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1948-09-01 第2回国会 参議院 通信委員打合会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年九月一日(水曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○放送法案内閣送付)   —————————————
  2. 深水六郎

    委員長深見六郎君) それでは只今から通信委員会を開きます。前回に引続きまして質疑を続行いたします。
  3. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 安本長官がお見えになりましたので、放送法案について安本に関連する部分について二、三お尋ねしたいと思います。御承知のようにこの法立案では日本放送協会の外に新たに一般放送局設立を認めておりまして、法律及び規則の定める規準に合格したものに対しましては放送委員会おいで免許を與えることになつておるのであります。この一般放送局は勿論今後の運用によりましてその可否が決定せられると思うのでありますが、本委員会としましては放送事業の発展のためにこの際一般放送局をできるだけ、若干数を認めることが適当ではないかという意見が有力に唱えられておるのであります。これにつきましては、先般來逓信省の方に対しましては周波数の割当の問題について用意があるかどうかということを伺つたのでありますが、逓信省の方ではその用意があるという明答があり、又一般放送局設立に必要なる資金につきましては、昨日政府委員から多少の困難はあるけれども大藏省としてはできるだけ資金面でその一般放送局設立が阻害されることのないように十分好意を以て考えるという答弁があつたのであります。それで安本にお伺いしたいのは、一つはこの一般放選局設立いたします場合に必要な資材関係であります。御承知のように、これは理想的に申しますとスタジオの建設から附属設備の設置に至りますまで相当大きな資材を必要とするのでありますが、できるだけ新設者に対しましても、これほ実際上既設の建物を利用するとか、いろいろ工夫をして貰つてスタートする以外にはないかと思うのでありますが、それにいたしましても相当資材は当然必要となるのでありますが、全國的に仮に数ケ所新しくその免許が與えられるものといたしまして、本年度、或いは來年度にかけましてこれに必要とする資材を新たに安本として御用意を願わないと、一般放送設立資材面でもつて行詰るということになりますので、そういうわけになりますと折角この放送法案でこういうよいアイデアーを盛られましても、その意図資材面から壊れて來るということになりますので非常に遺憾であると思います。從いまして安本としてはできるだけこれに資材を配当するように考慮して頂きたいのでありますが、その点に関しまして安本としてはどういうふうな御意見を持つておりますか、お伺いしたいのであります。  ついでにお伺いしたいのは、先般來ごり委員会各地廻つたのでありますが、各地とも大体において現在の受信機程度ではやはり十分に聽取者を滿足させるだけの放送を聞かせることができない状態である。又一方日本放送協会におきましても非常に感度の悪い地方が沢山ありますので、五ケ年計画を以て大電力放送施設を整備しようというような計画を進めておられるのであります。これはどうしてもやつて行かなければならない施設であろう準思いますので、この受信機改良し、又放送施設を改善して行くのにも、今後数ケ年の中に相当資材を必要とするのでありますが、これに対しまして安本といたしましては相当困難な資材もあるであろうと思いますけれども、やはり全面的に安本協功を得ないと、その意図は達成せられないことは明らかでありますから、これにつきましてもこけ機会長官から安本としての御意向を伺つておきたいと思います。
  4. 塚越禎三

    經濟安本部長官塚越禎三君) 只今新谷委員からのお話の点、便宜後で御質問のありました日本放送協会設備拡充の件につきまして御答弁いたしたいと思いますが、これにつきましては五ケ年計画として我々の方で伺つております東京第二放送百五十キロワツトの増力、福岡大阪の百キロワツト二重放送鹿児島外四局の十キロワツト二重放送と伺つております。この五ケ年計画に基きまして、最も必要ゼ費材といたしまして御要求を受けましたものは、鋼材毎四半期百五十トンということでございます。この点は私の方の生産局との話し合いがついたように伺つておりますが、大体逓信省の現在割当ていたしておりまする枠内で賄つて行けるというお話のように伺つているのであります。  それから一般放送局の方でございますが、一般放送局の方は放送委員会におかれまして、今の日本放送協会設備拡充と共に非常に緊要なものであるという御提案がありましたならば、我々といたしましては勿論これに反対をいたす筋合もございませんで、できるだけ資材割当については御努力いたすつもりであります。只今のところ一般放送局としては大体十キロワツトのものを作るとして本格的設計をすれば、一局当り鋼材が百トンということを伺つておりますが、この程度のものを毎四半期割当てることは、さして困難ではないかと存じております。ただその外にまだいろいろ資材が御入用であろうと思うのでありますが、その細かい資材については十分の打合せもないようでありますので、尚一層研究したいと存じます。できるだけ努力いたしたいと存じます。ただこの鋼材につきまして特に問題がございますので、只今鋼材のことを申上げた次第でございますが、日本鋼材生産量を本年百二十万トンと計画いたしましたことにつきましては、その中二十万トンは輸出に向けるという目標で計画されております。御承知の如く鋼材アメリカ自身も非常な不足を來たしておりまして、現にマーシヤル・プランの例の援助計画、あの援助法でありますが、あの法律の中にも鉄鋼についてはアメリカ以外の國から輸入することという條件をつけております。從つて日本といたしましても、アメリカからの輸入を当てにすることはできないわけでございます。その上に先方といたしまして、現在アジア左面におきましては、非常に鉄鋼不足を訴えております。而も日本といたしまして、日本將來を考えまする場合に、日本はどうしてもこの輸出で似て日本の國を支えて行かなければ、日本の八千万の國民を養つて行けない。輸出に非常な重点をおかなければな力ませんので、我々安本で樹てておりまする五ケ年計画專ら輸出の面に重点をおいておる次第でありますが、それにつきまして現在アジア方面鉄鋼輸出いたしましたならば、それによつて日本のいわゆる輸出販路の楔を得られる、現在ありましたならば向うが非常に渇望いたしておりますために、それによつて販路を拡張することができる。これをぐずぐずいたしておりまして、この好機を逸して他の國に鋼材の余裕が出て、その販路を外の國に取られるということがありましたならば、將來日本輸出に大きい影響を與えるのではないかという懸念もございますので、大体相当無理をいたしても、つまり内地の生産に多少影響するところがあつても、鋼材はこの際輸出した方がいいというような有力な意見もございますので、先々鋼材の見透しは非常に窮屈であるということは、なにとぞ御承知おき願いまして、できるだけ一般放送局設立いたしましても業者に十分その点を認識して頂きますように放送委員会の方からもなにとぞ業者に方へ十分認識させて頂きたいとこう存じている次第であります。
  5. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 副長官からできるだけ資材面の協力をするというお話がありましたので、我々非常にこの点は結構に存じます。只今放送委員会がまだできておりません。この法立案通りましてから放送委員会ができて、結局正式には放送委員会から送いう資材の正式の割当要求をするようになると思うのであります。併し現在委員会設立されておりませんので、実際問題としては恐らく逓信省の方々から大体どの程度のものが本年度要るだろうという予想を提出されることになると思うのであります。そういう場合には只今お話のように相当窮屈な資材ではあることは十分分つておりますけれども、その逓信省から出されます予想に基いて或る程度事前打合せをして頂いて、若干のものはやはり資材用意をして頂いた方がよいのではないかと思うのであります。  それから先程ちよつと伺いました問題で御答弁がなかつたのですが、受信機関係の問題でございます。御承知のように日本受信機普及率が非常に現在のところ悪いのでありまして、而もその受信機の中には現在規格に合わないような程度のものも相当類あると言われておるのであります。これら受信機のやはり改良をいたしませんと、放送教会施設を、放送施設の方を改善して参りましても、やはり十分な受信ができないのでありまして、今後現在四〇%程度普及率をできるだけ早く五〇%あるいはそれ以上に上げる必要があるのであります。而も先程申上げましたように、悪い受信機をいい受信機に取り替えて行くと言う必要も起つておるので、その点から申しまして、放送施設だけやりましても、受信機の方の普及なりその改良なりをいたしませんと、聽取者としては放送を十分に聽くことができないわけでありますから、この点も合せて考えなければならないことになつておるのであります。從つてそれに関する資材につきましても、製造能力は現在相当に高まつておるように聞いておりますが、苦しい資材の中から、できるだけ受信機関係の材についても割当を殖やすとか、或いは特殊のものについては特別の考慮をするとか御配慮願つて、いい受信機が早く一般に普及されるように御配慮を願いたいのでありますが、この点についてもう一度お答を願いたいと思います。
  6. 塚越禎三

    經濟安本部長官塚越禎三君) 只今の御質問にお答えいたします。受信機の問題で最も大きい隘路になつておりますのは珪素鋼鈑でございます。珪素鋼鈑につきましては、非常に今資材がございませんために、只今安本といたしましては、受信機割当てましたものは、御要求の半分程度ではないかと思われるのでございます。これを仮りに御要求の一〇〇%割当てるといたしますと、他の方面に対しまして、非常に大きな影響をいたします。例証いたしまして申上げますと、電力電源開発の方に只今割当てておりますのは、要求の約五〇%でございますが、それを受信機を一〇〇%にしたために約半分は減さなければならない。或いは又石炭に対して要求の約四〇%割当てておるに対して、これを一三%くらいに減さなければいかん。こういうふうに、いろいろな他の産業に対しまして大きな影響を及ぼしますので、安本といたしましては、現在この珪素鋼鈑の御要求につきましては、非常に深い関心を以て檢討中でございます。御趣旨は誠に御尤もであり、私共といたしましては、ラジオによつて國民が啓発され、これが又民主化の基になるという点につきましては十分了解いたしておりますが、他に及ぼす大きな影響につきまして、安本といたしましては、直ちに御要求通りにこれに應ずるというわけにも参りませんので、その辺の事情一つ御了察をお願いたいと思います。
  7. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 承りまして、事情は了承いたしましたが、珪素鋼鈑の如きは、何か特に増産とか輸入とかという方法は考えられないものですか。只今のところ、輸入を懇請いたしておりますが、非常に需給が逼迫いたしておりまするか、或いは資金の点におきまして限度があるという面からか、輸入がこちらの要望通りには参つておりません。
  8. 新谷寅三郎

    新谷寅三君 そういう特殊なもので、そう大量のものでもないと思うのですが、受信機方面に及ぼす影響は、今お話のように電氣方面に及ぼす影響相当大きいので、結局その僅かなものがネックになつて、それらの増強に行き詰りを來すような結果になる虞れがありますから、その事情をもつと述べて頂いて、何とか輸入量の増加を懇請するように、更に御配慮を願いたいと思います。大体私の安本の副長官に対する質問はこれで終ります。
  9. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 他に安本政府委員に御質問の方はありませんか。それでは一般的な他の質疑を何でもよろしうございますから御質疑になつて頂きます。
  10. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 副長官質問終つたと言いましたが、資金計画でも恐らく安本の方は相当関係になると思うのです。まあ資材割合に少ないでしようが、通信機器関係割合に金額が嵩ばるので、資金関係から言うと相当大きなものになると思います。今度の法案関係します例えば一般放送局の問題でも、或いは放送協会建設計画のことにいたしましても、資金計画としては相当大きなものになつて來ると思うのです。この資金計画の上におきましても実は大蔵省の方はできるだけこの法律案意図するところを達成できるように骨を折るということでありましたが、安本の方におかれましても資金関係の御関係部分について、できるだけやはり御配慮願わないと、大蔵省だけでは如何かと思いますので、この点もこの機会に併せて希望を申上げておきます。
  11. 塚越禎三

    經濟安本部長官塚越禎三君) 大蔵省の方とよく打ち合わまして、我我の方といたしましてもできるだけ努力いたしたいと思います。
  12. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 質疑はまだ残つておりましようが、政府からの資料の提出もまたありませんので、一應これで質疑を打ち切つて、できれば委員だけで修正点の問題もありますので、懇談的に話を進めた方がいいかと思います。
  13. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 只今新谷委員の動議に御異議ございませんか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  14. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 御異議がなければ、それでは今日はこれで散会いたします。    午前十一時十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     深水 六郎君    委員            大野 幸一君            大島 定吉君            井上なつゑ君            新谷寅三郎君            藤田 芳雄君   政府側    経済安定本部副    長官    (第二副長官) 塚越 禎三君    逓信事務官    (臨時法令審査    委員会主査)  鳥居  博君