○木下源吾君
開拓に關連して一つお伺いして置きたいのですが、御案内の
通り、本年も四月から
引揚げが續々や
つて參
つております。そこで、實情は北海道だけでも
引揚げが
從來のは三十數萬入
つております。又今の
引揚げが北海道、東北六縣に十數萬、十萬以上も豫想されておるのでありますから、殊に北海道の場合は、その大部分が北海道に收容するように
政府の方で北海道廳に要請されておるわけであります。そこで今差當りの問題は、援護
事業に
政府が專念しておるのであります。即ち十數億の金を投じて無縁故引揚者收容住宅等を計畫しておるのでありますが、さてその
人々が
從來とも今までの引揚者は全く放置されておるような實情である。今度の場合も十萬くらいに近い數が北海道に收容しなければならない。これは地理的の
關係で樺太、千島、北海道という
關係上當然だと思うのでありますけれども、
政府はこの差當りの援護にばかり而もその援護にも十分ではないと思うのですが、定著後の方針というものがさつぱり明瞭ではない。そこで我々はこの定著に對して北海道を開く場合においては、誰が
考えても差當り
開拓、
農業上の
開拓それから魚田の開發、こういうことが連想されるのであります。そこで一體今
委員長の
お尋ねに
なつた
開拓に關しては、
土地の改良を主として、
開拓は暫くお預けというような
状態だということを聞くのですが、一體それで一貫した引揚者の處理ができるのかどうか。
實際においてはできておらない。これはもう御覽になれば分る
通り、引揚者をこのままに
政府が放置して置いたならば由々しい問題が起きます。これは社會問題も起きるであろうし、人道上の問題も起きると思うのであります。冬なんかで家もなか
つたり、煖房裝置がなか
つたというようなことは、今までの例にもある
通りでありまして、これは是非とも一つ
開拓關係の方から
政府の上へ、
政府との間に内部において十分に一つこの點を中心として愼重に研究
調査又は協議をして、一つの方針を確立して貰わなければいかんと思うのであります。確立しなければならない問題だと私達は思うのであります。差當りの援護に對する費用などばかりで、もう先のことは一向構
つて呉れない、
開拓などは後廻しにしようというようなことではいかんと思います。これについて
政府では一體どう
考えておるのか、
從來のままでは、例によ
つても分る
通り、一向北海道の
開拓も不成績である、或いは東北も不成績であるというので、どうすればいいかということを
考えずに、そうして
引揚げを早く促進しろ、
政府がその方に一生懸命や
つておりますというけれども、
引揚げた後の問題はもう一向構わないということになる。これに援護院竝びに厚生省
關係その他と密接な連絡を取
つて引揚者の定着後の方針、而もそれは
開拓というものに結び付けなければならないのであるからして、だだ
開拓をお預けしますなんということでは、これは收まりが付かん問題だと思うのでありますが、どういう
事情にな
つておるか、この機會に一つよく
お話を承わりたい。若しもそういうふうな援護院が十數億使
つておるから、引揚問題に對してはこれで濟んだもんだ、これで結構だというような
考えでおるのか、北海道は
土地が廣いから人間さへばら撤いて置けばいいのだということは許されべきことじやないと思うのであります。勿論當面の住宅等もございませんので、今盛んに
政府と折衝をそれぞれや
つておるのでありますが、その先のこと、もう一歩先のこと、冬を越した次のこと、これについて今から
考えて置かなければならんのに、
開拓は後廻しにする。これは一面においては
食糧増産とも密接な
關係があろうし、同時に又
開拓の政策ということにも
關係があろうと思いますから、先ずあなた方の今日まで採り來り、又今後もやろうという方針について、お分りになるならば一つここで御披露願いたい、かように
考える次第であります。