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石坂豊一君
只今の御言明でありますが、どうも
政府はこの點において、時を經るに
從つて少し頭がまぶしてきたと言いますか、どうも仕方ないと言うか、力が入
つておらん。現に戰災後すでに二年何ケ月、いやもうすでに三年にもな
つておるところもありますが、もう六割もできておるところもありますが、假住宅のごとき住宅を通じて漸く一割七分に達するか、達せんかくらいで、あとの者はぐらついた生活をしておる。實に氣の毒だ。住宅問題は非常に深刻な社會問題だと思う。曾て芦田君は厚生
大臣になられたときに、私は常時或る種の世話役をしておりましたが、私共が申上げたところ、自分はこの職を引受けてこの年の暮に罹災者がどうしてこの冬を越すだろうかと思うと胸が一ぱいになる、一生懸命に住宅のことを心配しておると言われて、我我に對しても非常に好意ある御援助を與えて下さ
つた。ところがその當時の
考えは……あるいは場面に出られたために、そうでないかも知れないけれども、如何にもどうも戰災復興等に對しては冷淡なように
考えるのでありまして、その證據は現に予算に現れておるように私は思います。どうか一段とこの點についてはお力を添えてや
つて頂かないと非常に
國家再建の促進ができないように私は
考えます。中小工業と言いましても家のないところでは何もできないのであります。多數の家内工業が集まれば見返り品もできます。併し家のないところでは何にも仕事ができない。そういうようなことから
考えましても、これは決して等閑に附すべき問題ではないと思います。等閑に附しておらんと言われますが、
事實においては、多少弛んでおるように思いますが、この點に特に
政府に注意をお願いしたいと思います。
續いて私はもう
一つ伺いたいことは、軍公利子の停止のことでありますが、どうもこれは私は芦田
總理も、北村藏相も又
安本長官の栗栖君も、これは皆反對であ
つたと私は思うのであります。先月の二十八日でありましたか、
暫定豫算の審議の際に、ここで取急いで
質問をいたしましたときには、今正にこの問題については、
委員會に掛けておる。その
委員會の決定を待
つて何とか
處置するということでありましたが、併し
總理の
考えは
委員會で是非共これは拂うべきものであるということを決定するのを待
つて、ああいう案を作られておられるんでありましようが、木村君より痛烈にそれを攻撃せられまして、その
委員會なるものは、一遍の懇談會として、それで話合で以てそれが纏まるものではない。そういう工合に決ま
つておる。然るにその
處置は今日まで延びておるということは、怪しからんということでありました。で社會黨の言われるのは、これは戰争の金であるから止めてしまえという。ところがそれは、社會黨の主張は、それで一片の道理はないではありませんが、併し今のはそうではない。これは拂うものであるということに決めて置いて、一年だけこれを待とうという、而もこれは
國家と
個人と對等の位置において、債權債務の
關係にな
つておる公債である。その公債を
國家の權力を以て一方的に一年間拂わん。棚上げするという、そういう得手勝手というものは、世の中に通ずるものではない。道義を重んぜられるところの首相は、かくのごときことをして、このいわゆる借りたものは必ず拂うものであるという観念を破壊されるような、逆行動を取られたのに對して、私は了解できない。如何なる場合の
説明においても、殊に北村藏相のごときは、世間には公債を打切るということまで話があ
つたから、せめて一年ぐらい利拂いを止めてもよかろうというのでや
つたと、こう言われますが、これは社會黨の主張に限るので世間の大衆は一年だけだと思
つておる。(「ノー」と呼ぶ者あり)そうすれば、その世間では、拂うべしというのと、拂わなくてもいいというのと二つあ
つた。で今の
處置を見ますると、利拂停止、棚上げでありますから、一年間社會黨どの休戰をしておられるように
考えられる。社會黨との休戰をするのであ
つて、これは試験的にや
つておられるように我我は
考えられる。都合がよければそのまま都合が悪ければ、誰か次の
内閣が出て、うまくや
つて行くだろう、とにかく一年間棚上げをする、これ程の狡猾な政治は世の中にはないと私は思います。
只今私が伺いたいのは、かようなことは本當に芦田君の腹の中から出たことか。ただ三黨協定のために自分の腹の中にないことであるが、止むを得ず行
なつたことの窮策であるのか。ここを伺
つて置きたいと思います。