○池田恒雄君 非常に細かな面倒なことは後で係の方といろいろお話いたします。
只今是正の途もある、異議申立の道もあるというような御
意見のように思うのですが、實はそこに問題があるのです。私が二、三の税務署を見學いたしましたところ、農民は前の日から上野の汽車に乘るように待
つているのです。そうして朝税務署の前に整列いたしまして、そこで番號札を貰いまして、そうして一人々が面談するわけであります。そうして異議申立の
事情を申している。ところが一日に千人くらい税務署に行くのだそうであります。そういうことになりますというと、税務署員が總動員しても千人の應接もできなければ、千人の再審査はできませんが、番號札を三百なり四百なり呉れまして、あとは追い歸えしますというようなわけであります。
簡單な異議申立の書類の書き方も分らない人もありますし、計算することの分らない人もあります。そんな人は簡単に追い歸えされて、異議申立の期日が過ぎてしまうという人がある。いついつが異議申立の期日であるということが一方的にされている人もあるようであります。
從つて今後大臣が指導するとい
つておりますが、異議申立の期日は私の見た地方では二十五日とか
言つているのであります。ところが、ああいうように、何萬人が出すと思うのですが、何萬人という人々が二十五日までに間に合わないだろうと思う。でありますから、指導するとするならば、今直ちに
大藏省が指導を開始し、なければ、これはえらいことになると思うのであります。而も税務署は異議申立は結構だが、税金を拂
つて置いて下さい、こういうことになるのであります。これは法律上その
通りだと私は思うのであります。ところが、
簡單に申しますと、一町歩前後の土地を作
つているというのは決して小さい方の農家じやないのであります。こういう農家に對して時に三
萬圓とか五
萬圓という税金が來ているのであります。これは百姓は最近景氣がよいというようなことを税務署の人逹が盛んに言い觸らしているのでありますが、ところが、幾ら百姓が景気がよくても、現なまを五
萬圓も三
萬圓も持
つているということはない、というと、農民は税務署の窓口に罰金を取られるとか、處罰を受けるということが書いてありますから、驚いて、これはとにかく二十五日なら二十五日までに拂わなければならないだろうということで、馬を賣
つたり或いは保有米を割いたり、そうして金策をしている。或る村では今まで米の闇値が一俵七千圓してお
つたものが、税務署がそういうことを開始して以來、三俵一
萬圓に下
つたという、こういうようなことがあります。それかに牛を賣
つたり、そういうようなこともや
つております。私は今直ちに
大藏省がこの問題に對して一定の對策を採らなければ、農民はそういうふうに自分のいろいろなもの賣
つてしまうと思うのです。後で税務署がこれらのやり直しをしまして、農家に對して税金を返した
つて金は何ら有効じやないと思います。物を失
つて、物が闇市場に流れてしまへば、農家にと
つては決定的な損失であります。牛を賣
つて若し税金を拂
つたとすれば、あと牛を賣
つただけの代金が農家の方に戻
つて來た
つて牛は戻
つて來ない。こういうような工合でありますから、ここ二、三日中に若し指導するというお
考えがあるならば指導を加えて、農民に物を賣らせるということのないようにしなければならないのではないかと思います。殊に保有米なんか外して賣
つているという農家は決して少くないのであります。これは保有の米が闇にどんどんその結果流れるし、あとで農民が飯米が足らないと騒ぎ出したら、どえらいことが將來起ると思うのであります。でありまするから、大臣が私の
質問に對して極めてにこにことして
答辯されましたが、これはにこにこと
答辯するような事態ではないのであります。恐らく
大藏大臣はどこかの税務署に明日から
行つて見たらこれはびつくり仰天します。これは見て貰うと結構だと思います。とにかく緊急に方策を立てて貰いたいと思います。でありますから、細かいことは後で
事務當局にお願いしますし、やりますが、それで大臣はこれに對して直ちにどういうことをお
考えになるか、お
考えを聞かして貰いたいのであります。今のことは嘘じやないのです。
一つ一つ本當です。ここに資料が一ぱいあるのです。二十二の府縣から私集めているのですから……。