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政府委員(河野一之君) 今囘の
税制の改正についてでございますが、
只今税制懇談會に出しております……詳しくは主税局長から申上げてよろしいと思いますが、大體の根本を申上げたいと存じます。
最低
賃金、
物價等が上
つて參りまして、まあ各種の經濟情勢に即應いたしまして、
國民の
租税負擔を調整合理化する、それと共に
財政需要に對處して
租税収入を確保する。こういう基本的な
考え方で
税制の改正を現在
考えております。改正の主なるものは、その中樞をなすものは何と申しましても
所得税でございます。
所得状況の推移、課税の實際の實情ということに照しまして、勤勞
所得税について相當負擔の輕減をする、又新税率につきましても、相當の
物價騰貴の點その他を
考えまして税率を調整いたす、こういうふうに
考えております。勤勞
所得税につきましては現在二割五分の控除をいたしまして、それに對しまして更に
基礎控除をいたしまして現在年四千八百圓の控除をいたしております。そうしますというと、算出いたしました税額につきまして扶養家族一人當り月四十圓控除いたしておるわけであります。これを現在
進行いたしましておる案につきましては二割五分の控除はそのままでございますが、これを
基礎控除におきましては年大體一萬五千圓
程度の控除をする、現行の四千八百圓を一萬五千圓にする。扶養家族の控除につきましては、現在進んでおります案は月百五十圓、四十圓の控除を百五十圓
程度に上げる、こういうふうに
考えております。現行の
税制のままで参りますと、一應の見込は源泉と申告と兩方合せまして二千二百億
程度になるのでございますが、こういう勤勞
所得の輕減をやりますこと、それから税率の調整をいたしますことによりまして大體千億近くの
所得税が輕減になる、こういうことになります。税率の點でありますが、現在一萬圓以下のものについては百分の二十、一萬圓を超過するものの百分の二十五から、最高は五百萬圓を超える百分の八十五とな
つておるのでありますが、この税率を
物價騰貴の状況その他を
考えまして、二萬圓以下のものについて百分の二十以上五百萬圓まで百分の八十五ということで税率をずつと調整して參
つております。その結果現在
豫算案大綱におきまして盛られております二千五百二十億の
豫算のうち
所得税は大體千二百三十億圓であります。
第二の
税制改正の大眼目は法人税でありまして、現在法人の税が相當高いということで、外資導入の
關係その他の企業の現在の實情というような點から
考えて、或いは又資本の蓄積といつたような點から相當改正する必要があるのではないかというので、相當大幅の改正輕減をいたすことにいたしております。法人税につきましては、法人の資本税として百分の五がかか
つておるのでありますが、これはこのままに据置きまして、超過
所得税についてでありますが、現行資本金の一割超過につきまして百分の十、二割超過について百分の二十、三割超過について百分の三十ということに相成
つておりますが、これを三割超過するものについて百分の十、五割超過するものについて百分の十五、十割超過のものについて百分の二十ということで、相當輕減になる豫定であります。又特別法人税というものがありましたが、これはすべて一般の法人税に統一するということに
考えております。
第三の
税制改正の大きな點は、
物價の變動に即應いたしまして、間接税のうち從量課税のものに對しまして相當の増徴を行うことでございます。例えて申しますれば、酒税でありますが、酒税につきましては、現在一級酒二百九十五圓ということに相成
つておりまするが、これを四百圓
程度、二級酒は現在二百四十圓でありますが、これを三百圓
程度にいたす。ビールにつきましては、壜詰一本の小賣價格が現在四十一圓
程度でありますが、六十圓
程度にいたす。この他加算税というものがあるのでありますが、一級酒につきましては、現行六百圓
程度のものを八百圓、二級酒につきましては、現行五百四十圓
程度のものを六百五十圓
程度、ビールの壜詰につきましては、現在百一圓五十銭を百三十圓
程度に上げるということを
考えております。清涼飲料につきましては、現行一石當り六千九百圓でありますが、一萬一千圓とする。その他砂糖消費税、物品税等につきましても、この趣旨に應じまして、或いは飲酒税、狩獵免許税というようなものにつきましても、この趣旨によりまして改正をいたすことと
考えております。
その次に
取引高税でございますが、これは現在
考えておりますのは、特別のものを除くすべての一般取引に對して、百分の一
程度の税率を以て課税する。この施行時期はいういろいろな準備の
關係もございまして、まだ確定いたしておりませんが、本年の下半期
程度から實施いたしたいと
考えております。
物品の販賣或いは貸付或いは製造、請負、周旋、問屋、兩替、宿屋、そういうような一般の取引に、銀行の貸付或いは信託、保險業というようなものにつきましても、すべてかかる
考え方で、
取引高税は輕く掛けることにいたしております。但し主食の
關係につきましては、これは生計費の騰貴を招来する
關係もございます、又國が價格調整補給金を出しております一定の物資につきましては、一方税を取る結果價格調整補給金が殖えるということでは問題でありますので、これは除く。その他
政府の專賣品についての販賣、官報、郵便切手、
収入印紙の販賣、小學校又は中學校の教科用圖書の販賣、發行、取次、水道條例による水の供給、細かく申しますといろいろございますが、こういつた件には課税いたさないということに
考えております。課税はこれらの一定の課税標準に對しまして、大體百分の一
程度の税率を以て課する、その納付は大體印紙を以ていたしまして、まあ間接的な監視の
方法でありまするが、その印紙を取引については必ず貼用させる。その印紙を集めて國に持
つて來た者には、その
金額の百分の二
程度を返してやる。そういうことによりまして、間接的に監視の目的を達すると共に、或いは小學校の児童その他がその印紙を集めまして、そうして學校の建築なり、或いはそういうような公共的な
事業に充てるというようなことができるようにする。まあ一石二鳥の効果を狙
つて行きたい、こういうふうに現在のところ
考えております。賣上税の
収入金額でありますが、これは施行時期等の
關係もございまして、まだ確定的な積算ーー
見積りを立てるに至
つておりませんのでありますが、大體平
年度におきまして五百億
程度は吸収できるんではないかというふうに
考えておる次第でございます。
大體の概略について申上げました。