○池田恒雄君 私はこの
予算案に対して
賛成はできないのであります。というのは、
予算案には非常にいろいろ問題があるのでありましてその問題は、この
審議過程において解決されておらないのであります。で、大体先ず
予算の内部の問題じやなく、ちよつとこれは政治上の問題が一つあるのであります。この政治上の問題というのは、本日の本
会議で民主自由党の石坂さんの御
質問にな
つてお
つた点でありますが、このことが一つ大きい問題であると、こう
考えるのであります。この
予算委員会には、
政府から第一次と第二次と
二つの
予算案が出て参
つたのであります。ところで
只今我々が問題にしておるところの
予算案は、これは異常三派の要請によ
つて提出された
予算案である。こういうことに相成
つておるのであります。そうすると、第一次のあの
予算案は與党三派の要請によ
つて提出されたるところの
政府案ではなか
つたということになるわけであります。そうすること、芦田
内閣は
如何なる政党の要請によ
つてあの
予算案を提出したものであ
つたかどうか。こういう問題が依然として解決されないでおるわけであります。これは非常に私は重大な問題である。こう思うのであります。何故かというと芦田首相はときどき議会の多数云々ということを言われておるのでありますが、土台現在の
内閣というものは政党の上に立
つておる
内閣でありまして、政党の上に立たない
内閣というものは成立たないのであります。そういたしますというと、少くともこの
予算案とも言うべきその
内閣のベストセールが、これが與党の修正をこんなような時期において受けるということは、これは非常に重大だと思うのであります。このことは
内閣の出したところの
原案が與党の
責任において提出されたものではない。こういうふうに見るべきものではないか。そうすると一体現在の
内閣はどこからああいうものを持
つて來たか。こういうことになるわけであります。それで現在の
内閣は果して政党の
責任の上に立
つておるのか、政党の
責任の上に立たないのか、つまりまあ芦田
内閣が、芦田
内閣というものはマネキン
内閣だ、こういうことになるのであります。これは決して芦田首相が洋服屋のマネキンじやなくて、官僚支配のマネキンじやないか。こういうことになるのであります。こういう
関係に私はなると思います。これは重大なる問題であると思うのであります。それから結局政党の與党から
責任を持たれなか
つた予算を出して、それを修正されて
國会多数の修正だと、こういうふうに言
つておるのでありますが、
内閣というものは、これは
國会多数の
意見に從うのじやなくて、
國会多数の政党がすでに
内閣を組織して
責任を持つ筈であります。この
関係は石坂さんに対する
答弁によ
つても我々は承服しておらないのであります。つまり
内閣の
責任というものはちつとも分らないのであります。こういう点が非常にこの
予算について問題になるわけであります。つまりこの
予算案を一体
如何なる政党が
内閣が
責任を持つかというよりも、その
内閣を通して
如何なる政党が
責任を持つかというようなことが極めて不明瞭である。つまり
内閣の
責任が不明瞭である。これが重大だと思うのであります。それからこれは或いは芦田首相のまあ適当な言葉であ
つたかも知れませんが、芦田首相は常にその巧みな極めて垢抜けのした詭弁を発するのでありまして、その結果そう
なつたかも知れませんが、いつか木下
委員が
質問いたしましたとき、これは官公
労働者がストライキをやることは憲法を知らんからだと、こういうことを言われたのでありますが、このことも又非常にこれは重大なことでありまして、
内閣の
責任というものを極めて不明瞭にするのであります。どういう点かと申しますると、これは私は今官公
労働者がああや
つて騒いでおるというようなことは決して結構なことじやないと思うのであります。騒がない方がよいに違いありませんが、併し今我々は
予算を
審議しておる時であります。
政府は
予算の編成過程にあるのであります。この時
予算に重大なる
関係を持
つておるところの自分達の
賃金待遇の問題に
つて、
政府に一定の申入をするということは、あの人達が官吏であるが故に憲法を自覚した行爲であると
考えておるのであります。これを
予算編成が終
つてしま
つて予算を動かすことが困難にな
つてからそのとき俺の月給が安か
つたというようなことを言うて來るのであ
つたならば、これは官公
職員の諸君が官吏であるにも拘わらず無自覚である。こういうことが言えるかも知れないのであります。ところがそうじやなく、また
予算が決定されない中にあの人達は
予算に
関係のある自分達の
要求を出して來ておるのでありまして、これは極めて憲法を知
つておるところの行動であ
つて、決して憲法を知らざるものではないと私は
考えるのであります。もう一つ芦田首相はああいうふうに國家の公僕が騒ぐということは、人民に対する挑戰であるということを言われておるのであります。ここでも芦田首相は非常に憲法を冒涜する態度を取
つておるわけであります。何故ならば
内閣総理
大臣というものは
國民に代
つて最終の
責任を負うところの一つの存在なんです。つまり幾ら
國民が公僕を雇
つておるとい
つても、
國民の
責任においてあの人達の
待遇をしたり、
國民の
責任においてあの人達に月給を拂
つたりするものではないのであります。このことは一切
内閣の
責任に属しておることなのであります。從
つて待遇問題で
労働者が騒ぐということは、専ら
内閣の
責任に属することであ
つて、
待遇問題について
政府を攻撃するというようなことは、これは官吏が決して人民を攻撃するのではなくして、
内閣を攻撃するものであり、その行爲はそこに止まるものなんであります。それをそういうふうなことを言わないで、全くの詭弁を以て人民というものの名を出して來て、そうして官公
職員の
要求を抑えようとするようなあの態度は、これは一つの自分の政治行爲の
責任を曖昧にするものであ
つて、非常に許されない行動だと私は思うのであります。こういうふうに
二つの視点から、芦田
内閣は自分の
責任の所在というものを非常に不明瞭にして、この
予算案を出して來ておるのであります。これは我々としては重大に
考えなければならないのであります。これは
予算案の
内容の問題より、もつと重大なることだ、こう私共は
考えるのであります。それで第一にこの問題をやや詳しく申上げたのであります。
予算の
内容につきましては、これは又非常にご
つてりという程問題があるのであります。そういう問題は殆んどこれは
委員会の中において明瞭な
政府の
答弁が得られないでおるのであります。
先ず第一の
予算上の問題は、これは先程木村
委員が
指摘したことでありまして、重複して申上げる必要もないのでありまして詳しくは申上げません。單に問題としてここに申上げようと思うのであります。この問題は、今度の
予算編成は物價を上げる、この上に立
つた編成である。これは木村
委員が言うた
通りなんであります。そうしてここで不思議なことは米價と労賃は抑えておるのであります。物價の値上りと米價と労賃が抑えられておる。この
関係の開きにおいて私はこの
予算というものは資本家に奉仕するものである。
労働者はそれだけ損をするという
関係を明瞭に示しておるのであります。これも木下
委員が資本家的であると、こういう
質問をいたしました時に、芦田首相は、そうじやありません、そういうことは心外であります。こういうことを言
つておるのであります。更に私が
質問いたしました時に、日本は戰争に敗けて、もう日本には資本家というものがおらんのであります。誠に結構なことを申されたのでありますが、ところが、実は資本家があればこそ物價の値上げというものがあるのでありまして、
労働者ばかりで物價の値上りというものはあり得る筈がないのであります。
労働者の
賃金と米價を抑えられておるというこの
関係において、これはやはり資本家が非常な利益をするために、
政府と一緒にな
つてこういう
予算を編成したと、こういうことになるのではないかと思うのであります。ただそういうふうに物價を吊り上げて労賃と米價を抑えた、そういうことによ
つてこの
予算が資本家等に奉仕するというだけではなくして、更に大衆負担というものを増長しておるのであります。こういうふうに飽くまでもこの
予算案は資本家本位の土壤或いは肥料として役に立つものであると、こういうふうに言わなければならないのであります。これが私は一つの問題なんでありますが、この
内容について詳しいことはこの際もう止めたいとこう思うのであります。
それから
國民所得の
計算なんかもですね、これは非常に
予算のために作
つた國民所得であ
つて、ちつとも客観的に調べたりなんかして作
つたものではないのであります。それは昨年と今年の
國民所得を見ますと明瞭に現われて來ておるのでありまして、それからこの
予算案について尚問題として出されますのは、先程私が
質問もいたしたのでありますが、終戰処理費、賠償施設費、公共事業費とこの三つの
予算があるのであります。これは
予算案の紙の上で一番目に着くものであります。
金額が非常に大きいのであります。ところでこれらのものは款
項目節というところの普通の
予算支出の
方法が取られておらないのでありまして、これは又非常に私は不潔な支出のし方であると、こういうふうに
考えるのであります。而もこの終戰処理費と公共土木事業費と、この
二つは日本の土建事業を一手販賣にしていると言
つても過言ではないのであります。要するに
政府が
予算によ
つて日本の土建事業を独占していると言
つてもいいのでありまして、そういうような
予算をここに出して置きながら、ところがこの支出については実に不明瞭な
方法で出している、こういうことになるのであります。而も私はここで
衆議院の方で問題になりましたいわゆる日本の天下に有名な土建業者が、これが相当に金を集めまして、政党の健全な発達のために献金をしているということなのであります。私はそれとこれとがどういう
関係があるということは全然知りません。單に一人間としてこういう
予算を見、而も天下の土木事業を
政府が独占しているというこの事実を見て、而もああいうところの報道を聞きますというと、これは結付けないで
考えるわけには行かないのであります。政党に対する政治献金をこの終戰処理費或いは公共事業費の、普通の法則でない法則によるところの支出とこれを結付けないで
考えるわけには行かないのであります。こういう点で私は非常にこれは危險な支出の
方法であると、こういうふうに
考えるのであります。併しこれについて私はいろいろ大蔵省にお願いをしたのでありますが、
資料さえも出して來ないのであります。これは私は遺憾なことであると思います。それから尚問題になる点を
指摘しますと、
特別会計というものが沢山あるのであります。
特別会計というものは殖えているように見えます。ところがこれらの
特別会計は、私は
政府の
財源捻出の場所としましても相当重要なものではないかとこう思うのであります。それで私は第三
分科会で農林、商工方面の
特別会計について特にいろいろなことをお尋ねして來たのでありますが、これらの
特別会計というものは、
一般会計に対して何らの福音をもたらしていないのであります。而も
一般会計に対して依存をするというような傾向を持
つております。ところが
特別会計の中には、勿論
一般会計に対して依存しなければならないようなものもあるのでありますが、併しながら
特別会計の中に、大いに
一般会計に対して寄與しなければならないところの性格を持
つているものが沢山あるのであります。ところが寄與しておらない。プラスしないでむしろマイナスにな
つている。こういう状態を見まするというと、
特別会計というものはこれは
復金とか或いは公團とかいうものと併せまして、これは
政府の
予算赤字を隠匿するところの隠しポケツトであるというふうに我々は解釈しなければならない。極めて危險である。何を隠して置くか分らない。どういう遣り繰りでこの中で
政府及びそれに関連した人達がするかという疑いを持たざるを得ないのです。而もこれに対して
資料を提供して來ているかというと、
資料も提供しておりません。單に形式的に
予算を持
つて來るのであ
つて、これらの重要な
特別会計の
内容、或いは公團の
内容、或いはこういうものに
関係するいろいろな事業の経理
内容について、何らのものを持
つて來ておらないのであります。こういうことになりますと、我々に
審議をさせないで、そうしていろいろと
内容をごまかしていると、こういうふうにもまあ私共は言いたくなるわけであります。言われたらまずいかも知れませんが、とに
かくそういうふうな工合に見えるのであります。それからこれでは貿易
資金の
特別会計につきましても非常にまずいのでありますし、山林の
特別会計にな
つて参りまするというと、尚一層まずいのであります。このことは専門家の岡本さんなんかも先日
指摘された
通りのことであります。そういうふうに疑う点が非常に多いのであります。これらのものを十分に
審議するならば、私は相当の
財源というものが捻出される筈であります。ところがお役人的に私は金力の上に安逸を食
つている、お役人諸君が金力の上に安逸を貧
つていると、こういうふうに言わなければならないと、この思うのであります。そうでなか
つたらこれを
一般会計に寄與していいわけだと思います。又問題になる点は、これは
行政整理の問題でありますが、
行政整理については先程中西君と
大蔵大臣とのいろいろなやり取りがありましたが、これはこういう一五%の
人件費を減らすか殖やすか、こういうことは余り大きな問題にならないと思う。というのは別の
答弁から見ると、とに
かくこれは掛け声に過ぎないというような工合に受け取れる
答弁を受け取
つているのであります。ところが問題になるのは、私は一五%の
人件費を殖やすとか減らすというようなことを言うて、勤労する官吏の神経を刺戟するということは、これは政策上よろしくない。それが一つ。それからもう一つはこういうことは
予算面では余り効果を持たないのであります。却
つてこの外に
政府がやるべき
行政整理があると思うのであります。この点について
船田國務大臣にお伺いしました時は、余り明瞭な
答弁を得ることはできなか
つたのでありますが、これは日本の
政府機構というものは戰争を通じて非常に膨脹している。それは非常に有閑無用の支出のために膨脹したのであります。この際そういう有閑過剰の
政府の支出というものを切捨てなければならないのだと、私はこう思うのであります。ところが一向それの切捨ては行われておらない。行われておらないばかりではなく、最近では
地方出先機関とか或いは公團、その他いろいろの
政府の外郭機関を
政府は盛んに
予算を膨脹しながらこれの増置を行な
つております。私はこういうような
政府の出先機関外郭施設を増置するということは、これは
政府の
責任の逃がれ場所にな
つていると思う。これも
財政を不潔にするものと
考えるのであります。こういう点が私は
行政整理の上で遺憾の点であ
つたと、こういうふうに思うのであります。そうして更に
政府提出の
資料によりますというと、役人の数はどんどん殖えているのであります。一割五分を減すと言
つてお
つて、実際は殖えている。事実こういうものは、新らしい仕事のために殖えて参
つているのであります。新らしい仕事を作
つた場合、古い無用の仕事を減すということを役人諸君は
考えておらないのであります。そうして一生懸命にな
つて新らしい人と新らしい
予算と新らしい機構とを多く作ろうとする傾向が見られるのであります。これでは私はやたらに
政府機構が大きくな
つて、そうして
予算が膨脹して來る。而もその中に雇われるところの役人諸君は大していい
待遇も受けないで、わいわい騒ぐということになるのである。こういうふうに思うのであります。こういうふうにこれは非常に重大な問題を含んでいると思うのであります。それから又問題を一つ出しますと、この
予算は軍國主義又は軍備の隠匿というものをそのまま放任している。これは第一回
國会においても、山下さんであ
つたかどなたであ
つたか経済白書に対する
質問に際しまして、
國民が知らんとするところはこういうところではない。隠匿物資がどのような状態にあるかということを知りたい。こういう
質問をした筈であります。これに対して
政府は適当なる
答弁をなされた筈であ
つたのであります。それからすでに一年経
つております。若干の隠匿物資については今回新らしく発せられたあの経済白書によ
つて明らかにされてもいい筈であります。ところが何らこれらについていろいろな
答弁をしておりながら、今度の白書においては明らかにされておりません。それから
國有財産に対する
報告書も出ておりますが、そういうものの中でもこれが明らかでないのであります。
財政の上でも不正取引に関するところのいろいろなものを扱う
特別会計では、これでは僅かな收入しか上げておらない。こういうような状態であります。ところがこの問題について私は北村
大蔵大臣に
質問をいたしたのであります。ところが北村
大蔵大臣は案外こういう方面の下情には疎いような御返事であ
つたのであります。
大臣であるから隠匿物資については余り下情には通じないであろうと、こう
考えまして私は余り追及しなか
つたのでありますが、ところが最近新聞を見まするというと、北村
大蔵大臣は、
衆議院の何々
委員会の方に参りまして、相当この方面には明かるい方であるのであります。ところがこういうことについて何らの
答弁をしなか
つた、而も兵隊が復員するとき持
つて歸
つた筈でありますなどという御
答弁があ
つたのであります。(「
関係ない」と呼ぶ者あり)ところが私は
昭和二十年の八月十五日まで海軍の軍人なんであります。その間の
事情は明瞭に知
つておるのであります。而もあのときの軍需物資の隠匿というものは虚脱とか、狼狽とかいうことでやられた筈ではなか
つたのであります。それは私の体験を以て言うならば、あれは軍部の隠匿であり、軍國主義の隠匿であ
つた筈なんであります。それが連合軍が進駐して以後、どうにもこうにもならなくて、結局あれはあのときでたらめに
なつた、乱脈に
なつたのだというような口上を以てごま化したに過ぎないのであります。我々は軍人として命令を受けたところのものは何であ
つたかというと、占領されては困るからこういうものは分らないようにしなければならんと、一週間くらい追い使われて、
書類は焼捨てられたのであります。こういうことは私は
大臣くらいになる人が分らないこともないと思うのであります。そういうことをこの
予算案は掘り出して有効な
財源として利用しておらないのであります。これは遺憾であります。厖大な、とに
かく世界を相手にする程の戰争をたくらんだあの物資が放任されておるということは遺憾なことであります。そういう意味において私はこれは軍國主義或いは軍備を隠匿しておる、こういうふうに言うてもそう叱られるわけもなかろうと、こういうふうに思うのであります。甚だこれは恐縮なんでありますが、とに
かくそういうわけであります。又私はそれに附加えて
考えられることは、この
財政の中に見られるものは、最近いろいろな
法律案がどんどん出て來るのであります。我々がどうして区別していいか分らん程
法律案が出て來ております。そういうものを合せて
考えまするというと、官僚機構、官僚勢力を増強さして行くという傾向を持
つておるのであります。このことは私は非常に芦田首相のいう民主主義とは大分隔たるものであ
つて、まずいと
考えるのであります。で、
法律案がそう出て來ておるし、そういう方面のいろいろな
予算が又出て來ておるわけであります。そうして全体の傾向として官僚支配を強化して行く、そうしてインフレーシヨンによ
つて巻き起
つて來るところのいろいろな社会的諸問題を経済的支配によ
つて解決して行こうとするところの傾向があるのであります。これはいろいろな法案の中に明瞭に受取ることができるのであります。これは私は非常に危險なことである、こう思います。私はいろいろな未解決の問題を拾い上げると、そういう工合に思うのでありますが、こういうことについては何らの
はつきりした解決を見ておらないのであります。それからこういうふうな問題がありまして、そういう問題が未解決のままに來ておるというわけでありまして、そこから私はいろいろなこの法案に対する反対の
意見が出て來るわけなんであります。單に
賛成できないというだけでなく、反対の
意見が出て來るのであります。ところがそういう私の
意見と同じような
意見が木村、中西、両氏から述べられたのでもありまするし、且つ余り長いこと話しまするというと、(「もういい」と呼ぶ者あり)いろいろなことの何で、あきられる方々もありますので、それは非常に氣の毒なのであります。私は実は明日くらいまで喋
つても一向差支えないと思います。(「もういい」、「朝までやれ」と呼ぶ者あり)それは
國会に記録がありますから、この間
衆議院では明日までや
つたのであります。この前は時計を止めたという記録もあるのだから、(「本筋々々」と呼ぶ者あり)いつまでや
つても構わんのでありますが、併し隣り同士で一片のお附合として私は止めるということを今言
つたのであります。でありますからそういうふうに御了解しながら(「了解した、了解した」と呼ぶ者あり)お附合を願いたいと思うのであります。もとより併し差支えある人とない人とがあるということも、これも一つお
考えにな
つて下さ
つて、隣り同士でこうや
つてもしようがない、(「本論をやれ」と呼ぶ者あり)それで結局こういす問題の中からいろいろなことを見ますと、價格調整費というようなものを莫大に支出しておりながら、
農村の
資金の欠乏などてんで顧みておらないというような問題があ
つたり、更に修正案の中では先日も私が申したのでありますが、百六十億というところの
所得税の足りない点を、この
所得税をうまい
方法によ
つて取
つて、そうして埋めるのだということを言われておるのであります。これは危險なことであると、こう申したのでありますが、
大藏大臣は苛斂誅求はやらない、ところがその
方法について私が
事務当局の方から伺
つた限りでは、これはちつとも
方法が明らかにされておらないのであります。でありますからこれがこの
予算の
赤字にならないとするならば、恐らく勤労大衆に対してより以上の負担が掛か
つて來るであろう、こういうことが予測されるのであります。而も
政府は先程これは物價値上を中心とするところの一つの
予算案であると私は申したのでありますが、
政府が物價七割を以てする、こう言うとき、木村
委員が七割以上に上
つておるとこう言
つたのでありますが、私は七割以上になろうと、一割以上になろうと、二割以上になろうと、それで物價が動かないとすれば信類することはできますが、これは何としても物價は大いに動いておるのでありまして、この点は殆んど信頼することはできないのであります。こういうふうに先ず
政府のいろいろな今までの
質疑應答の過程の中から問題を拾い、且つ七月一日に提案された與党の修正案の沢山ある問題の中から二、三を拾
つて見ますると、どうしても我々としては
賛成しかねる。
賛成しかねるというよりは私は反対、強く反対しなければならないのであります。とに
かくこういう
予算によりまして物價が安定しない、
國民の勤労大衆の收入は切り下げられるということになりますれば、私は問題は非常に大きいと思うのであります。私はこういう
予算は非常な破壊力を持つというようなことを申しますけれども、恐らく芦田首相一流の詭弁は、別に餓死する者もないから大したことはないというようなことを言われるかも知れませんが、とに
かく昨年の
予算及びその後の補正
予算というようなものの間においていろいろな議論が行われたのであります。ところがここで我々問題にしなければならないことは、そういう間において成る程餓死は余り進行しなか
つたかも知れないのであります。インフレーシヨンの結果餓死した者があるというような新聞は余り見えないのであります。併しながらその外の事柄は大分新聞に出ております。或いは強盗が出たり、殺人が出たり窃盗が出たりしております。こういう事柄が私はインフレーシヨンの破壊作用であると常に
考えておるのであります。でこういう
予算が通過すると、こういう社会の破壊現象がより鋭く現われて來るに違いないのであります。これは失業者も殖えるでありましようし、そういう犯罪も殖えるでありましようし、こういうことがインフレーシヨンの破壊作用であります。明瞭にそういうことは現われておるのであります。
農村なんかではもう集團強盗に困
つて、銘々の家で犬を飼
つておるという現象が最近見えておるのであります。こういうふうに世の中が乱れて來るのであります。これが破壊であります。こういう破壊がこの厖大なる北村
財政というところの、この便々たる腹の中から生み出されて來ておるのであります。このことを
考えるならば、私は何といたしましても
賛成しかねる、而もこういう世の中を破壊に導くところの罪惡の母はこの
財政であるということを、北村
大藏大臣も篤と御認識されなければならないのであります。而もその罪惡の父は、あのスマートな芦田首相の姿勢であるということをお
考えにならなければならないのであります。
かくして私はこの案に対して徹底的に反対なんであります。まあここらで
結論ということにいたしまして、ここから上の諸君に対して御同情申上げたいと思うのであります。(笑声、拍手)