております
通り準司法的機関である、あるいはまた十六條の際に御
説明申し上げまする
通り、人事院規則を制定し人事院指令を発するというような点を、もしもアカデミツクに表現すれば、準立法的機関である、こういうような学者もあるわけでありまして、そういう意味で他の行政機関とは大分性格を異にしている。また性格を異にしているに從いまして、その機構も特有なものでなければならない。そういう意味におきまして内部機構についての自律性を認めのが第一点であります。そういう意味から國家行政組織法は人事院には適用されないということにな
つております。その意味をさらにつつこんで申し上げますると、國家行政組織法は
総理廳、各省、各廳の機構を大体画一的に規定する趣旨でありまするが、この人事院は
内閣に置かれることになりまするので、人事院そのものは
内閣法において、
内閣官房と並んで
内閣において
内閣の機能を助けるための部局である。その部局は法律をも
つてこれを定めるということが
内閣法にございまするから、人事院の機構に関する基礎法は
内閣法にある。
内閣法に基いて、この
國家公務員法においてその機構の根本について規定し、それをさに人事院規則で規定するという形になろうかと存じます。なお第五條ないし第九條につきましては、昨日熱心な御論議が継続されたわけでありまして、大体その程度で御
説明申し上げる必要はなかろうかと存ずる次第であります。
第十二條は人事院
会議を規定してありますが、人事院
会議と申しますのは人事院の
意思決定機関でございまして、これが重要な諸般の
決定を行う。たとえば人事院規則の制定についても人事院
会議にかける。この人事院
会議のこまかいことでございますが、人事院
会議の運営につきましては、公開し、民主的な手続をも
つてやるつもりでございます。たとえて申しますならば、その開会日をあらかじめ予定しておきます。そうしてこれをあらかじめ官報その他の
方法で公告の手続をと
つて公開いたしまして、何人もこれが傍聽できるようにいたし、その
議事の公開明朗をはかるつもりでおります。
次に、人事院の事務をつかさどるために事務総局が置かれるわけでありますが、第十三條をごらんいただきますと「人事院に事務総局及び法律顧問を置く」ということにな
つております。事務総局の機構は、現在の
人事委員会につきまして機構図を差上げてありますが、現在は事務局の下に八部がございますが、これが人事院になりますと、そのままの形で八局になるというように御
了解いただきたいと思います。その分課の詳細につきましては、お手もとに参考資料として差上げてあります官報に詳細載
つております。大体そのままの形で行く予定であります。なお法律顧問を置くということにつきましてお尋ねがございましたが、この法律顧問と申しますのは、人事院が人事院規則を制定したり、その他
國家公務員法に基きまして
給與法及び勤務條件に関します幾多の
法律案をこれから制定しなければならぬという意味におきまして、高度の專門的な法律知識を必要とする建前から、特に法律顧問を置くとうた
つたわけでございまして、この法律顧問はやはり事務局の幹部職員といたしまして、一般職に属する職員でございます。從いましてこれはそれの資格のある國家
公務員を任命するつもりで、外國人をこれに用いるという
意思はございません。次には
予算の独立性の問題でございますが、これもきのう御論議がございましたので、その際の
政府側からの御
説明で御
了解いただけたことと存ずるのでございます。要するに、この人事院の
予算案を
内閣に出しまして、
内閣がそれに対して修正したというような場合においては、その
内閣の修正した
予算案とそれから人事院の原案とが二本
國会に出されるわけでありまして、この行き方は、高最裁判所であるとか、
國会どあるとか、会計檢査院とか、そういう独立機関の行き方をと
つたものでございます。なお應急予備金の問題につきまして、これが憲法上疑義があるようなお尋ねもあろうかと存ずるのでありますが、ここに書いてあります應急予備金というものは、私の解釈では、憲法にいわゆる予備費に属するものではないのでありまして、人事院の
予算費目の中に計上せられる行政経費の一種である。ただその支出科目がはつきりされていないで、單に包括的にな
つているという意味で変体的ではありますが、これは人事院の今後の事業がいまだ確定していない、その急に應ずるために、
内閣の予備費に一々お願いする煩を避けるという意味におきまして設けられた便宜手段であるというふうに御了承いただきたいと思います。しかしこれはあくまで邪道であります。邪道と申しましては行き過ぎかもしれませんが、財政法上は権道であると申さなければならぬのであります。それでこれはなるべく早く機会にこのようなことはやめるべきでございますから、昭和二十七年三月三十一日までで打切るようにしたい、ほんの過渡的な便宜手段であるというように御了承願いたいと思います。
その次の十四條、十五條につきましては特に御
説明申し上げることもなかろうおて思うのでありますが、十六條につきまして、これは人事院が人事院規則及び人事院指令を制定する根限を認めておりますので、これが一應問題になる規定でありますから、特に御
説明申し上げたいと思います。御
承知の
通り、現行法のもとにおきましては、
内閣総理大臣の承認を経て人事院規則を制定するということにな
つております。この点を通じまして
内閣の監督の
方法が明確化されているということは言えようかと思うのでございます囲それをこのたび
内閣総理大臣の承認を経る必要がないというふうに改めましたことは、この人事院規則の性格そのものが、きわめて自立的、中立的なものでなければならないので、そのときの政治的な情勢によ
つて左右されるべきものではないという意向に出るわけでありまして、その点につきましては、もちろんいろいろ御論議があり得る問題であると存じます。なおこの人事院規則の性格についてでございますが、この性格につきましてもいろいろ御
意見があろうかと思いますが、これは要するに、
國家公務員法という法律によ
つて特に定められました一種の委任命令であり、執行命令であるというように御了承いただきたいと思うのであります。現在の憲法に認められております政令は、憲法及び法律を執行するためというように、一應單なる執行命令であるというように解釈されるのでありますが、しかし憲法上におきましても、やはり現在の政令がある程度まで委任命令の性格を持つものである。また実際そういうように運用しておる。そういう意味において、必ずしも憲法の趣旨に反するものではないということは
政府の一致した取扱いでございます。そういう意味におきまして、人事院規則というものは、人事院が発するものではあるけれども、大体政令と同じ性格を持つものであるというように御
了解いただきたいと思います。
次に人事院指令の性格の問題でありますが、これはま
つたく新しい形の命令でございます。その発し得る範囲は、要するに人事院規則とその範囲を一にすると
考えるのでございますが、その発する
方法といたしましては、主として人事院規則がなし場合、すなわち人事院規則を制定すべきであるが、制定するいとまがない場合においてこれを発するというわけでありますから、第一の場合においては、きわめて具体的なケースについてこれを発する。人事院規則を設けるべきであるが、それを設ける必要のある具体的な事例が起
つた場合に、その具体的な事例を解決するために、このような人事院指例が発せられることが
一つの場合、もう
一つは、人事院規則をさらに実施するために、その細部にわた
つて人事院指令を発する、すなわち人事院規則の施行命令の形態をとる場合が第二の場合、いずれにいたしましてもきわめて具体的なケースについて、一層技術的な場面において、人事院指令が発せられることになるであろうということを御
承知いただきたいと思うのであります。
第十七條ないし二十六條については大した重要な変更はございません。以上をも
つて第二章につきましての御
説明といたします。