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今村(長)
委員 ただいま
大臣の御
説明で、
業界が強くこれを要望いたしておるというふうな御
説明をいただいたのでありますが、事実はこれに反しておるのでありまして、この点は深く御檢討願いたいと思うのであります。と申しますのは、私自身は纖維
業者でありますが、私ども纖維
業界においては國の
檢査、いわゆる國檢というものを要望いたしていない。と申しますのは先ほども申しましたように、本年七月十二日法律第百五十三号によ
つて発令されました
輸出品取締法の第三條に「主務
大臣は、
品質の識別のため必要があると認めるときは、
輸出品の品目を
指定して、その各々につき、等級及びその標準を定める。」こういうことがある。これを第三條の性格から申しますと、
輸出品の等級と標準を定めるということと、さらにまた
指定品目というものを必要があれば主務
大臣が定める、こういうことが第三條の要点に
なつておるわけであります。從いまして
輸出品全般にわた
つてというわけでなく、どうしてもこういうふうな
輸出品は等級と標準を定めなければならない。そういうふうに主務
大臣が認めたときに、そういうふうな
指定品目を定めるのであります。これはいわゆる第三條の性格であります。
それから次に第六條でありますが、第六條は
檢査を行うということが主に
なつてこういうような條文ができている。「第三條の
規定により
指定された
輸出品を
輸出し、又は
輸出品として
政府に讓り渡そうとする者は、その
輸出品に、同條の
規定により定められた標準に適合する等級を附さなければならない。」これは非常に民主化された條文でありまして、
從來は
纖維製品檢査協会というものがありまして、これが強制
檢査を
行つておつたのであります。現在もまだやりつつあるのであります。ところが第六條の
檢査といううちの「標準に適合する等級を附さなければならない。」ということは、生産者自体が自分で良心的に標準に合うような、いわゆる一等品であるとか
合格品であるとか、そういうふうに標準に適合する等級を自身でつけていいということに
なつておるのでありまして、
從來のような強制
檢査を廃して、きわめて民主的に自主的に、自分のつくつた
製品を良心的に等級を定めるというのが第六條であるわけであります。ただし全部の
生産業者がそういうふうに良心的に等級を間違いなくつけた場合は、これはもちろん
輸出が
振興されて行くわけでありまして、非常にけつこうな結果が生れて來るのでありますが、中に不純な生産者がありまして、故意に等外品を
合格品なりとしてか
つて氣ままな等級をつけるようなことがあ
つては困るから、そういう場合には第二項に「主務
大臣は、この法律を
実施する責に任ずるものとし、」この法律を適用する責任は主務
大臣にあるから、そういうような結果が生れては困るから「この目的のため必要と認めるときは、前項の
規定による
輸出品に附された等級について、
檢査を行うことができる。」いわゆる
生産業者の個々別々の等級をつけておるその等級を
檢査をする、こういうことがいわゆる第六條の法の性格であります。この
輸出品取締法というものは第一條から第二十條までで終
つておるわけでありますが、そのうちの第三條と第六條によ
つて、今日議題と
なつておりますように、各府縣に
檢査の
出張所を設けるということが論議されておるのでありまして、この條文の建前から参りまして、きわめて民主的にこういうふうな條文ができておいて、しかも現在各生産者が等級なり標準をつけて、しかも主務
大臣がこういう品物だけはどうしても等級をつけなければならないとして、いわゆる第三條にうた
つておりますように
輸出品の品目を定めて、その上で等級なり標準をつける。こういうことになるのでありまするが、現在まだそれが行われていないのであります。現在行われていないときに、こういうふうにすれば不
合格品が出るであろうということは、あまりにも
生産業者の立場に対する理解がないということと、
政府みずから
関係業者の信用
程度を疑うものでございまして、こういうことが
海外に影響することきわめて大である。こういうふうな
考え方もまた一應は生れて参るのでありますが、ここにおいて不
良品ははたしてどれだけの量が今日まで出ておつたかということが必要に
なつて來るのと、同時に七月の十二日に、この
輸出品の取締法というものが発令された後はどう
なつておるか、発令される前はどう
なつておつたかということが非常に今日議題に
なつておりまして、この
案件を処理する上において、最も重要な要素と
なつて参りますので、これを決定する前に、まずそういう点を明らかに御
説明を願わなければならないと思うのであります。
次にこれは
政府委員にお尋ねするのでありますが、國檢を
行つて、はたしてどの
程度に正確な
檢査が行われるかどうか。これは先ほど
多田委員もそういう点をつかれておりましたが、これも現在のような
機構のもとに、現在の
人員をも
つてして、はたして完全な國の
檢査が行われるかどうか。しかも現在各業種別に
民間の
檢査協会というものができまして、それによ
つて実際は
檢査を行わんとしつつある。その結果も待たずして國の
檢査を行うということはありまにも行き過ぎではないか。主務
大臣の権限の取扱いにおいて、私はそこに疑義が生じて來る。かように
考えるのでありまして、はたしてどういう資格の人、どういう手腕力量がある人、識見を持つた人が
檢査するのか、この國檢に当る人の資格をひとつ御
説明願いたいと思います。