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國務大臣(
北村徳太郎君) 初めのお言葉でございましたが、自治体警察、それから消防費の件は前に申述べました
ように答弁を留保さして頂きたいと思います。十分研究をいたしまして御答弁いたします。
それから第二点の賃金ベースの問題であります。これは
予算を編成いたしますときに私共の入手し得た材料は、全國鉱工業平均の三月の賃金でございまして、これに
物價の趨勢その他から趨勢値を出しまして、それにいろいろ二段三段の修正を加えて結局得た
数字が三千七百九十一円であります。それで趨勢値と現実に現われた四月の全國鉱工業平均賃金に違いを生じたということは、我々といたしましては予想しないわけではなか
つたのでありまして、一應或る所、或る時間の点を押えて、それから趨勢値を出して見るということは、
予算を編成する場合にはこれは止むを得ない
方法である。ただその後この新しい統計が出まして、それによ
つて趨勢値に現れた数と狂いがあ
つたということはこれは認めなければならんと思います。そういうことの起
つて來たこの事実は御
指摘の
通りだと思います。まだ私それは見ておりませんけれども、そういうことでありますから、これはその
通りだと思います。ただ初めに申上げました
ように、今の
ように不安定な経済の
状態において、年間を通じて
予算を編成するということの困難であるということはこの一事を以て見ても分る
ように、非常に動搖期にあるのでありますから困難である、そこで見通しについてどの
程度に確実であるかないかということは、的確な統計的
数字を押えるときには、やはり趨勢値を算出しなければならんということになりますので、その趨勢値を押えて行
つた場合に、現実にその次に來る事実或いは
物價との何でどう狂うかという問題だけが残された、こういう
ように
考えております。そこでこの趨勢をどういうふうに眺めるかということが大きな問題でありますけれども、この点につきまして、私
一つの希望でありますが、
日本としても今の
ような不安定な
状態は安定しなければならん。これは皆が安定感を持つということは心理的に大きなものでありまして、今までは随分インフレの進行速度というものは相当な速度を持
つてお
つたけれども、これからは安定に向うのだという氣持を持つと同時に、又全國の労働者各位がそういう
ような氣持を持つと同時に、協力して
日本再建の
ためにこの際
一つ踏ん張
つてやろうじやないかという氣持を持
つて頂くということが非常に大事な因子になる。それと共に私共としては三千七百九十一円にしたこの名目賃金が、実質的に保持できるかどうかということは、これは今後主として消費財の供給が円滑に行くか行かないかということに係
つて來ると思うのであります。三千七百九十一円を算定いたしましたときには、特に勤労者の家計における七五%が自由
物資或いは闇を含むと申してもよろしうございますが、闇を含む自由
物資、非配給
物資であ
つて、残りの二五%が配給
物資である。か
ように算定いたしておるのであります。但しこれを量の面から
考えますと、量の面においては非配給
物資が三五%で、正常ルートの物が量において六五%、か
ような事実を押えて、それらのことも加えて三千七百九十一円を算出いたしたのであります。今後三千七百九十一円という名目賃金がどの
程度実質的裏付けとして、実質的に維持できるかどうかということが後に残る問題でございまして、か
ような点においては私は現在よりも消費財の供給がよくなるということを大体信じておるのであります。これはお前が勝手に信じて不都合だと言われるかも知れませんけれども、現実の発表等によりまして、端境期ももう心配がそうないという
ような発表を受けておりますし、それから生産がやや上昇線を辿
つておる、こういうふうな事実もございますし、その他内外の諸情勢等見まして、何としても今安定に向わしたい、又安定に向う希望が持てる、か
ような観点に立ちまして、無理と知りながら年間を通じた
予算を編成いたしまして、今後三千七百九十一円が実質的に保持できる、こういう観点に立
つておりますので、
從つて非常に突発的のものが起らない限り、この
予算で更に追加のことを御
審議願うことには相成らん、か
ように思
つておるわけであります。
それから加藤労働大臣とお前の言うことと違うじやないかという御
指摘でございますが、これは必ずしも全部違
つておるわけでなく、加藤君は三千七百九十一円という
資料も動搖を來し、或いは実質的裏付けについて確保できないということになれば、これは自信がなくなるじやないか、こういう意味であ
つたと思います。その点が多少表現に違いがあ
つたかと思いますが、
予算を編成いたしまして
財政の
責任者として御
審議願う私の立場から申しますと、以上申上げた
ような
考えを持
つておる、これは卒直に披瀝いたしまして御批判を仰ぎたい、こう思
つておる次第であります。