○
愛知政府委員 ただいまの御
質問の問題は、実は厚生省と
大藏省でと申しましても、主としては
主計局の
関係でございますので、あるいは私はごく最近の
状況をつまびらかにしておらぬかもしれないと思うのでありますが、先般本
会議で
厚生大臣から御答弁のあ
つたような線に
沿つて、
事務当局においても熱心に
折衝に当
つておることと存ずるわけでございます。なお
お尋ねの点から離れますが、この際その他の
金融関係につきまして、御説明いたしたいと思います。その第一の問題は、
引揚者に対する
復金のいわゆる
特別融資の問題でございます。この問題につきましては、実は本年度の第一・
四半期におきまして、
復金の行います
中小金融のわくの中から約一億円をさきまして、特に
引揚者の
便宜をはかりますために、
融資の
申入れの
手続、その他を簡素にすること、それから本來ならば
復金の
中小金融としては、少しいかがかと思われる点がありましても、
融通をきかして審査をするというような趣旨で、いわゆる
特別融資をや
つておるわけでございます。この
方式は第二・
四半期においても踏襲いたしまして、第二・
四半期では一億五千万円という
計画にいたしまして、全部その
資金を
予定通りに
融資をするようなかつこうでございます。ところがこの
やり方につきましては、当初來実は
関係方面との
折衝については、いろいろの顧慮もございましたので、その
了解を得ていないのでございます。しかるところ第二・
四半期の中途におきましてこの問題が取上げられまして、現在のところではこの
方式を続行するということが、困難というよりは、ほとんど不可能の
状態に立ち至りまして、
事務当局としては、ほとん
どもはや手の施すすべがないという
程度に行
つております。のみならず、場合によりますれば、
從來やりましたこの
事態についても
相当問題になる
可能性すらあるような
状況でございまして、ここ二月ほど、私
どもといたしましては全力をあげて打開に努めたのでありますけれ
ども、完全な
破局状態に立ち至りまして、現在のところは政治的に大きく手を打
つていただくよりほかにはないというような
状況に立ち至
つておりますことは、まことに遺憾千万に存じているわけでございます。この問題につきましては参議院の在外同
胞引揚対策委員会でも前々から非常に熱心に
当局が御
鞭韃をいただいておるのでありますが、その他の
事情は今申しましたような
状況でございますので、何とも私
どもとして手の施しようがない
状況にな
つていることを率直に御
報告いたす次第でございます。
なおこういう
状況でございますけれ
ども、私
どもといたしましては、
復金も
中小金融の普通の
融資はや
つておりますことでもあり、また先般も調べたのでございますが、その
復金の
中小金融の
対象にな
つておりますものの
相当部分は、やはり
引揚者を中心にした
團体会社等に対する
貸付が
相当の割合を占めているようなわけでありますが、なお今後におきましても、他の
中小金融と特別に
差別待遇をして扱うというようなかつこうにならざる限りは、
普通融資の面におきましても、できるだけの
便宜をはかりたいというふうに考えておるわけであります。
それから今後の問題でございますが、今後の問題としては、実は
政府の提案として
國民金融公庫法案というものを用意いたしておるわけであります。まだ当第三
國会に提出できるかどうかということにつきましては、おそらく間に合うまいと思いますが、次の
通常國会にはぜひとも御
審議を願いたいと思
つております。その
國民金融公庫のねらいの中には、
引揚者を
相当重視しておるのでございますが、同時に
一般の
生活困窮者の福利を増進するということを表面の看板にもちろんいたしておりますけれ
ども、その一環としては実質的には
引揚者が
相当ここでは救済の
対象になるのではなかろうかと考えております。この
國民金融公庫は
全額政府の出資で、完全な
政府機関ということにいたすつもりでおるわけでございます。そうしてその
融資の
対象といたしましては
一般の困窮せる大衆ということに限定いたしまして、特にその中で今申しましたように
引揚者に対する
資金の
融通ということに重点を置いて
運営をいたして参りたいというふうに考えておるわけでございます。一應の考え方といたしましては、
借受人の資格は
引揚者、戰災者、
一般生活困窮者ということにいたしまして、
貸付の限度は、現在
復金の
特別融資でや
つておりますように一世帶というふうに限れば、五万円とか十万円とかいうような單位になりましようけれ
ども、
連帶貸付その他の
方法を活用することによ
つて一軒当りの金額もある
程度考える。それから
貸付金の
返済方法等も年賦とか半年賦とかいうことにいたそうと思います。それから
利率等についても、できるだけ安い
利率にいたしたい。
担保も確実な
保証人を付するということによ
つて、必ずしも
物的担保を要求しないというようなことを考えてみたらばどうかと思
つておるのであります。またこの
公庫の
運営にあたりましては、
運営のために特別の
審議会をつくりまして、その
審議会の中に民間から選出される
委員の中には
引揚者代表をぜひ加えたいというような構想を持
つておるわけであります。もとより今申しましたように、この
法案はこの
國会にはまだ出ておりませんので、これが実際に今
計画しておるように
法案ができ御
審議をいただいた上で発足いたしますのには、どうしてもまだ
相当の日数を要するわけでありますので、私
どもといたしましては先ほど申しました
復金の
特別融資を、できるならば少くともこの第三・
四半期だけ継続いたしたいと考えておりますけれ
ども、さつき申しましたように、ここで
むり押しをいたしますと、
從來のものまで批判の
対象になりますので、行き詰
つて非常に困
つておるわけでございます。
なおもう一つ申し添えて置きまするが、第二・
四半期は先ほど申し上げましたように一應一億五千万円ということで
計画いたしたのでありますが、その後
申入れの
状況を見ますと約三千万円近く申込みが
予定を超過いたしております。ことに
九州方面において非常に申込みが殺到しておりますので、この分だけは私
ども事務当局の
責任において
計画をある
程度超過するものにも申込みを受け付けるということにいたしまして、第三・
四半期が全然だめになるような見通しでありますので、せめてこのくらいだけでもと思いまして、
事務当局としての
責任裁量の
範囲におきまして、それだけのことをいたしたような
状況でございます。從いまして第二・
四半期の分として、結果においては約一億八千万円の金がこれによ
つて出る。それから第一・
四半期の
実績として一億一千七百万円ほど出ております。さらに昨年の第四・
四半期におきまして、そのほかに
実績として一億五百万円ほど出ております。それだけが現在特別のはからいで出た金の総計になるわけであります。