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政府委員(
賀來才二郎君) 中労委の裁定は、
はつきりした数字は出していないのでありまして、大体二つの
方針をい
つておるのであります。
一つは
官吏の賃金というものは大体昨年の一月から、一月あたりを基準にしまして、今、
日本では科学的には唯一といわれておりまする消費者價格
調査のあの数字を参照して、
生活費の増嵩に伴
つて賃金もそれを考慮に入れて決められるようにと、
一つは
官吏の
給與というものを
民間の
給與、同一職種と比較してこれと均衡を保ち得るようにや
つて貰いたいという、この二つが大体
條件にな
つております。これをどう絡み合せるかということは
はつきり書いてないのであります。ただこの点については、極めて各方面から技術面な專門家を少数委嘱して、そうしてその研究によ
つて大体の基準を決めるようにということにな
つておるのであります。
政府はその調停案の趣旨に從うという
立場をとりまして、そうして大体中労委の方の調停案にありましたように、中立側といいますか、常識経驗者三名
程度、それから
政府側二名
程度、それから
労働組合側二名
程度の專門家を出して、そうして
給與に関する
調査委員会を設けて、それによ
つて基準の御
決定を願うということについては賛成でありますから然るべくという返事を中労委にいたしたのであります。その結果中労委から大体その線でや
つて行つて貰いたいという囘答が昨年の十二月の終りにあ
つて、
政府はそれによ
つて、
委員は中労委の御推薦を願うということにいたしておりましたので、中労委から
委員の御推薦であることを待
つてお
つたのであります。ところが一月になりましてから、
組合側では、
組合側全体から出します
委員としては二名では少な過ぎるから、大体全官公
関係の
組合を大別いたしまして、八つにな
つておりますので、まあ各
組合から一名ぐらいの割合で
委員を出すようにしてくれないか、こういうことと、それからこの
委員会は、調停案によりますると一般
水準を定めるということにな
つておるけれども、各
労働組合の要求するところは、この際
最低賃金と申しますか、最低
生活を保障する賃金とも合せて研究して貰わなければ安心がならん
從つてこの
委員会でさようにや
つて貰いたいということが希望にな
つて出て参りました。ところで調停案も、先程
大臣が申しましたように現在の
インフレ下において
最低賃金を決めるということが果して適当であるかどうか、又可能性があるかどうかということについて、調停案の趣旨は、やはりそういうことも書いてあります。
政府もさように
考えておりますので、この
委員会で
最低賃金制を審議することは困難だろう、併し常にこの
官吏の
給與というものが、昨年の一ケ年の
経過を見ましても、二・一ストを中心として上げられておる、それから最後に十月、十一月の官公吏の
組合の動きによ
つて又増額と申しますか、増給せられておる、かようなふうに、これから以後におきましても何か全官公の
組合が騒ぐと申しますか、纒
つて要求しなければ
政府が取上げないというようでは、この我が國におきまする労働界における最大多数の数を持
つておりまする
組合のことでありますので、これが動きますと非常に公共の全般にも響くことがある。これを騒がずに何とか合理的に、將來待遇改善ができるような方法を
考えなきやならんということについては
労働委員会と
政府とが大体
意見が一致したのであります。そこで
労働委員会で
組合側といろいろ折衝して貰いましたのでありますが、又
政府に対しまして
労働委員会から折衝の結果、四つの項目を
條件にいたしまして、
給與委員会を作
つたらどうかという申入が又改めてこの一月の二十三日にあ
つたのであります。これは大体、第一項はこの
委員会は全官公の
組合から專門家を出す。これは八名
程度とする。併しこの出た人間は、これは決して
組合代表ではないので、
政府と
團体交渉をするものではない。言い換えますと、この
委員会で大体基準が決まりましても、それは
組合の
團体交渉権を否認するものではないということが書いてあります。第二項は、この
委員会は
決議するという主関ではないので、
意見が一致しますれば結構でありまするが、多数決で決める、いわゆる中立と
使用者側とで
労働者側の方を少数
意見にしたり、或いは
労働者側と中立と併せて
政府側の意向を少数
意見にしたりするようなことはしない。若し
意見が分れるならば、その
意見をそのまま確実な資料を添附して、
政府又は社会に
報告をするというふうな行き方で
行つて貰いたい。第三点は、これは
関係方面からの御意向もありまして、一月一ばいに結論を出すように。第四点には、この
インフレが昂進する際であるし、度々官公吏が要求しなければ、
政府或いは使用者は
給與の改善をやらないというようなことではいかんので、それらの問題が合理的に、根本的に一般の
給與制度として
解決する方法を
政府は考慮するように。これに対して
政府はこの
給與委員会が次の
労働委員会を拘束する、或いは次のさような研究する機関なり
委員会ができた場合に、それが今度の
委員会を拘束するようでは困る。併しとにかく合理的に將來根本的な
給與制度を研究するということは必要であろう。ということで、その四つの
條件を承諾することにいたしまして又中労委の方に囘答いたしたのであります。ところが
組合側では國鉄の
組合を除きまして、他の
組合ではどうも第四項の一般
方針について、根本的な協議をするという点についての中労委の申入書の趣旨がよく分らない、尚
政府がどういうような
考えを持
つておるか分らないので、一應
委員を出すことは遠慮するという所もあります。又賛成し兼ねるという所もあります。まだ考慮するという所もありましで、その他の官公吏はこれに加わらずに、國鉄だけが加わりまして、國鉄側三名と、
政府側多分三名になると思いますが、その三名と、中立側三名で、本日午前十時過ぎから総理官邸において準備的な
委員会を開催いたしまして、明日からこれが発足いたしまして、本月中には特別の
事情のない限り大体の基準を決めるというふうな予定で進んでおるのであります。以上簡單であるますが……。