○増田
國務大臣 まず最初の行政整理のことについて申し上げます。当時
赤松委員も御出席でございまして、私の申し上げたことはお聞きくだす
つておりますから御
承知の
通りでございまして、私が自由党の政務調査会長を約一年しておりましたときに、行政整理のことも研究いたしましたが、その時の民自党の主張はこうであつた、こういう
意味で申し上げた次第であります。まだこの
内閣はできて一月そこそこでございまして、この
内閣の独自の行政整理案を持
つておるわけではございません。しかしながら民自党が行政整理についてある程度の研究をし、ある程度の
意向を社会に
発表しておりますから、そういう政策を具現化するというのが、吉田
内閣に課された使命でなくてはならぬ。こう思いまして、そういう立場から申し上げし次第でございますが、当時民自党といたしましては、三割ぐらいな行政整理が必要であるというふうに
考えておつたということをまず申し上げておきます。
第二に、四十七万と四十万と三十一万数千のこの開きの問題でございますが、これは私
どもが、この六月に総
予算案が出ましたときに、これに対して民自党独自の
修正案なるものを
提案いたしまして、遺憾ながら否決されましたけれ
ども、そのときに落すべき数はどしどし落して参つたのでございまするが、研究してみますと
——これは官廳
関係とも打合わせて研究した次第でありますが、しかし根本的の研究ではございませんから、ほんとうの專門家はまだこれに異論があつたかも存じませんし、調査の粗漏があつたかも存じませんが、とにかく当時の
予算定員は四十万そこそこでございました。それに対して來年の三月三十一日、すなわち本会計年度の終りまでにおいて、四十七万人に定員をふやうというわけで、四十七万人に対する
予算を組んであつたわけであります。ところでこの六月の定員の四十一万何がしに対して、現在員はどれだけであるかということを調べたときに
——四十万何がしだと思いますが、数のこまかい点で多少錯誤もありましたならばその点は御了承を願いたいと思います。現在員は当時たしか三十一万七千ぐらいでありまして、私はラウンド・ナンバーで三十一万と、こう申し上げた次第であります。そこで十六万の差異が出るということは、三十一万の現在員がふえないと仮定すればという話でありまして、何といたしましても、一應は血の出る首切りをいたしたくない。数の整理ということは問題にならぬじやないかということを、行政整理に反対の
赤松さんがおつしやるのは少しおかしいと思うが、とにかく一應は血の出ない整理をいたしたい。こういう見地をまずこるといたしますと、現在員を充員しないと仮定すれば十万余のさやが出て來る。但し四十七万の新定員が認められたからには、
赤松さんも同感くださると思いますが、三十一万七千のところを三十四万や五万にはしておると思います。だんだんさや寄せはいたしておるが、まず血の出ない首切りをいたしたい。くやしくも民主党が三割の行政整理を提唱しながら、血の出ない数の整理だけでは、そこに欺瞞がありはせぬかという御
質問はごもつともであります。しからばわれわれはどういう整理をするかと申しますと、天引整理ということを主張する人もありましよう。しかし天引整理は最惡の場合において行うきわめて安易なイージーゴーイングなやり方であ
つて、私はそれはよろしくないと思う。その官廳々々について具体的妥当性を発見する。この官廳はなるほど現在員もこれだけ、定員もこれだけだけれ
ども、まだふやさなければならないという官廳もございましよう。またこの官廳は五割減してもいいといつた官廳もございましよう。私
どもの提唱しておる統制経済が大幅に整理されるというような場合には、統制経済官吏はなくても済むというようなことにもなるのであります。われわれはどこまでも血を出さない数だけの整理ということで逃げることはいたしません。やはりその官廳々々について、具体的の妥当性の発見に努めまして、適正なる行政整理をいたしたい。全体として見ればこれは一つの腰だめであり、常識観察でございまするが、結果的にまず三割以上の整理はなかなかできない、またそれ以上のことをすればむごいことにもなる、こういうふうに私は感じて当時申し上げた次第でございます。
次に賃金安定の問題にからみました行政整理、財政整理、産業合理化の問題についてお答え申し上げます。私
どもは、賃金安定については、芦田
内閣のときにおいて提唱されました十大原則、しかも最もウエイトを置かれた原則である。これをできるだけ早期に実現したいと思いまして、吉田
内閣においてもこの政策は踏襲しております。できるだけ早くこれを実現したい。但しその前提といたしましては、私は全体として全産業労働賃金について、調和のとれた適正妥当なる賃金構造が得られなくてはならぬと思
つております。その前提に立
つて賃金を安定せしむることである。そこで全産業労働賃金構造が適正な、調和のとれた、不公平のない賃金構造をまず得るために、せつかく今
努力中でございます。
賃金安定をいたしましてその次に企業整理をする。これは産業合理化といつたような資本主義的なやり方をしやせぬかという
お話でございます。御
承知の
通り今回三原則というものをわれわれが
発表しておりますが、これは産業合理化といつたような資本主義的と言いますか、資本家主義的な立場ばかり見ているわけではございません。全産業について、この産業を健全化する企業の独立採算制、あるいは産業の健全性の確立ということがなければ、かんじんの経営者や資本家が困るばかりでなく、勤労大衆を含む全國民が困る次第でございまするから、ただ産業合理化というものは、資本家のためのものであるというふうには私
ども考えておりませんで、結局生産設備が経済的に、健全に運営できるしかけにすることが、勤労大衆のためにもなる。それからわれわれはあなた方と表現は違いましても、目的は同じであると思
つておりますが、すなわち全國民の完全雇用ということのゴールを達成するためには、一時は産業合理化もやむを得ない。どこまでも今の企業体に雇用されておる人々が首切られないことが、完全雇用とは思
つておりません。八千万の者の完全雇用ということのためには、ある場合において企業合理化もやむを得ない。産業合理化もやむを得ない。決してこの産業合理化とは資本家のためでなく、八千万の完全雇用のためであるというふうに御
了解願いたい。そこでどんな事業をするかという話でありますが、これはせんだ
つても川崎君に大分
お話しましたが、時間の
関係でお許し願えますか。