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中西功君 私も栗山氏に引続きまして、この
法案に反対せざるを得ない
理由を御
説明申上げたいと思います。
政府は
如何に協定違反をしておるかという
内容につきましては、すでに栗山
議員から詳細にここに
報告されております。從
つて私はその点を成るたけ省略いたしたいと思うのでありますが、ただ一言申しますれば、曾
つて四月の暫定予算がここに上程されましたときに、私はやはりここから当時の全官公の爭議に対して、
如何に
政府が無誠意のことをしておるか、團体交渉権を無理に無視するようなことをして、それが却
つて組合側の感情を刺戟し、爭議を不必要に激化さしておるという事情を指摘したと思うのでありますが、その大爭議が漸くにして片づき、そして
政府側との間にともかく協定ができたのにも拘わらず、その協定を一方的に違反して、
法案化したのであります。而もこの種々の事情によ
つて、それが止むを得なかつた
理由をはつきりして我々の了解を得るならば、或いは恕せられると思いまするが、今日西尾國務大臣は決して協定違反ではない。こういうような、高飛車な態度を取
つておるのであります。私はこういうふうな、全く我々を無視した、子供でも分かるような協定違反を、協定違反じやないと言
つておる。こういうふうにして
組合を瞞し、
國会を瞞して事が済むと考えておる。私はこれを極めて遺憾に思うのであります。而もこの全官公廰の爭議、或いは又この度の協定、いろいろな問題を通じまして、
政府は非常に狡い手を考えておるということを私ははつきり申上げたいのは、現に今日行われておる事態にその証拠がある。それは協定によりまして、急速に発足することを約束しておりますところの新
給與委員会は、
政府が極めて些細なことに託しまして、未だに開かれていないという
実情であります。これは極めて
簡單なる事実、即ち問題にな
つておりますところの調停
委員会、この調停
委員会が紛爭
処理機関ではないということを
政府自身が申して置きながら、それならば、それを文書にして書けと言えば、それを拒否する。自分もはつきりそう申して置きながら、文書に書けない。こういうような態度で新
給與委員会が延びておる。こういう事実を見ましても、
政府はいろいろに我々に
答弁しておりますが、実際は現にこの
法律が二千九百二十円の
法律である。こう言
つていろいろ弁解しておりますけれども、実際はその
給與体系も、更に
給與水準もできる限り後に延ばそう、延ばそう。そうして物價改訂が行われるまで、ともかく延ばして、それで物價改訂も又
國会で
承認されるだろうから、それを又一方的に押つけよう、こういう態度を取
つておるのであります。これは極めて明瞭であります、こういう点を我々が見ましても、
政府が今日
如何に我々に
答弁してお
つても、そういうものは無意味であると私はそう思うのであります。更に我々共産党といたしましては、苦情
処理委員会というもの自体に対しましても実は反対であります。これは今
政府が取
つておる態度から見ましても、
如何にこれにうまく
答弁いたしましても、これは結局において、いわゆる紛爭
処理機関の申し子であると我々は考えるのであります。更に職階制の問題について申しますれば、我々は面しい職階制に反対しようとは思わないのであります。時に能率給を考えるという問題も、我々は勿論非常によいと考えるのであります。本当に沢山働いた者が沢山給料を貰うということは、これは当然なことであります。併し今日の日本の
実情で、若しそういう観点から、その能率給的なものを強行するならば、現に日本の労働者階級は実際に最低の生活さえ保障されていない。そこえ持
つて來てそういうものを押しつけるとするならば、これは八割のものが実際には食えない。食えないということを押しつけられてしまう。即ち実質的に大きな賃金の切下げであるということは、これは極めて明瞭であります。だからこういう機械的な押しつけ、それは絶対反対であります。更に又これは特殊的に官廰機構の民主化という観点に立ちましても、少くとも上級
官吏と下級の
官吏との間にそれぞれ大きな
給與の開きがない。このことがいわゆる民主的な官廰制度の実質であります。戰前におきましては最低二百四十円の一年間の收入、それに対して最高は一万五千六百五十円である。こういうふうな大きな開きが、いわゆる戰前の全体主義的ら官僚機構の物的基礎であります。ところが終戰後、これを
組合側は自分の力によ
つて直した。それがいわゆる七月案というものであります。勿論この七月案も
組合側から見て、或いは我々から見ますれば不満足であります。併しともかくも相当大幅に
修正したのでありますが、これをこの度の職階制的運用においては又逆戻りさせておる。明らかにここに日本の民主化の逆戻りがあります。これをいろいろ口実を設けて
政府は言
つておりますが、実際において甚だしい逆戻りです。我々はこういう逆戻り、これを反動と称します。こういう反動に対しては反対であります。
その他私達がこの
法案に対して
修正したい点は沢山あります。それは
委員会においても申述べた通りであります。例えば二十
一條の全文は是非削除して貰わなければならないし、二十二條のこの問題もこれを強制的なものにせず、協議的な意味に我々は書き換えたいと思う。それが民主主義であるゆえんだと思うのであります。更に二十九條のこの税務
官吏の危険手当の問題も、これは我々の理解では、この
法案が通りますと、折角第一回
國会において、我々が徴税の公正な徴收のために、小
委員会まで設けて
決定いたしましたところの危険手当、或いは
調査手当というものが実際は、特に危険手当については
廃止されてしまう。我々が第一回
國会でいろいろ協議し、作り上げた精神から言いまして、是非こういうものは残して置かなければならん。これについては私は当然多くの人々が
賛成されると思うのであります。いろいろそういう点について我々は
修正したいし、或いは反対をしたいと考えて、
委員会においてそういう
提案をしたのでありますが、
最後に私はこの問題について一言申しますれば、この我々が申したような
修正、特に栗山
議員が
提出されましたような
修正は、社会党におきましても、我々の聞くところでは、中央執行
委員会において一應
修正は妥当であるというふうに認められておると聞いております。そういう意味から言
つても、我々の見解は決して一部の少数の身解ではないと思うのであります。更に私は民主自由党の方々が、よくこの今日の芦田
政府の不明朗な、不誠意な態度を指摘されますが、この不信で、不誠意で、不明朗な政治の本当の特質、或いは証拠はこの
法案に現われておると思うのであります。この
法案こそ、全く現在の
政府の不誠意の何よりの証証拠だと思うのであります。で、もし民主自由党の方が、本気にな
つてこの政治、政局の不明朗に反対するならば、このような矛盾極わまる、何かさつぱり分らん見たような
法案に反対されて、初めてその誠意が窺えると思うのであります。(「あわてるな」と呼ぶ者あり)從
つて私はそういう観点から見ましても、若し皆さんに誠意があるならば、当然我々の言説に対して
賛成されるものと期待するのであります。我々日本共産党は、以上のような
理由によ
つて修正案を
提出いたしましたが、不幸にして破れましたために、本
法案対しては反対せざるを得ないのであります。これを以て私の
少数意見報告といたします(
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