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松村眞一郎君
農林大臣にお伺いいたすのですが、この
種畜法案を率直に眺めますと、この第
一條の
目的に適するような
規定が整
つておらないと思います。
大臣御覽になりますと直ぐ分りますが、「
畜産の
振興を図るため、
種畜を
確保し、」とある
確保ということは
種畜を持つということと、それを維持して行くということが要点でなければならんと思います。これは
大臣もお認めだろうと思います。ところが、この
條文を見ますと何が
種畜として認められるのであるかというような
檢査をやるということと、
登録のための
團体を作るということが書いてある。
種畜を持つことを推進するような
規定はちつともない、所有すること、そうしてそれを維持するということについても、何ら
助長規定もない。ただ第十
二條におきまして、「
種畜の
確保に関し特に必要があると認めた場合には、
家畜の
飼養者に対し、地域並びに
家畜の
種類及び年配を指定し、移動又はと殺の
制限に関し必要な
命令を発することができる。」ということが書いてある。これは或い
意味において
種畜を
確保しておりましよう。現に
種畜にな
つておるものを
屠殺してはいけないというのでありますから、外へ出してはいけないというのですから、
種馬がない場合には
輸出をしちやいけない。それは
日本國に
確保できましよう。それはこの國としての
確保であ
つて種畜を持つことに対しての
奬励にも何にもな
つていない。殊に
屠殺するというような場合にいろいろ想像しますると、どうもいろいろな
関係から殺した方が利益であり或いは
飼料などが足りない。この上
自分で持
つておることができないからというので
屠殺するということが起
つて來るだろうと思います。止むを得ない場合に
屠殺するというようなことも生ずると思う。それをこの
明文で、ただ
命令をすれば
屠殺することができないということで、それに対して
補償も何も付いていない。それで
皆さんから何らかこれに対して
種畜を持
つておる者の損害に対して
補償することを
考えておるか、ということの
質問があつたわけなんです。何らか
予備金か何かで支出するかということを言われたのでありますけれども、これは非常に大事な問題であります。殊に
畜産の
振興であるとか
種畜の
確保ということは、
飼料というものがなくしてできないことであ
つて、どうしても
種畜を
確保するということをいうならば、少くとも
飼料の
配給供給ということについて、こういうことをするのだというくらいなことが
明文の中に私はなければならないと思います。
從來の
種馬統制法というものを見るというと、どういうことを書いてあるかというと、
種牡馬はすべて國において所有するものというのでありますから、國で
自分で持
つておるのだから、これは
確保しておる。それでそれを無償で貸付けるという
規定にな
つておりますから國が
確保しておる。これは明瞭に
確保しておる。今度はそういうことを止めてしまつた。國では持たないという
法律のようであります。それははつきりありませんけれども、そうすると先ず持つことについての
確保がない。その上に
從來の
種牡馬統制法の第二十條を見ますと「
種牡馬若
ハ候補種牡馬ヲ
飼養スル者又
ハ優良種牝馬若
ハ候補優良馬ヲ
飼養スル者ニ対
シ補助金ヲ
交付スルコトヲ得」と書いてある。これは、
飼養費を補助するわけでこれは直接
種畜というものは
飼料が一番大きな問題でありましよう。そういうようなものに対して、補給するということにな
つておるから、
種畜というものは、
確保できるわけです。今度は馬についてはこの
國有主義を捨てられるという話であります。これはまだ
説明を聞きませんけれども、そうして五千頭を持
つておる
種牡馬の中一千頭は現在
國有であり、四千頭は
貸付馬にな
つておる。それを一千頭の方の一割というもの、それから四千頭の方の一割というものを
民有にするという、
民有にするというのは買わせるつもりであるというようなことのようにな
つております。そうすると段々
種馬に対して、漸次國から手を放すというわけで、
民間がこれを持つという場合には
有償で買わなければならんということになると思う。元は只で貸しておつたものを、
有償で買わなければならんということをそれ
自身が、そういう
種馬を持つことの資力に対して國が何ら
考えていないということになる。それで
種牡馬の
確保ができるということは私は
考えられない、
考えていないということになる。それで
種牡馬の
確保ができるということを私は
考えられない。少くとも
飼料の
配給については何らかの
考慮をするというような
規定がここにないというとその
種牡馬確保の
裏付がないと思います。私はそれですから
條文として
修正意見を持
つている。それは
種畜法案の第十
二條というものがありまして、これに対して何ら
補償がないのでありますから、そのことをも
考えて十
二條の次に
一條を加えたいと思う、それは「
主務大臣は
種畜の
確保に関し
飼料の
配給について適切な
處置をしなければならない。」この
規定を入れたい。「
主務大臣は
種畜の
確保に関し
飼料の
配給について適切な
處置をしなければならない。」こういう
條文を入れて私は
差支ないと思います。併し更に
大臣にお伺いしたいのはこの
種畜に限りません。この
畜産の
振興には
飼料というものが非常に大事なことでありますが、
飼料について何か
立法をするという
考えが
大臣の方におありになるかどうか、これは政治的の
大臣にお伺いするのじやない、
農林大臣として、農林省として事務的に
考えて、これは政治の問題じやありません、事務的に
考えてどうしても
飼料の
確保、或いは
飼料畑を作るとか、畑は
飼料に対して必ず
確保する結果、それは
食糧を減殺するわけでもない、結局それは
家畜の血となり肉となり卵とな
つて食糧となるのでありますから、やはり結局
食糧になるというわけになるのでありますから、廣い目から見て
飼料に関する何らかのここに
立法をして、殊に
種畜に対しての
飼料は何らかの
補償をするということの
法文を置かれる必要があると思います。又御
用意がなければ私が申した一
ケ條だけここに少くとも早く入れで頂きたいということを
考えるのでありますが、
飼料というものに対してどのくらい
法律的の何か御準備があり、
大臣としてはこの
議会に間に合わないにしても、次の
議会において政治的の問題は別にしましよう。事務的にそういう
用意をせしめるというお
考えがあるかどうかということを承わりたい。