○
松岡議長 御
承知の
通りあのとき諮問申し上げたにもかかわらず、不幸にして答申をいただくことができませんでしたが、その当時の
皆さんの御意向を察して、ああいう
方法をと
つた方がよかろうと
判断をしました。それで
各党首を歴訪し、
民自党を除く他の
政党の
代表者の方は快く出ていただくことに
なつた。
民自党の方では、総辞職する以上は、
野党の第一党である
民自党の
総裁に、
あとよろしく頼むという
態度をとられるのが憲政の常道であるから、快く同意することは困難であるという
お話があ
つた。私は、そういう理想は私も同じであるが、現実はそれが不可能なので、御
相談に來た。それではいずれ
相談の上回答しようということで
引取りました。私の印象では
イニシアチーブを
民自党に渡すべきである。おそらく他党の
党首も御同意くださるだろうという
見通しでありましたが、それに対していろいろ疑問をお
感じに
なつたりなどして、
せつかく
総裁が出てい
つても
総裁の面子を傷つけるようなことがあ
つてはならないという
党幹部の御懸念もあ
つたのではないかと察せられるような
交渉が行われ、その都度私は、
議長としてはどうあなた方が御心配なさろうと、私の
責任でそういうことの決定をするのは不可能であるが、お
集まりを
願つた上で四党の
党首が顏を見合せていて何もお言いにならないときは、お言いになることができるように引出す役目を努めていくことは当然で、これは決して行き過ぎとは思わないから、そのくらいのことは私は買
つて出るべきである。
吉田さんからざつくばらんに、
公式会議で
民自党を
代表されて
運営委員の方から話があ
つたようなことをおつしや
つていただけば、きつとそうなると信ずる、という一点ばりで、数回にわた
つてお話を申し上げてお
つたわけであります。そのうちに
民自党の方でさらに私に
希望がありまして、そういうことを何か言い出してくれるような
方法はないかということでありました。私はそこまでのことはできないと、きつぱりお断り申し上げました。あなたの方で何かそういうことをなさるなら御自由でありますが、私はそういうことはできないとお断り申し上げましたが、
言つておるうちにいろいろな周囲の情勢から、情報によれば、ある
政党の
総裁がそういうことをお言いになる
意思があるかのようにわれわれは傳え聞いたのであるが、それが事実であるかどうかということを確かめていただくことができないかという
お話でありました。私はその
程度なら決して差出がましいことにならないと
判断ができましたから、すぐ電話をかけて確かめてみました。ところが
民自党の副
幹事長の
廣川君、並びに
小澤君から、何らさしつかえありませんと
簡單に御
返事をいただきました。そのことを御回答いただいて、結局
吉田さんも列席していただくということにな
つたのであります。そうして御
承知の
通り吉田さんに列席していただいて、もうすでに一昨日ここで会合して、私からきわめて
簡單にいろいろな
事情があ
つたにかかわらず
皆さんが御出席いただくことができるように
なつたことをお礼申し上げまして、そうして私はこういう
提議をいたしました。いろいろ御
議論もあるようだけれ
ども五党の
代表のお
集まりをいただいて、今から
相談するについて、私はこういうことを
皆さんに具体的に御
相談申し上げたいと思う。それはこの五党の
党首が集ま
つて、どうして
時局を收拾するかということについての中心とな
つて幹事役をや
つていただく、もしくは
世話役をや
つていただく方をここで御
相談の上でおとりきめを願えれば、私はそれで
一段落仕事が済むような氣持がいたしますので、その
世話役、
幹事役がきまれば、
幹事としては
各党にお
当りになるもよかろうし、それらの
準備を結了されて、一堂に会して御自由に
相談した方がいいとお
感じになるときは、
幹事の御裁量、御
判断で
皆さんのお
集まりをお求めになるというような御自由な
態度でおやり
願つていいのじやないかと私は思
つておる。その
意味で世話人、
幹事をきめていただくことをお願いしたいということを申し上げたのであります。そうすると
間髮を入れずして
民主党の
総裁から、きわめて卒直に
時局收拾のために私の
提議いたしましたように
主導的立場に立
つてせわをやく人を
民自党の
総裁吉田さんにお願いした方がよかろうということをお言いに
なつた。私はそこでお
集まりの、
片山さんいかがです、三木さんいかがです、佐竹さんいかがですかと念を押しました。
皆さんはそれでけつこうだということでありました。それで私はほつとした。ところが
吉田さんからそれはありがとう、引受けますとはちよつと言いかねる、
帰つて相談した上で御回答申し上げる、こういう
お話があ
つたので、
総裁とはそのときに二度目の顏合せにすぎないのですが、
総裁を
代理して私のところにしばしばお
見えに
なつた方の
お話の
経過にかんがみまして、むしろ
総裁の御
挨拶は私の意外とするところであ
つたのであります。ひとり私のみでなく、他の党の
総裁も非常に意外にお考えにな
つたのではないかと私は想像しております。そこで私はすぐ何か言おうと思
つているうちに、幸いに
社会党の
委員長片山氏が、私が
提議いたしましたときに説明いたしましたことを繰返して
お話がありました。つまりそれは何かというと、先ほど申し上げた個々にお
当りにな
つてもよろしかろうし、あるいは
皆さんがお
集まりになる
態度をおとりになるもよかろうし、や
つてみてうまくいかないからとい
つておやめにな
つてもよかろうし、あまり拘束する
意味のものではないから、そんなことをおつしやらないでお引受けしてくださ
つてはどうかという
お話が
片山氏からあ
つた。他の人もそういう
意思をも
つておるような
言葉をきわめて
簡單に言うておられました。私も繰返しそういうことを申しました。決して理屈を申し上げるわけではないけれ
ども、あなたの方の党の公正な
代表が、
懇談会ではあるが、
運営委員会で御
希望があ
つた通りのことにな
つているのであるから、そういうことをおつしやらないでどうぞお引受けください。とにかく
相談しなければならぬということでありましたが、おしまいに席をお立ちになるときに、どうもぶつこわしみたいなことを
言つてはなはだ惡か
つたというようなことをおつしや
つて、お
引取りに
なつたわけであります。そしてその日は私が官舎に
帰つておりましたところが、
民自党から
廣川君、
小澤君がお
見えになりまして、
総裁から君たちが復命しておることと違う。
自分は今日憤慨にたえなか
つたけれ
ども、大いにがまんして
帰つた、話が違うというて
自分たちは怒られた。一体どういうことであ
つただろうかと言われるので、私ますますも
つて不愉快でもあると同時に、実に私は了解できなか
つたのであります。
吉田さんがあの場の話を取違えられるということはないはずだと思うけれ
ども、どうかした調子で何か先入観があ
つて、他の者が言いましたことをそのままに御了解にならなか
つたために、怒
つたのではなかろうかと察するほかはなか
つたのであります。
從つて私は五
党首会談が済んだ
あとで、ただちに各
新聞社の何十人という方々に
お話申し上げたときのことを両君に
お話し、それは決してうそではないのであるから、
吉田さんがどういうことを
帰つてお言いに
なつたかは知らぬけれ
ども、私がか
つてあなた方に申し上げた
見通しの
通りに決定したのであるから、明日といわず今晩からでも御遠慮なく、どうかどんどん四
党首の同意を得た上で、暗躍ではなく、明躍をおやりいただいていいということだけは、私は
責任をも
つて申し上げた。これは間違いない。そしてその晩
廣川君、
小澤君に
帰つていただいたようなわけであります。
事情はその
通りでありまして、それから後の問題につきましては、特に
吉田総裁から
帰つて相談いたしますという
お話についての
相談の結果は何ら私は伺
つておりませんが、今申し上げるような結果にかんがみて、そういう事理が明白になり、それならばやろうという
総裁並びに党内の御
判断ができたから、活動を開始されたことと、かように了解しております。