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小澤國務大臣 原さんにお答えします。第一に運筒値上げの問題でございますが、きのう泉山大藏
大臣は、運賃の値上げをしないということを本
会議で言明いたしました。
結論においては私も同じであります。そういう答弁をしたのは私といつ打合したかという
お話でありますが、別にそういう答弁についての打合せはございませんが、大体閣議でそういう問題が、本式ではありませんが、雜談的に今後の経済の見通し等について論ぜられた場合に、われわれは現
段階においてただちに運賃の値上げを承服するものではないということは話したことがあるのであります。その線に基いて泉山君が答弁されたのだと思いますが、これが一歩進んで、運賃を値上げしないという時期はいつまでのことは、今年一ぱいにという
意味か、また來年の本年度末ということかという御
質疑でございましたが、日を切
つてどうこうということは申し上げられませんけれども、われわれの
考えておるのは、現在賃金の面におきまして、たとえば全官公労の賃金について、人事
委員会が六千三百円ベースを勧告した。あるいは電産の問題で賃金がこうだ、あるいは炭鉱の賃金がこうであるとかいうような点は、非常に重く主張されておる次第でありまして、これは原さんも御
承知の
通りでありますが、そういうように賃金が改訂された場合において、たとえば炭昔の労務者の賃金が上れば石炭の價格が上る。炭價が上れば、
鉄道運賃も上るという形になるのではないかというような推論も一應出て來るのであります。しかし私どもは現在の
段階では、運賃の値上げだけをやる行き方は断じてとるべきではないという
見地をと
つております。では全然値上げしないかというと、後日賃金という面につきましても、大体公正な賃金が
決定され、またこれに対する物價対策という問題が、全面的に蒲欟討される場合は、やはり運賃の値上げはやむを得ない。こういう
見地から全般的な物價改訂、あるいは賃金の安定性をここで大きく
結論づけるまでは、ただ運賃値上げだけをやるということに対しては、これはとるべき措置ではない。
從つて私どもは反対だという
結論なのであります。従
つてそういう措置が具体的に申しまして今年一ぱいにとられるか、來年三月までにとられるかということによ
つて、今の原さんの御疑問がはつきりすると思うのであります。
それかり
独立採算制の問題でありますが、御
承知のように戰前においては、
鉄道特別会計は非常に大きな黒字にな
つてお
つたのであります。黒字になりまして
一般会計にも繰入れておつたというような状態でありましたが、戰爭後だんだんといわゆる採制が破れまして、現在では約三百億も
一般会計から補給を受けておるような現状であります。
從つて私どもといたしましては、どうしても少くも戰前のように黒字に行くということは非常に困難であるにしても、せめて
独立採算制までは
——つまり
收支のバランスをとるまではどうしても行かなければならぬという強い
考え方が進んでおるのであります。しかしながらこの我立
採算制をとるということになりますと、どうしたらこれを具体的にやるかということになると、これは非常に大きな問題であります。たとえば、運賃値上げであるとか、あるいは
行政整理ということがすぐに浮んで來るのであります。私はもちろん最終的に、あるいは一定の時期にそういう場面に、あると思うのですが、私の現在の心境から行くと、さしあたり冗費の徹底的に節約する。ただちに人員の整理とか、運賃の値上げということに觸れずに、一体現在の
鉄道事業でどれだけのものが経費の中から抜けるか、すなわち歳出が防げるかということ極力こまかい点まで檢討いたしまして、そしてもしこの点だけで
独立採算制がとられるならば、こんないいことはないのでありまして、その点を先にや
つて、しかる後に運賃の値上げをするとか、あるいは
行政整理をやるとかいろいろなことは、その結果がわかつた場合にあらためて
考慮する問題であ
つて、今ただちに
独立採算制のために大量の馘首を断行するとか、あるいは運賃を極度に値上げするということに行くべき問題ではないかという
見解を持
つて、その方針でに進みつつあるのであります。