○服部教一君 段々時刻も進みましたし、お急ぎのようでありますので、私は簡単に申上げたいと思うのであります。いろいろの問題がありますけれども、これは省きまして、教育のことについて一言申上げたいと思うのであります。六・三…これは
大藏大臣にもちよつと残
つてお
つて貰いたい、直きですから……六三制度の問題につきましては
衆議院においても参議院においてもたびたびいろいろの点から
質問がありましたので、これは私は省きます。六・三制をして中学を義務教育にされたということは、これは
日本の教育上非常な良い改革でありまして、将來これは喜ばれることと思
つておるのでありますが、併しながらこれはアメリカでさえもまだ六・三制度でないところが沢山ありまして、
経済上非常な無理をされたものであります。これは無理をせずに行ける
方法もあ
つたのです。どういうことかというと、点はその点について三点申上げたいと思うのであります。この問題は
國家の重大問題であるのです。文部大臣だけのものじやないのでありまして、私は一昨日この
予算委員会において文部大臣にに上げました。その速記録を御覧下されば、私の申したことと、文部大臣のお答と
はつきり分
つておりますから見て頂きたいのでありますが、今ここに
簡單に申上げたいと思いますことは、アメリカにおいては六・三以外に八・四、小学校八年、中学校四年、八・四という制度が沢山行われておりましてこれは非常な便利なことがあるのであります。アメリカにおきましては遠方の児童はスクールバスによ
つて生徒を迎えたり送
つたりしております。
日本ではなかなかそういうことになるのは容易のことでないから、そこで遠方にある中学に行きにくいのでありまして、私の知
つておる
一つの例を申しましても、昨年までは八年間小学校で学べたが、高等小学を止めてしま
つて中学にしたために、貧乏な村は中学を設けることができないために、山を越えて四十町ばかりの道を行かなければならん。女の子などは殊に冬などは非常に困るというように、余り突飛にや
つたがために改善でなくて改悪にな
つておる所もあるのであります。又第二点といたしまして、貧乏な家庭の子供は義務教育九年ということは耐えられずして、どうしておるかというと、四月の始めにちよつと出るけれども、後は金儲けに行
つて学校へは行くことはできんというような家庭もあるのであります。これは
日本だけではない、アメリカにもありまして、そういう子供のためには例外を
作つておるのであります。ところが
日本ではその例外も取
つてしま
つたのでありまして、この貧乏人の子供はやはり困
つておるのです。事實上これは實行できないことで、去年、今年の統計を取
つたならば、必ず学校に行かずして金儲けをして親を助けておるという子供が沢山出ることと思うのであります。第三には、アメリカにおきましてはこの義務教育を助けるために國有土地というものを学校土地として與えておるのでありまして、非常にこの
経済が都合よく行
つておる。それで今度もこの六・三制度の教育費の補助について或る
方面ではこれに反対しておるということを一昨日聞きまして、私は非常に心配をしたのであります。幸い昨日首相が行かれまして都合よく解決されたということは誠にお目出度いことであ
つて、衷心喜んでおるのであります。併しながら
大藏大臣におきましても、首相におきましても、この二十三年度の
予算はどうするか、又その次の
予算はどうするか、こういう問題についてはなかなかまだまだこれから非常に苦まれることと思います。それでこの
日本の学校の建築などに現在ある國有林などを利用するということは、アメリカなどにおきましてもや
つておるのでありますから、これは
一つ十分に考慮しなければならん。ただ金がない、ただ止むを得ないということでは市町村が非常に困ることと思います。現に今日寄附金などでなかなか無理をしております。次に教育費もアメリカあたりにおいては義務教育というけれども、町村と縣と分担してや
つております。余り義務とい名に捉われて画一主義ということのために
日本では無理が行
つております。この点は勘案する必要があると思う。
これらの小さい問題は別にいたしまして、私の今ここに立
つて申上げたいことは、もつと大きな問題が
一つ残
つておるのです。これは一昨日文部大臣との間に問答をいたしましたが、私はそれで満足していない。ここでやはり
総理大臣にも
大藏大臣にも聞いておいて頂きたい。これは
國家の
財政にも大いに
関係のあることでありますからちよつと簡単に申上げたいと思います。
相当詳しいことは一昨日のこの
予算委員会における速記録を御覧下す
つたならば分りますから、今日は
簡單にちよつと申上げたいと思います。それはどういうことであるかというと、アメリカにおきましては、昨年の学校教育法で
日本がアメリカの制度に学んでや
つたのでありますが、それは六・三・三・四、小学校六年、中学三年、高等学校三年、大学四年、こういうように一本調子にやられたのであります。然るにアメリカにおきましては六・三・三・二という、制度がある。小学校六年、中学三學と、高等学校三年と、その上に二というのがある。これは御承知の
通りジユニアーカレツジ、初等大学と申しますか、下級大学と申しますか、二ケ年
程度の学校であります。これは最近の発逹でありまして、今から十七、八年前には四百ばかりであ
つたのが今日は六百ばかりになりまして、生徒も七万ばかりなのが今日は三十万からにな
つておるのでありまして、これからますます発逹しつつあるのであります。これはどういうことであるかというと、
日本の専門学校、今日あるところの専門学校、高等学校、大学予科に相當しておる学校でありまして、
日本においては名は違うけれども事実あるのです。これを廃止してしま
つて、そうしてアメリカの六・三・三・四という一方だけを眞似したのであります。これは非常な間違いであると私は思
つておる。アメリカに行きますと、大学四年やるよりは家に帰
つて息子が百姓の手伝いをする。これから先各村に中学ができるように
なつたならば、これから四年、五年、七年、八年、十年後においては非常に大学、専門学校に入る生徒ができて來る。そのときにこの
予算をどうするか。やはり押問答でやらなければならんときが來ると思う。丁度今好い改革であるから、今現にこの問題は各府縣において囂々として起
つておる。殊に
將來女子専門学校のごときは四年の長きに亘れば結婚時期も遅れる。それ程の必要がない。こういうような声で
日本は各府縣で困
つておる。現に困
つておるのです。それを昨年決めた六・三・三・四で抑え付けようとしておるのであります。この点を私は申上げたいと思うのです。これは速かに改革し、又現にある専門学校のようなものを、高等学校のようなものを残して置けばそんなに苦しまないでできる。土地の事情に感じて段々昇格させ、その土地土地によ
つて都合好く改革して行けばいいのであります。余りに無理をするためにこういうことが起
つておる。而もこれは
將來必ず改革してやはり又、名は違うけれども、同じようなものを置かなければならんときが来ると思うのです。これは今ここで
総理大臣や
大藏大臣のこれに対する返事を聞かんでもいいのです。こういう問題が起
つておるということを御承知置き頂きまして、これに対して善処して頂きたい。こういう希望を申上げて置きます。