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説明員(
齋藤三郎君) この問題に対する
日発側の
立場を申上げますと、大体本州中央部の
水力の今日の
状態での
発電のキロワツト・アワー当りの見透しは、建設費約三万五千円くらいであります。これは平均であります。先程井上さんは、
九州の地点の悪いのは認めると申されましたが、我々が
計算すると、
九州ではどうしても五万二千円以下では
水力が上りません。その問題が
一つ。それから栗山さんが御指摘なす
つた火力の問題、それから
現実に夜でも
石炭を焚いておるような実態、そういう実情、そういうようなものから
考え合せまして、成るたけこれは本州中央部の現在余
つておる余剩の方力で、
九州の運轉時間を少しでも減らしたい。これは非常にロスの多い
送電線を持ち運ぶようにお
考えになるかも知れませんが、実はこのものは今でも使えずに流しておる本当の余剩というものが、豊水期になりますと、一日に二百万、三百万出て参ります。これが
石炭に代るということはロスの問題ではないのでありまして、数億キロワツト・アワーは
九州へ送り込むことは可能なのであります。そういうようなことと併せて
考えますときには、やはり相当大きな動脈を本州の中央部から通して、そうして成るたけ安い
電源の、本州中央部の開発を成るたけ盛んにしまして、そうして既設の六百万キロという安い
水力をコンバインしたもので操作をするということが非常に、何と申しますか、その
ブロックに比べて健全な形をとれると、こういうことがはつきり申上げられるのだろうと存じます。その上先程井上さんの御
説明にありました
責任体制をと
つて、建設的に大いにやるんだという御
議論でありましたが、前々からの問題にな
つております
プール計算がついて廻る間は、
責任体制は取り得ない。若しもそれが
簡單にやれるのならば、現在でも
水力と
火力の
料金を平衡した
程度で、
プールなしでや
つて行けるのだ。
料金の幅は大した相違は起らないのだというのならば、我々の方で平均したもので
各社に差上げますから、その
程度で立派におできになるのじやないかと、こう申上げたいのであります。そうすれば今の
状態でも、あんなにやかましい
プール計算はしなくても済む筈であります。それがどうしてもできないと申しますのは、他に
事情があ
つてなかなかやれない、こういうことなんであります。ですから外へ持ち出そうと、何をしようと、そういうものがある間は
責任体制は取れない。だから
責任体制でやられるということは、ちよつとどうも私は納得できません。それは第二の問題は、
電源を
如何に上手に配分いたしましても、そこに
融通が不可避だということはお認めにな
つておる。
融通が不可避だとしますと、或る
地域は
電源に惠まれた
地域ができ、或る
地域は
電源に惠まれない
地域ができる。私共が
如何に技術的に檢討を加えましても、関東、中部、北陸という所は相当余裕のある分割が成り立ち、中國、
九州、関西という所は非常に
電源が足りない側に來る。まあ非常にというわけでなくて、五%ずつ違
つたというと、差は一〇%になる。そうしますと、勢いこの形に対して、積極的に奔走しなければならないゾーンと、そうでないゾーンができて來る。そうしますると、又
会社の
内容にアンバランスが非常に起
つて來る。ですから結局そういう
状態で以て、旺盛な建設が続けられるかどうか。安本
程度の計画ならばやれる自信があるとおつしやいますけれども、私は先程は
資金に触れないという前提だから、何も触れておりませんが、安本の計画を実施いたそうというと、
只今の相場で年約百六十億、これはどうしても平均いたしまして、五年で年約百六十億の
資金はつぎ込まなければならんのであります。今日の
状態は、これはおのずから別の問題とな
つて参りますけれども、單に一
企業者というような單位だけで、これだけの建設
資金が円滑に行くかどうか。
國家の問題と相当深い関連を持たなければ解決できないだろうということも一面あると思います。又尾瀬沼のようなものの開発体系というようなことを
考えますと、いよいよ現在の
発送電に似たようなものを、又でつち上げるんだということにもなりますので、どうもその辺が建設面から見ますと非常に
ブロック案に矛盾が多いと、こう申上げざるを得ないのであろと私は存じます。