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1948-06-29 第2回国会 参議院 農林委員会 第18号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年六月二十九日(火曜日) 午後二時零分開会 ――――――――――――― 本日の会議に付した事件 ○
種畜法案
(
内閣送付
) ○
食糧確保臨時措置法案
(
内閣送付
) ―――――――――――――
楠見義男
1
○
委員長
(楠見
義男
君) これより
委員会
を開会いたします。本日は
種畜法案
について
予備審査
を行いたいと存じます。 先ず
政務次官
より
提案理由
の
説明
を聽取いたします。
平野善治郎
2
○
政府委員
(
平野善治郎
君)
種畜法案
の
提案理由
を御
説明
申上げます。
農地改革
や
農業協同組合組織
の
進展等
により、今や
農村
の御
主化
と
農業生産力
の
発展
に関する
基本的政策
が着実に
進行
を見てはありますが、これらの
措置
のみを以て直ちに右の目的成れりとすることは、決してできないのであります。そのためには
農業経営
の実際におきまして、我が
國農業
の
零細経営
から來る不利益を補い、
経営
の
合理化
及び
生産性
の
向上
を図
つて
参ることが、極めて緊要とな
つて
参るのであります。 かかる
見地
から、近時
農業経営
の中に
家畜
を導入して、
輪作方式
による
農地
の
高等利用
と、その
総合生産力
を高めると共に、
経営
の
近代的多角化
と労働の
生産性
を
向上
させるような安定した
有畜営農方式
を、推進普及して行かなければならんという、
畜産振興
に対する声が
澎湃
として高ま
つて
参りつつあり、特に
開拓地方面
の
経営
を安定させるために焦眉の急務とされているのであります。
畜産興興
の
必要性
は、單に
農業経営
の
見地
のみならず、
國民食生活
の改善や
乳幼兒
、
病弱者
の
必要品確保
の
見地
からも強く叫ばれているのであります。 右のような次第から
政府
といたしましても、
畜産
興振に関する
具体的方策
を昨年來策定しつつあるのでありますが、本
法案
はその実施の第一着手といたしまして、
從來
の
種馬統制法
及び
種牡牛檢査法
を廃止して、新
情勢
に即應して、
家畜
の
改良増殖
の源泉たる
種畜
の
確保
と、その
利用
の
合理的増強
を
図つて家畜
の
改良増殖
を一段と促進しようとするものであります。 以下本
法案
の主要なる
内容
について、その概要を申上げたいと思います。 先ずその第一は、
從來種馬統制法
及び
種牡牛檢査法
に見られたような
強度
の
統制的色彩
を拭拂して、
家畜飼育者
の自立的な
改良増殖意欲
の助長を図
つた
ことであります。即ち
從來
のごとき
強度
の
統制
に基く
特定
の
体型
、
資質等
を標準とする
強制檢査制度
や、配合の
統制
及び
種付事業
の
特許制度等
を廃して、主として
衞生的疾患
について檢査を行い、その
條件
に適合するものに
主務大臣
が
種畜
としての
証明書
を交付するのでありまして、
從つて種付
に供用できる
種牧畜
の
選択範囲
が拡大され、且つ
飼養者
は
自由意思
により、自己の欲する
種付
を行い得るのであります。 第二は、
家畜
の優良な
体型
、
資質
の固定と能力の
向上
を促進する
家畜登録事業
に関し、眞に公正且つ信用のある民主的な
家畜登録協会
の設立を助長し、
家畜
の
改良事業
の
普及奬励
を図
つた
ことであります。 第三は、最近の
情勢
に鑑みまして、
優良種畜
の
確保増殖
に遺憾なからしめるため、当面の
緊急措置
として、
主務大臣
が必要であると認めるときは、
特定
の
家畜
について、その移動又は屠殺について
調整
を行い得る
措置
を講じたことであります。これは眞に必要ある場合に
限り所要
の命令を出し得るのでありまして、この
措置
により
苟くも家畜取引等
に
支障
を來さん
よう愼重
を期する所存であります。 以上が本
法案
の
内容
の主な点であります。 本法はその円滑なる施行によりまして、現下の
畜産振興
に対する
澎湃
たる要望の一端に應え、今次の戰爭による
家畜
の損耗を可及的速かに回復して
畜産
の
飛躍的発展
の実現に資したいと存ずるのであります。 右のような
理由
によりまして、この
法案
を提出した次第であります。何とぞ
愼重御審議
の
上速
かに可決せられんことをお願い申上げます。
楠見義男
3
○
委員長
(楠見
義男
君)
ちよ
つと皆樣の御
了承
をお願いしたいことがあります。それは、
速記
のことであります。
委員会
が多数開かれておりまして
採決
の行われる
委員会
に讓らねばなりませんので、誠に申訳ありませんが、それが終りまして再び参りますまで、
速記
なしでも何とぞ御質疑をお続け願いたいと思います。 午後二時二十一分
速記中止
―――――・――――― 午後三時二十分
速記開始
楠見義男
4
○
委員長
(楠見
義男
君)
速記
を始めて。
片柳眞吉
5
○
政府委員
(
片柳眞吉
君)
農業計画
で決ま
つて
おりまする
肥料
その他の
生産資材
が、或いは
生産
の
関係
なり、或いは
配給過程
の
関係
で、非常に
計画
と実際とが
齟齬
を來たしている。この場合に、或る
程度減額等
の
措置
を講ずるかという御
質問
と思いますが、勿論この実際穫れまするところの米なり、或いは
麦等
の
生産見込
が、今言
つた
ような
業家
の責に期し得ない
事由
で減りました場合におきましては、当然
減額
を考慮すべきものと思いますが、ただ
肥料
が一貫目
減つた
から、直ちに
生産
がそれだけ
減つた
ということにはならんと思うのでありまして、いろいろな
事情
が総合して
生産
が減るということにもなろうと思いまするが、ともかく
減額
いたしまする場合におきましては、
農家
の責めに期し得なし
事由
で
減收
があ
つた
場合には考慮する
建前
でありまするから、そのときの実態なり
計画
と実際との
齟齬
をいたしました具体的な
実情
と、そのときの
作況等
を総合いたして、適当な考慮をいたしたいと思います。 それから第二点の
農業計画
の
生産
に必要でありまするところの
衣料
の
計画
が入
つて
おらんという点でありまするが、勿論
農業生産
に
纖維製品等
の必要でありますることは、勿論
承知
をしておりまするが、又
纖維製品
の
配給
が非常に少いという
関係
から、
農家
のこれに対する欲求の強いことも
承知
をしておりますが、ただ
肥料
なり、
農藥
のような、それ程直接この
生産数量
と
リンク
をするという
程度
におきましては、考慮することが適当ではないという
考え方
で、この
計画
の中に
衣料
は入
つて
おらないわけであります。 それから第三の点は、第一点の
お答え
で御了解が附くと思いまするが、中央から発送いたしましても、中途の
配給過程
でいろいろな狂いが起きました場合におきましては、やはり第一点の場合に準じまして、これは考慮されて然るべきものと思います。 それから第四点の必要な
奬励的措置
でありまするが、
差当り現状
で
考え
ておりまするのは、
報奬物資等
につきまして、具体的な
計画
を最近の機会に発表して行きたいと思
つて
おりのであります。
差当り
は
報奬物資
が
應急措置
の重点になると思います。尚
超過供出
につきましては、先程
政務次官
から
お答え
がありましたように、本
年度
は
米麦等
の
超過供出
につきましては、三倍の
價格
で買上げるということもすでに公表しております。大体
報奬金
乃至
報奬物資
ということになると
考え
ております。 それから第
七條
第二項の点は、書かなくとも当然であるということでありますが、そういう御
意見
もあろうと思いまするが、要するにこの
法律
の
條文
が相当、何といいまするが、
農業計画
の推進なり、或いは
食糧確保
の
趣旨
を
謳つて
るというような点もありまして、而もこの
計画
は飽くまで
供出
を
確保
し、
日本
の
食糧需給
を、ともかくできるだけや
つて
行きたいというような基盤から出ておりまするので、さような
趣旨
をこの際鮮明にいたしたのでありまして、当然
農家
がや
つて
ることを特に余計なことを書いてるというのではないのであります。その点を御
了承
を願いたいと思います。
北村一男
6
○
北村一男
君 先程
超過供出
の問題について、
政務次官
から御
答弁
を頂いたのでありまするが、三倍という枠をお決めになるというと、やはり出す人が出しにくいと思うのであります。それから
超過供出
をする量は、
供出量
に比べては極く僅かのものでございまするから、これは自由に
供出
させる、値段の点も自由に
供出
させるとしても、
國家
が
調整金
をお出しになる額は極く少くて済むのではないか、それだけでも
政府
の操作に乘るということは、そんなものを
償つて
も余りあるのじやないかと思うのでありますが、この点について重ねて御
答弁
を頂きたいと思います。
平野善治郎
7
○
政府委員
(
平野善治郎
君)
北村
さんの御
意見
は、先程の御
意見
同樣でありまして、
供出
を
終つた者
については
自由販賣
を許した方が、
却つて
合理的だという御
意見
でありますが、いろいろな
方面
から
考え
まして、
自由販賣
を許すことは、この段階においては好ましくないと思います。併しながら非常な
努力
をして、
供出
以外の農作物を作
つて
頂いた人に酬いるために、三倍の
價格
を予め上げて置いて、そうして
増産
に奮励を
願つた方
が適当である、こういう
考え
からや
つて
おるのであります。
藤野繁雄
8
○
藤野繁雄
君 第二條の
雜穀
でありますが、
食糧管理法
によ
つて雜穀
ということは何々ということを定めてあるから、ここには
雜穀
と書いたらば分
つて
る。こういうふうなことでありますけれど、これは特別な
法律
でありますから、別な
法律
に如何に
雜穀
の
内訳
は書いてお
つて
も、ここでただ
雜穀
というだけで、その
名称
を書いていないのは、
立法技術
として手落ちじやないか、こう
考え
るのであります。他の
法律
に
雜穀
の
名称
が書いてあるから、この
法律
には
雜穀
ということを書かなくともよいという
理由
があ
つた
ならば、その
理由
を承わりたいと思うのであります。 次に、第三條の第一項の「
農林大臣
の指定する
雜穀
」というのは、どういうふうなものであるかという、その
名称
をお
示し
を願いたいと思うのであります。 それから第三條の第三項の、さきに
山崎委員
からも
お話
があ
つた
のでありますが、
生産
に必要なところの
物資
を
配給
しておるところの者に命ぜられてありますが、若しその者が予定の
通り配給
ができないというような場合においては、これに対する
処罰
の
方法
がないのであります。
農家
が
供出
する場合において
割当
てられたところのものを
供出
しなけれど
処罰
をする。これ等の
取扱業者
がこれを怠
つた
場合において
処罰
をするという
規定
がないということは、
片手落
の
規定
でないかと
考え
るのであります。 それから第
七條
でありますが、
割当
を、
市町村長
が決定しなくてはできないのでありますが、
市町村長
の
割当
が遅れた場合においてはどうすればいいか。又一方においては、現在
政府
は米や
甘藷
の
割当
をしておられるのでありますが、米及び
甘藷
の現在の
事前割当
の
状況
は、どういうふうな
進行状態
であるか。各
市町村
まで
市町村長
は
割当
を済ましておるのであるかどうか。若し済ましていないということであ
つた
ならば、
事前割当
ということを
政府
は話しておるが、その効力はないものでありはせんか。要しまするのに、
生産
の
確保
のためには
政府
は
事前割当
をしなくちやできないと言
つて
おるが、現在
事前割当
の
進行程度
がどうであるか。若し又その
進行程度
が最末端まで
割当
が済まないということであ
つた
ならば、いつまでに如何なる
方法
によ
つて割当
を済まされる
考え
であるか。 第
八條
の第二項でありますが、さつきの
お話
によ
つて
、いろいろな
事情
のために收穫が減じたならば
割当
を
減額
されるという話なんでありますが、現在のように
肥料
の
割当
が窒素
肥料
のみによ
つて割当
てられるということであ
つた
ならば、すべての作物が
秋落ち
のするのは当然のことであります。でありますから、
政府
においてはこの
秋落ち
がしないような
肥料対策
その他の
方法
があるとしたならば、それをお
示し
を願いたいと思うのであります。 それから第三項の知事の定めるところの
期間
内というようなことが書いてあるのでありますが、これはどのくらいの
期間
を予定しておられるのであるか。 それから第十一條の第一項の
防護林
の保全とありますが、現在我が國の
状態
を
考え
て見まするというと、松の害虫が非常に殖えて、あらゆる
地方
の松の木が枯死しつつあるのであります。これに対しては、
政府
においてもいろいろ
対策
を講ぜられておるようでありますけれども、現在のようなやり方ではますますで松の
立枯れ
は増加するだけであ
つて
、
防風林
というようなものも、或いはこのままにして置いたならば全滅にな
つて
、
食糧増産
に大
支障
を來すと
考え
るのであります。又
食糧確保
には
関係
がありませんけれども、用材のためにも、
風致林
のためにもいろいろ障害を來すと
考え
るのでありますが、これに対して
政府
は今後如何なる
方法
を以てこの
立枯れ
を防禦しようと思うのであるか、これに対する將來の
計画
及び
予算的措置
を一つ
説明
して貰いたいと思うのであります。 それから第十
八條
の、「
政府
は毎
年度予算
の
範囲
内で
補助金
を
市町村
に交付する。」ということであるのでありますが、この
補助金
の
内訳
を一つ
説明
して頂きたいと思うのであります。
片柳眞吉
9
○
政府委員
(
片柳眞吉
君) 御
質問
の第一点の
雜穀
という
定義
が、はつきりせんことが
立法技術
として適当でないという御
意見
ですが、さような御
意見
もあろうかと思いますが、我々といたしましては
食糧管理法
で
雜穀
の
定義
をいたしておりまして、
雜穀
の
考え方
なり、解釈が現在ではすでに社会通念的にも、大体これが分
つて
おるのじやないだろうか、かような
建前
から特に明細な
種類分け
を
法律
上いたさなか
つた
ので、さような
趣旨
で我々は
考え
ておるのであります。この
食糧管理法
で
雜穀
といたしておりますのは、現在
日本
の
農村
で作られております殆んど全部を網羅しておりまして、それを申上げますると、大豆、小豆、豌豆、鉈豆、蚕豆、「ささげ」、緑豆、蕎麦、燕麦、ライ麦、粟、
稗黍
、蜀黍、玉蜀黍、落花生、殆んど全部を網羅しておるような
関係
にな
つて
おります。 それから
米麦等
の
主要食糧
の
供出
につきましては、
最後
の場合には
強権発動
をするに対して、
農家等
に
配給
されまする
繊維製品
その他のものについては、さようなことがない点が、
片手落
ちであるというような御
意見
でありました。この御
意見
は常に
農村
からも主張いたされておることでありまして、この点は勿論法制上さような
強権発動
までの
措置
は現在ございませんけれども、できるだけこの点につきましては、
所定
の
計画
を遂行して
所定
の時期までに
配給
いたしますように、
関係方面
と常に連絡を取
つて
おるのでありまして、尚特に
報奬物資等
につきましては、
從來やや
もすると時期が遅れるといふ憾みがありますので、特にこの点は今後最善の
努力
を盡して行きたいと
考え
ております。 それから第三点の、第
八條
第三項の「
都道
府縣知事の定める
期間
内に、これをしなければならない。」という、この定める
期間
の見通しでありまするが、大体收穫時期から二週間
程度
というふうに現在では
考え
ております。勿論各
都道
府縣の
実情
から若干の短縮があると思いますが、我々といたしましては大体收穫後、二週間
程度
という
考え方
であるのであります。 第四点の
秋落ち
を防止する点についての
対策
如何でありますが、詳細なことは私まだ
承知
をしておりませんので、御必要がありますれば後程專門の方から御
説明
をいたしたいと思
つて
おります。ただ私の方で現在や
つて
おりまするのは、金肥だけではなかなかやはり
最後
に秋に入
つて
どうも收穫が落ちるということも聞いておりまするし、又
農村側
の欲求いたしましても、どうしても
有機質肥等
を入れて欲しいという要求が非常に熾烈であるのでありまして、但し昔かような大豆粕を
肥料
として多量に
配給
というようなことは、
差当り
は期待が持てませんので、現在では
北海道等
で
生産
をされまするところの
魚粕等
につきましては、実は私の方で或る
程度リンク用
の米を出しましてこれを買付けまして、最も
魚粕等
を欲求する
地帶
にこれを
配給
をいたしたいと
考え
ております。その他米の
供出等
の場合におきましては、できるだけ
生産地
において
統制
をいたしまして、糖をその
生産縣
に残す、こういうことも
考え
ておりまするし、又米、
麦等
の
包裝
をされておりまするところの
空俵
につきましては、これを
必要量
は
農村
にも還元いたす。これは勿論あとの穀類の
包裝
に使うことが原則でありましようが、場合によ
つて
はそれが或いは一部は堆肥の原料に廻ることもあり得ると
考え
ておりますが、できるだけさような
方面
に
努力
をしておるような
状況
であります。 それから
防護林
の
立枯れ
の点につきましては、実は非常に專門外でございまして、私から御
答弁
いたすことが
却つて
不適当だと思いますから、後程
林野局
の專門家から御
説明
を申上げたいと思います。 それから
保險金
の
内容
はお手許に配
つて
あるそうでありますから……
楠見義男
10
○
委員長
(楠見
義男
君)
ちよ
つと御
了承
を得たいと思います。
文教委員会
で今これから
採決
に入るそうで、借りておりました
速記
をその方に返さなきやなりませんから、御
了承
を得たいと思います。
速記
を止めて。 午後三時四十三分
速記中止
―――――・――――― 午後四時二十九分
速記開始
楠見義男
11
○
委員長
(楠見
義男
君)
速記
を始のて。それでは本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十分散会
出席者
は左の
通り
。
委員長
楠見
義男
君 理事 高橋 啓君
委員
太田 敏兄君 門田 定藏君 羽生 三七君
北村
一男
君 柴田 政次君 西山 龜七君
平沼彌太郎
君
木檜三四郎
君
佐々木鹿藏
君 竹中 七郎君 石川 準吉君 宇都宮 登君
岡村文四郎
君 寺尾 博君 徳川
宗敬
君
藤野
繁雄
君
松村眞一郎
君
山崎
恒君 板野 勝次君 池田 恒雄君
政府委員
農林政務次官
平野善治郎
君
農林事務官
(
農政局長
) 山添 利作君
食糧管理局長官
片柳
眞吉
君