○
池田恒雄君 私は
只今長官が御
説明にな
つたような事実は、これは非常に小さい
面積じやなくして相当
廣汎な
面積だと思うのです。この
数字はいずれ明ら
かして頂けるだろうと思う。若しそうだとするならば、
森林問題には
二つの問題がある。少くとも今日
森林問題がこういう形において表現されておるのは、
戰爭中におけるいわゆる
戰爭政策によるところの
濫伐だと思います。
從つて戰爭中において
森林が
伐採されて、あのような大きな
沙漠を
作つたということは、これは
森林所有者がみずからしたことではなく、
國家の
計画によ
つてああいうふうにな
つたのだ、こういうふうに考えることができると思うのであります。若しそうであるとするならば、私は
終戰後においてこの
森林所有者に対してもつと積極的な、これは平たい言葉でいえば賠償ですが、
國家がそれを今日賠償するという力は敗戰の結果ないわけですから、賠償しなくてもよろしいが、それに代るべき何らかの政策を採るのが然るべきではないか、こう思うのです。というのは私がそういう山林所有者についていろいろ話を聞く、つまり今日の問題でいうと、あなたの家ではそんなに山を持
つてお
つて、伐
つて賣
つたのだから儲か
つたでしよう。その儲か
つた金で苗木を
買つて植えたらどうです、そのくらいの金はあるでしよう、と言いますと、どういうことを答えるか。いやあれは安いうちに
政府から買われたので、今日では
政府に賣
つた金では、あの苗木の十分の一も買えないのですという。そうすると、あの人達は
政府から木を伐られたときには、非常に安い價格で、その用材は苗木以下の値段で取られた。その人達が今治山治水がどうこういわれて、又自分自身も子孫のためにそういう
森林を残したいと思
つても、到底苗木さえ買えない。こういうことで
沙漠のままにしておるのだと私は思います。非常に常識的な見解ですが、そう思うのです。そうするならば
政府としては賠償ができなくても、もつと苗木をたやすく提供するとか、そのくらいの面倒はああいう人達に対してしなければならないじやないか。これが
一つの問題になると思います。
もう
一つの問題は、そういう基礎の上に、その後において更に山林の
濫伐傾向が來ておる。この
濫伐傾向というものは、その後における経済的ないろいろな原因があ
つて現われて來たのですが、併しながら
終戰後において
政府当局が、こうして
戰爭中荒らしたところの
森林に対して、積極的施策を持たないということが、その後においても山林の
濫伐傾向を生み出しておる原因をなしておると思います。この点は林野局当局は、
計画的な問題ということについては
國有林の方について多く考え、
私有林については或いは考えていないかも知れません。いろいろな條件であればうんと儲かるから、
濫伐しておるというふうにお考えにな
つておるかも知れませんが、こういう
沙漠が無
計画に作られて行くということは、
終戰後において
計画的な政策がないからではないかと思う。單に
國有林だけではなく、
私有林についても
政府はもつと
計画的に植栽をさせる、或いは
計画的に
伐採するというようなことを、私は必ずこれは統制の方式でやらなければならないと思うのではないけれども、何らかの政策によ
つてそれをやらなか
つたら、これは非常に重大なことになると思うのです。而もそれをやらないとするならば、
政府は非常に人民に対して無策である、こういうことになるんじやないかと思うのですが、その点を
一つお伺いしたいと思うのです。