○三木
政府委員 ただいまの沿線火災の
お話は、今年の五月に青森縣の北川村で二百四十世帶余りの火災があ
つたことをさしておられると思いますが、この場所は線路を中心にはかりまして、最短の所で四十メートルの位置にある屋根から発火したのであります。当日の風向を
考えますと、線路が曲
つておりますので、ちようど風上に
機関者が來たときと想像される地点から、発火地点をはかると六十二メートルばかりあります。御承知の
通り機関車が走りまして、その散火あるいは灰がら等によ
つて、沿線に火災を起す例はたびたびあるのでございますが、その際には御承知の
通り大審院の判例がございまして、
鉄道には賠償
責任はないというこ徳にな
つているのでございます。しかしその
鉄道の
機関の原因で発火したような場合には、見舞金を差上げるというような制度を認めているわけであります。現在におきましては、昨年の八月でありましたかに、大臣にきめていただきまして、家に対しては一戸五万円、世帶道具を燒かれました住宅の場合には、その世帶道具に対して燒けた全損の場合に五万円を最高限度として、その範囲で見舞金を差上げる。こういうように大臣がきめられまして、それによ
つてや
つているわけでございます。もとよりこれは最高限をきめられたのでございまして、その以内においていろいろな事情を勘案して見舞金を差上げることにしているのでありますが、昨年の四月青森におきまして沿線火災がございまして、三百八十世帶余りの方が罹災されたのであります。その際は列車の通過時刻及び発火の時期というようなものから
考えまして、われわれ
事務当局といたしましては、沿線火災の疑いは大してないという
考えを持
つてお
つたのであります。しかしもちろんこれは経驗上言うことでありまして、絶対にないとは言えない。
機関車が火をたいて、その近所を通
つて、何分経
つたら絶対に燒けないということは言えないことでありますし、警察
当局あるいは檢事局におきまして、沿線火災の疑いが非常に多いというようなお
考えもございましたので、十万円以内の範囲でございますが、一世帶に対して一万円をお見舞として差上げることにして、羅災者の方も御了承願
つてや
つたのでございます。今回の場合も先ほど申しました
通り最短距離をはかりましても四十メートル、風向きの
方向を
考えましても六十二メートルの地点から発火したのでありまして、当明におきましても列車の噴火によるか、あるいはその前の木炭バスが通
つたそうでありますが、その原因であるか、地元においてはいろいろととりざたがあ
つたそうであります。しかしわれわれの研究によりますと、六十二メートリも離れた地点に、
機関車の煙突から出ます灰がらが飛んで行
つて発火するということは、まずあり得ない、——全然と
言つていいくらいあり得ないじやないかという
結論が出ておるのであります。しかしながら当日は非常に風の強い日でありまして、風速が十五メートルばかりもあ
つたそうでありまして、これも全然ないという
はつきりした事実を証明することはできませんが、非常に発火しにくい距離にあ
つたということは、われわれの研究する範囲では、
はつきり出ておるのでございます。しかし多数の年代の家を燒かれて、こういう時節に非常に御迷感をかけておるということで、先ほど仰せられました苫米地代議士、山峯代議士、小笠原代議士からも、私がお目にかかるまでに、それぞれ何とかするようにというような
お話がありました。苫米地代議士にも、山崎代議士にも私そういう
お話を伺
つたのでありますが、その節にも申し上げました。よくわかりました、けれ
ども、こういう事情にな
つておりますので、ほかの例もございますし、十分お見舞は絶対にできないと思います。しかし羅災者の方の御事情は十分同情いたすつもりでおりますから、よく研究いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしましよう。こういう御返事をいたしたのであります。それから今
お話の小笠原代議士が何日でございましたか、朝早く私の部屋においでくださいまして、先ほどおつしや
つたような
お話がございました。その節私は、今小笠原さんもおつしや
つたように、これはその後どこでもそういうことを例にしておるのでございますが、あとの、一世帶当り幾らというふうに、出しました金額の分配ということもございますから、村長さんなり町村さんなり、そういう方に村へ入
つていただきまして、地元の羅災者の代表の方と一應折衝いたしておりますので、その方と私
どもがお目にかか
つてよく
お話して、こちらの事情も
お話申し上げ、
向うの事情も伺うことにいたしましようと申し上げたのでございますが、小笠原さんは、ここで代表者を呼んで一緒に話をしよう、こういうことを繰返しおつしや
つたのでございます。それに対して私は、いやこれは私の方から、あるいは仙台の局から出かけまして、代表者の方にお目にかか
つたお話をいたしましよう、ということを繰返して申し上げたのでございます。しかし最後に、出て行
つたらお前会うか、こういう
お話でございました。それはおいでになればお目にかかります、と申し上げました。それから、最近お前は出張する予定があるかということでありましたから、いや出張する予定はございません、と申し上げました。私はその際繰返し、こちらから参
つてお話するということを十分申し上げたつもりでありますし、その前の五日には
鉄道局長が出て來まして、このくらいの額でどうだろうという
お話もございましたから、そのくらいなら
会計檢査院その他に対しても
説明も
理由もつくと思うし、ほかとの振合いもいいように思うから、と申しておきましたので、繰返してこちらから、あるいは仙台の方から
お話するということを申し上げたのであります。最後に、出て行
つたら会うかとおつしや
つたときに、もちろんお目にかかることはお目にかかるつもりでありましたが、それまで
お話をしてはいけないというふうにおつしや
つたのを、私が取違えたのかもしれませんし、それからまた私の
考えとしては、繰返して申し上げた
通り、こつちから出かけて行
つてお話する、こういうふうに
お話したので、その辺もおわかりいただいたのではないかと思
つてお
つたのです。それで仙台の文書課長が——仙台の局まで來ていただいたそうでありますが、そこで
お話して、こういう事情にな
つておるので、青森市の場合は一万円であ
つたが、その後今も小笠原さんの
お話に出たように思いますが、昨年の物價と、五月、六月は木材を中心に見ますと、五割増しくらいでありますので、一万五千円くらいでどうだろうという
お話をしたのでありますが、二万円くらい出せないかという
お話があ
つたそうであります。しかし現実にお拂いした青森の場合の一万円と、そのころは物價の値上りがはなはだしいときでありますから、そのことも
考慮に入れれば、一万七千円くらいは拂えるじやないかという
お話もありましたし、そのくらいで
お話したらよかろうということになりまして、仙台の局からそういう話が來ております。これで
お話がつきますならば、早く立案をして大臣の決裁を経て、支拂いたいと思
つておりますが、まだ決裁もいただいておりません。今のところそういう
状態にあるわけであります。たいへんなめておるというおしかりを受けたのですが、この点は私の言葉が足りなか
つたので申訳ないのでございますけれ
ども、繰返して、私の方から罹災者の方へ行
つてお目にかか
つてお話する、こういうふうに申し上げ、そのつもりでおりましたのが、そうでなくて御迷惑かけた点がありましたら、おわび申し上げます。