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政府委員(平田敬一郎君)
只今中西
委員のお尋ねの点につきまして、本日今ここにあります
資料の範囲内におきましてお答えをいたしまして、なお不足の点は他日の機会に補足して申上げたいと存じます。先ず勤労所得税の負担の問題でございますが、この点は私共今回の改正によりまして、少なくとも所得税に関する限りにおきましては
相当思いきつた軽減ができるものと
考えておる次第でございます。それで別途
財政金融
委員会に
資料をお出ししておるのでございますが、各所得階層別に負担がどうなるかという計算を、御覧になれば分かりまする
ように
相当大幅な軽減にな
つておるのでございます。で、例えば月收五千円クラスのところを取
つてみますと、現行税法で参りますると、五千円に対しまして扶養親族三人の場合は千一円、即ち二割、そういう税の負担でございまするが、改正法におきましてはそれが九十一円、千一円の負担が九十一円、即ち一・八%の負担になります。それからもう少し大きくて六千円のところでございますと、現行税法では千四百七十一円の負担、即ち二割四分の負担でございまするが、それが改正法によりますると二百七十九円で四・六%の負担になる。で、五千円のところでございますると、從いまして十分の一以下に軽減されまするし、六千円のところでございましても六分の一
程度に、少なくとも五分の一以下軽減になる、か
ようなことに相成るのでございます。それからなお角度を少し違えまして見て頂きまして、昨年の税制案ができました頃はいわゆる千八百円
ベースでございまして、標準の一月の收入を大体二千九百二十円、つまり三千円
程度に押えていたのでございますが、この三千円
程度のものが昨年において負担しておりましたその負担率というものは、現行税法で計算いたしますると約一一・三%でございます。その
賃金が名目的にただ單に二倍に
なつたと仮定いたしまして、今年六千円にその人がな
つている、その場合にどうなるかという比較において
考えて頂きますると、その場合におきましても、今申しました
ようにその負担は四・六五%になる。つまり実質的にか
ように比較いたしましても、勤労所得税の場合におきましては、負担は半分以下に軽減されておるということも言い得ると
考えるのでございまして、苟くもこの所得税に関する限りにおきましては、なかんずく勤労所得税に関する限りにおきましては、現行の
財政需要の許す範囲におきまして、まあ最大限どの軽減ができておるものと私共は確信いたしております。ただ御指摘の、それじや全体の実質
賃金はどうなるかという問題でございまするが、これは結局現在の経済情勢、或いはその他の
一般の施策の結果どうなるかということに相成ろうかと思うのでございまして、現在
考えられておりまする三千七百円
ベースの場合におきましては、
物價騰貴その他諸般の実状からしまして、大体四、五月頃に労働者が確保していた実質
賃金を少なくとも下げない、家族の多い場合は若干よくなる、こういう建前でできておる
ように聞いております。所得税に関する限りにおきましては、少なくとも勤労所得税の負担は
相当大幅な負担軽減ができておると、か
ように私共確信をいたしております。
それから第二に法人と個人との負担の均衡の問題でございますが、これは負担の比較の仕方がいろいろございまして、精密にはなかなか計算が難しいのでございまするが、今御指摘は百万円という御指摘でございましたが、一応私共のところに五十万円の場合の負担の計算をいたしておりますので、それにつきまして申上げてみたいと思います。今日資本金は割合に会社が小そうでございますので、資本金が二十万円で利益金が五十万円
上つた法人の場合と、そういう経営が
最初から個人であつた場合と、法人税の負担と所得税の負担と全部それぞれ適正に課税されるものというふうに仮定いたしまして、それぞれ負担を計算して参りますると、法人の場合におきましては、営業税とその他一切の税を含めまして約三十四万円ほどの負担になる
ようでございます。それが個人の場合におきましては二十九万円の負担になる。若干個人の方が低くな
つておりまするが、この
程度でございますならば、概ね均衡を得ておるものと
考える次第でございます。なお資本金が少し大きくなりますると、超過所得税の負担が軽くなりまするから、若干法人の場合の負担が低くな
つて來る。個人の負担と差を接してくるということに相成るかと思いますが、か
ような
一つの計算例を以ちましても、法人を特に軽くしているということにならないので、現在の税制に概ね
バランスが取れている。若干法人に重課されているというふうに
考えておる次第でございます。
それから次は所得の分布のお尋ねでございますが、これは過去の実績といたしましては、私共のところに調査したものがございまするが、見込はなかなか正確な見込が困難でございまして、私ここで本日詳しく申上げる
資料を持ち合わしておりません。ただ昨年の実際の決定から申しますると、確か一千万円以上に決定した納税者が若干いたかと
思つておりまするが、なお他の機会に、決定の実績でございまするならば更に申上げても差支えないかと存じております。
次に物品税でございまするが、物品税につきましては実は最近における物資の
生産が大分殖えてきたということと、購買力が落ちてきたということからいたしまして、物品税の課税物品中で、実際上負担はなかなか……間接税でありまするが、転嫁しきれない。むしろ
生産者に逆転して行くという
ような種類のものがぼつぼつ出て参りまして、か
ような
状態はやはり
一つの税としましては、如何に奢侈品、如何に必需敵性質の少ないものでありましても、負担が過重でありまして、その結果非常な無理を生じている。行政面におきましても調査を徹底させましてもよく徴收しきれないという
ような事態のものが若干出て参
つておる
ようでございます。そういうものにつきましてこの際若干の負担の調整を図る、取引高税を創設する際でもありますので、さ
ような調整を図るのが適当であると
考えまして、ミシンその他一部の物品につきまして負担の軽減を図つた次第でございます。而も大部分は國会におきまして請願として提出されておりまして、採択に
なつたものが大部分でございます。さ
ような
趣旨もございまして、この際取引高税を創設する際でございますので、やはり無理な部面は一遍調整を図
つて、適正な課税を実施して行くというのが正しい方向という
考え方の下におきまして、若干の合理化を図
つておるつもりでございます。それから取引高税につきまして見積りについてのお尋ねでございます。これは正確に申しますと、主な物資につきましてはそれぞれ大体の
生産の状況、それから今年の清算の見込、それが大体何段階くらいに取引されるかという
ような調査を個別的にいたし、その他のものにつきましては若干推測的な調査をいたしまして、取引高を推計いたしてみた次第でございます。そういう調査と、それから今御指摘の
國民所得の消費面から見た大体の高さ、そういつた
ような
観点から兼ね合せまして、見積りに当りましては極めて適正を期すべく
努力したつもりでございます。本年度は二百七十億でございまするが、私達の見積に基づく一
年間の收入は、先般も申上げました通り約四百四十億
程度にな
つております。今後この見込は、私たちといたしましてはむしろ過小というよりも、
相当勇敢に見積
つておる次第でございまして、取引高税の実施に当りましては、宣伝、それから調査の徹底等を十分に行いまして、この收入確保に
努力しなければ、なかなかこの收入を確保することも困難ではないかと
考えております。ただ
努力次第では十分確保できる歳入額と
考えておる次第でございます。甚だ簡單でありますが……。