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1948-06-30 第2回国会 参議院 本会議 第56号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月三十日(水曜日)    午前十時三十三分開議     —————————————  議事日程 第五十四号   昭和二十三年六月三十日    午前十時開議     —————————————  第一 漁船保險法の一部を改正する   法律案内閣提出) (委員長報   告)  第二 社会保險診療報酬支拂基金法   案(内閣提出) (委員長報告)  第三 会計法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)   (委員長報告)  第四 有價証券処分調整等に関   する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付) (委   員長報告)  第五 職業安定法第十二條第十一項   の規定に基き、職業安定委員会委   員旅費支給額に関し議決を求める   の件(内閣提出衆議院送付)   (委員長報告)  第六 郵便法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)   (委員長報告)  第七 医業類似行爲者のあん摩、は   り、きゆう施術禁止に関する請願   (二件) (委員長報告)  第八 國民健康保險事業費國庫補助   に関する請願 (委員長報告)  第九’國立長野療養所上田分院の移   轉に関する請願 (委員長報告)  第一〇 旧南海鉄道山手線拂下げに   関する請願 (委員長報告)  第一一 旧産業セメント鉄道後藤   寺、糸田両線拂下げに関する請願   (委員長報告)  第一二 旧小倉鉄道線拂下げに関す   る請願 (委員長報告)  第一三 買收地方鉄道拂下げに関   する請願 (委員長報告)  第一四 富山港鉄道線拂下げに関す   る請願 (委員長報告)  第一五 旧播丹鉄道線拂下げに関す   る請願 (委員長報告)  第一六 旧鶴見臨港鉄道線外地方   鉄道線拂下げに関する請願 (委   員長報告)  第一七 木津川架橋位置変更に関す   る請願 (委員長報告)  第一八 羽幌町、遠別村間に鉄道を   敷設することに関する請願 (委   員長報告)  第一九 札幌地区鉄道復興計画促進   に関する請願 (委員長報告)  第二〇 日田線全通促進に関する   請願 (委員長報告)  第二一 私鉄羽鉄道災害復旧費   國庫補助に関する請願 (委員長   報告)  第二二 青森、蟹田間鉄道復旧工事   完成に関する請願 (委員長報   告)  第二三 らい療養所患者生活改善   に関する陳情(二件) (委員長   報告)  第二四 國民健康保健制度改革に関   する陳情 (委員長報告)  第二五 藥務局設置に関する陳情   (委員長報告)  第二六 健康保健事業事務費國庫補   助に関する陳情 (委員長報告)  第二七 らい患者保護法制定に関す   る陳情 (委員長報告)  第二八 裁判官の刑事事件不当処理   等に関する調査に関する件 (委   員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。     —————————————
  3. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これより本日の会議を開きます。この際新たに議席に著かれました議員を御紹介いたします。議席第百十八番地方選出議員奈良縣選出藤枝昭信君。    〔藤枝昭信起立拍手〕      ——————————
  4. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 藤枝昭信君を厚生委員に指名いたします。      ——————————
  5. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 日程第一、漁船保險法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題にいたします。先ず委員長報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。    〔木下辰雄登壇拍手
  6. 木下辰雄

    木下辰雄君 只今上程されました漁船保險法の一部を改正する法律案につきまして、水産委員会におきまする審議経過並びに結果を御報告いたします。  漁船保險法昭和十二年に制定されまして、その当時家畜保險法というのがありまして、その家畜保險法の分をこの漁船保險法において準用した個所が二三あるのであります。ところが、この家畜保險法農業災害補償法ができまして廃案になつております。それで新たに漁船保險法の中に家畜保險法で準用しておつた部分規定するというのが改正理由であります。  その改正内容について申上げます。その内容の第一点は漁船保險法第二十八條及び第三十六條の規定家畜保險法中規定を準用しておりましたので、即ち所得税法人税登録税及び印紙税の免除に関す事項、それから組合の創立、役員、総会、総代会、定款、或いは合併、解散及び登記こういうことに関する事項漁船保險法中規定したのであります。第二の点は、漁船保險法清算人の職務に関する規定の一部が不足しておりましたために、漁船保險法の二十五條の十四乃至第二十五條の第十六の三ケ條を新たに規定したことであります。第三点は、從來農林保險審議会という機関がありまして、農林省所管の四つの保險即ち農業保險家畜保險森林火災國営保險及び漁船保險につきまして、漁船保險の場合に組合が再保險に関する事項について、政府に対し民事訴訟を提起する場合には、この農林保險審査会審査を経なければならないことになつてつたのであります。然るに農業災害補償制度におきましては、別に審査会を創ることになりましたために、他の保險も別個の審査会を創る必要が生じたのであります。それで漁船保險法におきましては、漁船保險審査会というものを作ることに相成つたのであります。以上が改正内容であります。  本案は去る六月二十六日に本委員会に付託せられたのでありまするが、既にその前に事前審議をいたしておりまして、又六月二十八日の委員会におきましても、更に愼重審議を重ねたのであります。委員各位政府委員との間に熱心なる質疑應答がございましたが、これは省略いたして頂きます。  更に討論に入りましたところが、丹羽委員から漁船保險法第十三條の組合の責任は組合保險料を受領した翌日に始まるということは、組合員に対して甚だ不利益である。妥当を欠くから、組合保險料を受領した時から直ちに保險の効力を発生することに改めたいという理由修正案が出たのであります。即ち第十三條中保險金を受領した日の翌日とありますのを、保險金を受領した時ということに改めるという修正動議であります。これに対しまして、小川委員等賛成がありましたので、この修正案議題に供しまして、採決いたしましたところ全会一致を以て可決されたのであります。次に政府提出改正案全部を議題に供して採決いたしましたところ、これ亦全会一致を以て可決すべきものと決定いたしたのであります。以上御報告いたします。(拍手
  7. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 別に御発言もなければこれより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します、委員長報告修正議決報告であります。本案委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  8. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  9. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 日程第二、社会保險診療報酬支拂基金法案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。    〔塚本重藏登壇拍手
  10. 塚本重藏

    塚本重藏君 只今議題になりました社会保險診療報酬支拂基金法案につきまして厚生委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本案健康保險及び法律を以て組織せられておる共済組合において、その被保險者等保險医等ついで診療を受けました場合、その報酬として支拂う費用が從來は各保險者又共済組合から直接支拂われていたため、診療担当者請求が極めて煩雑であり、その支拂もともすれば遅れ勝であつたのてあります。ここに社会保險診療報酬支拂基金を創設しまして、その支拂方法を改め、支拂機関を一元化して、円滑な社会保險診療の推進に寄與せんとするものであります。即ちこの基金公益法人として、主たる事務所東京都に、從たる事務所を各都道府縣に置きまして、業務を運営せんとするものでありますが、理事機関といたしまして保險者代表、被保險者代表保險医代表及び公益代表者を以て理事に当て、極めて民主的に運営されることになつておるのであります。基金基本金は百万円、その中四十万円は政府がこれを醵出し、残額はその他の保險者で醵出することになつておるのであります。基本金はその業務として、各保險者と契約して、保險者診療担当者に対して支拂診療報酬支拂を代行し、又その請求書審査をするのでありますが、そのために基金一定支拂資金として各保險者から資金の前渡を受けることになつておるのであります。又これらの業務の執行に要しまする経費は、各保險者がその診療件数に應じて負担することになつておるのであります。  以上がこの法案内容概略でありますが、委員会におきましては、六月の二十八日に愼重審議いたしました。各委員かち熱心に質疑が行われたのでありますが、その中主なるもの二三を申上げますと、この基本金は百万円となつておるが、それで支拂が十分に円滑にできるのであるかどうか。これに対しまして天災地変のような避けることのできないときに、診療報酬支拂に不足を生じたときの外はこれは使用しないのである。又支拂に要する資金といたしましては、各保險者から一定の前渡金を受けることになつておるのであるから、支拂には支障はない見込である。質問の第二といたしまして、審査委員会診療担当者を代表する者と保險者を代表する者とから構成されておるが、審査は極めて技術を要すると思うが、その点懸念はないか。これに対して審査には技術を要するので、保險者を代表する者からも医者を選ぶつもりであるとの答弁がありました。尚公的の診療機関についても審査にかけるのかと。その通りである。この制度によつて全國に何程の事務員を要するのであるか。約三百五十人くらいを必要とする見込であるなど、その他二三の質疑がありまして、これを打切り、討論を省略いたしまして、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上簡單でありますが、委員会報告を終ります。(拍手
  11. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  12. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  13. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) この際日程第三、会計法の一部を改正する法律案日程第四、有價証券処分調整等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔異議なしと呼ぶ者あり〕
  14. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。    〔黒田英雄登壇拍手
  15. 黒田英雄

    黒田英雄君 只今上程せられました両案につきまして委員会におきまする審議経過並びに結果について御報告をいたします。  先ず会計法の一部を改正する法律案について御説明をいたします。この法案内容及び提出理由は、現在都道府縣の吏員は、会計法第四十八條規定によりまして、國の歳入歳出及び契約等に関しまする事務を取扱うことになつておるのでありまするが、会計事務取扱の実情からいたしましてその範囲を拡張して、歳入歳出外の現金、物品等に関する事務をも併せ取扱わしめることができることにし、尚地方自治法に基きまして將來設けられますところの特別市の吏員に対しましても、同様にするため改正をしようというのであります。又特別調逹廳は、特別調逹廳法に基て設立されました特別の法人でありまするが、その実質は殆んど官廳同様のものであるのでありまして、同廳が特別調逹廳法に基きまして行います業務を遂行する上に必要な國の会計事務を、同廳の役職員に取扱わしめようとするために、規定を設けるというのであります。極めて簡單法律でありまして、討論採決をいたしましたところ、多数を以て可決すべきものなりと、決定いたしたのであります。  次に有價証券処分調整等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明をいたします。  本案企業再建整備法規定いたしまする特別経理会社は、從來整備計画に有價証券処分方法を記載いたしまして、主務大臣の認可を得た上で、証券処理調整協議会処分計画書提出いたしまして、その承認を受けて、処分することになつてつたのでありまするが、これを改めまして、一般会社と同じように、今後はいわゆる独占禁止法規定を適用することが適当であると考えるので、公正取引委員会処分計画書を出しまして、その承認を得た上で処分することにしようとするための改正であるのであります。  本案につきまして質疑の一二を御紹介いたしますと、今後処分される株式の額はどのくらいあるかというお尋ねにつきましては、政府委員から持株整理委員会関係で約六十億円、それから閉鎖機関整理委員会関係で約三十五億円、國の、即ち物納等のものにつきまして約三十億円、独占禁止法によりまするものが約十億円、企業再建整備法及び金融機関再建整備法関係のものが約四百から乃至五百億円、証券保有制限令関係のものが約十六億円ということになりますが、但しこの中には市場性のない株式も相当含んでおるということであつたのであります。次に現在までに証券処理調整協議会を通じて処分された株式はどのくらいであるかというお尋ねに対しまして、五月二十九日現在で約十一億三千七百万円であるのでありまするが、その内訳は持株整理委員会関係が約五億七百万円、閉鎖機関整理委員会関係が約四億円、國が約一億五千三百万円、日本銀行が約七千七百万円であるということであつたのであります。而してその賣却の成績はどうかということにつきましては、五月二十九日の場合は四二%が落札した。六月五日には六一%落札しておるということであるのであります。その解放された株式の買手はどういうところに行つておるかということにつきましては、特定の人に株式が集中されるということはなくして、個人の間に分散するように処分されておるということであつたのであります。  かくて討論採決をいたしまして、全会一致を以て可決すべきものなりと決定いたしたのであります。これを以て私の報告を終ります。(拍手
  16. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。先ず会計法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  17. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  18. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 次に有價証券処分調整等に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  19. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  20. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 日程第五、職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員旅費支給額に関し議決を求めるの件(内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。労働委員長原虎一君。    〔原虎一登壇拍手
  21. 原虎一

    原虎一君 只今議題となりました職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員旅費支給額に関し議決を求めるの件につきまして、委員会におきまする審議経過並びに結果について御報告をいたします。  先ず本案内容について申上げますが、第一回國会におきまして制定され、昨年十二月一日から施行されておりまする職業安定法の第十二條規定による職業安定委員会委員が、委員会に出席する場合、又は実状調査視察等公務のために本邦内を旅行する場合において、これに要する鉄道料金日当宿泊料等旅費額については、これを両議院の労働委員会合同審査会の議を経て、國会議決を経なければならないことになつておりますので、本議案を提案せられたものであります。この支給額別表によつて一應官吏旅費額基準として定めることとしたのであります。即ち官吏定額に対しまして、中央職業安定委員会長は八割増、同委員及び地方委員会長は六割増、同地方委員及び地区委員会長は四割増、同地区委員は二割増の旅費額としたのであります。その旅費額実費を十分に賄ない得るものとなつておるのであります。而して別表としてその旅費額を次のように支給することになつておるのであります。誠に細かい数字でありますが、念のために御報告を申上げます。即ち中央職業安定委員会会長は、鉄道賃及び船賃一等車馬賃一キロについて一円八十錢、日当一日につき七十二円・宿泊料一夜について甲地方三百六十円、乙地方二百七十円、食卓料一夜について七十二円とし、同委員は、鉄道賃及び船賃一等車馬賃一キロについて一円六十錢、日当一日について六十四円、宿泊料一夜について甲地方三百二十円、乙地方二百四十円、食卓料一夜について六十四円とし、地方又は特別地区職業安定委員会長は、鉄道賃及び船賃二等、車馬賃一キロについて一円六十錢、日当一日について六十四円、宿泊料一夜について甲地方三百二十円、乙地方二百四十円、食卓料一夜について六十四円とし、同委員は、鉄道賃及び船賃二等、車馬賃一キロについて一円四十錢、日当一日について五十六円、宿泊料一夜につき甲地方二百八十円、乙地方二百十円、食卓料一夜につき五十六円とし、地区職業安定委員会会長は、鉄道賃及び船賃二等、車馬賃一キロにつき一円四十錢、日当一日について五十六円、宿泊料一夜について甲地方二百八十円、乙地方二百十円、食卓料一夜について五十六円とし、同委員は、鉄道賃及び船賃二等、車馬賃一キロについて一円二十錢、日当一日について四十八円、宿泊料一夜について甲地方二百四十円、乙地方百八十円、食卓料一夜について四十八円としたのでありまして、右に言う甲地方東京都の区に存する区域、京都市、大阪市、名古屋市、神戸市及び横浜市とし、乙地域はその他の地域とし、鉄道賃及び船賃一等なき場合は二等、二等のない場合は三等の汽車賃又は船賃とする。又食卓料水路旅行において船賃外別食卓料を要する場合、又は船賃を要しないが食卓料を要する場合において夜数に應じてこれを支給することとしたのであります。  而して本議案の目的とするところは、本議案の実施によつて職業安定委員会委員が、委員会に出席する場合、又は実状調査視察等公務のため、本邦内を旅行する場合において、これに要する旅費を支給して職業安定委員会の機能を十分に発揮せしめんとするものであります。  本委員会は五月二十日、六月十四日、六月十八日に予備審査を行いまして愼重に審議をいたしましたのでありますが、その間におきまして、第一回の衆議院との合同審査会を六月一日衆議院において開催いたしまして、衆議院参議院双方よりおのおのその労働委員会理事当該議案に関しまして、それぞれの労働委員会における審査の模様を報告いたしたのであります。次に第二回の合同審査会を六月十八日参議院において開催し、参議院側委員より、本議案別表宿泊料において、等級の横の差と縦の差とが余りに開き過ぎているが、現下の社会情勢から見て、その差額をできるだけ縮小する必要があると考えるが、政府はこれを改正する意思がないかとの質問に対し、政府各省旅費額が皆一様にこのようになつているから、現在の基準則つて作つたものであるとの答弁がありました。  その他別段に質問もなく、討論に入りましたところ、参議院側委員よりい從來旅費額の決め方には改むべきものがあるから、是非近い機会に改正せられんことを希望したる後、賛成意見を表明せられ、採決に入り、全会一致を以て本議案合同審査会において原案通り可決せられたのであります。次いで六月二十六日衆議院より本院に送付せられまして、更に六月二十九日、本審査行つたのであります。政府からは加藤労働大臣その他の政府委員が出席し、熱心なる説明及び答弁があつたのであります。  これから本案審議経過概略簡單に申上げたいと存じます。  第一に、官吏定額に対し、中央職業安定委員会長は八割増、同委員及び地方委員会長は六割増、同地方委員及び地区委員会長は四割増、同地区委員は二割増の旅費額としたる理由如何との質問に対し、政府は、それは労働省旅費増額割合表によつたもので、大藏省給與局とも連絡済みのものである旨の答弁がありました。第二に、この旅費額は少し多過ぎるのではないか、実費旅費とするのを本旨とすべきものであるから、むしろ民生委員実費弁償とする方がよろしいと考えるが、政府所見如何との質問に対し、政府は、実費を賄い得る程度にしたのであるとの答弁があつたのであります。第三に、労働省(「簡單々々」と呼ぶ者あり)旅費増額割合表の十割、八割、六割というように二割ずつ上つているが、その標準は何によつて定めるか、又その差が大き過ぎるから一割ずつの差に改める意思がないかとの質問に対し、政府は、各省とも二割刻みになつているとの答弁があつたのであります。(「結論」と呼ぶ者あり)質問應答は大体以上の通りであります。  かくして討論に入りましたが、本案は極めて明瞭簡單な事案でありますので、格別の意見もなかつたのであります。そこで直ちに採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決せられたのであります。以上を以ちまして労働委員会審査状況報告を終りたいと存じます。(拍手
  22. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本件採決をいたします。本件賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  23. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本件全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  24. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 日程第六、郵便法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。通信委員長深水六郎君。    〔深水六郎登壇拍手
  25. 深水六郎

    深水六郎君 只今議題となりました郵便法の一部を改正する法律案につきまして、通信委員会審議経過及び結果についてその大要を御報告申上げます。  先ず提案の理由でありますが、今日外國郵便業務は、連合軍最高司令官の指令に基きまして、別段の指示あるものの外、從來我が國と諸外國との間に適用されておりました郵便関係諸條約に準拠いたしまして運用されておるのでありますが、この料金及び損害賠償金額は、郵便に関する條約中に個々の場合につき金フランを以て具体的にその基準規定されておりまして、國内法的には、法律個々料金額金フラン規定されていると同様の状況となつておるのであります。又、他面料金中の一部のもの例えば小包料金とか或いは航空料金及び代金引換郵便物料金というようなもの、こういう一部のものは、逓送径路異動等によりまして随時変更を見る性質のものとなつておるのであります。即ち外國郵便料金及び損害賠償金額は、條約で拘束されておること及び随時変更を見る性質のものがある、こういう点からいたしまして、これは法律によらずして命令で定めることが適当であるとの考えから、これを命令に委任するように本改正案提出されたわけであります。そうしてその内容といたしますところは、郵便法第十三條に一項を追加いたしまして、「外國郵便に関する料金及び損害賠償金額は、條約に規定する料金及び損害賠償金額を超えない範囲において、内閣総理大臣及び逓信大臣命令で、これを定める」と規定しようとするものであります。  尚本案内閣提出衆議院修正送付のものでありますが、その修正点は二つありまして、第一点は、政府原案には「外國郵便に関する料金及び損害賠償金額は、昭和二十二年法律第三十四号財政法第三條の規定にかかわらず、條約に規定する料金及び損害賠償金額を超えない範囲において、内閣総理大臣及び逓信大臣が、命令でこれを定める。」とあつたのでありますが、この「昭和二十二年法律第三十四号財政法第三條の規定にかかわらず、」の字句がありますと、損害賠償金額が財政法第三條に関係があるような誤解を生じ、又この字句がなくとも当然に財政法の例外規定たり得るものであるとの見解によりまして削除されたのであります。又第二点は、附則に「この法律は、その成立の日から起算し、十日を経過した日から、これを施行する。」とありましたのを、「成立の日」では一般人には分りにくいから、一般の人に分るように「公布の日から」とすべきであるとの見地から、これを「公布の日から」と修正されたのであります。  以上の二点は、共に参議院の逓信委員会におきましても、予備審査において同様の趣旨によつて問題になつていた点であります。  委員会はこれを愼重に審議いたしましたが、外國郵便業務の現状その他につきまして質疑がありました後、討論に入りましたところ、別段の御発言もなく、次いで採決に入りましたところ、全会一致を以て衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました次第でございます。甚だ簡單でございますけれども、これを以て報告を終ります。(拍手
  26. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  27. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  28. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) この際、日程の順序を変更し、日程第二十八、裁判官の刑事事件不当処理等に関する調査に関する件、委員長報告を求めます。司法委員長伊藤修君。    〔伊藤修君登壇拍手
  29. 伊藤修

    ○伊藤修君 只今議題となりました裁判官の刑事事件の不当処理等に関する調査の中間報告をいたしたいと存じます。  この調査の対象となりましたものは、先ず尾津事件、眞木康年の事件、蜂須賀事件、尚、青木繁吉事件資格審査の不実記載の事件、これらの事件を対象いたしましてこの調査会を開始いたした次第であります。併し蜂須賀事件は事國際間に関することではありまするが、その内容は家庭の紛爭が主因となつておつた次第であります。從つて法律の精神を酌みまして、当調査会におきましてはこの審理の調査の対象としないということに決定いたしまして、これを除いた次第であります。從つて調査会の内容となりましたものは尾津事件及びその他の四件ということになつておる次第であります。  調査会におきましては、先ず尾津事件を最初に取上げまして、これを本日までにおいて調査を完了いたした次第でありまして、その点につきまして本日先ず中間報告を申上げたいと存ずる次第であります。この事案に対しまして、委員会において取調べましたところの証人は合計二十六人に及びました。又調査委員をして直接本人に面談し、調査をいたし、証人の意見を聴取したものは三十二人に及んでおる次第であります。又人を煩わさずいたしまして、書面を以て報告をなさしめ、書面の審理の対象となりましたものが三十八件であるのであります。合せまして九十六事項に対しまして調査をいたしました結果、調査会におけるところのこれらに関するところの記録は約千枚に及んだ次第であるのであります。從いまして、この中間報告をいたします場合におきましても、これを悉く申上げるといたしますれば相当なるところの時間を要するのでありますから、ここにはその概略を申上げまして、詳細の点に対しましては、速記録並びに当委員会から本院に提出するところの調査報告書を以て、その内容の詳細については皆様において御了承を賜りたいと存ずる次第であります。  この本論に入りまする前に、先ず我が調査会の目的につきまして一言申上げて置きたいと存ずる次第であります。今日、日本の建設に当りまして、即ち新日本建設に当りまして、民主主義の確立、民主主義の徹底これを根幹としておることは皆様において十分御了承のことと存ずる次第であります。從つて立法の上におきましても亦すべての機構の面におきましても、社会制度の上におきましても、経済の面におきましても、文教の上におきましても、すべてがこの線に沿うて、我々は一日も早く民主主義國家といたしまして、世界に伍して恥かしからざるところの國を建設しなくてはならんと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)連合軍におきましても亦この民主主義の國家として再建せらるることの一日も速かならんことを期待しておることは、これ亦疑わないところの事実であるのであります。從いまして我々政治に在る者といたしましては、立法の面は申すまでなく、その他の面に対しまするところの民主主義の徹底が如何程に進展しておるか、如何程に確立せられておるかということに対しましては、常に重大なる関心を持つてこれに我々は処しなくてはならんと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)然るに我が日本の司法権の運用上におきまして、遺憾ながらこの大切なるところの民主主義の確立ということに相悖るがごとき観を呈するがごとき事案の取扱い方がしばしば見得るところの現状にあることを非常に遺憾とするところであるのであります。これは若し意識的に超國家主義者を擁護するというようなことがありといたしますれば、これは非常に日本の今日の在り方に対するところの反逆であるのであります。併しながら、我々の心配する今日の司法制度の上におきましては、さようなことは毫末もあり得ないことを確信しておる次第であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)又少くともかような民主主義に相反するところの事案に対するところの司法官の見解というものが、若しこれを容認するがごとき態度を示すという場合におきましては、この考え方の及ぶところの結果というものは、積極的にこれを擁護する場合と相等しい結果を招來するのであります。又これを消極的に(「本論本論」と呼ぶ者あり)黙認するというような場合におきましても亦さような結果を招來するのであります。かような次第でありますから、我々といたしましては、今日の裁判の運行の上におきまして、裁判官が我々の期待するところの新日本建設の線に沿うてその司法権の運用せらるることを希求して止まないのであります。(「ゆつくりやつてくれ、ゆつくり」と呼ぶ者あり)又今日の日本の國際情勢下に置かれるところの地位に鑑みまして、例えば日本の食糧政策に対して、マッカーサー元帥は世界連合國に向つて、日本の食糧政策確保のために一二の反対あるものをもこれを押して以て遠洋漁業を許可しておる次第であります。かような場合におきましては、その許可せられたところの遠洋漁業というものは八千万國民の食生活の一環であり、生死の境を左右するものであると言わなくてはならん。又マッカーサー元帥の取られるところの行動そのものは、日本の占領政策の良き方面に貢献することは疑わないところの事業であるのであります。然らば、かような場合におきますところの違反事件というものに対しましては、國際間の事情並びに八千万國民の食生活に対するところの考慮ということを考え合せまして、これが審理を促進しなくてはならないと考えらるるのであります。又これを取扱わなくてはならんと考えるのであります。若し司法官にいたしまして、漫然事件そのものに囚われまして事件そのものの処理ということに没頭いたしまして、視野を狭くし、廣く視野を持たざることというような結果に至るならば、それは日本の民主主義國家の再建を阻害するものであり、少くともこれに対しまして相反するところの結果を招來すると考えられるのであります。故に我々は國会といたしまして、これを対するところの正しき方向を示したいと、かように考えたのがこの調査委員会を開催したゆえんであるのであります。ここで問題になることは、或いは結論をお急ぎになるかも存じませんが、大切な事項でありますから、どうかこの点は御了承を賜つてお聽取りを願いたいと思うのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)我が國会が憲法六十二條に基きまして、國政調査をする権限、これが果して司法権にまで及ぶかどうか、これは今日の憲法の解釈の上におきまして、又國会といたしましても重大なるところの責任を有することは言うまでもないのであります。若し誤つて六十二條に司法権の調査に対するところの権限なしという場合におきましては、國会がこの調査に手を染めた場合におきましては、取りも直さず違憲の結果を招來するのであります。故に我々といたしましては、この点に対して諸外國の学説、日本におけるところのすべての学説、並びに新憲法制定当時におけるところの質疑應答、その他諸般の事情を調査いたしましての結果といたしましては、我々は憲法六十二條にいうところの國会の國政調査権の範囲におきましては、司法、行政いずれもこの対象になるものと確定いたした次第であるのであります。若しこの六十二條の國政調査に、司法権は独立であるからこれは含まないものと解釈するならば、司法権は独自の行動をとりまして、國家の機関の一部たるところの司法機関は独善化し、國の大体たるところの、向うべき筋を踏み外した場合におけるところの、國会の示唆するところの権限というものはあり得ないことになるのであります。又司法権に対しまして、司法行政に対するところの、國会がこれに対するところの調査をなし得ることは当然のことであります。又司法、立法に対しまして國会がこれに携わり得ることも当然のことである。して見ますれば、國会は或る面に対しましては、司法権に対しましても尚その調査上の権限行使をなし得るものと考えなければならんものと考えるのであります。殊に憲法の上におきましては、司法、行政、立法と相並んで三権分立の思想をここに確立しておることは、すでに皆様において十分御了承のこととは存じますが、少くとも日本の現憲法におきましては、國会はこの三権分立の立場に立つと雖も、最高の機関として、國民の信託に基きまして、主権を行使するところの機関である一面を持つておるのであります。(拍手)言換えて申しますならば、司法、行政、立法等相並ぶうちにおきましても、國会は優位の立場にあるということは疑いないところの事実であります。憲法前文におきましては、これを明らかにいたしておる次第であります。ここで我々は注意しなくてはならんことは、憲法の各條章によりまして、司法権の独立を明らかにしております。それは即ち裁判官が自由なる心証に基きまして、個々の事件に対しまして他の何らの制約を受けず、独自の見解に基いてその事件を審理判決するところの権能があるのであります。これに対しましては、國会と雖も容喙することを得ないということは、これは明らかなる事実であるのであります。いわゆる司法権の独立とは、個々の訴訟、裁判に対するところの干渉、これに対するところの威迫、かような点を犯してはならないということが、いわゆる司法権の独立であつて、司法行政の運用、そういう面に対しましては、いわゆる司法権の独立の線には含まれないと我々は考えるのであります。かように考えまして、いわゆる司法権の独立という一線を画し、而して憲法六十二條のこの國政調査権は、いわゆる司法行政にも及ぶ、而して個々の裁判に対するところの司法権の独立は相犯してはならないと、かように一線を画しまして、この範囲内におきまして、國会はこの事案に対しまして調査を開始いたした次第であります。(拍手)  かような見地に基きまして、先ず当委員会は尾津事件に対しまして調査の歩を進めた次第であります。調査の要領は、詳細沢山ありますが、先ずその次第だけを申上げて置きたいと思います。第一は、本件裁判に政治的圧迫があつたかどうか。この点に対するところの調査をいたした次第でありますか、これは各証人、書類その他の事実に徴しまして、巷間に傳えられておるところの、例えば一松厚生大臣がこの裁判に対しまして何らかの干渉をしたかどうか、或いは楢橋氏がこれに対して何らかの干渉をしたかどうか、大野伴睦氏、石田一松氏、いろいろな知名な政治家の名前がここに浮き上つてつたのでありますが、これらに対しまして、十分愼重に我が委員会におきまして調査した結果におきましては、いずれもこれらの方々が、本件事案に対しまして何らの政治的圧迫をなしたという事実はなかつたのであります。(拍手)ただかような疑いを生じたという原因はです、尾津その人が常に知名の政治家の名前を口にいたしまして、誰それは自分の最も懇意な人である、誰それは自分が自由にし得る人である、又は自分は自由党の総務になるとか、民主党の総務になるとかいうように、政治的な自己の立場を誇張するがごとき言動をなしておつたことがたまたま誤り傳えられまして、何か本件の裁判審理の進行の上におきまして、これらの政治的圧迫が加えられたのではないか、かような疑いをせらるることになり、かようなことが関係方面にも傳えられ、國民全体にも疑惑を與えたという結果であるのであります。併しながら、当委員会におけるところの調査の結果は、前言申上げまするごとく、何らこれらの知名の政治家が少くも関係していなかつたことを明らかにいたした次第であります。  次に、本案裁判に対しまして、いわゆる暴力團体としての威圧が加えられたかどうか。この点でありますが、裁判の進行に対しまして暴力の威圧が加えられ、而してその裁判が曲げられるという結果を招來することありといたしますならば、これは誠に由々しい結果であるのであります。我々としては、かようなことに対しましては絶対否定しなくではならんのであります。本件に対しまして、さようなことがあつたというふうな、やはり疑惑を招いた次第であります。併しながら、当委員会におけるところの調査の結果は、少くとも裁判所に対しましてはさような行動がなかつたということが言い得るのであります。たまたま一事実といたしまして、法廷におきまして、尾津そのものが怒りの余り椅子を振上げ、以て暴行に至らんとするような行動を示したことはあり得るのであります。又各公判の期日におきましては、その子分、孫分、兄弟分らが常に二百名近く傍聴いたしまして、非常な威圧が加えられたというような感じを抱かしめたことの事実はあるのでありまするが、御承知の通り、日本の裁判官はかような威圧に対しましては、決して屈服いたしまして自己の信ずる裁判を曲げるがごときことは曾て一回もなかつたのであります。(拍手)故に本件の上におきましても、この担当裁判官は何らのさような威圧に対しましては屈することなく、又さようなことを感じた事実もないのであります。(拍手)故に裁判官に対するところの威圧は、本件においては加えられなかつたという結果を私達は認定いたした次第であります。ただここに一言申添えて置きたいことは、いわゆる檢察陣に対しまして、即ち捜査の段階におきましては、少くとも威圧が加えられておつたことは明かなことであるのです。例えば逮捕に向つた際におきましては、その逮捕官に対しまして、令状を提示したところの逮捕官に向つて、お前とおれがこの場においてボタン一つ押せは忽ちに木つ端微塵になるぞというような言動を浴せ掛けておるのであります。又捜査主任の檢察官に対しまして、十万円の懸賞金を附けたというような事実もあるのであります。又捜査担任の警察官に対しまして、自己の輩下であるところの、いわゆる白襟隊、桔梗隊と称せられるところの、これらの幹部を派遣いたしまして、強談威迫したという事実があるのであります。かような捜査陣に対しましては、少くとも暴力的威迫が、團体的威迫が加えられておつたことが十分認められるのでありますが、幸にいたしまして、本件裁判審理に対しましては暴力の威圧が加えられていなかつたということを私達は知るに至つて、この点に対しまして、日本の裁判が実に毅然たるものであるということを考えまして、喜びに堪えない次第であるのであります。  第三に、本件に関し裁判官その他関係者に対するところの利益供與があつたかどうか。この疑いを被つておるのでありまするが、これは調査の結果、詳細に深く掘下げて参つたのでありまするが、裁判所に対しましては絶対にないということをここに証明して申上げる次第であります。又檢察陣に対しましてもないということを申上げます。又警察官に対してもないということを申上げます。少くとも本件捜査から審理に至るまで係官に対して不正は利益の供與というような事実は豪末もこれを認めることは得なかつたのであります。然らばなぜさような疑いを巷間に流布せられるに至つたか、この原因を探究いたしましたところ、これはたまたま元林弁護人が保釈を運動する場合において、百五十万円の運動費を提供しろ、それがついに百万円となり、六十万円となり、最後に二十万円の要求にまで切下つたのであります。併しながら尾津はこの元林という弁護人を信頼しなかつたのでありまして、遂にその金銭は提供せられなかつたのであります。かような事実が流布せられまして、恰かもこれが関係係官に提供せられたがごとき疑いを被むる結果を招來するに至つたのではないかと存ずるのであります。從いまして、この点に対しましては裁判所その他の係官は何ら関知せざるところの事実によりまして、非常な迷惑を被つたと言わなくてはならんのであります。  第四に、本件拘留執行の取消に関し妥当を欠く措置があつたかどうか。問題となりましたところの尾津の執行停止、いわゆる仮釈放の件であるのであります。これは非常に複雜でありまして、その調査に対しましては十分意を注いでその結果を求めたのであります。これを要約して申上げますれば、少くともこの事案におきまして、尾津を執行停止の方法において釈放したことは妥当でなかつたという結論に到達することであります。御承知の通り、我が日本の刑事訴訟法の手続の上におきましては、逃亡の虞のある場合、証拠湮滅の虞のある場合、一定の住所を有しない場合、さような條件を具備した場合におきましては拘留をいたしますが、かような事実が解消した場合におきましては、これを保釈決定して身柄を釈放すべきが法理の上においては当然の措置であるのであります。然るに、尾津事件は九月初旬におきましてすべて結審に至つておるのでありますから、その状態におきましては、或いはこの保釈の手段によつて釈放するならば或いは問題がなかつたのかも存じませんが、併しながらその場合におきましても、本人は徹頭徹尾事実を否認している次第でありますから、その場合におきまして、若し控訴いたしました場合において、控訴審において証拠湮滅の結果を見るというようなことを慮つて釈放しないというようなことも、取扱の上においてはあり得るのであります。一に係つて裁判所のその場合におけるところの認定に俟つのみであります。然るに本件の場合におきましては、関係弁護人から前後七回に亘りまして保釈の申請がされておつたのです。その五回までは、いわゆる本件の原因をなしたところの民事事件の和解のために被告の釈放を必要とする、或いは被告の事業のために被告の身柄の釈放を必要とするというようなことを主としての理由として、保釈の申請がされておつたのでありますが、第五回以後におきましては、主として被告の病状を理由といたしまして、病氣が拘禁に堪え得ないところを理由にいたしまして、これが申請がなされたのであります。然るに裁判所は、この病氣に対しますところの認定は一拘置所の医者の診断書を基本にいたしまして、而もその拘置所の医者の診断書は前後五回に亘つて提出せられておるのであります。その診断書の内容はいろいろ書かれておりますが、要するに拘禁性神経症というところの病名である、勿論胃潰瘍或いは睡眠不足とかいろいろのことが書かれておりますが、かような拘禁性神経症というものは、我が医学界におきましては未だ曾てない病氣でありまして、拘禁性精神病はありますけれども、その前提をなすところの神経病ということになりますれば、やや精神病の軽いものという意味にこの病名の表現を、我々は解する次第であります。又医者自身の訊問の結果によつてもさように説明せられておるのであります。然る場合におきましては、この病氣が大凡拘禁せられたものは、すべて大体において神経を悩み、衰弱して行くことは、これは我々が常識的に見るところの結果であるのです。これのみを以て身柄を釈放するということになりますれば、およそ日本全体の拘禁者に拘禁に堪え得るというものは、あり得ないことになるのであります。故にこの拘禁に堪え得るか、否かということは、この場合におきましては、その医者の報告と相俟ちまして、他の帝大なり、或いはその他の大学なり、信頼し得るところの外の医者と両方の診断と相俟つて果して拘禁に堪え得るか否かということを檢討して、そうしてその取扱い方をなされたならば、かような結果を招來することがなかつたと思うのであります。果せるかな、拘禁に堪えないといつて、釈放したところの尾津そのものは、九月十二日に釈放され、その晩は直かに自分の家に泊り、釈放の條件といたしまして、帝大病院にその住居を制限せられておつたのであります。少くとも釈放と同時に、その制限住所において生活をしなくてはならんところの決定であるのであります。然るに釈放同夜は病院に赴かずして、自己の家に寝ておつたのであります。而してその翌日は病院におり、その翌日十四日は、愛人、第二の愛人の許に到り、四日目の十五日は第三の愛人と行を共にしておるのであります。さような結果から見ましても、果してこれが拘禁に堪えないということは言い得えないということは明らかなことであります。かような点を詳細に申上げておればきりまがありませんが、要するに、この点に対しましては、裁判所の取つたところの行動というものは妥当でなかつたという結論に到達した次第であります。  第五に、本件審判は遅延していないかどうか、これはこの種の事件に対しまして、少くとも裁判所は相当なるところの関心を持ちまして、速かに事件を審理判決すべきところの態度に出なくてはならんと思うのであります。本件の審理状態は、第一回の犯罪事実に対するところの審理は、誠に速かにこれが終結しておるのであります。即ち暴力行爲取締規則違反といたしまして、最高の三年が求刑されまして、そうして事件は追起訴を待つために、それから中止になつておるのであります。追起訴の捜査のために一月の初句まで費やしまして、一月の初句におきましては、第二回の追起訴が行われまして、これが審理が非常に遅れておるということは、疑いないところの事実であります。その原因は第一回の場合におきましては、刑事第四部が別に第三部から、松本、伊藤、一松と、こういう判事諸君を轉属せられまして、独立の部を構成して、それによつてこれを審理せしめたのでありますから、いわゆる專任部が一事件のみを審理進行して参つたのでありますから、速かになつたのであります。併し追起訴の分に対しましては、先にいろいろな問題を惹起した関係上、新たに部を設けずいたしまして、本來の部において他の事件と混同いたしまして、他の事件を取扱うと並行して、本件の審理も継続された次第であります。さような関係上審理が非常に遅れて参つたのであります。少くとも、かような場合におきましては、東京地方裁判所長、いわゆる司法行政の責任者たるところの裁判所長は、これに対しまして適当の司法行政措置を講ずべきことは、当然なさなくてはならん事項であると考えられるのです。然るに事ここに出でずいたしまして、漫然本來の部をいたしまして、この事案を進行せしめた結果、事件の審理判決が遅延したということに対しましては、少くともその行政措置において、妥当を欠くものあると我々委員会といたしましては認めざるを得なかつたのであります。  第六に、係判事は、本件の特殊性に関し、如何なる認識を持つておつたか、この点でありますが、かようないわゆる街の顔役尾津そのものをして言わしめますれば、自分は関東の飯島一家に属し、弟分の養子となつて、いわゆる飯島の分派の二代目を相続しておる松田一家ですから…流れであるというように申しております。そうして自分の子分、孫分を集めますれば、総人員は三万人に及ぶとか言うておるのであります、或いは三千人に及ぶとも言うておるのであります。かような、いわゆる右翼團体の厖大なる力というものに、かてて加えて尾津が持つところの財力、これと相俟つて、この種の團体が如何なる行動に出るかということに対しましては、我々といたしまして十分関心を持たなくてはならんと思うのであります。アメリカのニユーヨークの或る雜誌におきましては、日本のカポネと稱して尾津特輯号を発行しておるのであります。これが再び日本に輸入されまして、いたくこの尾津の構成するところの右翼團体が、日本の將來におきまして非常なる禍根になるのではないかというような杞憂を抱くのであります。或いはかような團体が、軍國主義者、全体主義者、極右團体と相関連いたしまして、この或る場合におきまして、これが活動を開始し、以て我々が過去に嘗めたところのあの悲惨な状態に再び逆戻りするような結果を招來するということになりますれば、これは又由々しき大事であるのであります。かような若し虞れなしといたしましても、この種の右翼傾向を持つところの團体が全國到る処に、而もこれらの團体の行動は、御承知のごとく、街の顔役といたしまして、その強力なる暴力的力権、暴力的の力、團体的の背景の威圧力を以ちまして、善良なる國民に対しまして、行爲、不行爲を要求いたしまして、幾多の國民がこの威圧の前に屈服いたしまして泣いておる事実は、皆様の夙に御承知のことと存ずる次第であります。これに対しまして、先きに全國の街の顔役に対するところの大檢挙が行われたのであります。言い換えて申しますれば民主主義の再建の途上におきましては、この種の團体が將來持つところの基盤、地下政府的の傾向を持つところの、この危險性に対しまして、相当な我々は関心を持ちまして、この事件に対するところの解決を図らなくてはならんと思うのです。ただ一つの刑事事件、一つの脅迫事件として審理判決することを以て足るのではなくして、日本の再建の観点に立ちまして、この種の事件に対しましては、速かにこれを解決し、以て國民に向うところの規範を示すべきことは、司法関係の係官といたしましては正になさなくてはならん仕事ではないかと考える次第であります。(拍手)  かような観点に立つて裁判官というものが馬車馬的に小さな視野を持たず、廣く日本全体のことを考える、日本の向うべきところの大道を弁まえまして、審理に立向わなかつたならば、ひとり司法官は往年非難の的となつたところの、あの司法官化石の声を再び聞くことになるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)我々は尊敬するところのこの司法官が、より以上日本の再建のためにその視野を廣くいたしまして、日本再建の一大根幹となつて、日本の國民の指導に当つて頂きたいと、かく念願するゆえんにおきまして、裁判官が本件のごとき事案に対しましての認識が甚だ十分でなかつたということを遺憾ながら皆様に御報告(「その通り」と呼ぶ者あり)するゆえんであるのであります。  かような次第でありまして、当委員会においてそれらの事件に対するところの調査を進めまして、その結果かような司法官に対する所の態度に対しまして、我々がいかなる機関を設け、如何なる構成においてこれを我々の希望するところの方向に結びつけるか、或いは如何なる立法措置を要するかというような点の結論を見出したいと存ずる次第であります。今日は尾津事件に対しまして、以上調査の結果を簡單ながら中間報告を申上げる次第であります。(拍手
  30. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 報告をいたさせます。    〔宮坂参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  万國郵便條約及び小包郵便物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件議決報告書      ——————————
  31. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) この際日程に追加して、万國郵便條約及び小包郵便物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件、(内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。外務委員長佐藤尚武君。    〔佐藤尚武君登壇拍手
  32. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 只今上程せられました万國郵便條約及び小包郵便物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件、これにつきまして、外務委員会審議経過並びにその結果を御報告申上げます。  本件は六月二十五日内閣から予備審査のために本院に送付せられましたが、郵便物に関する技術的の面もありますので、六月二十八日外務通信両委員会の連合委員会を開きまして、予備審査を行いました。  本件内容概略を申上げますると、万國郵便物條約は、國際間の郵便物交換に関する基本的條約でありまして、我が國は明治十年より同條約に参加いたしており、同條約参加國を以て構成される万國郵便連合の一員として、諸外國との間に郵便物交換に関する各般の業務を持続して参つたのであります。  この郵便條約は五年ごとに改正されることになつておりまして、我が國の参加している現行條約は九年前即ち昭和十四年五月ブエノス・アイレスで署名されたものでありますが、今次大戰のため改正が延期され昨年パリで改正会議が開かれまして、七月五日に新條約の署名を見たのであります。このパリにおける会議には勿論我が國は代表を派遣することができなかつたのでありますが、スイスのベルンにある万國郵便連合事務局より連合軍司令部を通じまして、新條約のテキストを送付して参つたのであります。これによつて見ますと、新條約が現行條約に加えた改正は数多くありますが、技術的なものが多く、一般的な意義を持つ改正としては、左の三点を挙げ得ると思います。  第一は本條約によつて万國郵便連合は、郵便業務の分野において國際連合の専門機関として認められることになり、國際連合と郵便連合との間に両者の協力に関する協定を結ぶこととなつたことであります。ここで附け加えて御参考まで申上げますと、各國政府間の協定によつて設立せられた國際的責任を有する各種の専門機関は、國際連合憲章第五十七條の規定に從い、國際連合との間に連繋関係を有することに定められておりまして、この種の専門機関としては、現在國際労働機関、ユネスコ、國際連合食糧農業機関、国際民間航空機関、國際電氣通信連合、國際通貨基金、國際復興金庫、世界保健機関等があり、これに本條約により郵便連合も國際連合の認めた専門機関なつたわけであります。  第二の点は郵便連合に加入する手続が多少嚴重になつたことであります。從來は單にスイス連邦への通告だけで加入できたのを、新條約では、加入通告の外に連合員の三分の二の用意を要することにしてあります。  第三の点は日本ドイツ等の加入について、特別の簡易手続を定められておることであります。これらの國については責任当局が、日本の場合は連合軍最高司令官でありますが、この責任当局が適当と判断する時期に、前述の加入手続によらずして、單にフランス政府に対する外交手続による通告のみによつて加入ができるようにしてあるのであります。  以上が改正された郵便條約の要点でありまするが、詳細はお手許にある條約文によつて御承知願いたいのであります。  次に小包郵便物に関する約定とはどんなものかと申しますると、今回の郵便條約には七つの附随した約定があるのであります。即ち價格表記の書状、及び箱物、小包郵便物、代金引換郵便物郵便爲替、郵便振替、現金取立並びに新聞紙及び定期刊行物の予約に関する約定等が書いてあります。我が國は今回はその中の小包郵便物に関する約定だけに参加することにしたのであります。  次に國際條約への参加という重要案件が國会の会期も残り少くなつた今日、急に提出されたという点について、政府側の説明によりますると、郵便業務は、終戦後最高司令部の覚書によつて再開を許されて今日に至つており、その業務昭和十四年ブエノス・アイレスで締結された條約に準拠して行なつて来たのであります。然るにブエノス・アイレス條約は昨年パリで改正されて、その改正條約の効力が來る七月一日、即ち明日でありますが、七月一日から発生することになつておるのでありまして、この條約への加入については、郵便連合事務局から勧誘があり、又連合軍当局からは六月半ばに加入承認の意向が傳えられたということであります。尚郵便連合本部から條約の佛文テキストが政府に到着したのは六月八日のことで、爾來長文のテキストの翻訳に手間取り、漸く数日前國会提出する運びに至つた次第で、会期が追つてから提出することになつたのは誠に遺憾であるが、前述の通り七月一日の実施期日も迫つており、又本件に関し連合軍当局の示された好意に應えるためにも、急ぎ審議の上承認して欲しいということでありました。  次に、質疑の主なるものを申上げますると、第一は本條約に加入することによつて郵便業務上如何なる取扱いが行われるかという質問でありました。これに対しては、郵便業務はすでに再開されており、新條約に加入しても技術的には殆んど変りはない。ただ平和條約締結前に國際條約に加入を許されたことに意義を認めたいとの政府側の答弁でありました。第二の質問は、加入によつて我が國は如何なる義務を負うことになるかという問題でありました。これに対しましては、加入すれば條約第二十七條によつて國際事務局の経費を分担することになるのである。日本の支拂う分担金は一等二十五單位であり、この金はワシントンにある最高司令部のトラスト・フアンドを通じて支拂われるものである。日本政府が過去において支拂つて來た額は、一九四四年度においては、朝鮮その他の属領地の分を含めて一万七千スイスフランであり、終戰後は大体年に一万三千乃至一万九千スイスフランの見当であつたと、そういう答弁でありました。第三の質疑は、参加に決した場合に、これに関連して國内的に法律乃至は政令を出す必要があるかどうかという質問であります。これに対しては、日本政府から佛國外務省に対して外交文書によつて加入を申込めば足りるという答弁でありました。  大体以上のような質疑應答が行われたのでありまするが、結局本件は、終戰後我が國が初めて國際條約に参加を許されるものであり、又連合軍当局の好意によるものであり、審議に十分の時間が與えられなかつたことは遺憾ではありまするが、本件承認して差支えないものと認めた次第であります。  次いで、昨六月二十九日、本件衆議院から正式に送付して参りましたので、本三十日外務委員会を開きまして、討論を省略して採決に入りましたところ、全員一致本件は可決すべきものと決定いたした次第であります。以上を以て外務委員会審査報告を終ります。(拍手
  33. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本件採決を行います。本件委員長報告通り承認を與えることに賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  34. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本件全会一致を以て承認を與えるごとに決定いたしました。      ——————————
  35. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) この際議事日程の順序を変更して、日程第十より第二十二までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸及び交通委員会理事小野哲君。    〔小野哲君登壇拍手
  37. 小野哲

    ○小野哲君 只今議題となりました請願第百六十三号、旧南海鉄道山手線拂下げに関する請願外十二件の委員会におきまする審議経過並びに結果を御報告いたします。各請願につきましては、紹介議員の熱心な説明と、これに対する政府の詳細な説明がありましたが、ここでは簡單にその要点を御報告申上げます。  先ず請願の第百六十三号、旧南海鉄道山手線拂下げに関する請願、第二百十七号、旧産業セメント鉄道後藤寺、糸田両線の拂下げに関する請願、第二百五十八号、旧小倉鉄道線拂下げに関する請願、第二百九十九号、買收地方鉄道線拂下げに関する請願・第三百三十七号・富山港鉄道線拂下げに関する請願、第三百三十八号、旧播丹鉄道線拂下げに関する請願、第三百三十九号旧鶴見臨港鉄道線外地方鉄道線拂下げに関する請願は、いずれも戰時中政府買收しました地方鉄道会社の路線の還元拂下げを希望する請願でありまして、請願者及び沿線町村長の多数が、たびたび運輸大臣にも陳情いたし、又第一回國会にも請願があつたのであります。願意の大要を申上げますと、これら拂下げ請願の路線は、戰時中戰爭遂行の目的から政府に強制買收せられたものであつて、平和の今日においては、このような地方的の路線は國有鉄道が運営する必要がないばかりでなく、却つてサービスが低下して沿線の住民も迷惑しておるから、これを元の会社に還元する意味で拂下げをして欲しいという願意であります。右につき専門調査員より資料の提出調査報告とがありましたが、その概要を申しますと、これらの買收線の多くは戰時中の買收の目的は解消しておる。例えば青梅、南部、鶴見臨港線は、新潟揚げの石炭を浜川崎地帶に輸送する補助的ルートと考えたことが買收の一つの理由でもあつたが、現在そのようなルートは考えられないし、播丹線は青野ケ原の戰車隊の重戰車を輸送することが買收目的の一つであつたが、勿論今は解消しておる。その他買收鉄道沿線の軍需工業は、いずれも生産停止か生産激減のため、現在は会社時代より遙かに貨物輸送の数量が減少しておるということでありました。又これらの路線の多くは地方的路線であるため、國鉄は手が廻りかね、サービスは会社時代より遙かに落ちておる。旅客列車の回数で見ると、一般の地方鉄道の回復率が九〇%を超えているにも拘わらず、これらの買收線の回復率は平均六〇%ぐらいで、中には昔の二〇%しか動かしていない線もあるし、営業休止路線もまだそのままになつておる。又貨物輸送においても重要輸出物資が滯貨の山を成している路線もあるということでありました。又これらの路線の現在の運営状態は大体赤字であり、中には收入に対して経費が八倍という路線も二三あるということでありました。併し一方鉄道幹線との繋りを考えて拂下げをするのは無理ではないかと考える路線もあるということでございました。  次に、政府はこれに対する意見はと申しますると、全面的に拂下げに反対するわけでは決してないのでありますが、國鉄幹線との関連において拂下げ是非の檢討や、拂下げをするとしてその評價の問題、人員引継の問題等いろいろむつかしい問題があるから、いずれ國有鉄道審議会に諮問し拂下げの決定をするつもりであるという趣旨の答弁が、運輸大臣及び鉄道総局長官よりございました。審議の結果は更に調査研究を進めるのが適当であるという意見もございましたが、本請願は從前よりの問題であるにも拘わらず、政府が一向調査研究をせずに見送つていることは、誠に民意を無視するものと言わざるを得ない、政府はその言明通り速かに調査研究の上拂下げをすべきものは拂下げをすることに始末をつけるべきであるという意見を附し、これを内閣に送付するのが適当であるということに全員一致議決いたした次第でございます。  次に、請願の第四百六十六号、木津川架橋位置変更に関する請願でありまして、國鉄城東線と西成縁とを結ぶ大阪市環状線は木津川に架橋することになるが、目下計画中の架橋位置では川の利用價値が下るから、位置を変更して欲しいという趣旨の請願でありまして、政府説明は環状線は資材、予算等の関係でそう早急には実現できない、実施の際に十分考慮しようということでありまして、審議の結果は願意は大体妥当と思われるから、政府において考慮研究をするのが至当であるとして、内閣に送付を要するものと議決いたしました。  次に、第五百三十三号、羽幌町、遠別村間に鉄道を敷設することに関する請願、第六百七十号、日田線全通促進に関する請願及び第七百五十四号、青森、蟹田間鉄道復旧工事完成に関する請願は、いずれも沿線に資源も多いし、交通量も相当あるのだから、新線の敷設又は撤去線の復旧を行なつて欲しいという趣旨の請願でありまして、審議の結果は願意妥当と思われるから、内閣に送付を要するものと議決いたしました次第でございます。  次に、請願第六百六十五号、札幌地区鉄道復興計画促進に関する請願でありまして、札幌地区は近年客貨が増大し、鉄道線、停車場その他の設備が著しく不備であるから、かねて計画中の鉄道復興計画を進めて欲しいという趣旨の請願でありまして、政府意見といたしましては、これは尤もの請願であつて、当局としてもその必要を認め、事情の許す限り促進するつもりであるという説明があり、審議の結果はこれを採択し、内閣に送付を要するものと議決いたしました。  次に、六百八十六号、私鉄羽鉄道災害復旧費國庫補助に関する請願でありまして、その願意の大要は、羽後鉄道昭和二十二年中三度豪雨による洪水のため線路が破壊されて不通となり、通勤、通学者の往來、物資輸送に多大の不便を與えているから災害復旧工事について補助をせられたいという趣旨の請願でありまして、政府答弁も、地方鉄道の災害復旧は極めて重大に考えているので善処したいという意味の答弁でありまして、審議の結果は鉄道の不通は地方住民に多大の苦痛を與えるものであるから、至急復旧を図らなければならない、本請願の趣旨は妥当と思われるから、成るべく速かに願意に副うようこれを内閣に送付するのが適当であるということに議決いたしました。以上簡單に御報告を終ります。(拍手
  38. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  39. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願委員長報告通り全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。これにて午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ——————————    午後四時二十二分開会
  40. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。この際日程に追加して、行政官廳法等の一部を改正する法律案、厚生省官制の一部を改正する法律案、法務廳設置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。決算委員会理事太田敏兄君。    〔太田敏兄君登壇拍手
  42. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 只今議題に上りました行政官廳法等の一部を改正する法律案について御報告いたします。  本法案は、國家行政組織に関する法律並びにこれに基く各省設置法案等の制定を見るまで、現行の行政官廳法等の一部を改正して、暫くその効力を延長しようとするものであります。御承知のごとく國家行政機構の改革問題は、國家再建の基本的な重要案件でありまして、政府よりは先般行政機構の組織に関する基本法とも申すべき國家行政組織法案提出を見たのであります。続いてこれに基く各省設置法案が次々と提出されたのであります。然るに決算委員会におきまして審議の結果、國家行政組織法案につきましては、重大なる修正を見ることとなりましたので、各省設置法案も從つて根本的な修正を必要といたしまして、政府各省設置法案等は大体これを撤回するに至つたのであります。その結果といたしまして、國家行政組織法案を初め、各省設置法案の制定施行を見るまで、当分の間現行の行政官廳法等の一部を改正して、その効力を延長する外ない事情に立ち至つたのであります。本委員会におきましては、十分この間の事情をも了承いたしまして、全会一致異議なく本法案を可決したのであります。以上御報告申上げます。  次に、厚省官制の一部を改正する法律案審議並びにその結果について御報告申上げます。現在の厚生省における衛生行政機構は、公衆保健局、医務局、予防局、引揚援護院檢疫局の四局でありますが、本案は藥事行政の重要性に鑑みまして、藥務局を設置し、公衆保健局の名称を公衆衛生局に改め、尚最近の情勢の変化に伴いまして、予防局及び公衆衛生局の所掌事務に所要の調整を加えようとするのであります。尚檢疫局は廃止されまするので、行政機構は全体といたしましては拡大するのではないのであります。  本案は極めて簡單なものでありまして、別に大した論議もなく、本委員会におきましては全員一致を以て可決すべきものと決定せられた次第であります。  更に、法務廳設置法等の一部を改正する法律案につきまして、審議経過並びに結果を御報告申上げます。  昨年十二月に法務廳設置法が制定せられました当時、政府では少年の保護に関する機構を速かに整備いたす予定でありまして、爾來その研究を熱心に重ねておりましたが、この程漸く成案を得まして少年法改定案が最近に國会提出されたのでありまするが、この改正法及びこれに関連して提出されるべき他の法令の制定及びその施行準備のためには今後尚相当の期間を要することが明らかになつたのであります。それで次のような問題が起つてつたのであります。第一、法務総裁は私立の矯正施設に関する事務を管理するが、但し本年七月一日からはその運営について厚生大臣と協議しなければならないと規定されておるのを、明年一月一日からと改めたい。第二、法務総裁は本年六月三十日までは、少年の保護に関する事務を引続き管理すると規定してあるのを、本年十二月三十一日までと改めたい。第三、罪を犯す虞のある少年に関する事務は、本年七月一日から法務総裁の管理を離れて、これを厚生大臣の管理に移すと規定してあるのを、明年一月一日からと改めたい。第四、法務廳設置法の中に、少年裁判所と規定しておるものを、本年六月三十日までは、これを少年審判所と読み替えると規定してありますが、これを本年十二月三十一日までと改めたいというのがこの法案提出の要旨であります。  当委員会におきましては、法案審議に当りまして別段意見もなく、事情止むを得ざるものといたしまして全員一致、これを可決すべきものと議決いたしたのであります。以上御報告申上げます。(拍手
  43. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより採決いたします。三案全部問題に供します。三案に賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  44. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  45. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) この際日程に追加して、民生委員法案、藥事法案、國家公務共済組合法案、(内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。    〔塚本重藏登壇拍手
  47. 塚本重藏

    塚本重藏君 只今議題になりました民生委員法案、藥事法案、國家公務共済組合法案、三案について厚生委員会におきまする審議経過とその結果を御報告申上げます。  先ず最初に民生委員法案について申上げます。本案は去る六月の二十四日厚生大臣より提案の理由を聽取いたしました。今その概要を申上げますと、一昨年九月從來の方面委員会を廃しまして、民生委員令が公布せられたのであります。それ以來民生委員は、生活保護法の保護事務に関しまして、市町村長の補助機関として、その第一線の保護活動をいたすようになつたのであるが、更に本年一月から実施と相成りました兒童福祉法によりまして、民生委員は、又同時に兒童委員に当てられることになつたのであります。兒童福祉増進に関しまする第一線機関としても活動して頂くことに相成つたのであります。その他更に民生委員は廣い分野に亘つて、共同社会の福祉増進に関する巷のいろいろな世話役といたしまして、種々なる奉仕活動をしているのでありまして、その職分は現下の社会情勢の下におきましては、ますます重要の度を加え、國民生活保持と密接不可分の関係を有するに至つたのであります。ここに本法によりまして、民生委員制度を法的に確立せんとするのが本案提出理由であります。  次に本法案内容を重点的に簡單に申上げますと、第一に民生委員の選出方法の民主化を図り、民生委員推薦会を設置して適当なる人材を物色し、これを委員に推薦するようにしたことであります。第二には、右の推薦会から推薦された者が、若し適当でない場合、又は適当な者がその推薦に洩れた場合等には、再推薦の方法を講ずることを規定いたしておるのであります。第三に、民生委員の資格要件を明らかにいたしております。第四に、民生委員の心得を明示しました。第五に、民生委員の任期を三年とし、特別の場合には解嘱することができる規定を設けたのであります。第六に、都道府縣知事は、民生委員の指導、訓練の実施に関し責任を有するようにいたしました。第七に、民生委員協議会の常務委員並びに民生委員事務所に関する規定を設けました。第八に、本法施行に要する費用は、都道府縣の負担とし、ただその事務所の費用のみはこれを市町村の負担としてありまして、国庫はそれぞれ右の負担額の二分の一を補助することになつておるのであります。以上は本案内容概略であります。  委員会におきましては、本法案が社会事業の画期的な進展を期待するための重要法案であるに鑑みまして、愼重なる審議をいたし、各委員より熱心な質疑がなされたのであります、その質疑及び政府答弁の要旨を数点申上げます。  第一、民生委員の任務を完遂するため、大都市の場合においては、都道府縣知事の指導監督の権限を市長に移讓するようにした方がよいと考えるがどうか。政府といたしましては、その趣旨を十分に尊重して本法の施行に当つては、運営上適当な方法を講じて、その趣旨に副うようにして行きたいとの言明がありました。第二に、本案第十條には「民生委員は、名誉職とし、」云云とあるが、これは旧時代の通用語であつて、多分に封建的観念を示唆するものであり、これは民生委員にも亦一般國民に対しても好ましからん観念を植えつける虞れがあつて、時代逆行の用語例である。社会奉仕の職分を、社会の公僕たる自覚の下に行うという本案の趣旨と矛盾しておるではないか、これを明瞭にしなければならんとの質問がありました。政府におきましては、こういうここに言う名誉職とは無報酬という意味であつて、決して封建的な旧時代思想によるという意味ではないことの答弁がありました。第三は、本法案の重要目標は先ずどうして適当な民生委員を選ぶかという点にある。本法では選任の方法は、推薦委員会の推薦によることとなつておるが、これはいわゆるボスが出る素地を作ることになるのではないかという意味の質問がありました。これに対して政府は、いわゆる政略的な意図を以て民生委員という地位が濫用せられる虞れがあるような場合には、委員を解嘱するという規定があるので、運用上その危險を除く考えである。次に民生委員は兒童委員を兼ね、又各種の婦人問題の解決にも当るのであるから、婦人委員をできるだけ多数選任する方途を講じなければならないが、その用意があるか。政府におきましては又婦人委員のできるだけ多数に選出せられることを望んでおるので、機会あるごとに婦人の選出を考慮しておると答えたのであります。次に民生委員の性格が不明瞭である。その仕事は國家の仕事か、或いは自治体の仕事であるか、又は公務員の性格であるか、或いは民間事業たる性格であるか、甚だその点が不明瞭である。沿革から見て、自発的な社会事業活動から次第に法制化されて來て、今や公的機関の性格が強くなつて來たのである。この傾向はその本質に反するものではないか。又無報酬を以て社会奉仕に努力するというこの民生委員に対して、國家は如何なる優遇の方途を講ずる意思であるか。政府は、民生委員は沿革的に見て民間篤志家の自発的な奉仕活動を期待していると共に、その職分は公務員的性格が強くなつて來ておる。民生委員の法制化は敢てその本質に反するものではないというところの答弁があつたのであります。尚民生委員の優遇方法については十分考慮して行きたいとの答弁がありました。  以上が大体質疑の主なるものでありますが、次いで討論に入りました。本案に関しましては多数の委員より極めて熱心なる意見の開陳がなされました。特に本法の実施に伴う政府の施策に対し種々重要なる希望意見が表明せられたのであります。今その要点を一二申上げます。第一、本法によつて民生委員制度の法的基礎が定まつたのであるが、法の運用に十分考慮してその完璧を期することが必要である。又第二には、いわゆる五大都市のごとき、自治体としてその特性を発揮するように期待しているのであるから、本法施行命令の公布実施に際しましては、十分にその立法の方針を活かすように施行ができるようにしなければならん。又第十一條の民主委員解職の場合においては、推薦委員会意見はこれを尊重しなければならない。或いは民生委員に対する國家の優遇方法を考慮すること。又議会議員民生委員兼職は禁止の方針を取り、又は民生委員職務上の地位を政治的目的に利用し、或いはこれを濫用することなきようこれが防止の途を確立しなければならない。又本法の趣旨を國民に普及せしむると共に、民生委員に特にこれを徹底せしむるよう適当なる処置を講ずべきである。その他いろいろの意見が開陳せられたのであります。かくして討論を終了いたしまして、採決に入ろうといたしましたが、その際一委員より、委員会の総意を以て、現下この複雜多難なるときに、社会問題の処理に関し、民生委員の職分遂行のために黙々として日夜獻身奉仕の努力を続けられつつある全國十二万余の民生委員諸君に対して、長い間の非常なる労苦を感謝し、その成果を讃えるように、委員長から特に本会議においてこれを表明すべきであるという御意見がありました。私は言葉拙なくいたしましてその委員会意思を十分に表明することのできないのを甚だ恐れるものであります。言葉は極めて簡單でありまするけれども、この機会を以ちまして、全國十幾万の民生委員諸君が多年に亘つて困難なる仕事に從事せられ、十分な予算を持たず、十分なる施設を持たずして、而も多くの恵まれざる人々の救済のために、更生を図る上に甚大なる寄與をなされましたことに対して、限りなき感謝の意を表するものであります。(拍手)  かくて採決に入りましたところ、全会一致を以て本案はこれを可決すべきものと決定いたしました次第であります。以上御報告申上げます。  次に藥事法案についての御報告を申上げます。先ず本法案の提案理由の概要を申上げますと、現行藥事法は戰時中に立法せられました関係から、その規定の中には今日において不適当と思われるもの、又は不要と思われるものも多々ありますし、且つ又戰後の新情勢に鑑みまして新たに規定を設けなければならん点もありまするので、ここに藥事制度の民主的運営、委任立法的規定の縮減及び公衆保健保護の見地からする取締規定の整備等に主眼を置いて藥事法案提出いたされたのであります。  法案の構成といたしましては、「総則」「藥剤師」「藥事委員会」「藥局及び調剤」「医薬品、用具及び化粧品」「監督」「雜則」及び「罰則」の八章及び「附則」から成つておるのでありまして、「附則」を加えますと全條七十五條に亘つておるのであります。今その内容簡單に申上げますと、第一章におきましては、この法律において用いられる主要な用語についてその定義を定め、法律適用の範囲を明らかにしております。第二章は、藥剤師の身分規定でありまして、藥剤師免許及び免許証更新に関する規定を設けております。第三章は、藥事委員会に関する規定でありますが、藥事委員会には実質的に重要な權能を與え、藥事行政運用の民主化を図らんとしておるのであります。第四章におきましては、藥局及び調剤に関する章でありまして、藥局開設の許可制度を廃して登録制度にいたしました。登録を毎年更新することによりまして、業務の実態把握を図り、併せて藥剤師の調剤権を規定いたしました。即ち現行藥事法において附則に規定しておりまする医師、歯科医師又は獣医師の調剤権に関する規定改正法の本條に加えたのであります。第五章は、現行藥事法は單に医薬品のみを法的規整の対象といたしておるのでありまするが、今回の藥事法におきましては、藥品の外に用具及び化粧品をも併せて規定いたしたのであります。第六章及び第七章は、監督及び雜則といたしまして、藥事監視員の規定、登録の基準並びに公聽会に関する規定を設け、運用の万全を期しておる次第であります。以上が大体藥事法の内容の大略であります。  この案は衆議院が先議でありまして、去る二十六日衆議院より送付になりましたのでありますが、政府原案に三点の修正が加えられております。その修正点を申上げますと、第一に、藥剤師の免許証の更新についての政府原案には厚生大臣の定める手数料を納めて更新を受けることとありまするのを、省令の定めるところにより、免許を受けた住所地を管轄する都道府縣の知事を経て、登録の更新を受けることと修正をいたしておるのであります。第二点は、薬剤師國家試驗の條文でありまして、原案はその試驗科目を定めておるのでありますが、衆議院の修正では、試驗科目を全部削除いたしたのであります。そうしてただ藥剤師としての知識及び技能ついてこれを行うことといたしております。第三には、附則に更に一條を最後に加えまして、旧法により免許を受けることができる者で、止むを得ない理由により新法の更新の日までに免許を受けることができなかつた者や、單に未成年であるために免許を受けることかできなかつた者で、新法施行の後成年に達しました者に対しては免許を與えることができる規定を新たに設けたのであります。以上の三点が衆議院における修正点であります。委員会におきましては六月の八日、二十七日及び二十九日の三回に亘りまして、愼重なる審議をいたしたのであります。  先ず政府委員より原案と併せ衆議院におきまする修正されました点について説明がありました。各委員より活撥なる質問が行われたのでありますが、その中主なるもの二三を申上げます。一委員より、政府の医藥分業に関する方針が、この法律において如何なる変化を受けたか、この質問に対しまして厚生大臣より、從來附則に規定して医師の調剤権を本則に規定したので、政府の方針は何ら変つていないとの答えがありました。又藥剤師の身分法を單独に制定すべきであるとの質問に対しまして、政府としては近き將來において、情勢の推移によつて制定したい旨の答弁がありました、更に、藥剤師免許証を毎年更新することは、免許に対する公信力である以上、更新を受けなければ免許の効力がなくなるので、藥剤師に対して不便ではないかとの質問に対しまして、政府より免許を受けたということと、免許証の更新とは別個の概念であつて、藥剤師が公信力を示す場合が必要であり、経済行爲に伴う身分の公示方法も必要であると考えるとの答弁がありました。  以上のような質疑がありました後、討論に入りましたところ、衆議院送付修正案に対しまして、各委員より希望意見を持つた賛成意見がありましたので、その主なるものを申上げますると、一、政府より詳細に述べられたところでは、藥剤師と医師との分業が判然していないように思われるのであるが、近き將來において、政府の医藥分業に対する方針に期待するのである。第二点は、免許の更新をしなかつた場合、その効力を失うとあるが、公信力が薄くなるということで、免許そのものの効力がなくなるのではないから、よく一般に徹底するように指導されなければならない。第三は、藥剤師の身分を明らかにする法案をできるだけ早く制定すべきである。以上のような希望意見があつた後、採決に入りましたところ、全員一致を以て衆議院送付通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、國家公務共済組合法案について御報告申上げます。(「簡單」と呼ぶ者あり)  先ず理由説明申上げます。現在公務員について組織せられておりまする共済組合の根拠法令である共済組合令は、暫定的に法律の効力を認められておりまするが、近くその期限が満了いたしまして効力を失うことになりまするので、新たに法律を制定する必要が生じましたので、ここにその根拠法規を統一し、若干の改正をいたしまして、この法案提出されたのであります。  次に、法案内容につきまして、一二申上げますと、第一は、組合法人といたしまして権利義務の帰属を明確にした点であります。第二は、運営を民主的にするために運営審議会を設け、給付等について組合員の苦情を処理するため、共済組合審議会を設けたのであります。第三は、給付でありますが、健康保險に相当する給付については、同法の改正と実質的権衡を図るようにいたしまして、止むを得ない事由で欠勤した場合には、俸給に代る休業手当金を設け、退職給付、癈疾給付及び遺族給付については、新らしい俸給を標準にするように改め、又その他各組合によつて、給付の程度もこの法律によつて統一されることとなつたのであります。第四の点は、國庫の負担する割合でありまするが、民間の社会保險と同様とし、法律にこれを明確にいたしました。以上がこの法案の旧法令を改正した主なる点であります。恩給法に相当する給付については、同法の改正の際考慮することにいたしておるのであります。  委員会におきましては、六月の二十五日及び六月の二十九日の両日に亘つて審議いたしました。今その質疑應答の主なるものを申上げますと、この法案では恩給法と重複している部分が相当に多いが、どうしたわけであるか。答え、恩給の制度は社会保險制度として考えらるべきであるという意見があるので、当初は原案として恩給制度も包含するように立案したのであるが、既往のものの取扱とか、或いは掛金をしていなかつた部分の取扱とか、研究を要する部分が尚相当あるので、附則第九十四條でこれを除いたのである。これが質問に対する答えであります。(「簡單」と呼ぶ者あり)次に、本案は將來社会保障制度として進歩発展すべきものであると思う、從つて民主的に改正せられなければならないのであるが、第五條第二項の規定は、選挙によるべきで、各省各廳の長官がこれを一方的に任命するというのは、甚だ官僚的ではないかとの質問に対しまして、從來の形式に囚われた感がありますが、大した支障もなく行われて來たものである。併し今回は運営審議会とか、或いは審査会を設けるとか、或いは法人にする等の処置を取つたもので、審議会についても可なり詳細なる点まで法律規定されているので、特に取り立てて決議機関にかける余地は少い、もう少し成熟するのを待つて考えたいとの答弁がありました。更に、本法案にありまする連合会の構想はどんなものであるかという問に対しまして、現在では財團法人としてできているが、この法案では特殊法人となつております。これが設けられました理由は、大体現業の共済組合がいろいろ厚生施設を持つておりますが、一般非現業官廳の部分には厚生施設の見るべきものがないので、給與の均衛が行われている現在施設の面においても均衡を図るために、非現業官廳の組合に連合会を作りまして、病院とか保養所とかの施設を設けることとなつたのである。又福祉施設について、第六十三條の三、四、五号は生活協同組合的性格を持つているものであるか、生活必需物資の中、統制物資をどうするか、連合会が組織されれば大きな團体となるが、経済力の集中とか独占禁止法に触れる虞れはないか。それに対しまして、貸付とか預金とかをやつているのは大きな組合だけであつて、統制物資を取扱うことは困難であると思う。独占禁止法との関係については將來尚研究を続けて行きたい。更に、この組合に対しまする國庫の負担額はどのくらいかとの質問に対しまして、予算では一般会計で一億八千万円、特別会計で十六億余万円、教員の補助が二億円で、合計十九億七千万円であるとの答弁がありました。  大体以上を似ちまして質疑を終了し、討論に入りましたところ、一委員より、この法案には賛成するが、内容から見て修正を要する点が非常に多いのである。併しながらこれをこの國会審議未了にいたしましては、その他の法規との関係もありまするし、現在活動しております共済組合員の人達が困りまするので、それらの点は次の國会において改正を図ることとして、本法案賛成するという意見がありました。かようにいたしまして採決に入りましたところ、全員一致を以て本案を可決すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告を終ります。(拍手
  48. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。先ず藥事法案を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  49. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案議決せられました。      ——————————
  50. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 次に民生委員法案及び國家公務共済組合法案を問題に供します。両案に賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  51. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  52. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) この際日程第七より第九までの請願及び日程第二十三より二十七までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 御異議ないものと認めます。先ず委員長の御報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。    〔塚本重藏登壇〕     —————————————    〔「簡單簡單、もう分つているから…」と呼ぶ者あり〕
  54. 塚本重藏

    塚本重藏君 只今上程せられました請願四件、陳情六件、計十件について厚生委員会審議の結果を申上げます。  請願文書表第五百十五号、医業類似行爲者のあん摩、はり、きゆう施術禁止に関する請願、同じく請願、文書表第七百三十五号、右の請願医業類似行爲者があん摩、はり、きゆう、柔道整復営業法に定められた療法に類似の行爲を行なつておるから、同法の趣旨に反しないようにこれを禁止されたいというのが願意であります。これに対して、当局より実情を質しましたところ、今までは都道府縣において取締つて來たのでありますが、この方面の専門家がおらず徹底しなかつたので、今後は各保健所單位に監督するということになつたので、徹底すると思うとの答弁がありましたので、本委員会におきましては、本請願の趣旨は妥当なものとして議院の会議に付して内閣へ送付すべきものと決定いたしました。  請願文書表第八百十六号、國立長野療養所上田分院の移轉に関する請願であります。右の請願は、國立長野療養所上田分院は旧日本医療團の施設でありまして、一般民家を轉用したもので、設備が極めて不完全である上に一般民家の間に轉在しているので、感染拡大の危險性があり、又結核予防の本旨に副わないので、上田市営の報恩療の建物を中心にして移轉を実施せられたいとの趣旨であります。これに対しまして政府より実情を聽取いたしましたところ、この上田分院は旧日本医療團が戰時中に十万床の拡充計回に基いて軽症患者を收容するために設置したものであるが、昨年より國営に移管して運用せられておるのである。併し設備、環境等において結核療養施設として適当でないことは承知しておるのであるが、移轉を希望しておるところの報恩寮は收容人員も極めて少く、且つ新設拡充することが、今日の我が國の國情においては、実現が困難であるので、よく実情を調査して計画を進めて行きたいとの答弁がありました。本委員会におきましては、本請願は願意が極めて妥当なものでありまするので、できるだけ早い機会にこれが実現に努められるように政府に要望いたしまして、議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしたのであります。  陳情文書表第三百六十二号、らい療養所患者生活改善に関する陳情、同じく陳情文書表第四百四十号、右は鹿兒島縣國立療養所星塚敬愛園と群馬縣栗生樂生園からの陳情で、ほぼ同様の趣旨でありますので、一括して申上げます。らい患者は再起の希望を失い、温かき肉親との絆を絶つて、終生この療養所において終らなければならない運命にあり、その上に結核を併発するものが多く、二重の病苦に悩む実情にありまして、この耐え難き苦悩に堪えて、療養所に一生を送る患者にとりまして、唯一の希望は、所内における改善であり、食費の増額や、所内の職員の増員及び慰安設備の確立等を実施せられたいとのことであります。右の陳情のうち星塚敬愛園は、去る三月上旬厚生委員数名が九州方面に赴きまして実地視察をいたしたのでありますが、当園の実情を視察して具さに実情を承知いたしております。政府当局より善処するとの答弁もありましたので、今回更にこの陳情が出ておるのでありますが、改めて政府より実情を聽取いたしましたところ、國立療養所の中特にらいの療養所につきましては、その改善に鋭意努力をしておるのであるが、予算の関係で意のごとくならず、漸く本年度に至りまして、多少なりとも改善された点があります。先ず食費につきましては、從來一日十五円五十銭であり、結核より低かつたのでありまするが、本年度は同様に一律に一日二十六円四十銭に引上げられたのであります。職員の増員、慰安施設等の諸点については予算面で困難な事情にあるため、現在は遺憾の状態であるが、鋭意これが希望を達成するように努めて行きたいとの答弁がありました。委員会におきましては、本陳情の趣旨は妥当なるものとして議院の会議に付して内閣へ送付すべきものと決定いたしたのであります。  陳情文書表第四百四十一号、らい患者保護法制定に関する陳情、右は同じく星塚敬愛園よりの陳情でありますが、らいの感染から防衛するためにらい予防法が制定せられておるが、同時に不幸にして悲しむべき病に罹り、終生療養所に隔離せられるらい患者を安全に保護するために、らい患者保護法を制定する必要があるとの趣旨であります。これに対しまして、政府当局の意見を質しましたところ、近々らい予防法が改正せられるので、そのときに是非考慮したいとの答弁がありました。本陳情の趣旨は妥当なものとして議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。  請願文書表第七百七十七号、國民健康保險事業費國庫補助に関する請願、同じく陳情文書第四百三十六号、陳情第三百七十六号、國民健康保險制度改革に関する陳情、右の請願一件、陳情二件はいずれも健康保險に関しまするもので、去る六月二十三日本会議において御報告申上げました請願陳情と全く同様の内容を持つているのでありますから、これも前回同様に議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。  陳情第四百四号、藥務局設置に関する陳情、右の陳情も前回御報告申上げたところであり、決算理事より御報告のあつた次第もあります。本委員会におきましては前回同様議院の会議に付して内閣へ送付すべきものと決定いたした次第であります。以上簡單に御報告を終ります。
  55. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採決し、内閣に送付することに賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  56. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  57. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) この際会期延長の件についてお諮りいたします。議長衆議院議長と協議の結果、國会の会期を七月一日より七月五日まで五日間延長することに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて会期は七月一日より七月五日まで五日間延長することに決定いたしました。      ——————————
  59. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) この際御報告いたします。昨日決定いたしました北陸地方震災被害状況調査のための議員派遣の件は、議長において藤森眞治君、中川幸平君、内村清次君、國井淳一君及び井上なつゑ君を指名いたします。この際議事の都合により暫時休憩いたします。    午後五時十一分休憩      ——————————    午後五時三十六分開議
  60. 松平恒雄

    議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き会議を開きます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会